Live In Japan 1966(昭和41年)/The Beatles - 1966.06.30 Thu
ビートルズの日本公演はビートルズ側から持ち掛けられた企画だったそうです。
当時、協同企画のプロモーターの永島さんが窓口になり、交渉を進めるも
ギャラの問題や治安・警備の面でとても日本での公演は不可能と思い
断る覚悟で英国に渡ると、当時のマネージャー、エブライアンさんは
ギャラは当時のビートルズツアーの1/5で構わないという破格の好条件を提示され
(チケットをレコード1枚分にして赤字が出たらビートルズのギャラを削って良い)
ビートルズ来日が決定します。
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[tour data] (全て日本武道館)
6月30日(夜)
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7月1日 (昼)(夜)
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7月2日 (昼)(夜)
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(本CDは6/30 & 7/1の録音です)
[この頃の時事news]
・6月22日 - 三里塚闘争が始まる
・6月29日 - ビートルズ来日(6月30日から3日間日本武道館で公演)
・6月30日 - 袴田事件が発生。
[memo]
4月27日、ビートルズ来日決定を主催元、読売新聞が報道
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ビートルズ日本公演チケット入手方法は窓口販売は一切なく
(1)主催の読売新聞社に往復ハガキで申し込む
(2)協賛のライオン・ハミガキ、東芝レコード、日本航空の各応募要領で申し込む
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チケット&購入証
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入場料は2,100円/1,800円/1,500円
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何故、来日時タラップを降りる時にメンバーがはっぴを着ていたかというと
機内で脱いでいた背広がクシャクシャになってしまったため
ビートルズの世話をしていたCAがはっぴを勧めたところメンバーが気に入って
そのまま出てきたそうです。
(次の日、JALの株価が上がったのは言うまでもありません(笑)
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空港からの移動は混乱を避けるためビートルズは飛行機に横付けされた
ピンクのキャデラックでそのままホテルに移動したため、空港内で待ち受けた大勢のファンは
肩透かしを食ったとのこと。
ビートルズ来日の警備体制の人数&費用は東京五輪時に匹敵するほどだったそうです。
先日もニュースとして扱われていましたが、ビートルズ初来日した際、警視庁が撮影していた幻の映像が
(武道館公演3日目)撮影中に映っている一般市民のプライバシーを理由に最高裁が封印するという
不可解な判決があり、ファンの間では「映ってはいけない何か」があるからではないかと訝しがる声が多く
未だ謎となっています。
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実はビートルズの武道館のコンサート使用について、日本の武道の伝統を損なうとして問題となりますが
英国経済に大きく貢献したという理由で大英帝国彰勲章を授与したため、英国使節大使という扱いで
使用許可が降りたとのことです。
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しかし開催前に散々もめたらしいのですが、その発端となったのが今回の来日の主催だった
当時の読売新聞社主で日本武道館館長でもあった正力松太郎氏が
「ペートルなんとかというのは一体何者だ? そんな連中に武道館を使わせてたまるか」と発言し、
武道館が使用できない場合を視野に入れ、代替え案(後楽園球場)まで
浮上していたそうです。
武道館ステージの設営も画像を見ると分かりますが、武道館で初めて開催されるロックコンサート
ということで、会場は消灯せずアリーナ席には人を入れず興奮した観客がステージに上がれない
高台にセットされた設営方法だっため、集客数は1回1万人に制限され運よく生ビートルズを拝めた方は
5回公演で延べ5万人ということになります。
(ただし公演10,000人の内訳は1/5が警察・警備関係者だったようです)
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まだまだ鎖国状態だった日本人にとって刺激の強い外タレ対策として鑑賞エチケットなるものが
記されているものがありました(笑)
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そこには席から立ちあがったり、手をふることさえ許可しないという厳戒態勢だったため
面白い話として、普段、米や英国のビートルマニアの絶叫で自分達の演奏が聞えないことに
慣れていたメンバーは日本の観客が大人しくしているので自分達の下手な演奏が
しっかり聞えることに焦り、ホテルに戻るとリハーサルを繰り返したとの逸話があります(笑)
ジョージ談
「ファンは暖かだったが、他の国より静かだったよ。妙な雰囲気だったよ。」
*****
[set list] (6/30 日本武道館)
-opening act-
1.ジャッキー吉川とブルー・コメッツ、ブルー・ジーンズの合同演奏
2.ザ・ドリフターズ
3.悲しき願い/尾藤イサオ
4.Baby Let Me Take Your Home/内田裕也
5.君ににしびれて 涙ビリビリ吹き飛ばせ/望月 浩
6.Talk Rock/桜井五郎
7.津軽じょんがら節/ブルー・ジーンズ
8.青い瞳/ブルーコメッツ
9.Welcome Beatles/日本側出演者全員
(演奏時間:1時間30分)
-beatles-
1.ロック・アンド・ロールミュージック
2.シーズ・ア・ウーマン
3.恋をするなら
4.デイ・トリッパー
5.ベイビーズ・イン・ブラック
6.アイ・フィール・ファイン
7.イエスタデイ
8.アイ・ワナ・ビー・ユアマン
9.ひとりぼっちのあいつ
10.ペーパーバック・ライター
11.アイム・ダウン
(演奏時間35分:5回とも同セットリスト)
7/1(昼)のライヴを日本テレビが収録し、同日21:00から特別音楽番組として放送。
(視聴率は56.5%)
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私は1978年(昭和53年)に「ビートルズ日本公演!今世紀最初で最後たった1度の再放送」
という番組で見たのですがこのテイクは6/30(夜)公演で実際には再放送ではないんですね。
実は7/1(昼)のマスターテープはブライアン・エブスタインが持ち帰り紛失してしまったため
VHS(LD)化の際はこの6/30のテイクが使われているようです。

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このライヴだけを見たら「ビートルズって別に大したことないじゃん」と
今の若い人たちは思うかもしれませんが
(実際、当時テレビを見た人の多くもそう感じたと思いますが)
ビートルズはこの時点では「音楽」ではなく「現象」であったため演奏云々を語るのは野暮かと(笑)
ジョン・レノン曰く
「僕等を見たければコンサートに、
曲を聴きたければレコードを買ってください」
"That's right,John !!"
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離日したビートルズは8月に米公演に出向くのですが、「ジョン・レノンの宗教発言問題」で
大騒動になっていたためシカゴ空港の出迎えはわずか200人・・・
ジョンは謝罪会見をするのですが、ビートルズのレコード公開焼き打ちや
メンフィスでのコンサートを宗教団体KKK団が妨害や彼らへの殺害予告など
てんやわんやで迎えた8月29日のサンフランシスコのキャンドルスティック・パークでの
コンサートを最後に、ビートルズはコンサート活動を中止してしてしまいます。
この頃のビートルズは現象だったため、行動や発言が大きく取り上げられたので
仕方ないと言えば仕方ないのですが、この時期ビートルズはリボルバーという
驚くほど革新的なアルバムを生み出しており、ファンがビートルマニア化してワーキャー騒いでいる裏で
予想もしない音楽レベルに達していたにもかかわらず、それをライヴで一度も披露することなく、
最後まで「大騒ぎする客用のビートルズ」を演じて終わってしまったのが残念でありません・・・
そしていよいよロック史上最も影響力を持つと思われる最重要アルバムが誕生します!
(追記)
2022年9月、警視庁が警備の様子などを記録した映像(音声カット、モザイク入り)が
毎日新聞のYouTubeチャンネルで公開されました。
当時、協同企画のプロモーターの永島さんが窓口になり、交渉を進めるも
ギャラの問題や治安・警備の面でとても日本での公演は不可能と思い
断る覚悟で英国に渡ると、当時のマネージャー、エブライアンさんは
ギャラは当時のビートルズツアーの1/5で構わないという破格の好条件を提示され
(チケットをレコード1枚分にして赤字が出たらビートルズのギャラを削って良い)
ビートルズ来日が決定します。
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[tour data] (全て日本武道館)
6月30日(夜)
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7月1日 (昼)(夜)
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7月2日 (昼)(夜)
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(本CDは6/30 & 7/1の録音です)
[この頃の時事news]
・6月22日 - 三里塚闘争が始まる
・6月29日 - ビートルズ来日(6月30日から3日間日本武道館で公演)
・6月30日 - 袴田事件が発生。
[memo]
4月27日、ビートルズ来日決定を主催元、読売新聞が報道
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ビートルズ日本公演チケット入手方法は窓口販売は一切なく
(1)主催の読売新聞社に往復ハガキで申し込む
(2)協賛のライオン・ハミガキ、東芝レコード、日本航空の各応募要領で申し込む
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チケット&購入証
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入場料は2,100円/1,800円/1,500円
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何故、来日時タラップを降りる時にメンバーがはっぴを着ていたかというと
機内で脱いでいた背広がクシャクシャになってしまったため
ビートルズの世話をしていたCAがはっぴを勧めたところメンバーが気に入って
そのまま出てきたそうです。
(次の日、JALの株価が上がったのは言うまでもありません(笑)
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空港からの移動は混乱を避けるためビートルズは飛行機に横付けされた
ピンクのキャデラックでそのままホテルに移動したため、空港内で待ち受けた大勢のファンは
肩透かしを食ったとのこと。
ビートルズ来日の警備体制の人数&費用は東京五輪時に匹敵するほどだったそうです。
先日もニュースとして扱われていましたが、ビートルズ初来日した際、警視庁が撮影していた幻の映像が
(武道館公演3日目)撮影中に映っている一般市民のプライバシーを理由に最高裁が封印するという
不可解な判決があり、ファンの間では「映ってはいけない何か」があるからではないかと訝しがる声が多く
未だ謎となっています。
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実はビートルズの武道館のコンサート使用について、日本の武道の伝統を損なうとして問題となりますが
英国経済に大きく貢献したという理由で大英帝国彰勲章を授与したため、英国使節大使という扱いで
使用許可が降りたとのことです。
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しかし開催前に散々もめたらしいのですが、その発端となったのが今回の来日の主催だった
当時の読売新聞社主で日本武道館館長でもあった正力松太郎氏が
「ペートルなんとかというのは一体何者だ? そんな連中に武道館を使わせてたまるか」と発言し、
武道館が使用できない場合を視野に入れ、代替え案(後楽園球場)まで
浮上していたそうです。
武道館ステージの設営も画像を見ると分かりますが、武道館で初めて開催されるロックコンサート
ということで、会場は消灯せずアリーナ席には人を入れず興奮した観客がステージに上がれない
高台にセットされた設営方法だっため、集客数は1回1万人に制限され運よく生ビートルズを拝めた方は
5回公演で延べ5万人ということになります。
(ただし公演10,000人の内訳は1/5が警察・警備関係者だったようです)
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まだまだ鎖国状態だった日本人にとって刺激の強い外タレ対策として鑑賞エチケットなるものが
記されているものがありました(笑)
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そこには席から立ちあがったり、手をふることさえ許可しないという厳戒態勢だったため
面白い話として、普段、米や英国のビートルマニアの絶叫で自分達の演奏が聞えないことに
慣れていたメンバーは日本の観客が大人しくしているので自分達の下手な演奏が
しっかり聞えることに焦り、ホテルに戻るとリハーサルを繰り返したとの逸話があります(笑)
ジョージ談
「ファンは暖かだったが、他の国より静かだったよ。妙な雰囲気だったよ。」
*****
[set list] (6/30 日本武道館)
-opening act-
1.ジャッキー吉川とブルー・コメッツ、ブルー・ジーンズの合同演奏
2.ザ・ドリフターズ
3.悲しき願い/尾藤イサオ
4.Baby Let Me Take Your Home/内田裕也
5.君ににしびれて 涙ビリビリ吹き飛ばせ/望月 浩
6.Talk Rock/桜井五郎
7.津軽じょんがら節/ブルー・ジーンズ
8.青い瞳/ブルーコメッツ
9.Welcome Beatles/日本側出演者全員
(演奏時間:1時間30分)
-beatles-
1.ロック・アンド・ロールミュージック
2.シーズ・ア・ウーマン
3.恋をするなら
4.デイ・トリッパー
5.ベイビーズ・イン・ブラック
6.アイ・フィール・ファイン
7.イエスタデイ
8.アイ・ワナ・ビー・ユアマン
9.ひとりぼっちのあいつ
10.ペーパーバック・ライター
11.アイム・ダウン
(演奏時間35分:5回とも同セットリスト)
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私は1978年(昭和53年)に「ビートルズ日本公演!今世紀最初で最後たった1度の再放送」
という番組で見たのですがこのテイクは6/30(夜)公演で実際には再放送ではないんですね。
実は7/1(昼)のマスターテープはブライアン・エブスタインが持ち帰り紛失してしまったため
VHS(LD)化の際はこの6/30のテイクが使われているようです。
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このライヴだけを見たら「ビートルズって別に大したことないじゃん」と
今の若い人たちは思うかもしれませんが
(実際、当時テレビを見た人の多くもそう感じたと思いますが)
ビートルズはこの時点では「音楽」ではなく「現象」であったため演奏云々を語るのは野暮かと(笑)
ジョン・レノン曰く
「僕等を見たければコンサートに、
曲を聴きたければレコードを買ってください」
"That's right,John !!"

離日したビートルズは8月に米公演に出向くのですが、「ジョン・レノンの宗教発言問題」で
大騒動になっていたためシカゴ空港の出迎えはわずか200人・・・
ジョンは謝罪会見をするのですが、ビートルズのレコード公開焼き打ちや
メンフィスでのコンサートを宗教団体KKK団が妨害や彼らへの殺害予告など
てんやわんやで迎えた8月29日のサンフランシスコのキャンドルスティック・パークでの
コンサートを最後に、ビートルズはコンサート活動を中止してしてしまいます。
この頃のビートルズは現象だったため、行動や発言が大きく取り上げられたので
仕方ないと言えば仕方ないのですが、この時期ビートルズはリボルバーという
驚くほど革新的なアルバムを生み出しており、ファンがビートルマニア化してワーキャー騒いでいる裏で
予想もしない音楽レベルに達していたにもかかわらず、それをライヴで一度も披露することなく、
最後まで「大騒ぎする客用のビートルズ」を演じて終わってしまったのが残念でありません・・・
そしていよいよロック史上最も影響力を持つと思われる最重要アルバムが誕生します!
(追記)
2022年9月、警視庁が警備の様子などを記録した映像(音声カット、モザイク入り)が
毎日新聞のYouTubeチャンネルで公開されました。
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● COMMENT ●
こんにちは。
画像などは全て無許可で複数のサイト様からいただいてきたものなので
(もしかしたらイエロードッグさんのサイトから拝借したものもあるかも?(苦笑)
閉鎖してなければ探せばあるのではないかと思います。
既にお持ちかもしれませんが昨年発売されたこの雑誌はイエロードッグさんの
ビートルズネタを書く時の役に立つかもしれません。
http://musicnightwhisper.blog.fc2.com/blog-entry-5931.html
http://musicnightwhisper.blog.fc2.com/blog-entry-5714.html
美談の裏にビジネスあり、JALの裏話は聞かなければ良かった(苦笑)
(余談)
達郎さんの「踊ろよフィッシュ」を使ったCM全日空スカイホリデーで
鮮烈デビューした石田ゆり子さんの写真集をベッド下に隠していたら
他のエロ本と一緒に母に勝手に処分され、軽く殺意が湧きましたね(笑)
画像などは全て無許可で複数のサイト様からいただいてきたものなので
(もしかしたらイエロードッグさんのサイトから拝借したものもあるかも?(苦笑)
閉鎖してなければ探せばあるのではないかと思います。
既にお持ちかもしれませんが昨年発売されたこの雑誌はイエロードッグさんの
ビートルズネタを書く時の役に立つかもしれません。
http://musicnightwhisper.blog.fc2.com/blog-entry-5931.html
http://musicnightwhisper.blog.fc2.com/blog-entry-5714.html
美談の裏にビジネスあり、JALの裏話は聞かなければ良かった(苦笑)
(余談)
達郎さんの「踊ろよフィッシュ」を使ったCM全日空スカイホリデーで
鮮烈デビューした石田ゆり子さんの写真集をベッド下に隠していたら
他のエロ本と一緒に母に勝手に処分され、軽く殺意が湧きましたね(笑)
これだけの写真よく集まりましたね。
ネットでは出てこない素材が多いので驚きました。
新聞告知やチラシとか。
校正入りの新聞ゲラはどこから入手したのでしょう?
機内でCAと話してるポールの写真も初めて見ました。
同行したボブ・ウィテカーが撮った写真ですか?
と思ってググったら、これは出てきました。
JALの法被はCAのコンドン聡子さんがPRのため着させろ、と会社
から命を受けてたんんだそうです。
ジョンから「上着がしわくちゃだからなんとかならないか」と
頼まれた聡子さんはこれはチャンス!と思い。。。
客室乗務員のスペースでカーテンを閉めてジョンの上着を抱きしめて
から(ファンだったそうです)上着にアイロンをかけました。
ジョンに渡す時、シワが目立たないようこの法被を着たらどうですか、
と薦めると、ジョンが「それはいいね」と受け取り、他の3人にも
着るように言ってくれたんだそうです。
ミュージックライフは大阪の親戚のお兄ちゃんにもらいました。
私が家を出てから、母が勝手に捨てたらしい。激怒ぷんぷん!