縞梟の音楽夜噺
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2025-02

Blues for Greeny/Gary Moore - 1995.05.31 Wed








[sales data]
1995/5/31
[producer]
Gary Moore
Ian Taylor
[member]
Gary Moore(vo/g)
Andy Pyle(b)
Graham Walker(ds)
Tommy Eyre(key)
Nick Payn(sax)
Nick Pentelow(sax)

1_202402061702051c2.jpg
Blues for Greeny


すっかりブルースギタリストに転身したゲイリー・ムーアがお師匠さんの
ピーター・グリーンに捧げたトリビュートアルバムですが、普通のカバー企画とは
少々内容を異にしておりまして、80年代に一時復活を果たしたピーター・グリーンは
84年頃から再び半引退状態となり「過去の人」として消え入りそうな頃、
その再起を間接的に促す意図があったものと思われますが
ピーター・グリーンがムーアに売却した1959年製ギブソン・レスポールで
グリーンの曲をカバー演奏するという、ムーアが今までグリーンから受けた
インスピレーションに対する感謝の気持ちを表した作品だそうです。

ピーター・グリーンの使用していたギター(フロントピックアップが前後逆に組み込まれており
「アウト・オブ・フェイズ」になっていて一定の周波数が出ずフルートみたいな中音域の
サウンドが出るレスポール)がゲイリー・ムーアに渡ったのは、スノーウィー・ホワイトによると
1970年頃、ジャムセッションを頼みこみ、親密になっていったある日突然、ピーターから
「僕が買った値段で売ってあげるよ。」と言われ悩んだそうですが
「このレスポールは、誰にも売らないほうがいい。弾かないのなら物置にでもしまっておけば。」
とやんわり断りますが、その後結局ゲイリームーアに売ってしまったようです。
多分、薬を購入するための当座の資金が欲しかったのでしょうね・・・

peter_20191117142736230.jpg

ムーアのブルースギターは歪むことで個性を出していましたが、本作は原曲に近く
クリアトーンの音で再現していますが、名器と呼ばれる59年製のレスポールって
本来はこういう音じゃないんじゃないかな?
録音セッティングのせいか全体的に音の深みがないのですが、ギター一本の
「Showbiz Blues」は名器の一片を感じることができます。



しかしこの作品がグリーンの琴線に響いたのか?グリーンは音楽活動を再開させることになり
師弟共演も可能となりましたが、お弟子さんのムーアの方が先に逝ってしまうとはトホホ・・・

(弟子ver)


(師匠ver)

Still Got The Blues/Gary Moore - 1990.03.26 Mon








[sales data]
1990/3/26
[producer]
Gary Moore
Ian Taylor
[member]
Gary Moore(vo/g)
Don Airey(key)
Stuart Brooks(tp)
Albert Collins(g)
Bob Daisley(b)
Raul d'Oliveira(tp)
Brian Downey(ds)
Martin Drover(tp)
Andy Hamilton(sax)
George Harrison(g)
Nicky Hopkins(key)
Albert King(g)
Frank Mead (sax)
Nick Payn(sax)
Nick Pentelow(sax)
Andy Pyle(b)
Graham Walker(ds)
Mick Weaver(p)
Gavyn Wright(strings)

2_20240206170423f4a.jpg
Still Got The Blues


「ブルース回帰」とうたわれたこのアルバムが発売された時、元々フリートウッド・マックの
ピーター・グリーンのブルースギターに憧れてこの道に入ったとはいえゲイリー・ムーアさんの
一時的な気まぐれな企画物なのだろうと思っていましたが、ゲイリー・ムーアさんが
この後HRに戻ることはありませんでした。
(お子ちゃま相手の商業HRを演ることに嫌気がさしブルースとHRの二刀流という考えは
全くなかったようです)

今でこそ「全ての音楽はブルースに還る」と思うほどブルースの奥深さに魅せられているのですが
このアルバムの音は発売当時より「これは巷で言うブルースではないな」と感じておりました。
まず今までのHRなムーアのイメージとの大きな違和感と質素なブルースの魅力を損なうギターの
音の多さがどうもミスマッチではまれませんでした。

これはムーア風新解釈のブルース的ロックだと思うのですが、ブルースの本質からは離れ過ぎている
という感覚を彼のブルースアルバム全てに共通して感じてしまい最後までムーアのブルース魂を
解釈することはできませんでした・・・





After The War/Gary Moore - 1989.01.25 Wed








[sales data]
1989/1/25
[producer]
Peter Collins
[member]
Gary Moore(g/vo)
Neil Carter(key)
Bob Daisley(b)
Cozy Powell(ds)
Don Airey(key)
Laurence Cottle(b)
Charlie Morgan(ds)
Simon Phillips(ds)
Brian Downey(ds)
Chris Thompson(bvo)
Ozzy Osbourne(vo)
Andrew Eldritch(bvo)
Sam Brown(bvo)
Miriam Stockley(bvo)

3_20240206170552de4.jpg
After The War


80年代に入って人気ギタリストに上り詰めたゲイリー・ムーアの最後のHRアルバムです。
コージー・パウエル/オジー・オズボーン/サイモン・フィリップス/ドン・エイリー参加。

after the war

このアルバムの来日ツアーにコージーが参加するとの前情報がありましたが、
残念ながら実現しませんでした(ドラムはクリス・スレイド)

5_2023011017013118a.jpg

ツアーリハーサルまで参加してツアー参加を見送ったコージー談
「彼(ムーア)はリハーサルの間中、ドラムマシンに合わせろとか、以前のアルバムの音に
一音一音合わせろとか言ってきて俺を悲しませた。
2時間のショウなのに、やり過ぎじゃないかと思ったよ」

6_20230110170541113.jpg

ムーアはこのアルバムを最後にブルース・ギタリストに転身するのですが、
元々ピーター・グリーンをギターの師と仰ぎ、ブルースに興味はあったのでしょうが
今までのムーアのキャリアの中でブルース信仰を意識させるような曲がなかったので
(普通ならアルバムの中に数曲ブルース調の曲を入れたりしますよね・・・)
突然の転身に多くのファンが戸惑いました。

ファンは多分、ムーアの気まぐれで1~2枚ブルースアルバムを作って又ハードロック路線に
戻るのだろうと思っていましたが、その後HRに戻ることなく逝ってしまいました・・・

Wild Frontier/Gary Moore - 1987.03.15 Sun








[sales data]
1987/3
[producer]
Gary Moore
James "Jimbo" Barton
Pete Smith
Peter Collins
[member]
Gary Moore(vo/g)
Neil Carter(key)
Bob Daisley(b)
*****
Andy Richards(key)
Paddy Moloney(pipes)
Sean Keane(fiddle)
Martin Fay(fiddle)
Judie Tzuke(bvo)
Paul Muggleton(bvo)
John Savannah(bvo)

4_2024020617080021d.jpg
Wild Frontier


2年ぶりにリリースされた6th。

アイルランドの伝統音楽へのオマージュとして作られた故フィル・ライノット(1986/1/4没)への
追悼作品。



当時辛口採点のB!誌レビュー99点というのが大きな話題になりました。

録音はムーアの他、ニール・カーターとボブ・ディズリーの基本3人でドラムは
打ち込みです。

やや勢い任せで続けてきたハードロック路線がマンネリとなりもう一度腰を据えて
新たな方向性を見極めようという高い制作意欲が伺えます。

GARY_MOORE_Wild_Frontier3.jpg GARY_MOORE_Wild_Frontier4.jpg

シングルでリリースされた「クライング・イン・ザ・シャドウズ」は、当時、日本で大人気アイドルの
本田美奈子さんに提供した「the Cross(愛の十字架)」(詩は秋元康)のセルフカバーで
アナログ盤は未収録でしたがCDアルバムには追加収録されました。



Run For Cover/Gary Moore - 1985.09.15 Sun








[sales data]
1985/9
[producer]
Andy Johns
Gary Moore
Peter Collins
Beau Hill
Mike Stone
[member]
Gary Moore(g/vo)
Gary Ferguson(ds()
Glenn Hughes(vo/b)
Andy Richards(key)
Neil Carter(key/bvo)
Charlie Morgan(ds)
Phil Lynott(vo/b)
Don Airey(key)
James (Jimbo) Barton(ds)
Paul Thompson(ds)
Bob Daisley(b)

5_20240206170939ae0.jpg
Run For Cover


押し捲る暑苦しい燃えるギターで人気は絶頂期だったもののやや変化をつけたいという
意図があってか?フィル・ライノットとG-FORCE組閣前にバンド結成を目論んでいたグレン・ヒューズを
ボーカルで起用し、複数セッションで構成された作品。



ボーカルを使い分けたため内容が散漫だという意見も多いようですが
前2作のヘヴィメタ的な要素を保持し、そこに洗練されたポップ色をバランス良く取り混ぜ
楽曲のレベルはとても高いと思います。

こんなこと書いたらファンの方に怒られるかもしれませんがAFTER THE WARまでの
ムーアのギターは金太郎飴的サウンドなので、この時期のサウンドが好きな人には
ボーカルが誰かということはさほど気にならないのではないでしょうか(笑)





尚ライノットは本作の英国ツアーの一部でゲスト参加しており、10月の日本公演に
帯同する予定がありましたが、ライノットの体調不良により実現しませんでした。

Victims Of The Future(炎の舞)/Gary Moore - 1984.01.21 Sat








[sales data]
1984/1/21
[producer]
Jeff Glixman
[member]
Gary Moore(vo/g)
Ian Paice(ds)
Neil Carter(key)
Neil Murray(b)
Mo Foster(b)
Bob Daisley(b)
Bobby Chouinard(ds)
Noddy Holder(bvo)

1_20240127200035d42.jpg
Victims Of The Future(炎の舞)


本作は、ムーアの音楽性がヘヴィメタル色を強めていた頃の作品と位置付けられていますが

レコーディング直後のムーア談
「僕は別に自分のことをヘヴィメタル・ギタリストとは思っていない。
ロックンロール・ギタリストだと思っている。
確かに時にはヘヴィメタルのギターを弾くけど、他のものもギターで表現している」

この頃のゲイリー・ムーアのギターサウンドは痒いところに手が届くような心地良さが
日本人には馬鹿受けでしたが、本人の後のROCK封印ブルース一直線人生を考えると
どこか商売ロックを冷めた感覚で演奏していたのかもしれませんね。



ムーア自身が紛争の耐えない北アイルランド出身ということに起因するのか?
以前「Hiroshima」という反戦歌も作っていましたが
「Murder In the Sky」はソビエト連邦の戦闘機による大韓航空機撃墜事件(1978年)について
書いた曲です。



しかしこのアルバムはいいですね。
CD化の際に曲順いじってるのがどうも気にいらないのですが
やっぱりオープニングは「Shapes Of Things」でしょう!

Darty Fingers/Gary Moore - 1983.06.21 Tue








[sales data]
1983/6/21
[producer]
Chris Tsangarides
Gary Moore
[member]
Gary Moore(g/vo)
Don Airey(key)
Tommy Aldridge(ds)
Jimmy Bain(b)
Charlie Huhn(vo)

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Darty Fingers/Gary Moore


1980年のマーキーでのライヴ後ドンエイリー、トミー・アルドリッジ、ジミーベインらと
スタジオアルバムを制作するもJET RECORDSとのトラブルで3年間飼い殺し状態だったため
お蔵入りしていましたが、異常人気の日本でのみリリースされたアルバムです。



マネジメントが同じだった関係でグレッグ・レイクのレディング'81のライヴに出演し
収録曲のNUCLEAR ATTACKはグレッグ・レイクのソロにも収録され先にお披露目されました。

9_20200125213913e5a.jpg 10_2020012521391573b.jpg

長い間、ゴタゴタ続きでしたがヴァージンレコードがゲイリー・ムーアに興味を持ち
JET RECORDSとの裁判費用を肩代わりしてアーデンとの契約を解消>「大いなる野望」リリース

いよいよゲイリー・ムーアの黄金時代の幕開けです!



Corridors Of Power(大いなる野望)/Gary Moore - 1982.09.15 Wed









[sales data]
1982/9
[producer]
Jeff Glixman
[member]
Gary Moore(vo/g)
Ian Paice(ds)
Neil Murray(b)
Tommy Eyre(key)
*****
John Sloman(bvo)
Jack Bruce(vo)
Bobby Chouinard(ds)
Mo Foster(b)
Don Airey(key)

1a_20221103121101d2d.jpg


JETレコードとのトラブルの和解金をヴァージンレコードが肩代わりすることで
晴れて自由の身となったゲイリー・ムーア人気が一気に火を噴きました。



伏線としてはコージー・パウエルのソロアルバムOver the Topに収録されたkillerを鬼弾いてる
ゲイリー・ムーアって何者?って感じで期待は膨らみましたがJETレコードとのトラブルで
G-FORCEの音源はなかなか聴くことができない間に80年代に入り、今までのインスト中心の
ギター・アルバムとは一線を画す凄いギターアルバムが出たなと感じました。

とにかく力技で押し捲るギターでリッチー以来日本人の演歌心のツボを抑えたギタリスト
だったと思います。
ゲスト参加のジャック・ブルース音楽キャリア最強のHMソング"The End Of The World"の
ボーカルは必聴!



(PS)リマスター盤には浜田麻里のRainbow Dreamに提供した「LOVE, LOVE,LOVE」を改名した
「Love Can Make a Fool of You」が収録されています

[ゲイリー・ムーアversion]


[浜田麻里version]

Live at the Marquee/Gary Moore - 1980.11.05 Wed








[sales data]
1983/9/21
[producer]
Chris Tsangarides
[member]
Gary Moore(g/vo)
Kenny Driscoll(vo)
Don Airey(key)
Andy Pyle(b)
Tommy Aldridge(ds)

3_2022082618475046c.jpg


G-FORCE解散後、コージー・パウエル、ボブ・テンチと新バンド結成を試みるも
レディング出演をキャンセルしたため少なからず損害を被ったJET RECORDのドン・アーデンの
怒りを買い、契約違反として法廷闘争に入ったためこのプロジェクト構想は流れてしまいます。

そのため仕方なくJET RECORDとの契約枚数消化のためGARY MOORE & HIS FRIENDS名義で
行われたライヴです(ロンドン、マーキー1980年11月5日&6日)

この音源はお蔵入りしていたのですが、ゲイリー・ムーア人気に便乗してDARTY FINGERS
同時期(1983年)日本でのみ発売されました。
(アナログ時代はパリの散歩道のギタータブ譜が付属してました)

ドン・エイリー、トミー・アルドリッジに加え元ローンスターのケニー・ドリスコールが参加。
(ローンスターと言えば初来日公演のボーカルも元ローンスターのジョン・スローマンでしたね)

G-FORCEはラジカセみたいなディストーションでしたがこのライヴはギターのエッジが尖った
エフェクトで何でスタジオ盤はこの音で録音しなかったのか大いなる疑問。

コラシアムII~BACK ON THE STREETSG-FORCEからの選曲+新曲(>Darty Fingersに収録)で
大ブレイク直前のゲイリー・ムーアを知る上で興味深い音源です。

G-Force/Gary Moore - 1980.05.30 Fri









[sales data]
1980/5/30
[producer]
G-Force
[member]
Gary Moore(g/vo/key)
Tony Newton(b)
Mark Nauseef(ds)
Willie Dee(vo)
**********
Joachim Kuhn(key)
Tom Scott(sax)

6_20220723171612ea5.jpg


ゲイリー・ムーアはシン・リジィ脱退後「大いなる野望」で大ブレイクするまでの
約3年間オンタイムにはコージー・パウエルやグレッグ・レイクのソロでチョロっとしか
そのギターワークを聴くことができなかったため当時の日本ではマイナーな存在でしたが
それには理由があるのです。

まずシン・リジィ脱退後、ゲイリー・ムーアはマーク・ナウシーフとグレン・ヒューズで
トリオ編成のバンド結成を試みますがまとまらずマーク・ナウシーフ、トニー・ニュートン、
ウィリー・ディというメンバーでG-FORCEを結成。
(トニー・ニュートンはトニー・ウイリアムスのライフタイムでべースを弾いていた人で
同時期テキサスの種馬男ウィリー・ディーとヨアヒム・キューンのSUN SHOWERに
参加していたためキューンが全く畑違いの本アルバムに強制的に参加させられています(笑)

JET RECORDと契約し1980年にリリースしたのが本作。
このJET REDOCRDの社長(ドン・アーデン)がちょっとした曲者でして・・・
[詳細はこちら]

米進出を考えたヒット性のポテンシャルの高い作風でしたが肝心な米での配給先が見つからず
その影響で本アルバムの日本流通はなく数少ない英国輸入盤のみで聴けるという
まさにマニアックなファンですら購入が難しいという状態だったため
ゲイリー・ムーア人気に火がついた後、G-FORCEは一部の音楽評論家が煽り立てる
幻のHRアルバムという状態が長く続きました。

米リリースが頓挫したことでやる気を失ったゲイリー・ムーアはG-FORCEを解散してしまい
この年のレディングフェスの出演をキャンセルしそれが厄介な問題に発展するのですが
その件は又後日。

しかし何でギターのエフェクト音をギターシンセというかラジカセに突っ込んだような
妙な歪みにしたんですかね・・・

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