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匂いが希薄な「後妻業の女」。
2016/09/15 Thu.
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楽しみにしていた「後妻業の女」……観てまいりました。
最近、流行のアニメ、コミックの実写版、
食指がまったく動かない日本映画の中で、
久しぶりに何やら面白そうな予感……がしましたから。
仕事の合間を縫って駆け付けた劇場は、
中高年の観客で埋まり(どちらかと言うとお年寄りが多い……。)
僕なんか一番ヤングな部類(笑)ここ、劇場は日本橋ですからね、
都心を離れたらどんな客層なんでしょう……。
さて、舞台は大阪……。
今や老いも若きも日本国中をあげて「婚活」真っ盛りと言われています。
僕はこの「○○活」って言う言葉が大嫌い(苦笑)……ま、そこは置いといて。
武内小夜子(大竹しのぶ)は結婚相談所の柏木 享(豊川悦司)と組んで、
高齢で資産家の男を狙って「後妻業」をしています。
老い先短い資産家の男と結婚し、早々に死んで貰い遺産を手中に……。
時には間接的な殺人をも厭いません。あっけらかんと平然と、
全く罪の意識のない女と被害にあった男、
そしてその家族、探偵などを巻き込んでのコメディです。
先ず、一番強く感じたのは、大阪の匂いが稀薄だと言うこと。
不思議です。大阪(関西)出身の俳優を多用しているのに、
意外なほどあっさりな感じ……僕らが勝手に想像する大阪のギトギト、
コテコテ感や、バイタリティー豊かな「大阪」が感じられないのです。
人間臭さ、汗臭さみたいなもの?裏社会に生きる人間たちのえげつなさ……。
そんなものが全く感じられませんでした。
スピルバーグの「宇宙戦争」の時に、
世界各国に襲来した宇宙人を、大阪だけが撃退したと伝わるシーンがあります。
この時、ネット上では「大阪のオバちゃんが竹槍で宇宙人を撃退した」……。
そうまことしやかに噂が流れ、大いに笑ったものです。
いかにも大阪のオバちゃんならやってくれそう(笑)
大阪のオバちゃんを表すのにピッタリではありませんか。
そんな勝手なイメージもあってか、サラっとした「大阪」の表現に拍子抜けでした。
それって、やっぱり昔と今の役者の質の違いなのかな?そうも思います。
往年の左 幸子なんかがやったら凄かったでしょうねぇ……。
豊川悦司……いかにも影の社会で暗躍してそうな感じの男を好演。
この人の持っている匂いでしょうか……良く生かされていたと思います。
伊武雅刀、森本レオ、六平直政、津川雅彦……小夜子に騙される男を演じて妙でした。
長谷川京子、尾野真千子は騙された男の娘をそれぞれのキャラクターで演じわけ、
とりわけ尾野真千子は気丈な性格で小夜子と渡り合い、
大竹しのぶとお決まりのくんずほぐれつの大バトルを見せてくれます。
ただし、この女同士のバトルって何もこの映画に限ったことではありません。
映画、演劇の歴史の昔から、快挙にいとまがないほどの名場面あり。
「通天閣どころやない……スカイツリーや!」の笑福亭鶴瓶師匠は勿体ない使い方……。
この方は非常にに達者な方、もうすこし演技のしどころが欲しかったと思うのです。
小夜子を演じた大竹しのぶ……僕、この方の芝居は苦手なのです。
「事件」の時に法廷で「Sexですっ!」と絶叫する芝居から何も変わっていない。
芝居は達者だと思うのだけど、それ以上でもそれ以下でもない。
日本の女優の中ではピカイチと言われていますが、何かもう一つピンと来ません。
どうして皆さんこぞっていつも大絶賛なのか理由が分かりません。
舞台「ピアフ」の時もそう。彼女ならこうするだろうと言う範囲での驚きしかないの。
その大竹しのぶが一番凄かったのは貴志祐介原作、森田芳光監督の、
「黒い家」です。これは凄かった……原作も傑作でしたが、
感情が全くない殺人鬼を大竹しのぶが熱演。
この時ばかりは、なんて凄い女優なんだろう……そう思ったものですが、
「後妻業の女」に関しては並の出来……かな。
「後妻業の女」……★★★★☆……45点。
2016年9月16日
ブノワ。
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