安藤勝己 さん
◎⑨チェルヴィニア
近年JCの傾向どおり一線級は牡馬と互角以上に戦えるし、牝馬2冠と自身かなりの力があるチェルヴィニアが本命。大外枠のテン乗り、状態面が伴わずに惨敗した桜花賞を除けば崩れとらんし、ここにきて操縦性が良くなってきとるのも心強い。
そして何より3歳牝馬やで、斤量の54キロが大きいわ。4歳以上の牡馬は58キロで、4キロのアドバンテージがあるんやからね。ルメールもエリザベス女王杯、マイルCSと2週連続で不完全燃焼に終わっとるだけに、今回はかなり気合が入っとるはずやで。
ドウデュースも引き続き有力や。ただ、体形的に本質2000m前後がベストと見とるで、2400mならチェルヴィニアのほうが乗りやすそう。あと、実績からもポンポンと連勝するタイプやないで、天皇賞(秋)で綺麗すぎるくらいに勝っとるのがなあ……。理論的とは言えんけど、前走で推して走った後とあって何か引っかかる状況ではある。
単穴ジャスティンパレスは天皇賞(春)の勝ち馬やけど、いわゆるステイヤーやなく、2400mくらいのほうが向くタイプ。一時スランプ気味やったけど、前走の天皇賞(秋)は0秒3差の4着とまずまずの内容。出遅れて展開が向かんとこもあったし、状態は上向いとると思うわ。昨年の天皇賞(秋)で2着に来とるように、復調とあれば高速馬場も苦にせん。
セン馬のため凱旋門賞の出走資格がなく、大目標を早くからJCに据えていたゴリアットが惑星。海外実績は知るところやし、先行が少ない中の最内枠で、スミヨンが自分でペースを握ってスタミナを活かす流れに持ち込みそうなんやて。JCはエピファネイアで制したことがあって5年振り7回目の騎乗。その手綱捌きにも注目しとる。
オーギュストロダンはディープインパクト産駒やから日本の速い馬場に対応してもおかしくないし、A.オブライエン師が初来日してレース後に日本でわざわざ引退式を行うってモチベーションがやっぱり気になる。
あとは、初の海外遠征やった前走(ドバイSC)を除けば崩れ知らずのスターズオンアース、凱旋門賞帰りのシンエンペラーも矢作厩舎が出走させるからには蹴れない。
単勝二頭流・石橋武
外国馬は? 穴馬の台頭は? 石橋武がジャパンCを解説。
皆さん、こんにちは。
Sportsmaster編集部・本田です。
今週は豪華メンバーが勢揃いのジャパンC!
海外からもディープインパクト最後の世代で英ダービー、愛ダービー、BCターフ、プリンスオブウェールズSなど、G1レースを6勝しているオーギュストロダン。
キングジョージ6世&クイーンエリザベスSでオーギュストロダンを下したゴリアット。
独ダービー、バーデン大賞を勝っているドイツ馬ファンタスティックムーンと、久々に海外の大物も参戦してきます。
また、迎え撃つ日本勢も今年のオークス、秋華賞を強い競馬で制したチェルヴィニア、前走天皇賞(秋)で鮮やかな差し切り勝ちを決めたダービー馬ドウデュースを筆頭にG1馬が7頭集結。さらにG1勝ちこそないものの、日本ダービー、愛チャンピオンSで3着に好走したシンエンペラーら、伏兵陣も多彩で、なんとも楽しみな、豪華メンバーによる一戦となります。
それだけに馬券的にはかなり難解なレースにはなりますが、そこはほら、この方にお話を聞いておけば大丈夫でしょう。
ということで、会員の皆様ご存知の通り、海外レースにもめっぽう強い石橋武さんをお迎えしております。
石橋さん、よろしくお願いします!
石橋 武(以下、石) よろしくお願いします。
Sportsmaster本田(以下、編) ジャパンCはかなり豪華な顔合わせとなりましたね。
石 豪華ですよね〜。海外からもトップクラスの馬が参戦してくるので、盛り上がってほしいですね。
編 ただ、そうなると馬券のほうが難しくなるわけで(笑)、今日は海外レースも得意な石橋さんにお越しいただいたわけですが。
石 と言いつつ、先週のマイルCSはその外国馬の◎チャリンを本命に推して外していますからね(苦笑)。あれはかなりショックでした。
編 ではその敗因を含めて、『気まぐれ重賞回顧』をここでお願いしてもいいですか?
石 わかりました。マイルCSは12.2 – 10.6 – 11.0 – 11.9 – 11.8 – 11.6 – 11.4 – 11.5というラップの推移ですから、今の荒れた馬場を加味してもスローペースでした。そういう意味では力差が出づらい流れだったと思います。
編 底力が問われないという?
石 それもありますし、馬場や枠順、そしてそれによるコース取りの差がレースに及ぼす影響が大きくなってしまうので、結局、外枠から馬場のいいところを走れた馬が上位に走っていますよね。
編 たしかに。
石 そのなかでソウルラッシュは状態の良さと、京都巧者をフルに発揮するレースができたと思いますし、そこは団野騎手のエスコートも素晴らしかったと思います。ただ、2着に2馬身半ですか。そこまで差をつけるほど能力的に抜けている馬ではないのも事実で、結論から言うとほかの有力馬たちが能力を発揮できなかったということでもあるんですが。
編 ではレースレベルとしてはそこまで評価はできない。
石 私はそう思います。ソウルラッシュも去年のマイルCSからパフォーマンスを上げているわけでもないので、この馬は普通に走って、ほかが走れなかった、あるいはほかが弱かったということだと思います。誤解のないように言っておきますけど、もちろんソウルラッシュの勝利を軽んじているということではなく、単にレース分析としてはそうなるということですので、そこはご理解ください。
編 もちろんです。レース回顧ですから。そして2着にエルトンバローズ、3着にウインマーベルという結果でした。
石 去年のマイルCSでエルトンバローズは4着でしたよね。今回も去年と同じ程度走って2着ですから、昨年2着のソウルラッシュが勝ったのと同じように、単純に繰り上がった結果だと思っています。ウインマーベルは馬場のいいところを選べたのもありますけど、今は年齢的にもこれぐらいの距離の方が走りやすいんでしょうね。それにしても最後の粘りはこの馬らしい、いい粘りでした。
編 そして1番人気のブレイディヴェーグが4着。石橋さんはこの馬を無印にしていましたが。
石 そうですね。見解にも「人気のブレイディヴェーグは万全の状態なら日本馬には楽勝するだけの能力はあるが、今回は約1年ぶりを使われたあとの中4週競馬。これまでもレースのあとは反動が出て間隔をあけて使わざるを得なかった馬の、このローテはさすがに嫌いたい。スタートが遅い馬の距離短縮、それでいて乗りにくい内枠、前走の東京ほど上がりが出せない馬場も懸念材料で、能力の高さは認めつつも今回は無印とさせていただいた。これで来られたら能力に脱帽するしかない。」と書いたんですけど、けっこう脱帽レベルでした(笑)。
編 あそこまで走れると思わなかったですか?
石 はい、スタートがもっと遅いと思っていたので、そうなると差して届かず、5着、6着あたりかなと。それがスタートで出て、ペースに戸惑っている感はありましたけど、ついていけましたからね。直線も伸びる部分はありましたし。ただ、いつもより急がせたぶんなのか、多少なりとも反動があったのかはわかりませんが、最後は脚が上がっていたので、4着まででしたけど。万全の体調、臨戦過程なら、このレベルなら楽勝だったんじゃないでしょうか。
編 そして5着に石橋さんの本命◎チャリン。これについてはどうお考えですか?
石 スタートがすべてでしょうね。この馬としては普通に出ているとジョッキーもお話しされていましたが、ヨーロッパ基準の普通は日本では遅いので。もちろんそれは承知で本命に推したんですけど。このスタートの部分でうまくスピードに乗っていけなかったぶん、ポジションが取れませんでした。結果、3〜4コーナーもずっと外々を回ってくるというかなりロスの大きい競馬になってしまったと思います。
編 それでいてこの差ですから、やはり能力は高いんですね。
石 もちろんです。あれだけ他の馬よりも距離を走らされて、しかもかなり早く仕掛けられて、それでも最後は上がり2位ですから。普通に走れば能力的にはこのメンバーには負けないんですけど、まあこれも競馬ですから。予想としても期待にお応えすることができず、申し訳なく思っています。
先ほど「結局、外枠から馬場のいいところを走れた馬が上位に走った」というようなことを言いましたけど、これはレース前に十分予見できるレベルの話なので、そこに重点を置かずに、能力と適性、状態面に予想の重心がかかってしまった結果の不的中だと思います。
レースレベルや馬場によってどこを重視するかというのは臨機応変に考える必要があると思っていますが、今後もバランスを考えたうえで結論を出せればと。
マイルCS以外も、先週は人気薄が走りつつもタテ目が多かったり、切った人気馬に走られてしまったりと、あまりいいところがなかったので、今週は巻き返せるように見直していきます。
編 そう、人気薄も走っているんですよね〜。朝武でも日曜日には京都1Rの◎ダイヤノゴトク(6人気2着)、京都6Rの◎プウスカンドゥール(9人気3着)とかありましたし。
石 その2鞍はちょっとだけ噛み合わなかったですね。そのほかのレースも噛み合わなかった原因は把握しているので、修正に努めます。
編 そしてその前日には出世レースの東スポ杯2歳Sが行われました。こちらについてもひとことお願いします。
石 これは勝ったクロワデュノールが強かったですね。パドックを見ていたんですけど、まだかなり緩さが残った状態、言い換えれば良くなる余地が非常に多い状態だったと思うんですけど、それでいて叩き合いで抜かせなかったですからね。
編 先々、評価できると。
石 もちろんです。瞬発力勝負になるとどうかなとは思いますけど、そういう競馬に持ち込ませない強さも備えていると思います。お父さんのキタサンブラックに似たタイプでしょうね。かなり強いと思います。
編 そのほかで期待できる馬はいました?
石 上位馬はすべていいと思いますよ。なかでも先々という意味では4着のファイアクランツがいいなと思いました。
編 ありがとうございます。では続いてジャパンCについてお聞きしていきます。今年は海外からも一流馬が参戦してきますが、ジャパンCは長らく外国馬の不振が続いていますよね。今年のメンバーなら勝負になる可能性はありますか?
石 いきなり難しい質問ですが(笑)、やっぱり厳しいとは思います。例年と違ってまったくノーチャンスとは断言できないんですけど、マイル路線とは違ってこのカテゴリーは日本が世界でもトップレベルですし、ましてや日本の速い馬場で、東京ですから。もうちょっとトリッキーというか、日本のトップクラスの馬の能力が削がれるようなコースならまた違うんですけど。
編 石橋さんも血統にはお詳しいので、あえてお聞きしますが、ディープインパクト産駒のオーギュストロダンも厳しいですか?
石 そうですね〜、厳しいとは思いますね。
編 それは母父がガリレオだから?
石 いえ、この馬が日本で育成、調教されていれば(日本でも)強い馬になっていた可能性はあると思いますけど、馬場に対応できるようになっていたはずなので。良馬場向きの馬ではあるんですけど、いきなり1分23秒台の決着に対応できるかどうかがポイントなので。まあでも能力は高いからな〜。馬体も大きくなくてディープが出ているように見えるので、常識的には厳しいですけど、まったく無碍にはできない感じですね。白井での芝の走りも見たいですし、もうちょっと悩ませてください(笑)。
編 はい、結論は急ぎません(笑)。日本馬のなかではドウデュースが人気ですよね。この馬については?
石 前走でかなり速い上がりを使ったので反動が心配だったんですけど、中間もものすごい時計が出ているので調子はいいんでしょう。そういう意味ではなんらマイナスにするような要素はないと思います。あとは天皇賞(秋)で負かした組がどこまで上昇してくるか、あとは初対戦となるドゥレッツァ、チェルヴィニアたちとの力関係だと思います。……あれ、普通の答えになってしまいました(笑)。
編 ホント、石橋さんにしては普通すぎる答えでした(笑)。ぶっちゃけ、そのあたりについて、現時点ではどう思っています?
石 前走のドウデュースは誰がどう見ても抜けた強さを見せたレースでした。それが順調にきていると過程して、今の、水曜日の夜時点でこの馬に勝つチャンスがあるとすればチェルヴィニア、ジャスティンパレス、スターズオンアースかなと。でもこれ2〜4番人気でしょうか。これはこれで常識的な答えになってしまって……(笑)。
編 いえいえ、無理を言ってすみません(笑)。では注目の穴馬を挙げていただくとどの馬でしょう?
石 もはやこのレベルに穴馬なんていないんですけど、ドゥレッツァ、ソールオリエンスはそこまで人気しない馬では面白いと思っています。
編 どちらも石橋さんが一貫して低評価だった4歳世代ですよね。
石 そうですね(笑)。ただ心変わりしたわけではなくて、ドゥレッツァはこの世代のなかで唯一高く評価してきたのは、菊花賞前から言っていたと思うんですけど、今回、先行して良さが出るのはドゥレッツァだけだと思うんです。気性的に前向きすぎるところがあるので、収めるのが難しい馬ですけど、今回は先行勢は少ないので揉まれるようなことにはならないと思いますし、菊花賞のようにピタッと折り合える可能性のあるメンバー構成ですよね。ビュイック騎手の当たりがルメール騎手よりも堅いところがあるのは知っていますけど、反対に追い出してから伸ばすのはビュイック騎手のほうが上だと思っているので、折り合って先行抜け出しから、もしかしたら逃げるかもしれませんが、追って面白いところはあると思います。
編 すでにすごい考えていますね。すげ〜。ソールオリエンスのほうは?
石 こちらは真逆ですね。この馬の強みは大味な競馬での追い込みですけど、ハイレベルのメンバーで、道中が締まった流れになると思っています。みんなが早仕掛けとは言いませんけど、それでも早め早めのラストは消耗戦になる可能性はあるので、その時に道中死んだふりからズドン!というのはあると思います。ただ、最近の横山武騎手はちょっと早めに動くので、そこだけ我慢してもらえればと。この願いは本人には届かないでしょうが(笑)。
編 横山武史騎手、聞いてますか〜(笑)。いずれにしても展開面から一発を狙える2頭ということですね。ありがとうございます。
石 冒頭の外国馬も含めて、ここで挙げた馬に印を打つ、打たないはまだ最終的に決定していないので、たとえばドゥレッツァが無印になってもご了承ください。それこそドウデュースだってまだわからないので。
編 そこはもちろん、会員の皆様はわかっていると思いますよ。追い切りもまだですからね。でも外国馬について、そしてその他の力関係について伺えたので、参考にしていただけると思いますし、石橋さんの最終結論も見られるわけですからね。
石 がんばります。
編 ちなみに今日は適性についてのお話がなかったように思いますが。
石 だって外国馬以外の有力馬は適性ありますから(笑)。でも見解ではその点にも触れていきたいと思います。ぜひ参考にしていただければと思います。
亀谷敬正さん
【ジャパンC予想】トニービンの血が強いジャパンC
昨年もトニービン持ちは1-6着を独占
ジャパンCは20年以上前からトニービンの血を持つ馬が強いレース。しかし、日本では父系にトニービンを持つ後継種牡馬が途絶える危機に瀕しています。
そして皮肉にも、ジャパンCで最も相性のいい血を持つ種牡馬が減っていることで、トニービンの血を持つ馬の希少価値、優位性はジャパンCでさらに上がる現象を生み出しています。
昨年のジャパンCも、1着~6着まではすべてトニービンの血を持つ馬。
ジャパンCは日本の主流能力が問われる最高峰レースのため、基本的には堅いレースで、6番人気以下で5着以内に好走したJRA所属馬は過去10年で7頭しかいません。そこで6人気以下の人気薄で掲示板に乗る程度にまで恵まれた馬を調べてみても「トニービンを持つ馬」ばかり。
2015年17番人気4着のジャングルクルーズ、2016年6番人気3着のシュヴァルグラン、2018年8番人気5着のミッキースワロー、2021年10番人気4着のサンレイポケットは、すべてトニービンの血を持つ馬でした。
今年の出走予定馬でトニービンを持つ馬はドウデュース、ダノンベルーガ、ドゥレッツァ、スターズオンアース。
トニービンの血を持つ馬のなかでも、特にマッチするのがドゥラメンテ産駒。昨年も産駒が2着、3着、5着。6着までの中で唯一人気を上回る好走だったのもドゥラメンテ産駒で3着のスターズオンアースのみ。
そのドゥラメンテ産駒で注目したいのはドゥレッツァ。先に書いたように、昨年の2、3着馬リバティアイランド、スターズオンアースの父であり、トニービンの血を持つ馬。
母母父デインヒル。母母母父はカーリアン。いずれも欧州のスーパーサイアー。ここ数年の東京芝は、欧州要素を強化された馬の方が走りやすくなっています。またドゥラメンテ産駒の芝GI馬はアメリカ血統よりも欧州指向の強い繁殖との相性が良く、母方に欧州の名種牡馬を重ねられた馬が多いです。
加えて、欧州要素の強い血統馬は、キャリアと鍛錬を重ねた古馬になってからの方がさらに持ち味を発揮できます。
4歳になり、欧州でのキャリアも重ねて、適性も高い舞台にも出走する今回は、出走タイミング、出走舞台ともに絶好。自己最高パフォーマンスの更新を期待できる状況です。
田原基成さん
チェルヴィニアに潜む「0.0.0.29」の罠 想定8人気以下の穴馬には「3.0.1.0」 ジャパンカップ2024全14頭診断
・1枠1番 ゴリアット
道悪での複数回勝利、サドラーズウェルズ系に行き着く父系……いかにも欧州馬といったバックボーンの持ち主だ。タフな馬場適性が強調されている印象から日本の高速馬場適性には疑問が残るし、道中は中団から後方で脚を溜めるタイプ。1枠1番のアドバンテージもさほど得られないだろう。
・2枠2番 ブローザホーン
グランプリホースの称号を引っ提げて臨んだ前走京都大賞典。スタートから進んでいく気配がなく、勝ち馬から大きく離された最下位に敗れた。あの内容を見せられてしまっては積極的に狙えない。有馬記念に向けた復調度合いを測る一戦と捉えたいところだ。
・3枠3番 ドウデュース
前走天皇賞・秋は鮮やかな大外一気。キャリアを重ねて小回り適性が強調されてきたと思っていただけに、脱帽するしかないパフォーマンスだった。直線以外はほとんど流して走っていたようなもので、連戦のダメージも少ないはず。3枠3番は前が詰まるリスクも考えなければならないが、スムーズに大外に持ち出すことができれば大崩れは考えにくい。
・3枠4番 ジャスティンパレス
こちらも前走天皇賞・秋から参戦。当時はややスムーズさを欠いたものの、上がり3F2位の脚で4着なら及第点を与えられる。前走4着内の杉山晴紀厩舎×C.デムーロ騎乗馬は【3-2-2-0】。本質的にはステイヤーだと思うが、何らかの印は必要か。
・4枠5番 シュトルーヴェ
今年のメンバーで実績ははるかに見劣りするが、この馬で強調したいのは瞬発力。今年挙げた3勝中2勝が上がり3F33秒2以内で、いずれも東京芝で記録したものだった。過去10年のジャパンCにおいて、年内に上がり3F33秒以内の勝利実績がある馬は10年連続馬券内。ドウデュースと本馬だけが満たす条件でもあり、東京芝2400m成績【2-1-0-0】も含めヒモ穴候補として一考。
・4枠6番 ダノンベルーガ
昨年以降の芝2000m超の成績は【0-0-0-4】。個人的にはマイルCSに出走してほしかったが……。ここも苦戦が予想される。
・5枠7番 シンエンペラー
これまで本レースで馬券内に入った3歳牡馬は年内にGI連対歴あり。それを満たしていないことに加えて、当舞台の日本ダービーでは同世代の馬に0秒6差をつけられており、古馬相手での強調材料は乏しい。
・5枠8番 オーギュストロダン
欧州で活躍するディープインパクト産駒として早くから注目を集めていた馬。日本での引退式も含め異色の1頭と言えるが、一定レベルの先行力に加えて、2分24秒3で制した昨年のBCターフを見るより日本の高速馬場適性ゼロと判断するのは早計だ。密集地帯を抜けてくる勝負根性があるだけに、その競馬に秀でたR.ムーア騎乗かつ逃げ馬不在でスローの馬群一団想定は歓迎。自身より内に速い馬がいないここはラチ沿いを取り切れるシチュエーションで、うかつに消したくはない。
・6枠9番 チェルヴィニア
オークス→秋華賞と連勝し臨む古馬混合GI。ジェンティルドンナ、アーモンドアイ、リバティアイランドの好走で麻痺している感があるが、その一方でミッキークイーン、ハープスター、ウオッカは3歳時に馬券外と、3歳牝馬にとって歴戦の古馬と互角に戦うのは決して簡単なことではない。過去10年のジャパンCにおいて、父ノーザンダンサー系の成績は【0-0-0-29】。奇数番の真ん中やや外めの馬番はレースがしやすいとは言い難く、思い切って“消し”の選択肢も浮上する。
・6枠10番 ドゥレッツァ
ソールオリエンス、タスティエーラとGIでの逆襲が目立つ現4歳世代。本馬もこのメンバーでは人気薄予想だが、関東圏の成績【3-0-1-0】と輸送時間の短い舞台では大崩れがない。2戦2勝の東京芝替わりは歓迎で、上がり3F32秒7の勝利実績あり。「3頭目の逆襲」があっても不思議ではない。
・7枠11番 カラテ
8歳を迎えてさすがにピークアウト気味の近走。厳しい。
・7枠12番 ソールオリエンス
中団からスムーズに運べた前走天皇賞・秋。それでも勝ち馬ドウデュース、4着ジャスティンパレスの切れ味には及ばず掲示板外に敗れた。消耗戦ならチャンスはありそうだが、今回は超スローの上がり勝負が濃厚。変わり身は望み薄か。
・8枠13番 ファンタスティックムーン
地元ドイツ以外のGI成績は【0-0-0-3】掲示板内ゼロ。持ち時計も乏しく、買い材料を見出すには至らない。
・8枠14番 スターズオンアース
大阪杯、有馬記念2着が示すように牡馬と互角の戦いを繰り広げてきた馬。それでも昨年からひとつ年齢を重ねたことは事実で、過去の本レースで馬券内に入った5歳牝馬はすべて牡馬混合GI勝ち馬だった。もっとも食指が動くのは、昨年大外枠にもかかわらず連対圏に突入した次走想定の有馬記念か。
軸馬不在の難解レースに「3.1.1.1」該当馬が浮上 ドロップオブライトには黄色信号灯る 京阪杯2024全18頭診断
・アグリ
全5勝中4勝が直線急坂コース。阪神カップに出走するかと思われたが、陣営はこちらを選択した。1400m巧者の戦績に加えて、近2走はいずれもフタ桁着順。今回の条件で積極的には狙えない。
・ウインカーネリアン
3歳時はダービーにも出走した馬だが、7歳でスプリント戦線へ。高松宮記念は見せ場たっぷりの4着、マイル戦の安田記念惨敗を見るより今は芝1400m以下がもっとも合っている印象だ。上位3頭が4角10番手以下だったスワンSは逃げる競馬で勝ち馬と0秒3差。小回りコースがどうかも、ノーマークにはできない。
・ヴェントヴォーチェ
長期休養明けで臨んだ前走スプリンターズS。結果は最下位と見せ場なく敗れており、復調にはもう少し時間がかかりそうだ。
・エイシンスポッター
昨年の本レース3着馬。当時は道中後方待機から馬群を縫うような脚で上位入線をはたした。直線平坦の良馬場芝は【3-1-1-1】と安定。差し追込馬のなかでは最上位級の評価を下したい。
・カンチェンジュンガ
オープン昇級後は常に勝ち馬と0秒4差以内。展開ひとつで馬券内の可能性を秘めた馬で、前走オーロCは大きく出負けしながら僅差の勝負に持ち込んだ。届いても3着のゾーンだとは思うが、穴妙味ある1頭として注目。
・グランテスト
年明け以降は好走→凡走→好走→凡走を繰り返す馬。馬券外の3戦中2戦が稍重と、極端に時計のかかる馬場は合わないのだろう。直線平坦の良馬場芝は【2-1-0-1】掲示板外なし。馬場は荒れているものの時計・上がりの速い京都芝は適鞍と言えそうだ。
・グレイトゲイナー
重賞では【0-0-0-6】と完全に頭打ち。厳しい。
・サブライムアンセム
オープン特別やリステッド競走でも馬券外が続く現状。変わり身は望み薄か。
・チェイスザドリーム
昨年、一昨年と12月に連対圏を確保。11月下旬に差しかかり、一気に寒さを増した気候はこの馬にマッチしそうだ。父ロードカナロア、母父アドマイヤムーンの産駒はいずれも秋-冬の京都芝1200m重賞勝ち馬を輩出。侮れない。
・テイエムスパーダ
重賞で馬券内を確保した3戦はいずれも7-9月かつオール野芝。開催最終週の京都芝がマッチするとは思えない。
・ドロップオブライト
初重賞制覇を成し遂げた前走CBC賞。1枠1番からロスのない完璧な立ち回りで、もう一度同じ競馬を、と言われても再現できないであろう会心のレースだった。裏を返すと、当時のパフォーマンスは最高の立ち回りと枠順、そして馬場コンディションが重なって生まれたもの。今回はあっても3着まで、というスタンスで捉えたい。
・ビッグシーザー
4着まで0秒1差の接戦を制した前走オパールS。辛勝ゆえ評価爆上げとはいかないと思われるが、トップハンデの58キロを背負い、2キロ以上の斤量差がある上位馬を負かした価値は計り知れない。洋芝と道悪を除いた今年の成績は【2-0-0-0】。安定した先行力もこのレース向きだ。
・プルパレイ
馬券内に入った8戦中6戦が馬番6番以内と、引いた枠で成績が変わる馬。今回も外枠なら消し、内枠なら何らかの印を回すのがベターか。
・マメコ
昨年秋以降に挙げた3勝はすべて斤量53キロ以下。その条件に替わった際に見直したい。
・モズメイメイ
葵Sでみせたロケットスタートの印象が強いが、今年の好走は中団から差す競馬がほとんど。個人的には内枠かつ周りに速い馬がいない際の先行策でこそだと思っており、枠の並び次第で評価を変えたいところだ。
・ラプタス
3度使われた芝レースはいずれも馬券外。ダートでの好走も交流重賞に集中しており、強調材料は乏しい。
・レッドヒルシューズ
叩き2戦目の成績【0-0-0-3】が示すように、一度使われたあと間隔を詰めると脆さを覗かせる馬。2走前のCBC賞は今回出走する複数の馬に先着されており、連続好走へのハードルは高い。
・レッドベルオーブ
3歳以降の重賞成績は【0-0-0-6】。ここも厳しい戦いが予想される。
2億円ホース・エリキングと「1.2.0.0」該当馬のマッチレースか 京都2歳ステークス2024全8頭診断
・ウォータークラーク
前々で運んだアドバンテージを最大限に活かした前走。機動力とレースセンスに優れたタイプと言えるが、他馬との比較で詰まったローテーションは気になってしまう。当時から開催が進み、差し有利馬場へと変貌を遂げている点もマイナス材料だ。
・エリキング
スタートで後手を踏み、1コーナーまでに頭を上げるシーンもあった前走野路菊S。それでも直線で力強く抜け出すと、追いすがる2着馬に交わされる気配なく勝ち切ってみせた。良馬場でもタフな京都芝を考えたとき、重馬場の京都芝勝利実績は大きなアドバンテージ。瞬発力とパワーを示した過去走から、ここも好勝負は必至か。
・クラウディアイ
道中は馬群のなかで脚を溜め、直線では鮮やかなイン突き。際立つレースセンスを示した前走は好内容と言えるものだった。上のクラスでもチャンスはあると思うが、いまの京都芝は機動力や器用さより大外からズドンと突き抜ける脚が求められる。能力を認めつつ、中心視は避けた方が賢明か。
・サラコスティ
スピードの違いで逃げた前走は他馬を寄せ付けない圧巻のパフォーマンス。次位に1秒2差をつける上がり3Fも含め、底知れぬ可能性を感じさせるものだった。過去10年の京都2歳Sにおいて、外国人騎手騎乗のサンデーレーシング所属馬は【1-2-0-0】連対率100%。ここも主役候補の1頭だ。
・ジョバンニ
デビュー戦、前走と2戦続けて上がり3F最速をマークし連対。全頭をぶっこ抜くタイプの破壊力とはまた違うものの、終いが確実な点は評価に値する。小倉での立ち回りを見るより、京都芝内回り2000mは合いそう。軽くは扱えない。
・スリーキングス
2着馬とのマッチレースを制した前走。一度は交わされたところから差し返した勝負根性は立派だが、勝ち時計・上がり3Fは平凡な域を出ない。ここは様子見が妥当か。
・テイクイットオール
前走で負かした馬の次走成績は【0-0-0-10】。低調なメンバー相手に勝った感は否めず、重賞即通用へのハードルは高い。
・ローレルオーブ
重賞の近2走はいずれも掲示板外。厳しい。
教えてマサカツ先生!
【ジャパンカップ】好走馬の80%以上がコレ!元調教師が教える「馬券になるパターン」の該当馬
今週はジャパンカップ(G1、東京芝2400m)が行われます。今年は外国馬3頭を含む10頭のG1馬が出走予定と豪華メンバーが集いました。
その中でもドウデュース、チェルヴィニアという、世代や性別を超えた対決の行方には注目でしょう。前者はダービー馬、後者はオークス馬であり、どちらも東京芝2400mのG1を勝っていますね。
近年のジャパンCでは東京芝2400mで行われる日本ダービー、オークス好走馬の活躍が目立っていて、昨年は1~3着を独占。また勝ち馬に限らず2着や3着に入った馬が得意舞台に替わり、復活を遂げるケースも珍しくありません。
●2023年
1着 イクイノックス(1人気)
→22年ダービー2着
2着 リバティアイランド(2人気)
→23年オークス1着
3着 スターズオンアース(5人気)
→22年オークス1着
●2022年
2着 シャフリヤール(1人気)
→21年ダービー1着
3着 ヴェルトライゼンデ(4人気)
→20年ダービー3着
●2021年
1着 コントレイル(1人気)
→20年ダービー1着、ジャパンC2着
3着 シャフリヤール(2人気)
→21年ダービー1着
直近3年の1~3着馬を振り返っても9頭中7頭に、ダービーかオークスで好走経験がありました。該当しなかった21年2着オーソリティも東京芝2400mの青葉賞勝ち馬で、22年1着ヴェラアズールも東京芝2400mで3勝クラスを勝っています。
出走するレースやローテーションを決める馬主や調教師の立場だと、同じ舞台での好走歴は重要な根拠となります。特にノーザンファームなどの大手牧場の関連馬は12月の香港や有馬記念などと天秤にかけて、より適性が近い馬を使ってくる傾向があるため尚更です。
今年の出走馬も2強を形成しそうなドウデュース、チェルヴィニアを始め、下記の馬にも日本ダービー、オークスで好走経験があります。
シンエンペラー
→24年ダービー3着
スターズオンアース
→22年オークス1着、23年ジャパンC3着
ソールオリエンス
→23年ダービー2着
意外と人気にならなそうな馬もいますね。これに追い切りなどの最新情報を精査して、最終結論を導き出したいと思います。
Thoughts on 非公開・石橋さんと亀谷敬正さん