Playing Possum(人生はいたずら)/Carly Simon - 1975.04.21 Mon
産後、いきなりエロジャケ復活!
(アメリカのウェブサイト「nerve.com」が2012年に選出した
「最もセクシーなアルバム・カヴァー25」で23位にランク・イン)
ただ有名なエロジャケットに比べて、肝心の音の方の評判はあまり聞いたことがないのですが(苦笑)
今までのフォークロック、ソフトロック路線ではなくR&B、ジャズテイストな楽曲を混ぜた作風で
70年代に興ったS.S.Wブームも終焉を迎え、多彩な分野のミュージシャン同士のクロスオーバーにより
新しい音楽を開拓しようといていた時期の意欲的な作品です。
ストリングスやホーンのアレンジがややくどい感じますが、ママさん歌手になって
尚、パワフルな歌唱でカーリー・サイモンならではの世界を歌い上げています。
Hotcakes Carly Simon - 1974.01.11 Fri
本作はサイモンさんお約束のお色気ジャケットはお休みで、ロングスカートで椅子に座り
にこやかにほほ笑むサイモンさんはこの時、ジェイムス・テイラーとの間に
長女サリー・テイラーさんを授かっておりちょっとお腹辺りがふっくらしています。
(「初めてのベイビー」という曲も収録されています)
テイラーとのデュエット曲「愛のモッキンバード」がヒットしますが、
元曲は「アイネズ&チャーリー・フォックス」が1963年にヒットさせた曲の歌詞を
テイラーが改作したものだそうです。
二人の幸せを祝福するように多くのミュージシャンが参加しており、
デヴィッド・スピノザ、ビリー・コブハム、マイケル・ブレッカーなどフュージョン系の
ミュージシャンも参加しており、クロスオーバー初期の香りも漂います。
No Secrets Carly Simon - 1972.11.28 Tue
レコーディングはサイモンの希望でロンドンのトライデント・スタジオで行われました。
(このアルバムジャケットのサイモンお姉様の胸ポチに性春した純な中高生男子は
多かったことでしょう(笑)
今や大物ですが60年代はキャプテン・ビーフハートやタイニー・ティムといった
キワモノ音楽を手がけていたリチャード・ペリーがプロデュースを担当し
お嬢様気質のサイモンの音楽に不足していたリズムカルな快活さを補完したことで
全米No.1ヒットしたアルバムです。
この頃ペリーは「without you」が大ヒットしたハリー・ニルソンとつるんでいたこともあり
オーケストラアレンジでは同じくポール・バックスターを起用していることもあり
アルバムの作風はニルソンのアルバムと似ており、リチャード・ペリー人脈で集めた
メンバーはクラウス・フォアマン、ニッキー・ホプキンス、ローウェル・ジョージ、
ジム・ゴードン、ジム・ケルトナー、ボビー・キースなどニルソンのアルバムメンバーと
重なっています。
その他のゲストも大変豪華でポール・マッカートニー夫妻、ミック・ジャガー、
ジェイムス・テイラー、ボニー・ブラムレット、ドリス・トロイなどなど
女たらしの男に引っかかり、捨てられた自分を明るく歌い飛ばした
ヒット曲「うつろな愛」は、当初ハリー・ニルソンでレコーディングされていましたが、
最終的にミック・ジャガーがノー・クレジットで参加しています。
恋多き女であるカーリー・サイモンは、この頃ウォーレン・ビーティやミック・ジャガー、
キャット・スティーブンスなどと付き合っており歌詞の最期に
♪
「あんたは、この歌は自分のことを歌っていると思うでしょ。どう?」とあり
「この曲は俺のことを歌った歌だ」とミック・ジャガーがスタジオに乗り込んできた
という逸話もありますが、識者によるとこの曲の相手はウォーレン・ビーティだという説が
濃厚です。
最近(2018年)、同時期に録音したカーリー・サイモンとミック・ジャガーの幻のデュエット曲
「Fragile」がロンドンの起業家マット・リーさんが所有するテープの中から発掘されたことが
ニュースになったので近い内に公式に発売されるのではないかと思います。
尚、本レコーディング終了後の1972年11月、サイモンはジェイムス・テイラーとサクっと結婚します(笑)
Anticipation/Carly Simon - 1971.11.15 Mon
[sales data] 1971/11 [producer] Paul Samwell-Smith [member] Carly Simon(vo/g/p) Paul Glanz(p) Del Newman (horn and string arrangements) Andy Newmark(ds/per) Jim Ryan(g/b) John Ryan(b) |
プロデュースは、元ヤードバーズのポール・サミュエル・スミス。
お嬢様育ちゆえガツガツしたハングリーさがなく、荒井由実が生活臭のする曲をかかなかった
シティポップス制作のお手本になっているのかもしれません、
(北中正和さんが語るデビュー当時のユーミン)
この頃のカーリー・サイモンのライヴ映像を見ると、シースルーで御御足が透けるジャケットのように
生足美脚の大胆な露出を武器としており、ピアノやギターを弾く時に不自然に生足を魅せつける演出が
数多くあり、カーリー・サイモンでさえ売れるために森高千里のようにお色気プロモーションを
やっていたことがあったんですね(笑)
Carly Simon/カーリー・サイモン - 1971.02.09 Tue
父親は米国の大手出版社「サイモン&シュスター」創業者のリチャード・L・サイモンさんで
かなり裕福な家庭に育ったサイモンは姉のルーシーとの「サイモン・シスターズ」を結成(1964)
資料が少なく活動の詳細が分からないのですが、歌う叶姉妹?みたいな感じでしょうか。
本作は1971年のソロ・デビュー作。
プロデュサーはジミヘンでお馴染みのエディ・クレイマーで
録音もエレクトリック・レディ・スタジオで行われています。
(elektraのプライオリティアーチストであることは参加ミュージシャンの顔ぶれを見れば
わかります)
カーリー・サイモンが他のSSWと決定的に違うのは、裕福な家庭で生まれ育った環境のため
当時の不安要素な若者の気持ちを代弁するような内省的な時代を反映した曲が少なく
全体的に前向きで明るい曲が多いです。
シングル「幸福のノクターン」がヒットし、同年のグラミー賞最優秀新人賞を受賞。
最近のポップスは社会的な時事ネタを含まない「重みのないふわっとしたブログネタ」が
一般的なのでその先駆けの作品と言えるかもしれません。