戦後台湾人「親日感情」の理由―中華民国「台湾占領」(日台分断)から七十周年
2015/10/24/Sat
■七十周年を迎えた「台湾光復」とは何か
韓国では一九四五年の終戦記念日である八月十五日を光復節と呼び、日本に支配から解放された日として祝っているが、光復節なら台湾にもある。
それは、やはり一九四五年の日本による台湾の中華民国への返還記念日。つまり十月二十五日だ。
もっとも「光復」とは言っても、実際には中華民国は一方的に台湾領有を宣言しただけ。日本との間で返還(割譲)条約すら締結していない。要するに終戦直後のドサクサに紛れての領土強奪である。
1945年10月25日、台北では中華民国軍が連合国軍を代表し台湾駐屯の日本軍の降伏を受け入
れた。そしてこの時中華民国は、日本の台湾総督に台湾領有権を移譲せよとの命令書にサインを
強要した。「台湾光復」とは、こうした越権無効の行為に基づく茶番劇だったのだが…
そしてその後の一九四九年、同国政府は国共内戦で敗北し、この占領下の台湾に亡命して今日に至っているというのが歴史真相なのである。
しかしそれはともかく、その光復なるものから今年の十月二十五日でちょうど七十年。国民党政権は今年を「中華民国抗日戦争勝利及び台湾光復七十周年」と位置付け、「抗戦勝利がなければ台湾の光復はなく、台湾の光復がなければ今日の自由、民主、繁栄もない」(馬英九総統)などと強調し、中華民国による台湾支配の正当に忙しい。
だが、それに対して一般国民はどうか。実はこちらは光復節などに無関心。メディアで話題になるほど、関心を示していない。
■台湾人は無関心だが中共は祝賀気分
ところがそれと対照的に、そして国民党とは別に、盛んに祝賀ムードを盛り上げようとするのが、何とお隣の中国(中共)なのだ。
それに関しては共同通信も、「中国共産党序列4位の兪正声・人民政治協商会議主席は23日、北京で開かれた日本による台湾統治終了を祝う記念日『光復節」(25日)の記念式典で演説」したと伝える。
演説する兪正声・政協主席。なぜ中共が「台湾光復70周年」を祝うのか
いったい何がどうなっているのか…。
こうした現象について分析、解説するのが台湾師範大学の范世平・中国大陸研究センター主任の論文「なぜ台湾人は『光復節』に冷淡になりつつあるのか」(自由時報、二十三日掲載)だ。
実にわかりやすい内容なので、ここで簡単に取り上げてみたい。書き出しはこうだ。
―――今年は台湾光復七十周年。中共は鳴り物入りで記念、祝賀活動を進め、二十五日からはCCTVが「台湾、一九四五」というドキュメンタリーを六回にわたって放映する予定。しかしそれに対して台湾では、光復には関心に欠け、多くの若者達は十月二十五日が何の日であるかも知らない。なぜ台湾と深い関わり合いがあるこの日に対し、台湾人はこれほど冷淡なのか。
■台湾統一を促進するための中共のパフォーマンス
まず中国が台湾光復を記念する理由についてだが、范世平氏によれば、こういうことだそうだ。
―――今年は抗日戦争勝利七十周年。日本の降伏文書には中国代表として「中華民国」と書き入れられたが、今日では中共が完全に抗戦の果実を奪い取っている。台湾が中国に復帰したという抗戦の成果もその一つだ。
―――台湾は中国代表としての中華民国に復帰したが、今では国連でも中華人民共和国が中国唯一の合法政府。そのため台湾は中華人民共和国に帰属するという理屈で、それが中共の台湾統一に正当性を与え、例えそのために武力を行使しても、国際社会は容喙できないということに繋がるのだ。
要するに中華人民共和国は中華民国から台湾を継承しているとの立場で、台湾の中国への回帰の記念日を台湾人民とともに祝い、台中の一体感を醸しだそうというのが中共の狙いだというのだろう。
共同によれば、演説した兪正声・政協主席は「『両岸(中台)人民は台湾独立のたくらみを挫折させ、両岸の平和を守る意思と能力がある』と述べた。来年1月の台湾総統選で政権奪還の可能性が高い独立志向の野党、民主進歩党をけん制したとみられる」という。
■中共の融合の呼び掛けは台湾人を反撥させるだけ
しかし、こうした中共の台湾に対する融合アピールについて范世平氏はこう述べる。
―――もし中共が台湾統治の正当性を高めるためだけに台湾光復を記念するなら、当然ながら台湾の民衆は警戒することになる。
―――政治大学選挙センターの世論調査では、統一支持との回答はこの数年間、毎年一〇%以下。こうした状況は台湾光復を記念する動機を奪っている。
■日本のために戦った李登輝氏に中国人は怒るが・・・
国共両党が抗日戦争七十周年記念で中華民族主義の高揚を図る中、李登輝元総統は八月、日本の「Voice」誌上で次のように述べ、両党から猛攻撃を受けた。
「七十年前まで日本と台湾は『同じ国』だったのである。『同じ国』だったのだから、台湾が日本と戦った(抗日)という事実もない」
「私は陸軍に志願し、兄・李登欽は海軍に志願した。当時われわれ兄弟は、紛れもなく『日本人』として、祖国のために戦ったのである」
范世平氏はこうした李登輝氏の発言に触れ、「中共はもちろん厳しく批判したが、台湾の一般民衆は全く意に介さなかった」と指摘。その上でこう強調するのだ。
―――台湾人は抗戦の歴史に何も感じない。むしろ社会では「親日」の空気が広がり、台湾人は日本に対して好感に満ちている。最近の世論調査でも、台湾人が日本を最も友好的な国と見ていることが分かっている。
■反日宣伝は親日台湾人社会には通じない
そして次のような逸話も。
―――東日本大震災を受け、台湾で集まった義捐金は二百億円に達し、世界第一位。その他の九十三カ国の義捐金総額をも上回った。
―――台湾人が日本殖民統治を肯定的に描いた映画「KANO」は台湾では興行収入第三位で、一、二位は外国映画。台湾人が日本の料理、文化、映画・ドラマ、風景が好きなのは言うまでもない。
反日洗脳宣伝で燃え盛るのが中華民族主義というものであり、抗戦勝利、台湾光復の記念活動はまさにその格好の材料となっている訳だが、そうした宣伝は親日感情が広がる台湾には通用しないということなのだろう。
中華民族主義で国民を統制したい国民党、同じく台中融合を進めて統一へと持って行きたい中国にとり、そうした親日感情こそがそれぞれの大きな障害になっているのだ。
■親日の原因―台湾人が日本に抱く感情とは
范世平氏によると、このような台湾人の親日感情について、「多くの人々は日本殖民五十年の『遺毒』と考えている」のだそうだ。
「多くの人々」とは国民党及びそのシンパ、そして中共である。これら中国人は戦後一貫して、台湾人の親日感情を日本統治時代の「奴隷教育」の影響だと批判、罵倒して来たわけだが、そうした見方に范氏は次のように反論する。
―――日本統治には好い面も悪い面もあり、しかも当時を知る人のほとんどは高齢化しているため、それが主因ではない。
―――二〇〇〇年以降の民進党政権の親日教育(※反日イデオロギーを排し、日本時代史を客観的に教えた)に原因を求める人もいるが、しかし忘れてならないのは、一九四九年から二〇〇〇年までの五十一年間にわたり、国民党は徹底的に反日教育を続けていたことだ。現在の三十五歳以上の人なら、みな「梅花」「八百壮士」などの映画(※抗日戦争映画)の洗礼を受けているはずだ。
そしてその上で、こう分析するのだ
―――本当の原因は、おそらく台湾人が日本に対して抱く一種の「仰慕」にあるだろう。
■なぜ台湾人は日本統治時代を高評価るのか
なぜ台湾で日本時代を描いた「KANO」は大ヒットしたのか
そしてそれについて、次のように解説するのだ。
―――台湾人は物事を行うにあたり、慎み深さ、責任感、勤勉さ、注意深さ、真面目さ、謙虚さ、規律正しさを持ちたいと願っている。そして台湾の産品には高品質、美しさ、精巧さを持たせたいと思っている。台湾の社会にはサービス重視の姿勢、計画性、清潔な環境、便利・安全性、内省性が必要と考えている。
―――こうした希望は、台湾ではまだ実現していない部分があるが、しかしこの「台湾の夢」は日本では達成されている。そればかりか日本時代の台湾でも、それらが実現していた。だからこそ人々は映画「KANO」を見て、古き良き時代に満足したのだ。
―――柯文哲は二〇一五年、米誌のインタビューを受け、「殖民地時期が長いほど発展する」と話し、日本統治時代をプラス評価した。二〇一四年の台北市長選では国民党から、柯文哲の祖父は「皇民」であり、本人の名も「青山文哲」(青山は祖父の日本時代の姓)であるとし、その「親日」が批判されたが、しかし彼はその影響を受けることなく、高得票で当選した。
私も多くの台湾人の日本観を聞いてきているが、実際に范世平氏の解説の通りではないかと思うのだ。
■日台分断七十年―日本人も台湾人への理解を深めるべき
―――このように台湾人が日本に友好、親近感を抱き、日本時代の好い面を知ることで、台湾では光復を記念する土壌、雰囲気が消えつつあるのだ。
―――台湾人が日本を好み、その殖民統治にもプラスの評価を与えるのは、政府が促進したのではなく、「下から上へ」の社会現象だ。
そして范世平氏は論文の最後をこう結ぶ。
―――それに対し、中国は今でも「上から下へ」の方式で「台湾人民を教育する」つもりなのだろう。二〇一四年、習近平は「台湾同胞は独自の歴史経験、社会的環境のために特定の意識がある。我々は台湾同胞の心情を完全に理解している」と述べたが、それが嘘ではないことを祈る。さもなければ両岸の民心はますますかけ離れて行くだけだ。
習近平指導部が台湾人の「心情」を理解し尊重することは断じてあり得ない。在台中国人主導の国民党から見ても同様なのだが、日本の文化、価値観を良しとし、中国のそれを受けつけようとしない台湾人は、これら中華民族主義者とっては断じて許容できるものではなく、憎悪し、抹殺すべき対象に過ぎないからだ。
日本人と台湾人が中華民国による台湾光復(台湾強奪)によって別れ別れになり七十年が経つが、台湾人は今でもこのように日本を理解し、信頼してくれている。これからは日本人も、もっと台湾人の心を理解するよう努めるべきだろう。
そして、台湾人が嫌がるのをよそに、台湾を強引に併呑しようと企む中共の侵略行為にも反対の声を上げなくては。
【過去の関連記事】
日本人も知るべき「台湾光復」七十周年の虚構―「一つの中国」という中国人(国共両党)の主張に根拠なし 15/10/16
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-2669.html
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■頑張れ日本!全国行動委員会・埼玉県本部 設立4周年記念講演会
鈴木 邦子氏(元日本文化チャンネル桜キャスター)
「最近の国際情勢と日本外交~ポスト新安保体制~」
■日時:平成27年11月1日(日)
■会場:さいたま共済会館5F
さいたま市浦和区岸町7-5-14
JR「浦和」駅西口下車 徒歩10分
TEL 048-822-3330
http://www.saitama-ctv-kyosai.net/kyosai_kaikan/
受付:午後2時00分
開演:午後2時30分
懇親会 午後4時半~
■会費:1,000円
懇親会:2,000円
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☆講師プロフィール
(すずき・くにこ)慶應大学法学部政治学科を首席卒業。在学中は、「東南アジア青年の船」に参加。大学院は、欧州にて、トゥルーズ第一大学政治学前期博士号(DEA)及びヨーロピアン大学経営学修士号(MBA)の二つの学位を修める。後期博士課程は、慶應大学の法学研究科で単位取得退学。外務省や国会議員事務所での職務経験を有す(1989-1997)。その後、岡崎研究所や東京大学先端科学技術研究
センター(RCAST)等で研究員、東京大学特任助教授、㈱日本文化チャンネル桜キャスターなどをつとめる。著書に『歴代首相物語』(共著、御厨貴編、新書館、2003年)、『日本の外交政策決定要因』(共著、橋本光平編、PHP研究所、1999年)などがある。
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頑張れ日本!全国行動委員会・茨城県本部
お問い合わせ 090-8854-4305(船富)
韓国では一九四五年の終戦記念日である八月十五日を光復節と呼び、日本に支配から解放された日として祝っているが、光復節なら台湾にもある。
それは、やはり一九四五年の日本による台湾の中華民国への返還記念日。つまり十月二十五日だ。
もっとも「光復」とは言っても、実際には中華民国は一方的に台湾領有を宣言しただけ。日本との間で返還(割譲)条約すら締結していない。要するに終戦直後のドサクサに紛れての領土強奪である。
1945年10月25日、台北では中華民国軍が連合国軍を代表し台湾駐屯の日本軍の降伏を受け入
れた。そしてこの時中華民国は、日本の台湾総督に台湾領有権を移譲せよとの命令書にサインを
強要した。「台湾光復」とは、こうした越権無効の行為に基づく茶番劇だったのだが…
そしてその後の一九四九年、同国政府は国共内戦で敗北し、この占領下の台湾に亡命して今日に至っているというのが歴史真相なのである。
しかしそれはともかく、その光復なるものから今年の十月二十五日でちょうど七十年。国民党政権は今年を「中華民国抗日戦争勝利及び台湾光復七十周年」と位置付け、「抗戦勝利がなければ台湾の光復はなく、台湾の光復がなければ今日の自由、民主、繁栄もない」(馬英九総統)などと強調し、中華民国による台湾支配の正当に忙しい。
だが、それに対して一般国民はどうか。実はこちらは光復節などに無関心。メディアで話題になるほど、関心を示していない。
■台湾人は無関心だが中共は祝賀気分
ところがそれと対照的に、そして国民党とは別に、盛んに祝賀ムードを盛り上げようとするのが、何とお隣の中国(中共)なのだ。
それに関しては共同通信も、「中国共産党序列4位の兪正声・人民政治協商会議主席は23日、北京で開かれた日本による台湾統治終了を祝う記念日『光復節」(25日)の記念式典で演説」したと伝える。
演説する兪正声・政協主席。なぜ中共が「台湾光復70周年」を祝うのか
いったい何がどうなっているのか…。
こうした現象について分析、解説するのが台湾師範大学の范世平・中国大陸研究センター主任の論文「なぜ台湾人は『光復節』に冷淡になりつつあるのか」(自由時報、二十三日掲載)だ。
実にわかりやすい内容なので、ここで簡単に取り上げてみたい。書き出しはこうだ。
―――今年は台湾光復七十周年。中共は鳴り物入りで記念、祝賀活動を進め、二十五日からはCCTVが「台湾、一九四五」というドキュメンタリーを六回にわたって放映する予定。しかしそれに対して台湾では、光復には関心に欠け、多くの若者達は十月二十五日が何の日であるかも知らない。なぜ台湾と深い関わり合いがあるこの日に対し、台湾人はこれほど冷淡なのか。
■台湾統一を促進するための中共のパフォーマンス
まず中国が台湾光復を記念する理由についてだが、范世平氏によれば、こういうことだそうだ。
―――今年は抗日戦争勝利七十周年。日本の降伏文書には中国代表として「中華民国」と書き入れられたが、今日では中共が完全に抗戦の果実を奪い取っている。台湾が中国に復帰したという抗戦の成果もその一つだ。
―――台湾は中国代表としての中華民国に復帰したが、今では国連でも中華人民共和国が中国唯一の合法政府。そのため台湾は中華人民共和国に帰属するという理屈で、それが中共の台湾統一に正当性を与え、例えそのために武力を行使しても、国際社会は容喙できないということに繋がるのだ。
要するに中華人民共和国は中華民国から台湾を継承しているとの立場で、台湾の中国への回帰の記念日を台湾人民とともに祝い、台中の一体感を醸しだそうというのが中共の狙いだというのだろう。
共同によれば、演説した兪正声・政協主席は「『両岸(中台)人民は台湾独立のたくらみを挫折させ、両岸の平和を守る意思と能力がある』と述べた。来年1月の台湾総統選で政権奪還の可能性が高い独立志向の野党、民主進歩党をけん制したとみられる」という。
■中共の融合の呼び掛けは台湾人を反撥させるだけ
しかし、こうした中共の台湾に対する融合アピールについて范世平氏はこう述べる。
―――もし中共が台湾統治の正当性を高めるためだけに台湾光復を記念するなら、当然ながら台湾の民衆は警戒することになる。
―――政治大学選挙センターの世論調査では、統一支持との回答はこの数年間、毎年一〇%以下。こうした状況は台湾光復を記念する動機を奪っている。
■日本のために戦った李登輝氏に中国人は怒るが・・・
国共両党が抗日戦争七十周年記念で中華民族主義の高揚を図る中、李登輝元総統は八月、日本の「Voice」誌上で次のように述べ、両党から猛攻撃を受けた。
「七十年前まで日本と台湾は『同じ国』だったのである。『同じ国』だったのだから、台湾が日本と戦った(抗日)という事実もない」
「私は陸軍に志願し、兄・李登欽は海軍に志願した。当時われわれ兄弟は、紛れもなく『日本人』として、祖国のために戦ったのである」
范世平氏はこうした李登輝氏の発言に触れ、「中共はもちろん厳しく批判したが、台湾の一般民衆は全く意に介さなかった」と指摘。その上でこう強調するのだ。
―――台湾人は抗戦の歴史に何も感じない。むしろ社会では「親日」の空気が広がり、台湾人は日本に対して好感に満ちている。最近の世論調査でも、台湾人が日本を最も友好的な国と見ていることが分かっている。
■反日宣伝は親日台湾人社会には通じない
そして次のような逸話も。
―――東日本大震災を受け、台湾で集まった義捐金は二百億円に達し、世界第一位。その他の九十三カ国の義捐金総額をも上回った。
―――台湾人が日本殖民統治を肯定的に描いた映画「KANO」は台湾では興行収入第三位で、一、二位は外国映画。台湾人が日本の料理、文化、映画・ドラマ、風景が好きなのは言うまでもない。
反日洗脳宣伝で燃え盛るのが中華民族主義というものであり、抗戦勝利、台湾光復の記念活動はまさにその格好の材料となっている訳だが、そうした宣伝は親日感情が広がる台湾には通用しないということなのだろう。
中華民族主義で国民を統制したい国民党、同じく台中融合を進めて統一へと持って行きたい中国にとり、そうした親日感情こそがそれぞれの大きな障害になっているのだ。
■親日の原因―台湾人が日本に抱く感情とは
范世平氏によると、このような台湾人の親日感情について、「多くの人々は日本殖民五十年の『遺毒』と考えている」のだそうだ。
「多くの人々」とは国民党及びそのシンパ、そして中共である。これら中国人は戦後一貫して、台湾人の親日感情を日本統治時代の「奴隷教育」の影響だと批判、罵倒して来たわけだが、そうした見方に范氏は次のように反論する。
―――日本統治には好い面も悪い面もあり、しかも当時を知る人のほとんどは高齢化しているため、それが主因ではない。
―――二〇〇〇年以降の民進党政権の親日教育(※反日イデオロギーを排し、日本時代史を客観的に教えた)に原因を求める人もいるが、しかし忘れてならないのは、一九四九年から二〇〇〇年までの五十一年間にわたり、国民党は徹底的に反日教育を続けていたことだ。現在の三十五歳以上の人なら、みな「梅花」「八百壮士」などの映画(※抗日戦争映画)の洗礼を受けているはずだ。
そしてその上で、こう分析するのだ
―――本当の原因は、おそらく台湾人が日本に対して抱く一種の「仰慕」にあるだろう。
■なぜ台湾人は日本統治時代を高評価るのか
なぜ台湾で日本時代を描いた「KANO」は大ヒットしたのか
そしてそれについて、次のように解説するのだ。
―――台湾人は物事を行うにあたり、慎み深さ、責任感、勤勉さ、注意深さ、真面目さ、謙虚さ、規律正しさを持ちたいと願っている。そして台湾の産品には高品質、美しさ、精巧さを持たせたいと思っている。台湾の社会にはサービス重視の姿勢、計画性、清潔な環境、便利・安全性、内省性が必要と考えている。
―――こうした希望は、台湾ではまだ実現していない部分があるが、しかしこの「台湾の夢」は日本では達成されている。そればかりか日本時代の台湾でも、それらが実現していた。だからこそ人々は映画「KANO」を見て、古き良き時代に満足したのだ。
―――柯文哲は二〇一五年、米誌のインタビューを受け、「殖民地時期が長いほど発展する」と話し、日本統治時代をプラス評価した。二〇一四年の台北市長選では国民党から、柯文哲の祖父は「皇民」であり、本人の名も「青山文哲」(青山は祖父の日本時代の姓)であるとし、その「親日」が批判されたが、しかし彼はその影響を受けることなく、高得票で当選した。
私も多くの台湾人の日本観を聞いてきているが、実際に范世平氏の解説の通りではないかと思うのだ。
■日台分断七十年―日本人も台湾人への理解を深めるべき
―――このように台湾人が日本に友好、親近感を抱き、日本時代の好い面を知ることで、台湾では光復を記念する土壌、雰囲気が消えつつあるのだ。
―――台湾人が日本を好み、その殖民統治にもプラスの評価を与えるのは、政府が促進したのではなく、「下から上へ」の社会現象だ。
そして范世平氏は論文の最後をこう結ぶ。
―――それに対し、中国は今でも「上から下へ」の方式で「台湾人民を教育する」つもりなのだろう。二〇一四年、習近平は「台湾同胞は独自の歴史経験、社会的環境のために特定の意識がある。我々は台湾同胞の心情を完全に理解している」と述べたが、それが嘘ではないことを祈る。さもなければ両岸の民心はますますかけ離れて行くだけだ。
習近平指導部が台湾人の「心情」を理解し尊重することは断じてあり得ない。在台中国人主導の国民党から見ても同様なのだが、日本の文化、価値観を良しとし、中国のそれを受けつけようとしない台湾人は、これら中華民族主義者とっては断じて許容できるものではなく、憎悪し、抹殺すべき対象に過ぎないからだ。
日本人と台湾人が中華民国による台湾光復(台湾強奪)によって別れ別れになり七十年が経つが、台湾人は今でもこのように日本を理解し、信頼してくれている。これからは日本人も、もっと台湾人の心を理解するよう努めるべきだろう。
そして、台湾人が嫌がるのをよそに、台湾を強引に併呑しようと企む中共の侵略行為にも反対の声を上げなくては。
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鈴木 邦子氏(元日本文化チャンネル桜キャスター)
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■日時:平成27年11月1日(日)
■会場:さいたま共済会館5F
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JR「浦和」駅西口下車 徒歩10分
TEL 048-822-3330
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受付:午後2時00分
開演:午後2時30分
懇親会 午後4時半~
■会費:1,000円
懇親会:2,000円
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☆講師プロフィール
(すずき・くにこ)慶應大学法学部政治学科を首席卒業。在学中は、「東南アジア青年の船」に参加。大学院は、欧州にて、トゥルーズ第一大学政治学前期博士号(DEA)及びヨーロピアン大学経営学修士号(MBA)の二つの学位を修める。後期博士課程は、慶應大学の法学研究科で単位取得退学。外務省や国会議員事務所での職務経験を有す(1989-1997)。その後、岡崎研究所や東京大学先端科学技術研究
センター(RCAST)等で研究員、東京大学特任助教授、㈱日本文化チャンネル桜キャスターなどをつとめる。著書に『歴代首相物語』(共著、御厨貴編、新書館、2003年)、『日本の外交政策決定要因』(共著、橋本光平編、PHP研究所、1999年)などがある。
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