森の食堂 ア・ラ・カルト 暴動
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森の食堂 ア・ラ・カルト

フランスの片田舎で、四季の食材を使った料理を楽しみながら、森の動物とネコ達と暮らす日々を綴ったブログです。

2023.07.03.Mon

暴動

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車を運転中に職務質問受けた17歳の少年が、警察官に射殺された事件。それを発端に、各地で激しい暴動が起きているというニュースをご覧になった方もいらっしゃると思います。幸い私の住んで居る所で、そういった暴動は起きていません。

車が焼かれたりお店の商品が略奪される映像を見ると、フランスはいったいどうなってるのかと思われる方も多いと思いますが、今回の暴動を起こしたのはごく限られた若者たちです。

2015年のパリ同時多発テロ以来、警察官が発砲をする規制がゆくるなったこともあり、職務質問を振り切ろうとして銃で撃たれて死亡するという事件が、度々起きるようになりました。

今回、亡くなった少年も、25分間のあいだ街中を逃走したのち、追跡した警察の制止も聞かずに更に逃げようとしたところを、銃で撃たれ死亡しました。無免許運転でした。
麻薬を吸引していた可能性もありますし、さらに逃走して大事故に発展していたかもしれません。発砲した警察官を一方的に責めることはできません。



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始まりは撃たれて死亡した少年と、その家族を悼むデモだったのが、貧困層が多く暮らす町での暴動につながり、街での略奪、放火、破壊というものに発展していきました。参加しているほとんどがフードを被った未成年の若者で、火炎瓶を作って1000台以上の車を燃やしたというのですから、なんとも恐ろしい話です。

実は、こういった暴動は何年も前から繰り返されていて、毎年大晦日には1000台前後の車が燃やされているというのがフランスの現状です。
2015年、フランス各地で940台の車が燃やされる

ここでで暮らしていて「治安が悪くて外を出歩くのも怖い」と感じたことは今まで一度もありませんが、確かに日本よりは危険が潜む国であることに間違いありません。


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1900年前半に起きた世界大戦後の労働力不足を補うために、たくさんの外国人労働者がスペイン、ポルトガル、アフリカ諸国等からフランスに流入してきました。問題を起こすほとんどの若者のが、その移民2世3世であり、フランスが抱える移民問題の根深さを改めて考えさせられます。

日本の学校では勉強以外の行事、例えば遠足、体育祭、文化祭、学校の清掃等で共同生活の大切さを学ぶことができますが、フランスにはそういったものがありません。学校の掃除は雇われた掃除夫がやっくれますし、入学式や卒業式という改まったものもありません。

豊かで便利な社会になると同時に、住民同士が助け合って生きるという機会が減り、見えない所では格差が広がるばかりで、倫理や道徳を教育をする機会が、少なくなっているのではないかという気がします。

7月14日はフランス革命記念日ですが、例年通り祝賀ムードで行われるのかどうか心配です。


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