2012年 09月 17日
「ヒドゥン・フェイス」
ファビアナにマルティナ・ガルシア。
アドリアンにキム・グティエレス。
ベレンにクララ・ラゴ。
監督はアンドレス・バイス。
コロンビア、ボゴタ。ある夜、バーで飲みつぶれたアドリアンは翌朝知らない場所で目を覚ます。昨夜前後不覚に飲みまくったのは恋人ベレンが姿を消したショックからだった。一晩泊めてくれた女性にお礼を言うためアドリアンは再びそのバーを訪ねる。バーの店員はファビアナと名乗り、アドリアンが彼女に惹かれるのに時間はかからなかった...
スペイン人指揮者のアドリアンはコロンビアの交響楽団から誘いを受ける。恋人で靴デザイナーのベレンはコロンビアに行くことをためらうが、“君を愛している!ずっと一緒にいたい!片時も側を離れない!”と約束するアドリアンを疑わなかった。それは彼女も彼を愛していたから…。
男と女の愛情なんて永遠なワケがない。ましてやアドリアンのような浮気性の男なら尚更だ。
とにかくこの男は究極の女好き。恋人ベレンが彼の家から姿を消したのも、アドリアンが楽団のバイオリニストと浮気していたから…ベレンの失踪を警察に届け出捜査を依頼する。しかし、彼女はスペインに帰国してもいなければ、死体安置所に横たわってもいなかった。
ラスト、ビーチにたたずむベレンは何を考えていたのだろう。一方で帰宅したアドリアンはクローゼットに貼付けてあったベレンと自分が映った写真を見つける。あの後3人はどうなったのだろう?これは観る者の想像に委ねられる…。
アドリアンはファビアナを見つけることが出来たのだろうか?ベレンがアドリアンの元へ戻るとは考えられない。アドリアンに救い出されたファビアナはどうしたのだろう?逆にアドリアンを閉じ込めたかも知れない。わたしだったら間違いなくそうするだろうな。アドリアンを懲らしめるために…。
バーの店員ファビアナが出会った男は若きスペインのコンダクターで、借りものではあるが豪邸に住んでいる。恋人もいないし、結婚もしていないというアドリアンを疑わなかったファビアナも少々愚かではないか?と思う。
ナチス・ドイツの残党だった家主が建てた郊外の別荘。周りには何もない。野中の一軒家にシェルターのような部屋が存在する。ジョディ・フォスターの「パニック・ルーム/2002」を思い出した。そのシェルターに自らを閉じ込めたベレン。彼女のミステイクは鍵を忘れたこと。外からも中からも鍵がないと開かない作りになっているところがミソ(簡単に開いたのじゃシェルターの意味がない)。
原タイトルと同じ邦題が付けられている“Hidden Face/隠された顔”は実に興味深い。
予告編は観ていなくて、この映画の上映も観る前の日まで気つかなかった。たまたま観た映画案内サイトで見つけ”コロンビア映画”という紹介に惹かれた。コロンビア映画って初めて観たような気がする(シアターで)。
今年のMYBESTに是が非でも入れたい1作。少々変わった展開の、最高に興味深く面白いドラマだった。携帯の映画の案内にはエロティック・サスペンスなんて書かれていたが、ちっともエロティックじゃないし、殺人は起こらないが素晴らしいサスペンス(スリラー)である。
IMDbに”mysterious disappearance/不可解な(神秘的な)失踪”とあるが、ぴったりの表現だ。
映画のバックに流れるラフマニノフのピアノ・コンチェルトなどのクラシック・ミュージックも映画をスゴく、スゴく盛り上げている。
シアターN渋谷にて(期間限定上映中:9/8~9/21)
やはり、ラストはアドリアンはファビアナを見つけることが出来なかったのではと..餓死していくファビアナは可哀相すぎか
こちらこそコメントありがとうございます。
>ラストはアドリアンはファビアナを見つけることが出来なかったのではと...
そうですね。見つけられなかったらファビアナ可愛そう過ぎですね。アンドレス・バイスの回答が知りたいです。