ゴーストハント 第17話
ゴーストハント 第17話「FILE6 禁じられた遊び #4」
<あらすじ>
呪詛の種類とその相手が解ったナルたち。オカルトに詳しい坂内によって組まれた巧みな松山への復讐劇だと解ったものの、呪詛はかなり強力になっているので、呪詛を解くには呪詛を術者に返すか、そのまま実行させるしか無いと言う。
そのまま実行させる、それは即ち松山を見殺しにすると言うこと。死ぬと解っていてそのまま死なせるつもりはない、としてナルは呪詛を術者に返すと言い出す。
死んだ術者に呪詛を返すことが出来るのか、と言う法生に対してナルは術者は坂内ではないと断言する。そう、術者はこっくりさんと言われて無闇に手を出し、それをやり続けた大量の生徒たちに他ならなかった。つまり、膨大で強力に膨らんだ呪詛は、数百人の生徒へと返ることになる。
周囲に感情移入しやすい麻衣は、生徒を高圧的に扱ってきた松山が助かって、何も知らなかった生徒たちが死ぬのは納得出来ない、として猛反対するが......。
続きはOPENからどうぞ。
<感想>
FILE6も完結です。最後は、全てナルのお見通しで終わったわけですが、そこはいつも通りかな。
いつも通りじゃなかったのは、麻衣の態度ですかね。
何も知らなければ、罪に手を貸しても罰にはならないのか
まぁ、これについてはきっと賛否両論、それぞれの主観で色々あることですので、一概には言えないのですが、私は仮にあそこでナルとリンが本物の生徒たちに呪詛を返したとしても2人が正しいと思う立場の人間ですね。
麻衣の言いたいことも解らないでもないです。生徒たちに松山を殺す意思は無かったわけで、仮に彼らが罰を受けるとしても最悪の場合、死に繋がる可能性すら秘める強大な呪詛を、分散するとは言え生徒たちに返すのは罰としては度が過ぎている。
でも、ナルが言った通りなんですよね。「無知は言い訳にはならない」わけです。知らなければ、罪を犯しても罰を受けないわけではない。むしろ、この場合は何も知らずに、ヲリキリ様を安易に手を出して、面白半分で使い続ける生徒たちはやっぱり罪なんですよ。
誰かに何も知らされず白い粉(麻薬)を渡されて、「面白いから」と言われて疑問に思わず安易に使い続け、そして広め、真実が解った時に、「知りませんでした」で無罪にはならないのと同じです。
だから、今回の麻衣の言動はひどく自己中心的で幼稚なものに見えました。松山がいけ好かない高圧的な教師だったから、麻衣の言っていることも正しく見えないこともないですが、仮にもし松山が麻衣たちにも優しく接する教師だったら、果たして同じことが出来たのか? 「そんな教師なら怨まれることなんてないよ」と思いますか? 誰が誰を、どんなきっかけで怨み憎しむなんて解らないのに、本当にそう思いますか? 事実、今回は全て坂内の用意したヲリキリ様で事件は始まっていて、1人の怨みと知恵と相手の心理をたくみに利用した戦術でこんなことになってるのです。
話を戻しますが、生徒たちの罪は「何も知らないことに、安易に手を出したこと」だと思うのです。「こっくりさんの別バージョンみたいなものだから」と進められたからと言って、面白半分でこっくりさんを使う神経が信じられないのは、私がもう相応に成長していて中高生の気持ちを感じてないからでしょうかね。
もし、私がこっくりさんの立場なら面白半分でつまらないことの予言でイチイチ呼び出されるのは、腹が立ちます。まぁ、中々霊相手で「相手の立場に立って物事を考える」のは難しいかもしれませんけどね。
次回は、「FILE7 血塗られた迷宮 #1」。
<考察>
前回のコメント部分でのやり取りを含めてちょっと事後整理と謎の推理を。事件全貌ですが、坂内が仕組んだこと、と言うことは当たっていました。まぁ、誰でも解ることですけどね、あれだけのヒントがあれば。「犬」と言うキーワードも当たってました。
ただ、ハズレにハズレたのは安原の存在。あそこまで色々匂わせておいて、本当に白だったなんて思いもしませんでしたよ。
さて、事後整理はこの辺にしておいて、残った謎を。
1.坂内が自殺した理由は?
前回のコメント部分でluciaさんとのやり取りの部分を読んでいただければ解りますが、以前謎の部分です。
確かに坂内は松山から酷い仕打ちを受けていたようですが、それが自殺に直接結び付くとは思えないんですよ。
オカルト雑誌を破られた
一応、松山が坂内にした行為で唯一ビジュアル化されている部分です。ただ、雑誌を破られただけで自殺を考えるだろうか? 大切な雑誌だから?
確かに、人によって価値観は違うわけで坂内にとってあの本が命よりも大切なものなら自殺に繋がっても、解らないわけではない。ただ、彼は呪詛を使った。梵字と漢字を組み合わせ、よほどの人でなければ解らないような手の込んだものだ。彼はそれを広めていたのに、なぜ自殺したのだろう? 自分の使用とした呪殺の結果を見ないで、自殺しようと思うだろうか。
そんなわけで坂内が自殺した決定的理由が見えないんですよ、アニメだと。原作でも見えないまま終わったのかもしれませんが、呪詛を組み立て広めておいてその結果を見ないまま死ぬ理由が解らないです。よほど自信があったのか、それとも自らの霊魂をも呪詛(蟲毒)の中の歯車の1つに組み込もうとしたのか……。
一応考えられることとしては、呪詛を行ったが坂内が思っていたほど素早く呪詛は実行されず、坂内は呪詛が失敗したと思い込み自殺した、と言う可能性はあります。あとは、luciaさんのご意見でもあったように、現状を漠然と素直に受け入れすぎている生徒に対して何か複雑な感情を抱いていたとも考えられます。
余談ですが、組織に飼い慣らされる、と言うのは少なからずどの組織にあるものだと思います。郷に入りては郷に従え、と言うやつですね(ちょっと曲解( ̄∇ ̄;))。もし、キツイ縛りが嫌なら受験の時、受験の時にその高校を選ばなければ良いわけです。入ってみないと解らない部分が多いとは言え、こう言う部分はやはり自己責任(ナルに言わせればきっと「無知は言い訳にはならない」「自分のしたことは、自分で責任を取らないといけない」と言うこと)だと思いますので、高校受験あるいは大学受験、もしくは私のように就職活動の時はそういう部分も観ておくと良いと思います。
2.ヲリキリ様の流行ルート
1に関係しますが、結局ヲリキリ様を広めたのは坂内だったわけですが、1人の生徒の行動で、鼠算式のように全校生徒に広まるだろうか? 一応、坂内も1年生と美術部と言う2つのルートで攻めたようですが、たった2つでここまで流行りますかね? 加えて半年程度の時間で。
私は、この部分がどうしても引っかかったので協力者、あるいは坂内を利用している人間がいるとずっと思っていたわけですが……。
<MVC>
渋谷一也
最後の麻衣へ見せた微笑みは意外でした。まさか笑顔を見せることが出来るとは(マテ おまけに麻衣に対しても謝っていましたしね。過度な期待を持たせないため、事実を少なくとも麻衣だけには隠していたみたいですし、意外と気配りが出来る人です。まぁ、この年で所長をやるくらいですから、社会人と大差ないかそれ以上の気配りとマナーは身に着けているのでしょうけど。
<TB先 参照リンク(URLアルファベット順)>
・http://ameblo.jp/rayran/entry-10024535870.html
・http://blog.goo.ne.jp/sweet-lovely/e/7e079dde2424e1c0160d3871bf3a4383
・http://blog.livedoor.jp/koubow20053/archives/50720342.html
・http://hukahireke.seesaa.net/article/32501417.html
・http://takoyaki-tako-tako.de-blog.jp/takotako/2007/01/post_2101.html
はじめまして
いつも感想と深い考察を読ませてもらっています。
なかなか考えが及ばないようなところまで気づいて考察をされていて、すごいなあと感心させられっぱなしです。
私は原作既読者なのですが、当時坂内君の自殺の直接の原因についてたぶんほとんど気が回っていなかったので、私も考えてみました。ただの一意見ですが。
ちょっとうまくまとめることができなかったので、時系列的にいってみます。
坂内君が松山先生に怒鳴られているシーンがありましたが、あれはたぶん一度や二度のことではなかったのではないでしょうか。そして学校の風土から考えても、教師の彼に対する抑圧はおそらく彼が入学してから自殺するまで継続的に続けられていたと考えられます。
自分のの好きなものを、ひいては自分自身を半年もの間否定され続け、彼はとっくに人生に希望を失っていたのかもしれません。家族や学校の生徒との交友関係がどの程度だったかは分かりませんが、彼が半年という期間で自殺を選んだ以上、それを救える以上の関係ではなかったのでしょう。
そして自分を否定され続け、希望を失い、彼は自殺を選ぼうとする。しかしこのまま独りで死ぬのでは気に入らないし、納得いかない。道づれにしたい相手がいる。
そこで彼は松山を殺すことにする。方法は常々松山が否定し続けてきたもの、呪術による呪殺。
夏休みが明けたころ、彼は呪符を作り生徒にそれを新式のコックリさんだと言って広めようとする。それまで抑圧され続けてきた生徒たちにそれは拡がっていく。(禁止されるほどやりたくなる心理?)
坂内はオリキリさまの火種がついたころ、自殺する。
彼が結果を見ずに逝ったのは、もしかしたら松山が死ななくてもかまわないとどこかで思っていたからかもしれません。彼が本来どのような人間であったかについてはあまり描写されませんでしたが、ある程度の人間としての良心は残っていたのではないかな、と。
要は坂内君は衝動的に自殺したわけではなく、常々自殺願望を持っていて、それを行動に移しただけ、ということでしょうか。(あれ、上の文と少し変わっかな?)
想像だらけになりますし、かなり甘い考え方かもしれませんがこのように思いました。
突然に長々と失礼いたしました。
今後も感想&考察楽しみにしております~。