流産、死産、夫の裏切り、離婚を乗り超えて。 6歳で手術を受ける、娘へ。
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※前回からの続きです。



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当時、娘は5歳でした。
(誕生日をまたぐため、手術を受ける時には6歳)
まだまだ小さな子供とは言え、
もう色々なことが理解できるようになっていました。
そんな娘に対してきちんと説明すべきなのか、
それとも恐怖心を与えないようにうまくごまかすべきなのか。
親として何が正解なのかと、しばらく悩みました。
そして悩んだ結果、私が出したこたえは、




「ごまかさずに、全て正直に話そう。」



ということでした。
なぜそう決断したのかと言うと、




子供に嘘をついてはいけない。
嘘をつくと、親子の信頼関係を失ってしまう。





という話を思い出したから。
昔にどこかで読んだことがあるのです。
例えば予防接種を受けに病院に行く前に
「注射は痛くないよー。」なんて嘘はついたら駄目だと。

痛いけれど痛いのはすぐに終わる事、
体のために注射が必要である事を、
たとえ小さな子供でもきちんと説明する必要がある。
そうしなければ信頼関係を失ってしまうのだと。


だから手術のことも、
適当にごまかして話してはいけないなと思ったのです。
娘の性格を考慮しても、きっとこの子ならじっくり話せば理解できるし、
彼女なりに受け止めることが出来るだろうとも思えました。




ところがいざ娘に話をしようとしたところ、
予想外の展開が待っていました。




「〇〇ちゃん、手術って何かわかる?」


と話しかけたところ、


「うん、わかるよ。お腹のいところを切るんでしょ?」


という返事が返ってきたのです。
手術では自分のお腹をることになるのだと、
私が説明する前から、娘はすでに理解していたのでした。



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そこで思い出したのです。
紹介状を持って初めて総合病院を受診した日に、
すぐに鼠経ヘルニアだと診断がくだり、
手術が必要であることを説明されました。
術式が2通りあるため、先生がイラストを描きながら
それぞれの特徴を説明をしてくださって、
その場でどちらで手術を受けたいかの回答を迫られたわけですが…、


当然ながら、娘もその場にいたのですよね。
正直、「娘の前でこんな話…」と少々気にはなったのですが、
娘は椅子をくるくると回して遊んでいたりして
あまりこちらの話に集中している様子でもなかったのです。


でもやっぱり聞いていたのだなぁと。


娘が「いところを切るんでしょ?」と言ったけれど、
確かに主治医がお腹のイラストを描き、
切開する箇所を赤いボールペンで印をつけていました。
椅子で遊んでいる素振りを見せながらも、
実はしっかりと聞いていたし、見てもいたのだなと。


やっぱりそうだよなぁと。
子供って大人が思っている以上に、しっかりしている。
自分が子供の時もそうだったもんなぁ。
私は“子供らしくない子供”で、おそらく一般的な子供よりも勘が良く
色んなことを感じ取ったり理解していました。
周りの大人の微妙な表情から考えていることがよく解ったし、
それこそ嘘もすぐに見破れちゃうような子でした。
今思えば、それらはHSP気質に由来していたのだろうけど、
娘も同じ気質を引き継いでいるような気がしていたんだよなぁ…。



ところで、娘は自分のお腹を切ることになると知っていたのに、
「怖い」だとか「嫌」だとか、そんなことは一切言いませんでした。
もう本当に、まるで自分の子供の時を見ているようで胸が痛みます…。
私もそうだったから。
周りの大人を困らせるようなことを言ってはいけないと、
幼少期からすでに自己犠牲の精神が培われていた私。


もしかしたら娘は、
あの日から恐怖心や不安な思いを
たった一人で抱えていたのかと思うと、胸が痛みます。


入院のことと、手術のこと。
嘘はつかずにきちんと説明をした上で、
心の中にある不安をちゃんと取ってあげようと心に決め、
私は話し始めました。






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2023.08.17