アウトライターズ・スタジオ・インタビューにお誘いを受けました。
私なんかで良いのかとも思いましたが、その旨を伝えた上でそれでも良いということなのでインタビューに応えようと思います。
追記に回答を記載。改めてぎけんさんが回収、編集されてぎけんさんのBlogで本掲載になると思います。
2019/01/16/23:00 追記
インタビュー企画「アウトライターズ・スタジオ・インタビュー」の第140回として掲載されています。ぎけんさんありがとうございました。
あと一部の誤字脱字修正しています。
・アニメを好きになったきっかけを教えてください。
きっかけは『ガンダム』です。
幼い頃は、「アニメが好き」と言うよりも「ガンダムが好き」な子供でした。特に『機動戦士Vガンダム』『新機動戦記ガンダムW』にハマりましたが、それ以外のアニメ作品はあまり観ていなかったし好きでもなかったと思います。
中学生以降、一時アニメ離れをしていましたが、『機動戦士ガンダムSEED』シリーズの放映開始で再びアニメを観るようになり、そこから手を広げた結果、アニメ全般を好きになりました。なので今のようなスタイルになったきっかけと言う意味ではこちらの方がきっかけになるのだと思います。
・好きなアニメ作品を教えてください。(複数可)
『ガンダム』シリーズ
『ひだまりスケッチ』シリーズ
『生徒会役員共』シリーズ
『銀河機攻隊 マジェスティックプリンス』
『ゆるキャン△』
『月刊少女野崎君』
『ジョーカー・ゲーム』
昨今はU局で再放送も多く、今でも『CITY HUNTER』や『ルパン三世』なんかも時間があれば好んで視聴していますのでこれらも好きな作品です。
それにしてもこうして書き出してみると、一貫性皆無ですね。
・(上記の)好きな作品の中から1つ選んで、好きな理由を教えてください。
『劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer』
『ガンダム』シリーズの一つ。『機動戦士ガンダム00』の劇場版です。ガンダム作品としては、敵が異種生命体という稀有な設定のせいか未だに賛否分かれる作品ではありますが、私にとってはガンダムの既成概念の一つを打ち破った作品だと思っています。人型ですらない異種生命体――まぁ平たい言葉で言えば宇宙生命体との戦いと理解。これまでのガンダムシリーズにはなかった要素だと思うので、ここで一つ前例を作れたことは今後のガンダムシリーズの可能性を広げられたという意味でガンダムシリーズの中でも特に意義を感じられて好きな作品の一つです。
あとはピンポイントになりますが、この劇中でアレルヤ・ハプティズムという主要キャラの一人が人命尊重の戦い方に対してのやり取りが好きです。
「お前がしていることは『偽善』だ」
「それでも『善』だ! 僕はもう命を見捨てたりなんてしない!」
別のガンダム作品で同様に偽善的戦い方をしたせいでネット上で散々叩かれたキャラクターがいたことも相まって偽善的な戦い方だろうと、それを「善」だと言い切ったところのカッコよさは今も良く覚えています。他にも劇場版作品だけあって、いろいろなキャラに「魅せ場」がしっかりあるのも好きなところかもしれません。
・主に作品のどういう部分に注目しますか?
本来なら「作品に委ねらられた監督以下スタッフの方々のメッセージ性」に注目したいのですが、原作のある作品のアニメ化が多い昨今では、ちょっとそこに注目するのは難しいかなと思っています(それはアニメ作品の意図を汲みとるというより、その大本となった原作の意図を汲みとるという作業になってしまうと考えます。それはそれで楽しいし意義のある作業ですが、アニメ単体にスポットライトが当たっているものとは限らないので)。
なので妥協……ではありませんが、今は自分の感覚に合うか合わないかとシンプルに着目するようにしています。アニメは映画や舞台と同じ「娯楽」「エンターテインメント」ですから、どんなに周囲の人が「素晴らしい作品」だと言っても自分に合わない作品はやっぱり合わないものだと思います。ですから、「自分とソリが合う作品をまずは見つける」というのがその作品を好きになり、理解していく第一歩だと考えています。
・あなたにとってアニメとは?
エンターテイメント。数多くある娯楽の一つ。でも、私にとっては他の娯楽とは違う存在価値がある娯楽です。
突き詰めればどこまで行ってもアニメはアニメ。数多くある娯楽の一つだけど、それを「他の娯楽やサブカルと大差ないもの」にしてしまうか、「いやいや、他の娯楽もいいけどアニメにはアニメだけの良さがあるよ」と出来るかは自分の見方、感想の持ち方次第だと思います。
娯楽ですから、感想なんて気にせず肩の力を抜いて観ることもありますし、一方で自己研鑽に近い形で向かい合うこともあります。作品によって違う楽しみ方がいろいろ出来る上に今は1クールに数十本の新作がスタートするので自分に合う作品も見つけやすいというのが他の娯楽にはない多様性であり、良さだと思います。
・感想(ツイート)を書こうと思ったきっかけを教えてください。
きっかけは、Blogという媒体が(私がBlogを開始した)2006年頃はブームになっていたからです。Blogを立ち上げて自分に何が出来るかと考えた時にはアニメの感想を書くことくらいしかなかったというのが始まりでした。
その当時、自分の私見を不特定多数の方が閲覧するネット上に挙げるというのは今ほど気軽なものではなかったものの、すでに始めていた多くの先人の方々の感想の素晴らしさに手を引かれ、それに少しでも近づければと思って始めたのは覚えています。
・感想(ツイート)を通して何を伝えようとしてますか?またどう伝えようとしてますか?
「アニメから学べるコト・モノ(教訓)もある」というのが私の感想の一つの軸であり、それを少しでも読んで下さった方に伝われば良いなと思っています。
よく「人生を変えた一冊」とか「座右の銘」とか、生きる上で教訓・指針となるものが本や熟語などから得ているという人を見かけます。時にそれは映画だったり、ドラマだったりすることもあるようです。それならば、それはアニメに置き換えることも出来るのではないか、というのが私見です。
一部の人の間でアニメは現在「消耗品」、アニメ業界は「消費産業」とも揶揄されます。オリジナル作品は少なく、原作がある作品を販促のためアニメ化し、それを私たち視聴者は1クールないし2クール視聴し、好めばDVD/BDやグッズを購入し「楽しかった」で終わってしまい、次のクールで新作が始まるとそちらにあっさりと心が動いてしまう。それで良いのか。この業界をただの消費産業に、アニメ作品をただの消耗品で終わらせないためには私たちがそこから「楽しかった」とは違った「何か」を得なければならないのではないか。そうすることでアニメはただ消費されるだけでなく、観た人の心に留まるモノになるのではないか。
そう考え、私は「アニメから何か教訓を学べないか」と思い、それを抽出・文章にして読んで下さった方へ伝われば良いと思います。まぁ、開店休業状態のせいで現状それが実現出来ている記事は少ないのですけれどね……。
伝え方に関しては、基本はしっかりと書くことをベースにしています。その結果としてどうしても長文になりますが、言葉足らずになるのは嫌なので、長くなってしまう中で出来るだけ読みやすい形で纏められるところは纏めるなど工夫をし、時に読んでもらえる方に共感していただけやすいように論理的ではなく感情的に書くことやメタな視点(作画とか演出)で書くこともあります。
余談ですが、長文になることが多いのでtwitterなど短文系のSNSには向いておらず今もBlogで活動しています。
・あなたにとって感想(ツイート)とは?
そのアニメから「何を得られるのか」を再認識し、記録しておくことです。
ただ観ただけでは「何となくこうかな」という感覚的な理解しか得られていないことが多いため、それを文章に起こして記事とすることによってまずは自分自身が「こういったモノを得られたんだな」と再認識しています。そうして再認識出来たことを記事にすることで、読んで下さった方にお伝えし、時に共有・議論することが出来ればなお良いと思います。
・好きなキャラ・制作会社・スタッフを3つ(3人)ずつお願いします。
せっかくのご質問ではありますが、制作会社ならびにスタッフについては特にありません。個々の会社の特徴やスタッフの方々について詳しくないということもありますが、私のスタンスとして「会社やスタッフで贔屓しない」ということもあります。「どこの会社が作ろうと、誰がスタッフとして関わっていようと、面白い作品は面白いし、内容がある作品は内容があるし、そうでない作品はそうでない」と思うからです。
キャラクターに関しては以下三名を挙げておきます。
ヒイロ・ユイ(新機動戦記ガンダムW)
思い出補正も多分に入っていますが、常に沈着冷静でやることが徹底している主人公。何よりも「どんな時も諦めず戦い続ける」姿勢と、常に軽んじていた自分の命の重さというものを最後には認める成長に惹かれます。
ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア(コードギアス 反逆のルルーシュ)
「撃って良いのは撃たれる覚悟のある奴だけだ」の名言と、最期には自らその言葉通り「討たれる」ことによって世界を平和に導こうとした姿勢は今も胸に残っているキャラクターです。
ミカミ・リク(ガンダムビルドダイバーズ)
最近の中で好きなキャラクターです。往年の、夕方アニメの主人公の復活と言わんばかりの好少年。常に前向きにポジティブで、「ガンダムも、ガンプラも、ガンプラバトルも好き」という気持ちを途中闇堕ちすることもなく貫き通した。「自分の好きという気持ちで、他の人を傷つけてはいけない」などその想いや名言の強さも好ポイント。
・影響を受けたブロガー(またはツイッター垢名)と読んで影響を受けた記事(またはツイート)を教えてください。
Blog『月の静寂、星の歌』 なっきー様(http://blog.livedoor.jp/natsu_ki00/)
すでに更新停止して久しいですが、私がこれまでのブロガーとしての活動を振り返った時に最も大きな影響を受けた方であることは間違いありません。キャプ画を一切用いず、文章だけで丁寧に30分の内容を追いつつ、随所になっきーさんの自論や推察が入り、濃密な内容となっています。個別の記事は挙げ辛いですが、『ひぐらしのなく頃に』、『地獄少女』の感想はどれも一見の価値があると思います。
Blog『Wisp-Blog』 闇鍋はにわ様(http://craft89.blog105.fc2.com/)
現在、Blogという媒体が衰退しつつある中で精力的に活動されており、常に刺激をいただいている方です。アニメの流れを追うようなあらすじ形式の感想ではなく、常にご自分の考えで記事を書かれており、さらにそれを読みやすい長さの文章量で上手くまとめ上げて仕上げているところをとても尊敬しています。こちらも個別の記事を挙げるのは難しいですが、『ガンダムビルドダイバーズ』の感想は切り口の選び方が面白く斬新なものも多くおススメです。
・BD・DVD以外に購入するものは?(イベント参加可)
ガンダム作品が好きなので、映像商品以外ではガンプラを購入することが多いです。あとは気に入ったアニメ作品の場合は、たいてい原作やアニメオリジナル作品でもコミカライズされていることがほとんどなので、そういったものにも少し手を出すことがあります。
・あなたが感想(ツイート)を書いていくためのモチベーションは、どこから湧いてきますか?またモチベーションを維持する方法など
笑い話ですが、基本は「追い込み」です。筋トレに適切な負荷が大切なように、感想を書き続けて行く上でも適度な追い込みは必要な要素の一つだと思っています。
昨年までは「一日一記事更新」を目標にしており(まぁ今も続けていますが)、一日に一つの記事を更新していく中でやはり週一で定期的にアニメの感想を週数本挙げないと達成出来なかったので、そのために感想を書いていました。
こう書くと悪い印象を持たれるかもしれませんが、「締め切りが迫った時にようやく火がついて本気を出す作家さん」みたいな感じなので、良い意味で「適度に自分を追い込むこと」がモチベーションの維持にはなっています。
モチベーションそのものは面白かったり、楽しかったり、あるいは語りたくなったりするアニメを観ていれば自然と湧いてくるものだと思います。それは、これを読まれている方ならわざわざ語るまでもなくご賛同いただけるかとは思いますが。
・宣伝・アピール欄
宣伝は特にありません。アニメに関しては開店休業状態に等しいので…このインタビューを読まれて興味をもっていただけたとしても、それに応えられないことの方が多分多いと思うのでそれは申し訳ない限りです。
ただせっかくですので一つだけ、これを読まれる方が同じ「アニメ好き」だと信じて書かせていただきたいと思います。
一般的な深夜アニメは一本30分。1日24時間の内、単純計算で1/48の時間をその作品一話に私たちは費やしています(睡眠や食事などの時間を省けばこの割合はもっと大きくなります)。そのことをもっとアニメが好きで感想をBlogやtwitterなどにアップしている私たちは自負してもいいのだと思います。多い方では1日に何本もアニメを視聴されているのでしょうから、感想を書く私たちがアニメと向き合っている時間は決して少なくないし、軽んじて良い時間でもありません。
たかがアニメ、されどアニメ。
一話のアニメを観るのに費やしている時間はみんな一緒。なのにドラマや映画と比べてもさらに多様な見方や切り口の感想が出るのがアニメの素晴らしいところですし、そんないろいろな方の感想を気軽に確認出来るのがSNSが普及・発達した現代の良さだと思います。ですので、今後もネット上のアニメ感想をみなさんと一緒に盛り上げていけたら良いなと思っています。
ここまで読んで下さった方、拙い文章と長文にお付き合い下さり、ありがとうございました。
NoTitle
ぎけんさんに紹介させていただきましたが、悩ませてしまったようですみません。
でも、この回答はとても素晴らしいものであると思います。
中学生あたりで一時期アニメ離れをして……というのは意外なようで、知ってみれば納得の経歴であるように感じました。僕も一時期アニメ離れしていた人間ですが、そういうのはアニメとの独特の距離感を生むのかもしれませんね。
そのあたりに親近感を覚える一方、アニメとの接し方に対するご意見に公的な色彩が含まれているのは少し違うところだなとも思いました。それは読む人に積極的に訴えかける、あるいは問いかける力でもあります。今回のインタビューそのものからアニメの見方について影響を受ける人もきっといるでしょう。影響を受けた相手に挙げていただいて恐縮するのと同時に、僕が月詠さんから影響を受けたと以前書いたのはこうした力、アニメに対する真摯な姿勢であったのを再認識することができました。
こうして月詠さんをいつもとは違った形で知ることができ喜ばしく思うと共に、良いものを読ませていただいたことに感謝したいと思います。ありがとうございました。