Ivory Forest/Hal Galper - 1979.11.01 Thu
[sales data] 1980 (Rec:1979/10/31&11/1) [producer] Horst Weber Matthias Winckelmann [member] John Scofield(g) Hal Galper(p) Adam Nussbaum(ds) Wayne Dockery(b) |
「Rough House」でジョンスコと猛swingを展開していたハル・ギャルパーさんのカルテット物。
この作品はファンの間ではジョンスコの裏リーダー作と言われていたので
結構前に購入して聴いていたのですが、こうやってギャルパーさんのキャリアを一通り追ってから
再聴すると音楽的な理解度はかなり深まりますね。
ギャルパーさんの作品ですから、ジョンスコのアウトっぷりは少し控えめで(笑)
セロニアス・モンクさんのスタンダード曲「Monk's Mood」をギターで演奏してみたり
オクターブ奏法やアルペジオ主体の比較的基本に忠実なジャズギターも披露しています
とはいえナスバウムさんに火を点けられメラメラと燃え上がってくる殻破りなギターも
顔を出しますよ(笑)
Speak with a Single Voice/The Hal Galper Quintet feat Brecker Brothers - 1979.01.15 Mon
[sales data] 1979 [producer] Norman Schwaltz [member] Hal Galper(p) Randy Brecker(tp) Michael Brecker(sax/fl) Wayne Dockery(b) Bob Moses(ds) |
この頃のギャルパーさんはEnjaの他にもSteepleChase、そして本作はCenturyと
複数レーベルから作品を出していますので専属ではなくワンショット契約を強いられていた
厳しい時代だったのかもしれません。
(現在この作品はEnjaが自主原盤として権利を購入しています)
本作はベルリン・ライヴ及びRedux '78と同メンバーによる1978年2月ニューオリンズの
Rosy'sでのライヴ。
時期的にも場所的にも「Redux '78」とほぼ同じですが選曲のダブりはありませんので
セットで聴くとより楽しいと思います。
トニー・ウィリアムスさんとスタジオ録音した「Now Here This」をモーゼスさんの叩きと
比較して聴く楽しみもありますよ(ここでのマイケルさんはトランス状態一歩手前)
そしてゲストに食われっぱなしと思わている多くの皆さん
「Speak with a Single Voice」の「このバンドリーダーは俺だ!」というギャルパーさんの
ピアノの輝きを是非ご堪能ください!
(音源はベルリンライヴのものです)
Redux '78/The Hal Galper Quintet feat Brecker Brothers - 1978.02.15 Wed
[sales data] 1991 (Rec:1978/2) [producer] Hal Galper [member] Hal Galper(p) Randy Brecker(tp) Michael Brecker(sax/fl) Wayne Dockery(b) Bob Moses(ds) |
ほぼ「Reach Out」録音メンバー(ドラムがボブ・モーゼスさんに代わっています)による
クインテット演奏。
同メンバーによる1977年ベルリンのライヴはすでに発売されていますが
本作はたまたまギャルパーさんが物置でこのテープを見つけ1991年に陽の目をみた
1978年2月ニューオリンズ,L.A.オージーズのライヴ録音です。
先にも書きましたが、この頃フュージョン全開だったブレッカー兄弟の4ビートジャズを
聴けるのはハル・ギャルパー作品だけ。
ガーシュインの1曲をのぞき他はギャルパーさんオリジナル。
この頃は作曲家としてターニング・ポイントになった時期と語るギャルパーさん談
「このバンドでもたらされた作曲における目標はオタクなモードのアプローチから
ジェローム・カーン、コール・ポーターやジョージ・ガーシュインといったアメリカの
ポピュラーミュージックの伝統の延長に置くものとなった。」
ちょっと何言ってるかよく分かりませんが(苦笑)
まぁたかだか暇つぶしの音楽ですので、難しく考えず体が反応すれば全て良し!
(動画は1977年ベルリンのものです)
(PS)
ライナー担当の佐藤英輔さんはこれを気にいったら本作の黒人版
ウディ・ショーさんの「ステッピング・ストーンズ」を聴け!と書かれていますので参考まで。
Now Here This/Hal Galper - 1977.02.15 Tue
[sales data] 1977 (Rec:1977/2/15) [producer] Horst Weber Matthias Winckelmann [member] Hal Galper(p) Terumasa Hino(tp) Cecil McBee(b) Tony Williams(ds) |
ギャルパーさんのEnja移籍第一弾となる本作はトニー・ウィリアムスさんの参加作品を
辿って見つけたのですが、他に日野さん、セシル・マクビーさんのピアノカルテットです。
バップよし、モードよし、フリーよしとどんなタイプも弾きこなす実力者と認められているのに
「自分のリーダーアルバムを殆んど共演者に食われてしまった」不運なミュージシャンと
言われることが多いですが、個人的に70年代後半のこの頃は結構個性的だと思うんですけどね。
6曲中5曲がギャルパーさんのオリジナルでマッコイ・タイナー風のゴツゴツした
硬派な音が印象的です。
マクビーさんのベースが縦横無尽に駆け巡り、トニーさんは「これでもかぁ!」と応戦し
そこにギャルパーさんのピアノと日野さんのホーンが自分のタイミングでビシ~っと入っていく。
確かにトニーさんの演奏は知名度も実力も他メンバーより格段に上なのですが
(この頃は丁度V.S.O.Pの活動が本格的になる時期です)
それに圧されっぱなしではないことは明記しておきます。
特にギャルパーさんはゲストに食われるという傾向は確かに多いと思いますが、
この作品ではトニーさんと一緒に演れることが嬉しくて仕方ないという弾け方をしています。
日野さんはこの3か月後にトニー&ロン・カーターさんのリズム隊にジョンスコを加え
「May Dance」を録音します
Reach Out/Hal Galper - 1976.11.11 Thu
[sales data] 1976 (Rec:1976/11/11) [producer] Nils Winter [member] Hal Galper(p) Randy Brecker(tp) Michael Brecker(sax/fl) Wayne Dockery(b) Billy Hart(ds) |
70年代初期、メインストリーム時代ブレッカー兄弟と共演したゲリラバンドなど
アルバム3枚出した後、SteepleChaseというレーベルからリー・コニッツさんと連名で
windows(1975)というアルバムを1枚出したあと再びブレッカー兄弟と共演した作品です。
(リズム隊はウェイン・ドッカリ―&ビリー・ハートさん)
ブレッカー兄弟は1975年に兄弟名義でデビューを果たし、俄然注目を浴びている最中ですが
どちらかというとフュージョン的なプレイが多かったので数少ない純ジャズなセッションが
聴けるという点で楽しみの多い1枚です。
(7曲中5曲はオリジナルでガーシュインの曲を2曲演奏しています)
ギャルパーさんはエレピよりピアノの方がぐっと音が締まって断然いいですね。
ゲリラバンドも一部では高い評価がありますけど、それはブレッカー兄弟あってこそでしたが、
本作もブレッカー兄弟の咆哮は十分凄いのですが、それに冷静に対応するギャルパーさんの
ピアノも聴き応え十分ですよ!
Wild Bird/Hal Galper - 1972.01.15 Sat
[sales data] 1972 [producer] Bob Shad [member] Hal Galper(el-p) Randy Brecker(tp/el-tp) Michael Brecker(sax) Jonathan Graham(g) Bob Mann(g) Victor Gaskin(b) Charles LaChappelle(b) Bill Goodwin(ds) Billy Hart(ds) |
本作はゲリラバンド名義ではありませんが、前作とほぼ同メンバーによる録音で
ブレッカー兄弟は勿論参戦しています。
(全曲ギャルパーさんオリジナル)
楽曲は前作に比べアレンジがスマートになって分かりやすいのだけれども
ギャルパーさんのエレピ演奏に求めたいのはもうちょっと尖がって欲しいというか
メロディよりもリズムに特化して強弱をつけて欲しかったなと。
ハル・ギャルパーさんの作品はリズムを厚くすればもっと違う色になると思っているのは
私だけではないはず。
体がムズムズと反応するのがブレッカー兄弟のリードじゃ誰のリーダー作か分からない(苦笑)
The Guerilla Band/Hal Galper - 1971.01.15 Fri
[sales data] 1971 [producer] Bob Shad [member] Hal Galper(el-p) Randy Brecker(tp/el-tp/flugelhorn) Michael Brecker(sax) Bob Mann(g) Victor Gaskin(b) Charles Alias(ds) Steve Haas(ds) |
ジョンスコとの共演でちょっとだけ興味のあったハル・ギャルパーさんが初期の頃
ブレッカー兄弟と吊るんでいたことを知り、何枚か取り寄せてみました。
60年代にギャルパーさんはチェット・ベイカーさんにリクルートされニューヨークで活躍するようになり
ドナルド・バード、ジョニー・ホッジス、ミルト・ジャクソンなどと共演するうちに
ランディ・ブレッカーさんと知り合い、ランディのデビューアルバム(1969)に参加。
この頃ビリー・コブハムさんやジョンアバさんと「Dreams」で活動していたブレッカー兄弟を
フロントに据え(ギターも「Dreams」のボブ・マンさん)
更にドン・アライアスさんとスティーヴハースさんのツインドラムという編成で
ゲリラバンドと名乗っていたハル・ギャルパーさんのリーダーデビュー作品。
(「welcome To My Dance」1曲を除きギャルパーさんオリジナル)
電化マイルスに触発されジャズが電化していく初期のエレピ作品なのですが
ギャルパーさんはビバップの大波には乗り遅れ、フュージョンには早すぎ、
どんなスタイルでも器用にこなす柔軟性を持ちながら、自身のスタイルや個性を押し出すには
一歩及ばずみたいな評の方なのですが、本アルバムはそれを音にしたような作品です(苦笑)
(殆どのアルバムが豪華なゲストに美味しい所を持ってかれるみたいな・・・)
ブレッカー兄弟はまだ無名の頃ですが、やがてこいつらの時代が来るなという臭いは
プンプンしています。