経済産業省 「企業情報開示のあり方に関する懇談会 課題と今後の方向性(中間報告)」を取りまとめ (2024.06.25)
こんにちは、丸山満彦です。
経済産業省で今年の4月に企業情報開示のあり方に関する懇談会が設立され、議論されてきたわけですが、課題と今後の方向性についての中間報告が公表されていますね...
サステナビリティ関連情報の開示等に意識がいっているような感じですね...
法定の有価証券報告書、コーポレート・ガバナンス報告書でもサステナビリティ関連の開示が充実してくるようになったことに加えて、任意の統合報告者やサステナビリティレポートを作成・公表する企業が増えていて、企業開示の全体像が見えにくかったり、記載内容の重複だったり、形式ていな記載だったりで、その利用が適切に行われていないのではないかといった課題があるとは思います。一方、作成コストもバカにならないと...
ということで、企業、投資家、学識経験者が集まって、諸外国企業との比較を通じて、日本企業の情報開示の現状を確認し、目指す方向性についての議論をしたようですね...
野村総合研究所の三井千絵さんも参加されていますね...
企業に関する情報というのは、その企業を知ろうとすればするほど、企業固有の事情を説明できるような情報・データが必要となり、他企業との比較可能性が困難になります。一方、他企業との比較可能性を高めようとすればするほど、一般的な形式情報が増え、その企業を深く理解する情報・データが少なくなります。
個人的には、文書を作っていくという報告書的なものから、データを中心にした分析的な報告書(その企業を深く理解するための報告書。企業間比較がしやすいような報告書がデータを中心に作成されていくイメージ。)で、イメージ案2に近い感じですね。。。
紙で読むというよりも、ウェブ等で読むことが前提の報告書のイメージ...モジュール化という話もでたようですが、そんな感じですね...
それと、報告書がデータから自動的に作成されるようになれば、監査の対象もデータについてと、表現についてに分けて考えることもできるかもですね...監査の意義ややり方も変わるかもですね...
イメージ案2については、現状と異なるので、その移行が課題になりうるのですが、そういうのはいっときの話なので、できる限り短期間にやってしまうように準備をしてやってしまうのでしょうね...(でないと、移行期間中の重複開示、あるいは、比較可能性の減少が生じて社会的なコストが大きくなるので)
ちなみにイメージ案2
ついでにイメージ案1
● 経済産業省
・2024.06.25 「企業情報開示のあり方に関する懇談会 課題と今後の方向性(中間報告)」を取りまとめました
近年、企業の情報開示は、その量が増加傾向にあることに加えて、特に我が国においては、任意の報告書なども含めて、様々な媒体(有価証券報告書、事業報告・計算書類、統合報告書等)を通じた進展が見られます。こうした進展の一方で、日本企業の情報開示については、開示体系の複雑性や、開示内容の充実化の必要性、開示量の増加に伴う課題などについて国内外から指摘されています。
投資家等との建設的な対話・エンゲージメントを通じて、持続的な企業価値の向上を目指していくためには、投資家等の特性に応じた開示の検討を含め、企業・投資家等の双方にとって効率的かつ効果的な開示の在り方を検討することが必要と考えられます。
こうした問題意識を踏まえ、本懇談会では、諸外国企業との比較を通じ、日本企業の情報開示の現状を確認した上で、主に、(1)開示体系、(2)サステナビリティ情報を含めた企業価値向上に資する情報開示という二つの観点から、日本企業の情報開示の課題と将来の方向性について議論してきました。今般、これまで3回の議論の結果を中間報告として公表します。
・[PDF] 企業情報開示のあり方に関する懇談会 課題と今後の方向性(中間報告)
目次...
I. はじめに
II. 日本企業の情報開示に関する課題等
1. 企業価値向上に資する情報開示の内容・質に関する課題
① 有価証券報告書
② コーポレート・ガバナンス報告書
③ 統合報告書
2. 企業情報開示の体系に関する課題
① 開示書類間の記載内容の重複について
② 有価証券報告書と統合報告書の使い分けの実態と課題について
③ 各報告書の一本化について
III. 新たな情報開示のあり方に関するアイデア等
1. グランドデザイン
2. イメージ案 1:法定開示と任意開示の役割分担
3. イメージ案 2:二層構造の開示体系
4. イメージ案 1・2 に共通するポイント
① 事業報告等、有価証券報告書とコーポレート・ガバナンス報告書の一体開示
② 定時株主総会前の一体書類の開示
③ 英文による情報開示
④ XBRL 化
5. 将来の企業情報開示に関する議論
① 目指すべき開示体系
② イメージ案 2 の課題
③ 新たな開示体系への移行(企業規模等に応じた情報開示)
④ その他の論点
IV. おわりに
そのた関連情報
● まるちゃんの情報セキュリティ気まぐれ日記
ESG, CSR 関係...
情報開示関係...
・2024.06.09 金融庁 コーポレートガバナンス改革の実践に向けたアクション・プログラム 2024
・2024.06.03 金融庁 スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議(第29回)議事録
・2024.01.18 金融庁 コーポレートガバナンス改革に向けた取組みに関するウェブページを開設 (2024.01.15)
・2023.10.28 SECが2024年度の審査強化項目を公表していますね。。。
・2023.07.28 米国 SEC 上場企業によるサイバーセキュリティリスクマネジメント、戦略、ガバナンス、インシデント開示に関する規則を採択
・2023.02.16 SECが2023年度の審査強化項目を公表していますね。。。 引き続きサイバーセキュリティも含まれています。。。(2023.02.07)
・2022.12.07 英国 投資家等に対するサイバーセキュリティのリスクに対する開示等の個人的な整理....
・2022.04.05 SECが2022年度の審査強化項目を公表していますね。。。 引き続きサイバーセキュリティも含まれています。。。(2022.03.31)
・2022.03.11 米国 SEC 公開企業によるサイバーセキュリティのリスク管理、戦略、ガバナンス、インシデントの開示に関する規則案
・2021.09.20 米国 SEC長官の上院での証言(2) 投資家はサイバーセキュリティに関する情報を企業に求めている
・2021.04.27 欧州委員会 非財務情報開示指令の改正案発表 対象企業が大幅に増加
・2021.03.12 SECが2021年度の審査強化項目を公表していますね。。。 引き続きサイバーセキュリティも含まれています。。。at 2021.03.03
遡って...
・2011.10.31 SEC サイバーセキュリティリスクとインシデントについての開示 (CF Disclosure Guidance: Topic No. 2 Cybersecurity)
・2011.03.21 今こそ問われる、CSR報告書、企業行動憲章
・2009.09.15 経団連 CSR(企業の社会的責任)に関するアンケート調査結果
・2007.01.22 CSR情報開示 世界格付け S&P Global Reporters 2006
Comments
「あり方懇」の中間報告、取り上げていただきありがとうございます!、ちょうどこの中間報告について解説を、商事法務に書いたところでした。それで関連記事を検索していて気がつきました・・・またぜひ近いうちに、サイバーセキュリティの開示について語り合いましょう!!
Posted by: Chie Mitsui | 2024.09.02 21:25
三井さん、コメントありがとうございます!
バレましたね...(^^)
他にも開示について少し書いていますので、参考になれば...
● まるちゃんの情報セキュリティ気まぐれ日記
・2024.07.19 SECのルールの改正によるサイバーセキュリティ開示 (20-F) 阿里巴巴 (Alibaba)、捜狐 (SOHU)、網易 (NETEASE) の場合
http://maruyama-mitsuhiko.cocolog-nifty.com/.preview/entry/f15101d6e64f4bac0cb3da7326d735cb
・2024.07.15 SECのルールの改正によるサイバーセキュリティ開示 (20-F) ORIX、野村、タケダ、ソニー、トヨタ、ホンダの場合
http://maruyama-mitsuhiko.cocolog-nifty.com/security/2024/07/post-6d06a0.html
・2024.07.14 SECのルールの改正によるサイバーセキュリティ開示 (10-K) IBM, Intel, Boeing, AMEX, Jonson & Johnson, Pfizer, Coca-Cola. McDonaldsの場合
http://maruyama-mitsuhiko.cocolog-nifty.com/security/2024/07/post-4c52c5.html
・2024.06.02 米国 SEC ニューヨーク証券取引所を所有するインターコンチネンタル取引所をサイバー侵入をしていたのに通知しなかったいうことで1000万ドル(約16億円)の罰金を受け入れていますね... (2024.05.22)
http://maruyama-mitsuhiko.cocolog-nifty.com/security/2024/06/post-1230e6.html
・2023.11.08 米国 SEC ソーラーウィンズ社と最高情報セキュリティ責任者を詐欺と内部統制の不備で告発 (2023.10.30)
http://maruyama-mitsuhiko.cocolog-nifty.com/security/2023/11/post-5452e9.html
・2023.09.16 米国 カジノホテルグループのシーザーズがサイバー攻撃を受けて8-Kを公表していますね。。。
http://maruyama-mitsuhiko.cocolog-nifty.com/security/2023/09/post-bf5153.html
・2023.07.28 米国 SEC 上場企業によるサイバーセキュリティリスクマネジメント、戦略、ガバナンス、インシデント開示に関する規則を採択
http://maruyama-mitsuhiko.cocolog-nifty.com/security/2023/07/post-7b35a2.html
・2023.03.17 米国 SEC 米国証券市場のサイバーセキュリティリスクに対処するための新たな要件を市場関係者向けに提案
http://maruyama-mitsuhiko.cocolog-nifty.com/security/2023/03/post-70db15.html
Posted by: maruyama | 2024.09.03 01:50