「17歳の肖像」大人でもない、子供でもない…。 : シネマ親父の“日々是妄言”
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「17歳の肖像」大人でもない、子供でもない…。

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 “アカデミー賞・主要3部門(作品賞・主演女優賞・脚色賞)ノミネート”をはじめ、世界で数々の映画賞を受賞した本作。「17歳の肖像」(ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント)。1960年代のイギリスを舞台に、多感な少女の成長する姿を、瑞々しく描きだしています。


 1961年、ロンドン郊外の街に住むジェニー(キャリー・マリガン)は、成績優秀な16歳の普通の高校生。パリに憧れ、シャンソンのレコードを聞き、楽団でチェロを弾き、友人とのお喋りに花を咲かせても、退屈な日常に満たされない何かを感じていた。父親のジャック(アルフレッド・モリーナ)は、ジェニーをオックスフォード大学へ進学させることに躍起になっていて、ジェニーはそんな父親に反発を感じていた。或る日、楽団の練習帰りにドシャ降りの雨の中、傘もささずにバスを待っていたジェニーの前に、1台の車が停まる。そして中から見知らぬ大人の男性が、ジェニーに声を掛けた。。『君のチェロが心配だ。チェロだけ載せるから車の脇を歩いて』これが、ジェニーとデイヴィッド(ピーター・サースガード)の初めての出会いだった。この出会いの数日後、偶然街で再会したジェニーを、デイヴィドは音楽会に誘う。ジャックが許すはずがないと思っていたジェニーの目前でデイヴィッドは、堅物の父親から巧みな話術で、許可を取り付けてしまう。この時からジェニーは、デイヴィッドが見せてくれる、これまで知らなかった“大人の世界”に魅了されていく…。

 なるほど、確かに“大人の階段のぼる、少女の成長物語”としては、非常によく出来た映画だったと思います。10代半ばの“なんとも言えない多感なお年頃”には、若さゆえに説明のつかない不満や、理想と現実のギャップ、そして大人の世界への憧れといったものを、日々常に抱いてしまうモノです。男女の違いはあれ『吾輩もそうだったな~』と、映画を見ながら何度も軽く頷いてしまいました。大人の世界にすっかり魅了されていくジェニー。あそこまで極端なことをいきなりやってしまうのは、どうよ?とは思いましたが、その心情は、すごくよく理解できました。まあ、現実に吾輩が過ごした青春時代は、映画のように劇的なものではございません(ええ、ごくごく平々凡々とした日々のくり返し(^^;)でしたが…。
 共感は持てましたが、吾輩ストーリーには思いっきりツッコませていただきました。『おいおい、パパ、ママ!もっとしっかりせんかい!!』娘が悪い方へ踏み出しかけた時、それを矯正してやるのが親の務めでしょ!それがこの映画では、一緒になって…いやむしろ積極的に騙されちゃってるんです(いや、そりゃ知らないうちにですけど)よ。惨めなまでに、浮き足立っちゃって。小娘が騙されるのは、人生経験の少なさからしかたがないとしても、大人であるアンタ達がそれではアカンやろ!ってね。まあ、人間誰もがそういう“騙される”という素養は持ち合わせていると思いますので、偉そうなこと言っている吾輩も注意しないと(『明日は我が身』って、言いますモンね)とは思います。あんまり詳しく書いちゃうと≪ネタバレ!≫になっちゃいますが、オチがそんなことなモンで、しかもそれが『え~!そんなご近所って…(>_<)』という驚愕の展開に、思わず吾輩嘆いてしまいました。自業自得とは言え、あまりにもジェニーが哀れでカワイそうでしたわ。

 この映画、原題は「AN EDUCATION」=“教育”です。内容から考えますと、何とも皮肉と言いますか、色んな意味を含んだ結構辛らつなタイトルですね。吾輩今回は、邦題の方がいいな~と感じました。何かこの映画の世界観を、一言で表現しているように思いましたので。うん、最近ではなかなか珍しい(?)ことですよね。

 “新星”キャリー・マリガンは、確かにこの映画で輝いていました。彼女、実年齢は24歳(撮影当時22歳)と、役より相当年上なのです。実は吾輩はこの点を見る前から非常に不安に感じておったのですが、実際に見てみますとこれが“背伸びして大人の世界に飛び込む17歳”というジェニーの役柄に、ピタリとうまくハマッていた気がします(作中何度か、『う~ん、ちょっとシンドイか??』と思った箇所があったのも事実ですが…(^^;)。聞けば彼女、私生活ではシャイア君とラブラブなんだそうで、しかも次回作「ウォール・ストリート」では、彼と仲良く共演しちゃってるそうです。賞もいっぱい獲れたし、これからの女優人生も先ずは順風満帆といったところですね。今後の彼女の活躍に、注目です!


 「17歳の肖像」は、ただいま関東地方で上映中(まだコッチではやってません!(>_<)。5月以降、全国順次ロードショー(ちなみに京都は5/8~)です。“大人でもない、子供でもない”多感な年頃の少女のほろ苦い成長記と、“新たなスター候補女優”誕生の瞬間を、あなたも是非!映画館でご覧ください。


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by mori2fm | 2010-04-20 21:25 | 映画評 外国映画 サ行