Freak Out/The Mothers Of Invention - 1966.06.27 Mon
[official catalog number] RCD 10501(001) [sales data] 1966/6/27 [producer] Tom Wilson [member] Frank Zappa(vo/g) Jimmy Carl Black(ds/per) Ray Collin(harmonica/cymbals/etc) Roy Estrada(b/g) Elliot Ingber(g) ***** Gene Estes(per) Eugene Di Novi(p) Neil Le Vang(g) John Rotella(clarinet/sax) Carol Kaye(12-string g) Kurt Rehe(cello) Raymond Kelley(cello) Paul Bergstrom(cello) Emmet Sargeant(cello) Joseph Saxon(cello) Edwin V. Beach(cello) Arthur Maebe(French horn/tuba) Motorhead Sherwood(noises) Kim Fowley(hypophone) Mac Rebennack(p) Paul Butterfield(vo) Les McCann(p) Jeannie Vassoir(the voice of Cheese) | Freak Out/The Mothers Of Invention |
もう随分前のことになるのですがパンタの頭脳警察というバンド名はフランク・ザッパの
デビューアルバム「Freak Out」の「Who Are The Brain Police」から命名したと知り
買ってみたのですが、素人が気軽に手を出すにはかなり癖が強くすぐ売ってしまいました(苦笑)
このブログを運営していて、過去全く興味がなかったのに、突然その魅力に気づいて
虜になったアーチスト三羽烏がマイルス・デイヴィス、ジョン・マクラフリンそして
フランク・ザッパさんです。
長年、ザッパさんにはまれなかった理由は勝手にザッパはギタリストだと思って聴いた
アルバムが決してギターアルバムとは言い難く、又マイナーゆえカルトアーチストとして
好きな人だけ聴いていればいいんだろうな的なアーチストに分類していたのです。
ところがある日FM番組からかなり好きなフレーズのギターインストが流れてきまして
それがザッパの「イースターのスイカ」(Watermelon In Easter Hay)だったのです。
早速、収録アルバムの「ジョーのガレージ」を購入して、そのザッパの膨大な活動キャリアを
調べているうちに興味の枝葉が伸び、どんどんのめり込んで、それこそ大げさではなく
「一日一ザッパ」状態となってしまいました(笑)
最近は安価なBOX形式で一気にアルバムを揃えられるようになったのは良いのですが
あまり聴きこんでいないアーチストに興味を持ち開拓しようと思った時に
多くの方が失敗する聴き方はアルバムをリリース順に聴こうとすることです。
(私の場合はこの聴き方でマイルスとコルトレーン、最近はマイク・スターンで
失敗しました(苦笑)
勿論、デビューアルバムからそのアーチストの魅力にはまるケースもあると思いますが
まず
「アーチストの入口」を発見することが最重要
です。
それはどちらかというと「意図していなかった方法で気づくこと」が効果的かと思います。
で冒頭に戻り、もしザッパに興味を持ってこの「Freak Out」から聴こうと思っている方が
いらしたら、それはお薦めできません。
自分はザッパの枝葉を手繰り寄せるうちにいつのまにか偉大な音楽家ザッパミュージック
全てに心通じたため?一度手放したこの「Freak Out」が本来含蓄していた
今まで聴こえなかった音まで聴こえるようになり、今ではお気に入りの1枚なのですが、
「ザッパ=ギタリスト」程度の浅い認識では到底その雑多な音楽性
(ロック、ブルース、R&B、ジャズ、映画・演劇、現代音楽など)に太刀打ちできませんので、
これからご紹介していく膨大な数のザッパ作品のどこかに
「あなたとザッパ」が握手できそうな瞬間があれば、それが「ザッパの入口」になるかと
思いますので、是非その周辺から聴いてみるようにしてください。
*****
前置き長くなりましたが、ザッパさんのデビューアルバムでロックアルバム部門の
アナログ盤では世界初の2枚組アルバムだったとのことで何でもザッパさんが
「買った人が得した気分になるように、レコードを2枚組で売ろう」と
レコード会社を説得したとの逸話があります。
ちょっと驚いたのはこのアルバムのプロデュース作業にザッパさんは関与してないんですね。
ザッパさんが他人の指示に従って演奏だけしているなんて俄かには信じがたいのですが
このアルバムも名盤らしい面白いネタに事欠かず、ボブ・ディランやサイモン&ガーファンクルの
プロデュースを担当したトム・ウィルソンはこの頃LSDでラリパッパ状態で
ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、ニコ、ソフト・マシーンといった
一癖も二癖もある連中のデビューアルバムを次々世に出していったことから
このアルバムもドラッグの影響下に作られたものだと決めつけられ
タイトルもLSDによる幻覚症状を表すスラングのことと誤釈されることもあったとか。
ザッパさん曰く
「フリーク・アウトとは直接的な環境や社会構造全体と自分の関わり合いを創造的に
表現するために、時代遅れになった基準を抜け出すプロセスだ。」
The Mothers Of Inventionのメンバーの他に20人近くの様々な楽器奏者名が
「The Mothers Auxiliary」と紹介されていますが、これはレコード会社のMGMが
Mothers Of Inventionという名に難色を示しバンドにつける代替名として
用意していたもののようです。
ザッパさん曰く
「要するにだ、あのころはまともなミュージシャンってのはクソッタレ (motherfucker) のことで
マザーズってのはクソッタレ集団の略称のことというわけだ。実際には、そんな名前を
バンドにつけるのは思い上がりもいいところだ。なにしろ俺たちはクソッタレを名乗れるほど
立派なミュージシャンじゃなかったからな、正直言って・・・
もちろん地元のバー・バンド連中と比べれば俺たちは何光年も先を行ってたろうけど、
本当の音楽的才能ってことに関していえば、俺たちは沼のどん底にいたってのが正確だろう。」
アルバムの裏ジャケットには、ザッパが作った架空の人物スージー・クリームチーズさんからの
「手紙」が掲載されており、内容はマザーズがいかに奇態な連中であるかを告発し、
学校の先生から歌詞の内容を教わって以来マザーズの音楽を聴こうという同級生はいないと
書かれたもので、アルバム内でもvoiceで登場するのでスージー・クリームチーズさんを
実在の人物であると思い込み、コンサート会場で彼女に会えることを期待したファンも
少なくなかったそうです。
内容的にはカルトアルバムの代表作といわれますが、このアルバムには
これから天文学的にビッグバンな展開をする複雑怪奇なザッパさんの
音楽素養の全てがつまっています。
再度になりますが可能であればザッパさんを好きになってから時間をかけて
丁寧に聴いて欲しいアルバムです。
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