For Evans Sake/Gordon Beck - 1992.01.15 Wed
[sales data] 1992 (Rec:1991/7&11) [producer] Jack Dejohnette [member] Gordon Beck(p) Didier Lockwood(vl) Jack Dejohnette(ds) Dave Holland(b) | ![]() |
久々に苦手なジャズ鍵盤物シリーズ!
英国を代表するピアニスト、ゴードン・ベックさんは
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1968年マクラフリンと共演したリーダー・アルバム「Experiments With Pops」で
ポップス・ナンバーをストレートなジャズ演奏でカバーして人気を得るも、
ヨーロッパ系ということもあり知名度はイマイチですが、イアン・カー&ニュークリアス、
ホールズワース、、ディディエ・ロックウッドなどと共演し日本ではどちらかというと
プログレファンの方に顔が売れているかもしれませんね。
本作はビル・エバンスさんへのトリビュート作品ということですが、マイルスのカバー1曲の他は
全曲オリジナルです(ディジョネットさんが「Try This」を提供)
ディジョネット&ホランドという鉄壁なリズム隊に曲によってはロックウッドさんが
音花を添えます。
ビル・エヴァンスさん自体をよく知らない上に、ゴードンさんはバップするような
弾けるピアニストではないので、個人的には食いつく箇所がよく分かりませんでした(苦笑)
Live at the Olympia Hall/Didier Lockwood Quartet - 1986.05.15 Thu
[sales data] 1986 [producer] Jean-Marie Salhani [member] Didier Lockwood Gordon Beck(p) Dave Green(b) Kim Plainfield(ds) | ![]() Live at the Olympia Hall |
1986年5月、パリのオリンピアホールでのライヴ。
このパリのオリンピアホールはあのマグマ・ライヴ(1975)で
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ロックウッドが名を挙げた所縁のある場所でもあるので、その話題性をひっかけて
リリースしたものではないでしょうか。
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ゴードン・ベックを迎えての久々のジャズアルバム「Out Of The Blue」のツアーですが
各メンバーのテンションが高く、収録曲はフュージョン~ジャスロック寄りです。
本作のリズム隊の二人はお初なので調べてみると
[キム・プレインフィールド]
ビル・コナーズやポインター・シスターズなどと共演したアメリカのジャズドラマー
[デイヴ・グリーン]
数多くのセッションに参加している英国人セッションマンでチャーリー・ワッツの
ブギウギバンドにも参加しています
ジャズミュージシャンは無名でも実力は凄い人ばかりですよね・・・
この頃のロックウッドは人気が出てからイージーリスニング的な感じになってしまい
ちょっと残念ですが、エフェクターを多用し音を歪ませたり、1弦の極限まで攻め倒す
攻撃性は失っていないようです。
ロックウッドとゴードン・ベックは共演盤も多く、デイヴ・ホランド&ジャック・ディジョネットの
リズム隊による「For Evans Sake」(ビル・エヴァンスのトリビュート盤)という作品もあります。
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尚、ロックウッドは2018年2月に62歳の若さで亡くなりました(合掌)
Fusion/Lockwood, Top, Vander, Widemann - 1981.08.15 Sat
[sales data] 1981 (Rec;1981/8) [producer] J.B Ple Benoit Widemann [member] Didier Lockwood(vl) Jannick Top(b) Chiristian Vander(ds) Benoit Widemann(key/synthe) | ![]() |
ディディエ・ロックウッド、ヤニック・トップ、クリスチャン・ヴァンデ、ブノワ・ヴィデマン
という泣く子も黙るマグマの4人によるスタジオアルバム。
(ただしマグマっぽさは全くありませんのでご注意を)
収録されている4曲は全て4人による共作で誰がバンドのイニシアチブを取っているのか
イマイチ不明。
メンバーの中ではこの頃一番、脂がのっていたのはロックウッドでゴードン・ベック、
トニー・ウィリアムスが参加した「New World」で名声を高め、1980年のモントルーフェスで
ヤン・ハマーとの共演でジャン・リュック・ポンティ並みに一般的な人気を獲得した頃です。
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2002年にヤニック・トップ主催の「Utopic Records」から1980年のライヴ音源が
発掘されましたが、ヤニック・トップ&ヴァンデのベースとドラムがブイブイ言わせるという
構図は同じですが、ライヴに比べるとやや大人しいです。
オリジナル曲が平凡でこれなら4人のインタープレイに特化したセッション物の方が
良かったのではないかと思います。
Paris 80/Fusion(Lockwood, Top, Vander, Widemann) - 1980.12.13 Sat
[sales data] 2001 (Rec:1980/12/13) [producer] Utopic Records [member] Jannick Top(b) Chiristian Vander(ds) Didier Lockwood(vl) Benoit Widemann(key) | ![]() |
マグマのヤニック・トップ主催の「Utopic Records」から2001年にリリースされた
FUSIONの1980年のライヴ。
(Live at Le Riverbop in Paris 1980/12/13)
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トップ、クリスチャン・ヴァンデ、ロックウッド、ブノワ・ヴィデマンとマグマメンバー揃い踏みですが、
マグマのような独創性の高い音楽ではなく、ロックウッドの楽曲が1曲、ヤニック・トップが2曲
その他にヤン・ハマーの「Going Back Home」とトニー・ウィリアムスのライフタイムで
アラン・ホールズワースが鬼弾いた「Fred」のカバーというハードフュージョンです。
往年のマグマファンにはあまり評判よろしくありませんが、ギターレスでリードをベースと
バイオリンとキーボードがとるという変則バンドによる鬼演奏で巷にあふれる
フュージョンのような爽やかさは微塵もない、汗が飛び散る格闘技セッションです。
Live in Montreux/Didier Lockwood - 1980.07.16 Wed
[sales data] 1981 (Rec:1980/7/16) [producer] Joachim E. Berendt [member] Didier Lockwood(vl) Bo Stief(b) Gerry Brown(ds) Marc Perru(g) Jan Hammer(key) Bob Malach(sax) | ![]() Live in Montreux |
1980年モントルーフェスでのライヴ。
このライヴのことをネットで調べていると前作「New World」のドラムがトニー・ウィリアムスだったので
そのままトニーがドラムを叩いていると勘違いして書かれている記事を散見しますが、
(このドラミングを聴いてトニーと勘違いするのもどうかと思いますけど・・・)
ドラムはイレブンス・ハウスのゲーリー・ブラウンです。
どういう経緯で集まったメンバーなのか分かりませんが、このライヴ以外にこの面子での
スタジオ音源がないことからモントルーならではの一発屋プロジェクトだと思います。
メンバー紹介の際、ヤン・ハマーが一際大きな歓声を受けています。
(ロックウッドとヤン・ハマーの共演はこの時だけみたいです)
本当はガムシャラに弾き倒すロックウッドと前に出たがりのヤン・ハマーの気のふれるような
超絶インタープレイを期待していたのですが、それっぽいのは1曲目だけで、
その後はミドルテンポのソフトな曲が続きます。
まだオリジナルの持ち曲が少ないので、断言はできませんがこのライヴを聴くと
メロディ比重を高め、「マグマ」的なプログレやトニー・ウィリアムスを迎えての
「New World」のジャズロックなイメ―ジから脱却し、フュージョンに移行していこうという
雰囲気が伝わってきます。
その意味でもセッションタイプのインタープレイバトルを好むヤン・ハマーとの共演は
これ1回限りだったのかも。
以降、ロックウッドの作風はフュージョン路線になります。
New World/Didier Lockwood - 1979.02.22 Thu
冒頭から断言しますが、
このアルバムは相当格好いいです!
ロック系のバイオリニストを列挙してみるとジャン・リュック・ポンティ、シャンカール、
シュガー・ケイン・ハリス、ダリル・ウェイ、ジェリー・グッドマン、デヴィッド・クロス、
エディ・ジョブソン、リック・サンダース、金子飛鳥、スカーレット・リヴェラなどなど
色々聴いた中でピカ一です!
主人公はロックウッドですが、とにかくトニー・ウィリアムスのドラムが爆発。
走りすぎてマイルスに怒られていた若き日のトニーがここにいます。
マイルスバンド以降フュージョンに転身したトニーのドラムはどうもしっくりこなかったのですが
タイトル曲をはじめスウィングする「これでもか!」の連打にはかなりやられます。
(タイトル曲は5分ぐらいでフェイドアウトしてしまうのが残念ですが20分ぐらい
続けてもらっても構いません(笑)
そしてゴードン・ベック、ジョン・エサリッジ(exソフト・マシーン)、
べ―スのニールス=ヘニング・エルステッド・ペデルセンさんは私はお初ですが
デンマーク人のベーシストでローランド・カークやオスカー・ピーターソン、
フォリップ・カテリーンなどと共演している実力派を揃え脇固めも完璧です。
Jean-Michel Kajdan(日本語読み分からず)とのギターvsバイオリンも聴き応え十分で
ロックウッドは仏のバイオリニストの先輩ステファン・グラッペリとジャン・リュック・ポンティに
大きな影響を受けていますが、エレクトリック・ヴァイオリンはポンティの「キング・コング」を聴いて
使用することになったようです。
ロックバンド編成の中では浮き気味のバイオリンと他楽器の録音バランスが非常によく
久々に隅から隅まで楽しめた作品です。
ロックウッドの代表作にもかかわらず流通数が少なく入手難ですが、
レコード店でみつけたら即買いをお薦めいたします。