回収率向上大作戦・須田鷹雄
【マイルCS予想】今年のマイルCSも堅めにいくべきか
リピーター好走が多いレース
天皇賞(秋)の週に触れたかと思うが、マイルCSは堅いGIのひとつである。その理由のひとつに、リピーター好走があるのではないかと思える。同じ馬が安田記念やマイルCSで複数回好走することが多く、そのためファンに分かりやすい=馬券的には堅いということになるのではということだ。
この説が正しいのかどうか、調べてみよう。東京競馬場が改修された2003年を起点に、「その年の安田記念で好走した馬がマイルCSであげた成績」と「前年のマイルCSで好走した馬がマイルCSであげた成績」を調べてみたい。起点となるレースは安田記念については2003年、マイルCSについては前年の2002年とする。
結果は以下の通り。
こうして見ると、マイルGIで好走したというだけでは、今回のマイルCSでの好走が約束されているわけではないということが分かる。ただ、冒頭に書いた説が間違っているというのではなく、起点となった好走レースから次に走るマイルCSまでの間にも結果を出し人気を維持した馬は、やはり強い。
前年のマイルCS1~3着馬のうち、次年度のマイルCSで3番人気以内をキープしていた馬は[4-5-0-6]の複勝率60%。3連複3連単を買うとなるとやはり無視はできない。一方4番人気以下だったケースは[1-1-1-21]で、1年の間に人気を落とすようなパフォーマンスしかできなかった馬はやはり厳しいということになる。
同年の安田記念1~3着馬のうち、マイルCSで3番人気以内だった馬は[4-3-1-7]で複勝率53.3%、その下は4番人気に1着馬と5番人気に3着馬が1頭いるが、6番人気以下では[0-0-0-8]。これらの馬はすべて3番人気以下で安田記念を1~3着しており、5頭は8番人気以下での好走だった。人気薄での好走を果たした馬はリピート好走しづらいという面もあるだろう。
今年の登録馬で該当するのは、前年マイルCS1着・安田記念2着のセリフォス、安田記念3着のシュネルマイスター、前年マイルCS2着のダノンザキッド。当時が人気薄好走で今回人気薄のダノンザキッドは微妙だが、セリフォスとシュネルマイスターは今回も上位人気だし、軽視しづらい。この2頭がともに馬券に絡むとなると今年のマイルCSも堅そう。なにかできるとすれば3頭目のチョイスだろうか。
鈴木康弘氏「達眼」馬体診断
【マイルCS】エルトンバローズ95点 百獣の王の風格 泰然自若の立ち姿
これが王者の立ち姿だ。鈴木康弘元調教師(79)がG1有力候補の馬体を診断する「達眼」。第40回マイルCS(19日、京都)ではG1初挑戦のエルトンバローズをシュネルマイスター、セリフォスのG1ホースと共に1位指名した。達眼が捉えたのは“百獣の王”ライオンを想起させる泰然自若としたたたずまい。5連勝でマイル界の頂点に駆け上がる勢いだ。
英国のシンガー・ソングライター、エルトン・ジョンが映画音楽を担当した作品といえば、ディズニーの長編アニメ「ライオン・キング」。百獣の王として君臨する宿命を負ったライオンの子シンバの成長を描いたミュージカル仕立ての作品です。そのアニメにエルトンが提供した「愛を感じて」は94年アカデミー歌曲賞、ゴールデングローブ賞主題歌賞などを受賞しました。
エルトンバローズの立ち姿からうかがえるのも百獣の王の貫禄です。その口元には驚かされた。リング型とノーマル型の2本のハミをかまされても、嫌な顔ひとつしない。ハミを気にして口角に泡を付けている昨年のマイル王者セリフォスとは対照的な余裕あるハミ受け。引き手を遊ばせながら穏やかにくわえています。どちらが王者か分からない。目をつり上げたソーヴァリアントとは対照的な涼しい目でゆったりと立っています。どちらが古馬だか分からない。百獣の王を想起させる泰然自若としたたたずまいです。未勝利から4連勝中の3歳馬。この立ち姿に凡百の上がり馬との決定的な違いがあります。
ブライアンズタイム(母の父)の血統を体現する重厚感あふれるボディー。ライオンのように太い首、分厚い肩、短めの背中…。ラジオNIKKEI賞、毎日王冠の重賞2勝は1800メートル戦ですが、体形的にはマイルがベスト。舞台も合っています。
肋(あばら)がパラッと見える腹周り。仕上がりも万全です。皮膚が少し厚く映りますが毛ヅヤは良好。冬が近づいても新陳代謝は落ちていません。
「ライオン・キング」の主人公シンバは、やがてライバルを倒し新たな王となります。エルトンバローズも古馬勢を一蹴して新たなマイル王の座に就くかもしれません。プロ野球の日本シリーズではトラがアレのアレを達成しましたが、競馬界ではライオンのような泰然自若とした立ち姿がアレを予感させます。(NHK解説者)
【マイルCS】シュネルマイスター95点 胸前と首にボリューム増 さらに精悍に
3歳馬エルトンバローズを迎え撃つ古馬勢ではシュネルマイスターの馬っぷりが際立っています。前後肢にバランス良く備えた柔らかい筋肉、各部位が滑らかにリンクした骨格。この機能性の高さが距離の融通を利かせます。マイルはもちろん、中距離にも対応できる馬体です。
5歳の晩秋を迎えて新たな進化を遂げました。安田記念(3着)時よりも胸前と首のボリュームが増しています。わずか5カ月余の間にさらに精悍(せいかん)な姿になった。
集中力のある顔つき。ハミを穏やかに取りながら、どっしりと大地をつかんだ立ち姿にも安定感があります。毛ヅヤも良好。体にはまだ余裕がありますが、今週の調整で万全に仕上がるでしょう。
【マイルCS】セリフォス95点 引き締まった体 散漫さ消えて集中
セリフォスは良くもあしくも前走・安田記念(2着)と変わらない姿です。休み明けとは思えない引き締まった馬体。栃栗毛に近い濃い栗毛の被毛は相変わらずチョコレート色に輝いています。尾の付け根と腹周りに差し毛が増えたとはいえ、初夏と同じ毛ヅヤを晩秋になっても維持できるとは…。よほど体調がいいのでしょう。その一方で、シュネルマイスターのような安田記念からの成長は感じられません。現状維持といったところです。
安田記念時と違うのは顔つき。ハミを少し気にしているとはいえ、散漫さがなくなり、とても集中しています。トモと肩に大きな筋肉をつけた短距離体形。背中と腹下の長さからも距離の守備範囲はマイルまででしょう。
【マイルCS】ナミュール90点 豊富な筋肉量 精神面も安定
ナミュールは、気分が不安定な時に表れやすい蹄輪が今回は目立たなくなりました。精神状態が安定してきたのかもしれません。牝馬とあって冬毛が全身に出ていますが、筋肉量は豊富。特に臀筋(でんきん)の発達が顕著です。
【マイルCS】ソーヴァリアント90点 横目でジロリ 気で走る血統
ソーヴァリアントはオルフェーヴルの子らしいきつい顔つき。耳に力を入れながらカメラマンを横目でにらみつけています。尾にもかなり力を入れている。毛ヅヤは抜群。馬体は少し細く映りますが、気で走る血統なので問題ないでしょう。
【マイルCS】ソウルラッシュ90点 新陳代謝良し 昨年目立った冬毛なし
ソウルラッシュは昨年のマイルCS時に目立っていた腹部の冬毛が全くない。夏日が最近まで続いたこともあるが、新陳代謝もいいのでしょう。立ち姿には力みが見られ、もう少しリラックスしてほしい。
【マイルCS】レッドモンレーヴ90点 前肢の勝ったマイラー体形 気分よく走らせれば一発
レッドモンレーヴは前肢の勝ったマイラー体形。ライオンのようにたくましい首の筋肉にインパクトを感じます。穏やかな立ち姿ですが、かなり我の強そうな顔つき。気分良く走らせることが大切です。
【マイルCS】マテンロウオリオン85点 たくましい前肢に合わせて後肢も発達してほしい
マテンロウオリオンは肩から首にかけて強い筋肉を付けていますが、肩の傾斜がきついため首抜けがもうひとつ。たくましい前肢に合わせて後肢も発達してほしい。目と耳からは気性の強さがうかがえます。
【マイルCS】ダノンザキッド85点 大人の体つきも腹周りはもうひと絞りできる
ダノンザキッドは大人の体つき。気持ちの入った立ち姿です。宝塚記念同様、筋肉が少し硬めに映りますが、マイル戦なら問題ないでしょう。全体にうっすら冬毛。腹周りはもうひと絞りできます。
【マイルCS】ジャスティンカフェ80点 立派だが少し硬く映るトモの筋肉
ジャスティンカフェは背と腹下が短いマイラー体形。相変わらずトモの筋肉は立派ですが、年齢(5歳)のせいか、少し硬くなっているように映ります。毛ヅヤは良好。立ち姿にはもっと活気が欲しい。
【マイルCS】ダノンスコーピオン80点 顔つきに集中力出てくるも立ち姿に安定感足りず
ダノンスコーピオンは安田記念時と比べて顔つきに集中力が出てきました。ただ、トモの張りがもうひとつで、立ち姿に安定感が感じられない。腹部の毛は長め。休み明けならもう少しフックラしてほしい。
【マイルCS】イルーシヴパンサー80点 毛ヅヤ良好も力量感伝わってこない
イルーシヴパンサーは鼻りょうの下部が張り出した特徴のある顔。目と耳は前方の一点に集中していますが、鼻先をとがらせています。毛ヅヤは良好もトモを前踏みしているせいで力量感が伝わってこない。
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