健康を意識してハイキング
大阪と奈良の県境で、標高は高くないものの存在感満点で鎮座する「生駒山」。神戸生まれの私のイメージでは「大阪府民が誰でも知っていて、一度は登った事のある山」「山上に遊園地のある山」「車で上まで行けて、老若男女が親しみやすい山」といったイメージです。
いつも私はホームの六甲山系から大阪方面を見て「たぶん、あれが生駒山かなぁ」とか眺めている山だったりします。
今回はその生駒山で、ウォーキング的に無理せず(楽ではありませんが・・・)適度な運動強度で楽しもうをテーマに歩いてきました。
自分の体の調子を観察する
登山やハイキングをする時、皆さんには体の事を考えたルーティーンは何がありますか?
ストレッチ・ヨガ・ラジオ体操etc・・・ 体をほぐしたり温めるという準備が中心かな、と思います。
もちろん出発前に自宅などで血圧を測る方もいるかと思います。
今回私は、実際に行動しながら血圧やペースを管理して、山登りなんだけれども、健康維持のための「ウォーキングの延長」ぐらいの感覚で生駒山を歩いてみました。
定期的な確認
朝は少し肌寒さを感じる石切神社参道からスタート。
今回のテーマで私が体調を確認するために使った物は、心拍計とスマホそしてウォーキング/ジョギング向けのアプリです。
心拍数を確認する目的は「心拍を上げ過ぎないよう一定にする為」。一般的に最大心拍数の60~70%の有酸素運動を行うと健康増進や脳の活性化に繋がる、と言われています。
この目標とする数値を求めるには、【最大心拍数=220-年齢】 これの×0.6~0.7となります。
私の場合は104~121となります(年がバレますね、笑)
今回はこの心拍数「104」前後をキープする程度の負荷・強度で歩く事にします。
石切神社の参道は、地元の方の商店街も兼ねているようなところがあり、いい意味で生活感にあふれています。 私が通った時はほとんどのお店が開店前でしたが、それでも日中は賑わうであろう楽しげなお店が色々ありました。
登山口までは緩~く坂道を上がって行くのですが、朝一番で体力がある時はぐんぐん歩いて、心拍数は上がりがちに。常に手首の心拍計をチェックします。心拍が想定より上がりすぎていれば、歩行を止めずに下がるまでペースを落とす事で継続的な運動になり、体も冷やしません。
体の調子を色んな角度から観察する
普段の登山なら多少オーバーペースと分かっていても、楽しいあまりに「まだ大丈夫、行っちゃえ」となるのですが、今回のテーマは健康増進の為のハイキング、「キープペースで104bpmぐらい」を自分に言い聞かせて、「遅いかな?」と思うぐらいのペースで歩き続けます。
今回歩いた「辻子谷コース」は興法寺前後のルートとごく一部以外ほぼ舗装路。私の所感ですが新石切駅から山上遊園地まで8割が舗装路(辻子谷コース北出合から先の登山道は封鎖されていました)。さらには下りの山上遊園地から生駒駅に関しては、9割が舗装路といった印象。
歩行中は心拍数を見るだけでなく、スマホのアプリを使って歩くペースも気にします。1kmあたりのペースを目安にしますが、これは心拍数と違って登りか下りかなどによって変わってきます。
例えば「下り」だとペースは上がっていても心拍数はさほど上がっていない、なんて事もあります。
設定した心拍数をキープするには、私の場合は「17分前後/km」のペースでした。
従って、私の場合は心拍数をキープする事が最優先事項なので「①心拍数、②ペース、③疲労度」 の優先順位で体の調子を観察していきます。①と②は数値化できますが、③はしっかりと自分の体調と経験則で管理していきます。
身も心もエネルギーを補給
辻子谷コース北出合からは登山道が封鎖されているため、舗装された管理道路を歩いて「ぬかた園地」のあじさい園を抜けていきます。まるでドライフラワーのような枯れた紫陽花が沢山。シーズンになると大輪の花を咲かせるべく新しい芽もたくさんありました。
神戸市民の花であり、六甲山でも楽しめる紫陽花ですが、こちらにも初夏に訪れてみたいですね。
そこから生駒山上遊園地はすぐそこ。かの有名な「遊具の敷地内にある三角点」を拝んだら、園内の芝生広場にお邪魔して休憩をとります。春の開園に向けて作業員の方々が遊園地内で忙しそうに点検・整備などをされていました。
ここで一休み。ハイキングとはいえ消費カロリーは相当な物。アプリで確認すると石切駅から山上遊園地まで約1,200kcalを消費(!)さほどハードな事をした覚えがないのに、これだけの消費には正直驚き。
体を冷やさないよう保温着を着込み、普段はブラック派ですがこんな時は体の為に砂糖とミルクたっぷりの甘々のあったかコーヒーでエネルギーを補給し、しばし眺望を楽しみます。大阪平野の広さを実感したり、いつもとは逆に六甲山系を一望。この日は六甲山が端から端まで綺麗に見えました。
*生駒山全域では、バーナーなど火器の使用は禁止です。あったか飲み物は山専ボトルなどで携行するか、自動販売機をご利用ください。
自分にあった距離、ルートで
休憩をとったら、ハイキング再開。心拍数とペースを確認しながら一路生駒駅へと下ります。
ここでワンポイント。今回の生駒山のように山頂からケーブルカーがある山や、他にもロープウェイやバスなどで下山できる山だと「登りで充分に運動した」と感じる方は、ハイキングを終わらせて下山する事も“あり”だと思います。一般的には山道に限らず下り坂は足腰への負荷が大きくなり、健康増進で登ったのに体の調子を崩してしまうと本末転倒。自分の体調などを見極めて、距離やルートを決めるのがベターです。
階段下りがきつい場合は、乗り物を使うのもありです。
今日の結果をチェック
下りは奈良県側へと階段メインのコースを歩いていきます。前述のとおりですがほぼ舗装路です。
途中、宝山寺に立ち寄り境内を散策、お参りしていきます。お寺では心も落ち着く時間を過ごしたお蔭か(!?)、心拍数が上がりすぎる事は無かったです。
宝山寺から先は石段がひたすら続きます。参道は昔の賑わいが感じられるちょっとレトロな建物が並ぶ、どこか懐かしい雰囲気が漂います。
結局生駒駅の手前まで、石段と下り坂を歩いてゴールです。
駅前の広場で軽くストレッチをしたら(これ肝心です!)、早速今日一日の結果をチェック。
「鉄は熱いうちに」という事で帰路の電車内で、心拍数、ペースを中心に今日の振り返りを行います。標高も一緒に確認する事で「ここの坂がきつかったから、これだけペースを落とした結果、心拍数は維持できているな」など、数値としてはっきり見る事が出来ます。
「見える化」にすると、新たな発見もあります。
健康管理に数値は便利
今回私がトライしたように数値を意識してデータを普段から収集し、体調を把握するバロメーターを作る事で、その日の体調で歩くコースや距離の判断材料にしたり、ハイキングで得られるフィジカルな効果の予測がし易くなるのでは、と思います。
如何だったでしょうか「数値管理でハイキング」。ルーティーンとしてのご近所ウォーキングだとコースを固定しがちですが、低山や里山を月に数回でもウォーキングコースとして取り入れると、新しい発見など変化や刺激を得る事が出来てメンタル面にも良いのかな、と個人的には思います。
皆さんも、近場の山で体調を数値でチェックしながら「ウォーキング的ハイキング」を楽しんで下さい。
好日山荘96名山には、アクセスが良くウォーキング感覚のハイキングが出来る山もあります。参考にしてみてください。
好日山荘スタッフによる、生駒山の登山レポートはこちらから。
好日山荘マガジンライター:菰下 了
この記事を書いたのは「好日山荘マガジン 編集部」
登山・クライミング・キャンプのプロ、好日山荘スタッフによる編集部。あなたのアウトドアライフを応援します!
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