第27回 中国地域ニュービジネス大賞表彰式
日時:2019(令和元)年6月4日(火)14:30~
会場:岩国国際観光ホテル
中国地域ニュービジネス大賞
~経済産業局長賞、一般社団法人中国地域ニュービジネス協議会会長賞~
「プロバイオティクス発酵飲料の国内事業化と海外展開」
-野村乳業株式会社〔広島県府中町〕-
新事業の技術核心は、独自のプロバイオティクス発酵技術にある。ヒトの健康に大きく貢献できる特定の乳酸菌やビフィズス菌を飛躍的に増殖させる発酵技術(特許第4346559号)を見出し、その技術を活用した乳酸菌飲料の開発に成功。現在の商品を2013年10月に発売開始した。開発した植物乳酸菌飲料は、便通改善などの整腸作用が極めて高く、摂取による効果実感が高い。国内販売商品として自社ブランド名(マイ・フローラ700ml/100ml)、大手通販会社のPBブランド名(毎日千億700ml)として販売している。また、開発過程で見出した微生物増殖剤を原材料素材として海外(韓国、米国、中国)の乳業メーカーに輸出を行っている。海外事業はJETRO:日本貿易振興機構の新輸出大国コンソーシアムにて支援を受け、2017年1月より米国でも微生物増殖剤の販売を開始した。
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中国地域ニュービジネス優秀賞
~一般社団法人中国地域ニュービジネス協議会会長賞~ (50音順)
「地域資源のブランド化を目的とした「たたら事業」」
-株式会社 田部〔島根県雲南市〕-
たたら製鐵は、明治期に導入された近代製鉄によって終焉を迎えた技術であるが、日本古来の製鐵は日本刀の材料として重宝されるほか、たたら製鐵の隆盛により残された自然や人々の暮らしは、今なお歴史的価値が失われていない。本事業は、島根県奥出雲地域において、たたら製鐵によってもたらされた広大な山林や当時の生活がしのばれる町並みなどを最大限に活用し、たたら文化を広く伝え、地域全体をブランディングしていくものである。主な事業は、たたらの山および町を再生・活用する「環境プロダクション事業」、たたら製鐵で生産される和鉄によるモノづくり「銘品プロダクション事業」、地域食材をブラッシュアップする「食品プロダクション事業」、鐵の聖地の観光・文化資源を利活用する「観光プロダクション事業」の4つである。今後は、たたらを体験できるアクティビティなどインバウンド需要を視野に入れたサービスを提供していく。海外展開は、機能性だけでなく歴史的価値を有した「たたら製品」であることから、欧米を中心に高いニーズがある。
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「自社ブランドの確立により、地場産業から全国展開へ」
-有限会社 吉原木工所〔島根県浜田市〕-
住宅の洋風化により和室が少なくなり、組子という日本の伝統技術も消えかけていた。そこで、欄間のかわり に照明や衝立などインテリアとして現代の暮らしに合う組子を模索してきた。特にリビング障子はこれまでと は違った洋風のシーンにも馴染むよう伝統紋様を大型化し、現代風の障子としてデザインを考案。さらに、独 自の刃物を設計・開発することで一部を機械化し、コストダウンを実現している。従来は地元工務店に受注を 依存していたが、地元工務店だけに頼らず、新規顧客を開拓すべく、HPに写真と価格を掲載したところ、全国 の施主から注文が入るようになった。若年層にも受け入れられ、30~40代の家づくりに幅広く取り入れられ ている。設計士や空間デザイナーからも声がかかるようになり、彼らが求める特殊案件にも対応できるよう になった。また、デパートの展示会にも出展し、一般消費者の需要掘り起こしにも力を入れている。デザイン を含めたものづくりの提案ができるようになり、下請型から提案型のビジネス展開ができるようになった。工 場は棚田百選で知られる室谷地区に位置し、組子職人を志す若い男性・女性スタッフが年々増えている。
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「ワクスマで日本を元気に」
-株式会社 WORK SMILE LABO〔岡山県岡山市〕-
もともとOA機器、オフィス家具、事務用品を販売していたが、価格競争から脱却するために、事業領域 を事務機販売からワークスタイル創造提案業に変えた。理念を「働くに笑顔を!」へと作り直し、自社でよ り笑顔になれる働き方のモデルを創るために、自社の働き方の課題を抽出し、それを解決するために ICTツールの活用やルールや制度をつくり様々な取組みを実践。その結果、良い事例ができれば導入 ノウハウも含めてお客様に提案する。さらに提案の仕方も訪問販売型ではなく、実際に働いている現 場を見て体感して頂くため、自社オフィスを「ワクスマ」と名付け、来社体験型の提案手法に変えた。そ れによりお客様はワクスマの働き方に共感して頂ける自社独自のビジネスモデルを実現している。
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中国地域ニュービジネス特別賞
~一般社団法人中国地域ニュービジネス協議会会長賞~ (50音順)
「工作機械部品の単品・超短納期サービス~魅せる工場~」
-株式会社 内海機械 〔広島県府中市〕-
中小製造業は、取引先からの短納期・コスト低減要請がある。近年は好景気の影響、少子高齢化を背景に 人材採用難であり、少人数での生産向上、稼働率向上が求められている。そこで、新事業として、工作機 械部品に特化した「単品・超短納期サービス(受注後即日~3日以内の納入)」の提供に取り組んでいる。 社内の改善を最大化することで、他社との差別化を図っている。具体的には、独自の人材採用・育成シス テムで少数精鋭による多能工化を実現、5S活動、3定、16大ロス改善をPDCA化し、ムダ・ムラ・ムリの徹 底排除、高精度な新設備導入により、従業員の技術力・モチベーションの維持・向上、である。得意先から は、寸法違いによる特急品、発注忘れ等の理由で「単品・超短納期」要請が多数あり、ニッチな分野を極め たことで、高付加価値な新事業を実現した。
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「倉敷発ユニバーサルファッションブランドAUN」
-株式会社 エナジーフロント〔岡山県岡山市〕-
AUN (Action for Universal design)は岡山・中国地方の繊維工業に根付く技術と製造能力を活用し、福祉 用具の機能を融合したファッションアイテムを展開する事業である。ユニバーサルデザインは本事業におい て「介護される人、介護する人を格好で区別しないデザイン」と定義している。主力商品はおしゃれなクッショ ン「リフティ・ピーヴォ」で、バックに入れて運べる30cm×40cm×4cmのサイズながら、体重50kgの人でも 100kgの人を軽々と移乗できる高性能リフトでもある。帆布製またはデニム製が選択でき、在宅介護や施 設介護で住空間を明るくするデザインに拘っている。他に骨折予防が可能なジーンズ(日本転倒予防学会 推奨品)など、いずれも繊維産業の技とサイエンスが融合している。本事業の特徴はファッションに機能を埋 め込むことにあり、結果的に誰もが使いたくなる商品になっている。いわばローテクにハイテクが埋め込ま れているが、ここではハイテク機能として水や熱を苦手とする電気・機械系ではなく、現場ニーズに合った物 理・化学・医学的な技術を採用し、ロボット化に向かう介護技術と異なる方向性の提案となっている。
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「関節可動域測定装置 鑑(AKIRA)のプラットフォーム戦略」
―株式会社 システムフレンド〔広島県広島市〕―
受託システム開発で培った技術を活用し、2013年5月に鑑(AKIRA)の開発を開始し、2015年5月に「ク ラスⅠ医療機器」としての登録を完了している。その後、大学の研究室やリハビリテーション科を有する医 療機関、老人介護施設を運営する民間業者など、2018年12月時点で30数か所への導入が完了してい る。最近は、リハビリテーション関連の学会や東京ビックサイト等で開催される医療機器の展示会などで、 ブースを訪問する関係者より高い評価を得ており、新たな業界からの引き合いや病院や大学との共同研 究が持ち掛けられている。そして、鑑(AKIRA)をプラットフォームとして、その上に新たな分野との取り組 みによる新コースが開発されたことで、大学や病院以外の販売先ルートの開拓も可能となっている。
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「氷や雪に強い超防滑スタッドレス・アタッチメント」
―日進ゴム 株式会社〔岡山県岡山市〕―
「転倒事故を無くしたい」というスローガンで立ち上げた世界最高峰のグリップ力を誇るゴム素材、 シューズシリーズ「HyperV」であるが、第一段の対油・水、第二段の対粉体タイプは食品工場や外食産 業、金属加工業に幅広く認知され累計800万足の販売を突破した。一方で上記製品が認知されるにつ れ、積雪地方の一般消費者から「雪や凍結した路面でも滑らない靴が欲しい」という要望が多く寄せら れるようになり、開発に踏み切り8年の研究開発の末、最適なゴム素材と形状が完成した。これをより多 くの一般消費者に使ってもらいたいという考えで靴製品だけでなく、どのような靴にも装着できるア タッチメント式(カンジキ式)として製品化し、新しい市場を開拓するとともに既存の製造業従事者だけ でなく一般消費者に弊社技術を普及させる突破口とする製品開発を行った。
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「ファイバーシート天井システムの開発」
-有限会社 ファインアートかわばた〔岡山県津山市〕-
東日本大震災では天井の落下が相次ぎ、また平時でも頻発している天井崩落の対策が重要視されて いることなどから、膜天井システムを開発した。このシステムの特徴は、地域内企業と共同開発した特 殊なテンション金具を4壁面に取付け、部屋の大きさ通りに予め作られた強化ファイバーシートをその 金具に引っ掛け、張力を加えてパネルの様な太鼓張り天井を施工する仕組みである。照明や空調機器 などの取り付けやメンテナンスに必要な開口も柔軟に対応できる。施工は壁面のみなので、足場を最 小限にすることが可能であることなどから、コスト削減が可能となる。また、隙間のない膜天井なので、 建物の空調効率も改善され省エネ効果も期待できる。2018年2月、国土交通省の新技術情報提供シ ステム「NETIS」にも登録された、究極の安全天井システムである。
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