D.ゲリンガス:ハイドン チェロ協奏曲1番、2番 
2013/09/21 Sat. 15:06 [edit]
ハイドンのチェロ協奏曲からはしばらく離れていて、新盤を買うのは久しぶり、せっかくなら名演をと、Daisyさんお薦めのダヴィド・ゲリンガスのチェロ協奏曲1番と2番です。名盤にもかかわらず発売終了となっていたが、タイミングよくオークションに出ていました。
CANYON Classicsの録音は、演奏会場に居るような立体的な音場が広がり、オケ、ソロともに潤った響きの中に輝く芯(倍音)が聴こえ、録音の世界から生の世界に近づいた感がある。ゲリンガスの使うガダニーニのチェロはハイドンの時代に作られた名器だそうで、中域から高域までふくよかに味わいを帯びた響き、低域はよく乾いた透明な音でブリッジ付近を弾くアタック音が余韻をもって心地よく鳴る。
ゲリンガスはソロと指揮をしているが、演奏は特異なものでなく、古楽研究も含め洗練され続けてきた演奏史が反映した現代的なものと思う。確実なテクニックで美しいソロ、アンサンブルはゲリンガスの覇気を感じ取り、音楽的にぴたり一体化している感じを受ける、チェコ・フィルハーモニー室内Oの技量も見事。
ハイドン
チェロ協奏曲第1番ハ長調Hob.Ⅶb-1
チェロ協奏曲第2番ニ長調Hob.Ⅶb-2
交響曲第13番、第二楽章
ダヴィド・ゲリンガス:チェロ&指揮
チェコ・フィルハーモニー室内O
1993年、CANYON Classics
第1番、ハイドン30歳頃、オルガン協奏曲第1番に近い健康的な明るさをもつ作品。
第一楽章は速めのテンポで快活さに浸らせる、充実した響きを聴かせ、フレーズの終わりをすっとクールダウンして涼しげに閉じる上品なまとめ方、覇気をもってぐいぐい進むゲリンガスにオケは見事同調している。展開部の短調となった感傷的な味わいも良いが、再現部に戻る明るさを取り戻すところがまたいい。
第二楽章は弦楽の清々しい主題に始まる、ソロは強弱の陰影が立体的な味わい、短調の中間部は情熱的に聴かせる。
第三楽章、ここも速いテンポをとり、白熱の演奏、ゲリンガスは鍵盤的とも思える素早い音形を切れ味よく完璧に弾き切り、ほぼ休みなく弾き進むソロと間髪をいれず同調したオケが引き付けてやまない。技巧的なボッケリーニのチェロ作品を彷彿させる。
第2番は全楽章、旋律美の曲でもある、適切なテンポで、存分に歌わせ、同時に整った様式感で引き締める。
第一楽章のふんわりとした入り、切り立った音形も聴かせる前奏、ソロはゲリンガスの楽器がとびきりの美音で歌う。自然の成り行きのように装飾もちょっと入れる。オケは重すぎず軽薄でなく良い量感。ソロの展開部での情感、覇気がいい。ソロが終わりオケパートが引き継ぐところの解放感もいい。
第二楽章、言葉で囁きかけるようなソロ・チェロ、じっくり味わうのみ。
第三楽章、優しく始まるロンド主題、ソロは技巧の聴かせどころで、あらゆる技巧が入る、重音奏法もあれば力強く切り立った低音の後に愛らしい高音を弾いたり、音色の対比も十分聴かせる。ゲリンガスは名器を用いて存分に聴かせる。
最後に交響曲第13番の第二楽章、反復では弦楽伴奏をピチカートに切り替えて変化をつける。
全曲(★★★★★)です!
CANYON Classicsの録音は、演奏会場に居るような立体的な音場が広がり、オケ、ソロともに潤った響きの中に輝く芯(倍音)が聴こえ、録音の世界から生の世界に近づいた感がある。ゲリンガスの使うガダニーニのチェロはハイドンの時代に作られた名器だそうで、中域から高域までふくよかに味わいを帯びた響き、低域はよく乾いた透明な音でブリッジ付近を弾くアタック音が余韻をもって心地よく鳴る。
ゲリンガスはソロと指揮をしているが、演奏は特異なものでなく、古楽研究も含め洗練され続けてきた演奏史が反映した現代的なものと思う。確実なテクニックで美しいソロ、アンサンブルはゲリンガスの覇気を感じ取り、音楽的にぴたり一体化している感じを受ける、チェコ・フィルハーモニー室内Oの技量も見事。
ハイドン
チェロ協奏曲第1番ハ長調Hob.Ⅶb-1
チェロ協奏曲第2番ニ長調Hob.Ⅶb-2
交響曲第13番、第二楽章
ダヴィド・ゲリンガス:チェロ&指揮
チェコ・フィルハーモニー室内O
1993年、CANYON Classics
第1番、ハイドン30歳頃、オルガン協奏曲第1番に近い健康的な明るさをもつ作品。
第一楽章は速めのテンポで快活さに浸らせる、充実した響きを聴かせ、フレーズの終わりをすっとクールダウンして涼しげに閉じる上品なまとめ方、覇気をもってぐいぐい進むゲリンガスにオケは見事同調している。展開部の短調となった感傷的な味わいも良いが、再現部に戻る明るさを取り戻すところがまたいい。
第二楽章は弦楽の清々しい主題に始まる、ソロは強弱の陰影が立体的な味わい、短調の中間部は情熱的に聴かせる。
第三楽章、ここも速いテンポをとり、白熱の演奏、ゲリンガスは鍵盤的とも思える素早い音形を切れ味よく完璧に弾き切り、ほぼ休みなく弾き進むソロと間髪をいれず同調したオケが引き付けてやまない。技巧的なボッケリーニのチェロ作品を彷彿させる。
第2番は全楽章、旋律美の曲でもある、適切なテンポで、存分に歌わせ、同時に整った様式感で引き締める。
第一楽章のふんわりとした入り、切り立った音形も聴かせる前奏、ソロはゲリンガスの楽器がとびきりの美音で歌う。自然の成り行きのように装飾もちょっと入れる。オケは重すぎず軽薄でなく良い量感。ソロの展開部での情感、覇気がいい。ソロが終わりオケパートが引き継ぐところの解放感もいい。
第二楽章、言葉で囁きかけるようなソロ・チェロ、じっくり味わうのみ。
第三楽章、優しく始まるロンド主題、ソロは技巧の聴かせどころで、あらゆる技巧が入る、重音奏法もあれば力強く切り立った低音の後に愛らしい高音を弾いたり、音色の対比も十分聴かせる。ゲリンガスは名器を用いて存分に聴かせる。
最後に交響曲第13番の第二楽章、反復では弦楽伴奏をピチカートに切り替えて変化をつける。
全曲(★★★★★)です!
category: F.J.ハイドン
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