Stan Getz & Bill Evans - 1964.05.06 Wed
[sales data] 1973 (Rec:1964/5/5&6) [producer] Creed Taylor [member] Stan Getz(sax) Bill Evans(p) Richard Davis(b) Ron Carter(b) Elvin Jones(ds) | Stan Getz & Bill Evans |
エヴァスの作品を調べていると1964年の録音物で公式にタイムリーに発売されたのは
モニカ・ゼタールンドの歌伴ものの「Waltz for Debby」だけで
その穴埋めのため?過去録音を引っ張り出して、「Nirvana」や「How My Heart Sings」を
発売しているので1964年のエヴァンスは総じて体調がすぐれなかったのかもしれません。
本作も1964年に録音されたものの1973年のゲッツの来日記念盤としてリリースされるまで
10年近くお蔵入りしており、理由の一つにはゲッツ、エヴァンス双方がセッション内容に
不満足だったからという説があり
ゲッツ、エヴァンス、エルヴィン、リチャード・ディヴィス、ロン・カーター
人気と知名度の高いミュージシャンを集めればそれなりの作品ができるだろう的な
私的交流が薄く、融和性のないこの面子によるセッションはクリード・テイラーならではの
突飛な企画ともいえます(笑)
エヴァンスとエルヴィンの共演は本作のみで1964年のエルヴィンはコルトレーンの
レギュラーメンバーでしたが、マッコイ、ショーター、グラント・グリーン、ラリー・ヤングの
セッションに参加し、総仕上げでコルトレーンの「至上の愛」に参加するなど充実の1年です。
ただライナーにも記されていますが、この作品がお蔵入りしたのはこの頃のゲッツを取り巻く
音楽事情が大きく関係しているのではないかと思います。
1963年前後のゲッツに目をむけると、ボサノヴァブームに乗っかり、
「ジャズ・サンバ」「ゲッツ/ジルベルト」が大ヒット(「ゲッツ/ジルベルト」はグラミー賞4部門を独占)
ボサノヴァ物に区切りをつけて、コンボセッションにとりかかったゲッツでしたが
ボサノヴァーブームに水を差しかねないという保守的な理由で発売が見送られたとあり
確かに歪な集合体による本セッションは最高の物をはいえないものの、
出せば名前だけでそれなりに売れたでしょうから、ヴァーヴがゲッツをボサノヴァの
ブランドイメージとして確立しようとしていたための判断と考えるのが自然かなと。
で聴いた感想は、俺様的なゲッツが意外とエヴァンスに合わせているというか、
メンバーそれぞれがよそよそしく他人を気遣って前に出るのを躊躇しているような
奥ゆかしさを感じる1枚です。
ちなみに10年後の1974年の欧州ツアー中のエヴァンス・トリオにゲッツがゲスト参加した
「But Beautiful」がリリースされています。
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