What's New?/Sonny Rollins - 1962.05.14 Mon
[sales data] 1962/8 (Rec:1962/4/5,25,26 &5/14) [producer] George Avakian Bob Prince [member] Sonny Rollins(sax) Jim Hall(g) Bob Cranshaw(b) Ben Riley(ds) Denis Charles(per) Frank Charles(per) Willie Rodriguez(per) Candido(per) | What's New?/Sonny Rollins |
3年ぶりの復帰作に続き、ジム・ホールさんとの共演盤ですが、本作はガラっと
作風が変わり、ロリンズさんのカリプソ趣味と、以前南米でボサノバを吸収した
ジム・ホールさんの素養の合わせ技によるラテン音楽の影響が色濃い作品です。
(ちなみに「ボサノバ」という言葉はこの1962年頃から広がったようです)
「夜は千の眼をもつ」はコルトレーンさんも取り上げていましたが、
1948年公開の映画の主題歌です。
アナログ盤は収録時間の都合なのか米盤にはロリンズさんのライヴ定番曲「ドント・ストップ・ザ・カーニバル」が
収録されておらず、英&日盤には収録されているものの代わりに「もし貴方と別れる時は」がカットされており、
一時、CDは米盤に準拠した5曲収録盤でしたが、最近のものは両曲とも収録された6曲盤になっています。
この後、この南国ラテン路線が続くのかと思いきや、ロリンズさんはドン・チェリーさんと組んで
フリージャズの道に突っ込んでいくことになります・・・
The Bridge/Sonny Rollins - 1962.02.14 Wed
[sales data] 1962/4 (Rec:1962/1/30&2/13&14) [producer] Bob Prince [member] Sonny Rollins(sax) Jim Hall(g) Bob Cranshaw(b) Ben Riley (ds) Harry "H.T." Saunders(ds) | The Bridge/Sonny Rollins |
お久しぶりね!のロリンズさん。
1959年3月、大好評だった欧州ツアー終了後、
ロリンズ談
「今晩も沢山のファンが聴きに来てくれているけど、どうもボクの本当の音が出なくなっている。
いくら観衆が喜んでくれても自分の演奏は満足できるものじゃない。
近いうちに彼らを失望させることになる。それで踏ん切りがつき活動をストップした」
ということで、ロリンズさんは自分の演奏を見つめ直すため2回目の隠匿生活に突入。
引退する気は毛頭なく、蓄えもあったし印税も入ってきたのでとにかく練習に集中したかったとのことで
この約3年のブランク期間、掃除夫として生計を立て、酒と煙草を断ち、ヨガやバラ十字会で
精紳の鍛錬を行い、残り時間をマンハッタンとブルックリンを結ぶウィリアムズバーグ橋で
サックスの猛練習することを日課としていたとのことで、本作のタイトルキーワードはその「橋」になっています。
(ウィリアムズバーグ橋は完成当時、世界一長いつり橋だったようです)
ロリンズさんほどの有名な人が人目につかずに毎日黙々と橋の下で練習に打ち込めるのか?
(口コミですぐ話題になって人だかりができて練習できるような状況ではないのでは・・・)
ちょっと感動ドラマ仕立てに話を盛ってる気がして実際どうなん?って気はしますが
ロリンズさんによると殆どの人がブルックリン橋を利用するので歩行者は少なく
車や電車からみえにくいところに歩行者通路があったので、演奏に集中できたとのこと。
又「あの橋は私の練習のために作られたようなものだ」とも語っています(笑)
とにかくこの作品、ジム・ホールさんのギターが良いです。
(ジム・ホールさんは同年、ビル・エヴァンスの「Undercurrent」でも名演を聴かせます。
復帰作ということでロリンズさんに何か新たに特別なものが宿ったという感じはしませんが
心がけたのは演奏して自分がどれだけ気持ちよくなれるかということで
それは無理のないプレイをすることつまり抑制された表現ができた時だと分かり
(そのためにはテクニックを磨くためのさらなる練習が必要だとも悟ったとか(笑)
一人突っ走るではなく、周りをよく観察しながら全体の調和を重視するような気遣いが
ちょっと大人しく感じさせますが、抑制に注力するロリンズさんの意図を組んだ
ジム・ホールさんのギターが作品全体の良いアクセントになっています。
ピアノレスを試していたロリンズさんによるとピアノの和音よりギターの和音の方が
隙間があって触発されやすいと考え、サックス・ギター・ベース・ドラムのカルテットの
セッションで録音することを決めたとのことです。
Sonny Rollins and the Big Brass/Sonny Rollins - 1958.07.11 Fri
[sales data] 1958 (Rec:1958/7/10&11) [producer] Leonard Feather [member] Sonny Rollins(sax) Nat Adderley(cornet) Reunald Jones(tp) Ernie Royal(tp) Clark Terry(tp) Billy Byers(trombone) Jimmy Cleveland(trombone) Frank Rehak(trombone) Don Butterfield(tuba) Dick Katz(p) René Thomas(g) Henry Grimes(b) Roy Haynes(ds) Specs Wright(ds) Ernie Wilkins(arranger/conductor) | Sonny Rollins and the Big Brass/ Sonny Rollins |
ピアノレストリオを演っていたかと思うと今度はアーニー・ウィルキンスさんのアレンジ&指揮で
トランペット、トロンボーン、チューバの7管をバックにしたビッグバンド形式の4曲と
ピアノレストリオ演奏4曲(「Body And Soul」は無伴奏ソロ)を収録したスプリット盤。
ビッグバンド形式の物珍しさはありますが、演奏として聴きごたえがあるのはピアノレストリオの方で、
あり余る才能を自分の満足できる形で音にできない苦悩とでもいうのでしょうか
次の1手のアィディアが浮かばず、ロリンズさんは本盤録音後、数枚のアルバムを録音したあと、
1962年の「The Bridge」まで再び隠遁してしまいます。
Freedom Suite/Sonny Rollins - 1958.03.07 Fri
[sales data] 1958/6 (Rec:1958/2/11&3/7) [producer] Orrin Keepnews Bill Grauer [member] Sonny Rollins(sax) Oscar Pettiford(b) Max Roach(ds) | Freedom Suite/Sonny Rollins |
この頃意地でもピアノレスの変則サックストリオのフォーマットを世間に認めさせたかったのか?
マックス・ローチさんを巻き込んでの1枚です。
(ローチさんを外したサックス&ベースのデュオ演奏も収録されています)
ロリンズ談
「ニグロ文化はアメリカの根深いルーツなのに、そのニグロが残酷な仕打ちで報われてきたのは
何という皮肉か」
更にロリンズさんは歌詞のないインストジャズに社会問題とリンクするコンセプトを持たせるため
人種問題をテーマにしたタイトル曲「自由組曲」は3楽章に別れ、レコード片面全部を使った
20分近くあるのですが、ローチさんの多彩なドラミングのおかげで時間の長さに苦痛を感じず
聴き通せます。
ただ肝心のロリンズさんの訴えたかった人種問題について、大きくスポットが当たることはなく
コンセプトは空回りしてしまったようです。
しかしこのようなことからもロリンズさんは常に新しい音楽の表現方法を模索しており
非常に野心的なミュージシャンだったことが分かります。
A Night at the Village Vanguard/Sonny Rollins - 1957.11.03 Sun
[sales data] 1958/10 (Rec:1957/11/3) [producer] Alfred Lion [member] Sonny Rollins(sax) Wilbur Ware(b) Donald Bailey(b) Elvin Jones(ds) Pete LaRoca(ds) | A Night at the Village Vanguard/ Sonny Rollins |
「Way Out West」で手応えを感じたのか、サックストリオによるライヴ盤。
(夜公演のウィルバー・ウェア&エルビン・ジョーンズのリズム隊によるものが中心ですが
「Night in Tunisia」のみ昼公演のドナルド・ベイリー&ピート・ラロカです。
完全版にはウェア&エルビンの「Night in Tunisia」も収録されているので聴き比べるのも楽しいです。
(afternoon take)
(evening take)
「Way Out West」でも書きましたが、サックストリオの難しいのはベース&ドラムは
リズムセクション以上の役割が求められ、ソロ回しもそれなりに入れて演奏場を厚くして
(新人のエルヴィンさんがロリンズ&ウェア相手にこの重役をこなしているのが驚き)
リードサックスは一人二役以上のソロ展開するためかなりハードな集中力を強いられるため、
長いアドリヴに定評があるロリンズさんは勿論リズム隊もかなりの技術を持っていないと
バンドとして成立しませんが、この盤がサックストリオのライヴ盤として高い人気があるのは
それらの条件を全てクリアしているからだと思います。
他に聴き知っているサックストリオを探してみると同時期コルトレーンさんも
ガーランドさんを抜いたサックストリオで「Lush Life」を録音しているのですが
これは意図したものではなくガーランドさんがバックレてセッションに来なかったための
偶然の産物です(笑)
個人的にこの珍しいサックストリオを初めて聴いたのはスティーヴ・グロスマンさんの
「Stone Alliance 」で
コルトレーン派だったグロスマンさんはロリンズさんのサックストリオにモロに影響をうけ
ロリンズさんの「Way Out West」ならぬ「Way Out East」というライヴを出してますが
サックストリオでコルトレーン流フリージャズを展開した「Stone Alliance 」は
実はロリンズさんとコルトレーンさんの血が流れていたことを発見し、
又興味の点と点で新たな線が結ばれました。
Newk's Time/Sonny Rollins - 1957.09.22 Sun
[sales data] 1959/3 (Rec:1957/9/22) [producer] Alfred Lion [member] Sonny Rollins(sax) Wynton Kelly(p) Doug Watkins(b) Philly Joe Jones(ds) | Newk's Time/Sonny Rollins |
タイトルの「Newk」とはメジャーリーガーのドン・ニューカム選手の愛称で
ロリンズさんはかねてから、顔がニューカムに似ていることをネタにされており、
いつかニューカム選手に捧げるアルバムを作ろうと考えていたようです。
ロリンズさんにしては珍しくジャズの基本中の基本のカルテット編成ですが
一筋縄でいかないのがお約束で「飾りのついた四輪馬車」はサックスとドラムのみの演奏で
とても画期的な試みです。
ウィントン・ケリー、ダグ・ワトキンス、フィリ―・ジョー・ジョーンズと人気セッションマンが
集っていますが、ロリンズさんとの共演という視点でとらえると太いつながりはなく逆に新鮮です。
中でもフィリ―・ジョー・ジョーンズさんが久々にアグレッシヴな太鼓を披露していますが
ロリンズさんはフィリ―・ジョー・ジョーンズさんを高く買っていたそうで
フィリ―・ジョーさんに贈った曲(本番唯一のオリジナル曲)も収録されていたり、
サックスとドラムのデュオ作品みたいで、ブルーノートの名盤揃いの4000番台の
BLP-4001を飾るにふさわしい名演揃いで個人的にはサキコロよりも好きな作品です。
Sonny Rollins, Vol. 2/Sonny Rollins - 1957.04.14 Sun
[sales data] 1957/10 (Rec:1957/4/14) [producer] Alfred Lion [member] Sonny Rollins(sax) J. J. Johnson(trombone) Horace Silver(p) Thelonious Monk(p) Paul Chambers(b) Art Blakey(ds) | Sonny Rollins, Vol. 2/Sonny Rollins |
ブルーノート移籍後のソニー・ロリンズさん第二集。
1956~1957年のロリンズさんのリーダー作品の数は異常な多さなのですが、
その内1枚も駄作がないというクォリティの高さで、その中でもトップランクの人気作品。
ロリンズ、J.J.ジョンソン、ホレス・シルヴァー、セロニアス・モンク、ポール・チェンバース、
アート・ブレイキー
パーマネントなバンドを持たないロリンズさんはお決まりのリズムセクションというものがなく
アルバムごとにリズムセクションが変わる傾向なのですが、本作ではシルヴァー&モンクの両刀を用い
「Misterioso」では驚くことにダブルピアノの共演です。
ロリンズさんは高校時代モンクさんの弟子だったこともあり
「Thelonious Monk and Sonny Rollins」「Brilliant Corner」などでも相性の良さを
聴かせていましたが思ったほど共演作は多くありません。
この作品を聴く限りだとロリンズさんはローチさんよりブレイキーさんとの相性が良いように
感じますが、ある意味ロリンズさんはどんなリズムセクションでも自分のペースに持っていく
強引さが魅力でもあります。
Way Out West/Sonny Rollins - 1957.03.07 Thu
[sales data] 1957 (Rec:1957/3/7) [producer] Lester Koenig [member] Sonny Rollins(sax) Ray Brown(b) Shelly Manne(ds) | Way Out West/Sonny Rollins |
ソニー・ロリンズさんがマックス・ローチさんのツアーに帯同してロサンゼルスを訪れた際に
ウエストコーストのリズム隊と1日で録音した作品。
(「アート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクション」の逆パターンですね)
ジャケットはカウボーイをイメージしており、ドラムのチャカポコで馬の闊歩を入れた
「俺は老カウボーイ」「ワゴン・ホイール」といった西部劇映画のカバー曲を収録した人気作。
ロリンズさんは色々な演奏フォーマットを模索しており、今回のサックス・ベース・ドラム
というピアノレスのサックストリオは非常に珍しく、ピアノが無い分ベース&ドラムは
リズムセクション以上の役割が求められ、ソロ回しもそれなりに入れて場をつなぎ
音の厚みが薄くなりそうなところをロリンズさんのサックス1本の自由闊達な演奏で
穴埋めして聴かせてしまうところがロリンズさんの凄いと言われる所業。
Sonny Rollins Vol.1/Sonny Rollins - 1956.12.16 Sun
[sales data] 1957/3 (Rec:1956/12/16) [producer] Alfred Lion [member] Sonny Rollins(sax) Donald Byrd(tp) Wynton Kelly(p) Gene Ramey(b) Max Roach(ds) | Sonny Rollins Vol.1/Sonny Rollins |
「サキコロ」が大ヒットしたソニー・ロリンズさんがプレステッジからブルーノートに
移籍しての第一弾。
ブラウニーさんを失ったロリンズ&ローチはドナルド・バード&ウィントン・ケリーを迎え
いつもの豪快なイメージではなく「哀愁」というテーマでメンバーと調和しながら
アルバム内容を整えましたというハードバップ丸出しの作品です。
(ロリンズさんがやや大人しい反面バード&ケリーさんは大活躍です)
56~57年頃のロリンズさんは気がふれたように作品を次から次へとリリースしているのですが
これは最初の奥さんと離婚することになり、手切れ金としての大金が必要になったからだと
言われています(苦笑)
ブラウニーさんを失い、奥さんとも別れ私生活はさぞ辛かっただろうと思いきや
恋話の続きですが、文無しのロリンズさんは1957年にルシールさんと付き合うようになり
1965年に結婚し、ロリンズさんが三回目の雲隠れしている間もルシールさんがロリンズさんの
面倒をみ、1971年の復帰後は公式マネージャーとして長年ロリンズさんを支えたということです。
Sonny Boy/Sonny Rollins - 1956.12.07 Fri
[sales data] 1962 (Rec:1956/10/5&12/7) [producer] Bob Weinstock [member] (10/5) Sonny Rollins(sax) Kenny Doham(tp) Wade Legge(p) George Morrow(b) Max Roach(ds) (12/7) Sonny Rollins(sax) Kenny Drew(p) George Morrow(b) Max Roach(ds) Earl Coleman(vo) | Sonny Boy/Sonny Rollins |
多分、ロリンスさんが3回目の雲隠れから再登場したタイミング(1962年)で発売されたと思うのですが
中身は「Tour de Force」にも収録されているボーカル曲を除いたインスト4曲と
「Plays For Bird」未収録曲1曲(The House I Live In)というぼったくりものです。
「Tour de Force」の4曲は重複しているので全く芸がないのですが、別テイクとか
なかったのでしょうかね(苦笑)