ミスター・ノーバディ (2009 フランス・ドイツ・ベルギー・カナダ)
MR. NOBODY
監督: ジャコ・ヴァン・ドルマル
製作: フィリップ・ゴドー
製作総指揮: ジャン=イヴ・アスラン
脚本: ジャコ・ヴァン・ドルマル
撮影: クリストフ・ボーカルヌ
美術: シルヴィー・オリヴィエ
衣装: ウラ・ゴーテ
編集: マティアス・ヴェレス
スーザン・シプトン
音楽: ピエール・ヴァン・ドルマル
出演: ジャレッド・レトー ニモ
サラ・ポーリー エリース
ダイアン・クルーガー アンナ
リン・ダン・ファン ジーン
リス・エヴァンス ニモの父親
ナターシャ・リトル ニモの母親
トビー・レグボ 15歳のニモ
ジュノー・テンプル 15歳のアンナ
クレア・ストーン 15歳のエリース
トマ・バーン 9歳のニモ
オードリー・ジャコミニ 15歳のジーン
ローラ・ブリュマーニュ 9歳のアンナ
アラン・コーデュナー フェルダイム医師
ダニエル・メイズ 若いジャーナリスト
マイケル・ライリー ハリー
ハロルド・マニング テレビの司会
エミリー・ティルソン イヴ
ロリーヌ・スキーアン ジョイス
アンダース・モリス ノア
パスカル・デュケンヌ ヘンリー
ノア・デ・コスタンツォ 5歳のニモ
キアラ・カゼッリ クララ
「トト・ザ・ヒーロー」「八日目」のジャコ・ヴァン・ドルマル監督作。
西暦2092年。
医学の発達で不老不死の世界。
世界最高齢118歳の人間の老人ニモは、まもなく死を迎えようとしている。
そんなとき、彼のもとに、記者が訪れ
彼の過去を録音したいと申し出る。
語り始めるニモ・・・
感想
舞台は未来社会。主人公のニモは118歳。そして間もなく人生を終えようとしている。
そんなニモが語る過去の話というのが、この映画の大筋。
ただし、この過去が、一筋縄ではいかないもの。
ニモが死んだと思ったら生きていたり、様々な女性と結婚していたりと・・いろんなバージョンの
人生が繰り広げられるわけ。
ポイントとなるのは、選択。
もしあのとき・・こちらを選べば・・・どうなっていたか・・・という
誰もが考えるようなことを実際に形として表してしまっているんだよね。
一体どれが本当なのか・・の
答えは用意されていないの。
各自がニモの本当の人生はいったいどれだったんだろうと思いながらも
一方では、その全てがニモの人生でもあるのだろうと
納得さえしてしまう・・・
決めつけなくてもいいんじゃないのかな・・・って思ってしまう。
それは
ニモがラストで語る
「人生は他のどんなことも起り得ただろう。それらには同等の意味があったはずだ」(テネシー・ウィリアムズ)
言葉があるから。
年老いたニモがいる世界は未来でしょ?
恋もないし、セックスもないし、死ぬこともない・・・
でもニモの語る人生の様々なバージョンには
それらすべてがぎゅうぎゅうに詰まっている・・・
生まれて死ぬまでの間、
様々な出来事が自分を取り巻き、その出来事全て
豊かでもあり、せつなくもあり、悲しくもあり
でも・・振り返ってみると、とっても魅力的なものになっている・・
話を聞く、新聞記者には到底味わえないようなものだと思うの。
そんな人生の奥深かさをしみじみと観たあとに感じる・・・
そんな映画だったんじゃないのかな・・・って
思いました。
と・・・簡単にまとめてしまうと
わざわざ買って何度も観たわりにはということになるので
・・・・・笑
もう少しだけ内容踏みこんで書いちゃおうかな。
ニモの人生の転機は
9歳
両親の離婚で、父親についていくのか、母親についていくのか迫られます。
まず、大きく1と2に分けられます。
1・・母と暮らす場合→アリスと出会う
→アリスに泳げないという→アリスと仲良くなれる・・・①
→アリスにクラスの皆は馬鹿だから泳がないという→アリスは別の人とそ の後結婚②
大好きなアリスとの会話の受け答えでも、①、②と、人生は変わってしまうわけです。
①のその後として・・・ →アリスと異父兄妹となる
→親の離婚→アリス別れ、再会?③
→結婚して子供もでき幸せな家庭→ニモ海に落 ちて死?④
さらに、アリスと恋をしたとしても必ずしも順調な世界が待ち受けているとは
限らず、③、④の人生もあり・・・ってことになります(ここら辺は不確か)
これと同じように
2・・・・父親と暮らす場合もあります→エリースと出会う
→手紙を渡さない→バイク事故ニモ死?⑤
→手紙を渡す→エリースと結婚⑥
→エリースに振られジーンと結婚⑦。
父親と暮らす場合は、アリスはニモの前にも出てきません(すれ違うのみ)
そのかわり意中の女性は、エリースとなりますが、こちらはニモの片思い。
エリースは他の人を思っているために、自らの精神が壊れていきます。
また、エリースへ、恋心が届かない場合、
ジーンと結婚という道も発生します。そのかわり、こちらは、気持ち的にはジーン大→ニモ小です。
ニモはエリースを思いながらの結婚ですからね(ちょっとジーンが可哀想)
こうやって、いろいろと枝分かれして
最終的には12通りほどあるようですが、(火星バージョンも入るのでしょうか)
それを整理しても頭が痛くなるのでここまでで・・・・笑
この様々な人生のパターンが順番通りでなく、あっち行ったり、こっちったり、たまには戻ったりと
入り組んだ形で紹介されていくのですが
ごちゃごちゃにならないように、ちゃんと編集されているのはさすが~~~。
工夫としてはこんな感じで・・・
3人の女性たちは
それぞれ赤・・アリス
青・・エリース
黄色・・ジーン
と色分け。
わかりやすいです。
ちなみに、アリス★相思相愛
エリース★ニモの片思い?
ジーン★ジーンの片思い?と
気持ちの面でも、分かれております。
とはいうものの、
わかりづらい映像もあったり・・するんですよね。
それは、34歳のニモ・・
黒白のチェックベストを着たニモが走り回る世界観・・
同じようなパターンの人がたくさんいる世界ね。
そこでは
別の母親がいて
すでに違う子供(監督の別作品にも出てくる方ね)と生活していたり・・する。
人生の転機は9歳ではあるのだけれど、
この34歳のニモにもなんらかの意味があるんじゃあないのかな・・と思ってしまいます。
34歳以降の記憶がないことだし・・・
118歳のニモがお医者さんに言われて過去を思い出すときも
一旦、34歳のチェックベスト世界に入り込んで
それから大きく過去にさかのぼるからね。
また、あの未来の医者も、私のところに来たとき…と言っていたのが
34歳ぐらいだったようだしね。
この物語は未来世界の118歳のニモが振り変える過去ともとらえることが
できるけれど、
逆に9歳のニモが描いた未来の世界
(選択をしなければすべての可能性が残るといっていた
ニモだからその可能性が映像となった?・・・)
もしくは34歳のニモが描く未来の世界
(15歳のニモは予言ができる、小説も書いていた・・
それにチェックベストの34歳のニモが118歳のニモとテレビ電話で 話すシーンから考えて)
と、いろんなケースを想像し、
2度目では
ああかも・・・こうかも・・・という
深い鑑賞ができました。
結局、どう感じとっても
かまわないのかもしれませんね。観る人の感性に任せる・・って感じで☆
例えば
自分の人生を振り返って
私だったら・・・って想像しても面白いだろうし・・・
何度も
何度も死んだと思ったら生き変えるような展開を観ながら
世界はひとつでなく
もっと沢山あって、複数の自分が存在しているのかもしれないと・・・想像してもまたよいですしね。
ラストの時間逆回りシーンも
不思議な感覚で観てしまいますよね。
どんなことを感じましたか。
ブラビの映画じゃあないけれど、
戻るっていう
時間感覚もまた、あるかもしれないな・・・って思ったり、
ああやって死んでもまた生き返るなんて場面観ていると
死ぬこと自体、そんな問題でもないように感じてしまうような・・・
いろんな解釈をし、
楽しむことができるのが一番。
ところで
映画でよく出てきた
バタフライ効果・・・・「ほんの些細な出来事の差が、やがて大きな結果の違いをもたらす」
これは、バタフライエフェクトで散々勉強したけれど・・・・笑
この映画でも効果的に使われていて
ますます興味をもってしまいました。
失業中のブラジル人が卵をゆでたから・・・・
→アンナの連絡先が消えてしまった
→アンナとの再会がなくなってしまうという事実に繋がるなんて誰が想像できる?
・・・そう考えると
自分のちょっとした行動ひとつで世界が変わってくるともいえて
恐ろしさを感じたりしますね。
お~~と話がどんどん広がってしまうのでこの辺で。
是非、この映画を見た感想
教えて頂きたいです。
↑15歳のニモ。トビー・レグボと
15歳のアンナ ジュノー・テンプル。彼女は「つぐない」の子でしょ?「つぐない」よりもず~~と良い☆
子役ちゃんはみんな可愛かったけど、とくにこの15歳の2人は瑞々しくってお気に入り。
特に男の子。素敵ね☆
↑こちらは青年のニモね☆
ジャレッド・レトー・・・彼も素敵よ