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研究の行き着く先は、
「世の中をよくする」ことに
帰結すると考えます。
数多の研究テーマ、材料は
その手法のひとつに過ぎず、
私たちにとってのそれは、
誰にとっても身近な
「住宅」というわけです。
日本のどこにいても、
いつでも誰にとっても、
快適で健康な「住宅」の
あり方を追求し、
その実現に向けて、
働きかけ続けることが
私たちの使命です。
政府、企業、研究機関、それぞれが
正しく結びつけば実現できる。
そして気がつけば、
日本の住まいは、
「いつでも、どこでも、快適だね」
という日が必ず来るはず。
東京大学 工学系研究科
建築学科専攻 准教授
前 真之
Msayuki Mae
「みんなで豊かになる」を一緒に考える時代。
だからもっと論じよう、
社会を変えることができるのだから。
研究室を持ってから20年ほどになりますが“時代が変化する速度”という点において、この20年は顕著だったように思います。その流れの中で、ちょっとだけ残念に思うことが2つあります。ひとつは「研究ファーストの学生が少なくなった」かな、と感じること。当研究室は学内・学外、国内・国外問わず、溢れる熱意は大歓迎です。エネルギーがテーマですから、学生にエネルギーがないと。敢えて言うなら、日本人学生が減っているのはやはり寂しいですね。「日本の住宅」が研究テーマである以上、日本の学生にもっと興味をもってもらえたらより嬉しいのですが。
もうひとつは「議論が減っている」ことです。これぞまさに顕著。私が修士の頃は、寝ても覚めても議論、議論。そんな時代でした。それが当たり前だったし楽しかった。今はみな、とにかく忙しい(汗。なかなか議論する時間がとれないのをもどかしく思うときがあります。時代の変化でいうなら、今は「どうすればみんなで豊かになれるかを一緒に考える」時代だと考えます。みんな「が」ではなく、みんな「で」です。豊かさを最も身近で感じられる際たるものが「住宅」なんです。一部の富裕層だけが享受するようなすごい建築、すごい高性能住宅の話しじゃなくて、この国に暮らすすべての人が快適に過ごせる住宅のスタンダードを上げるにはどうするか。それをみなさんと一緒に追求し続けたいのです。だからもっともっと議論を戦わせたい。残念ながら日本には「国民にどう暮らしてほしいか」というヴィジョンがないんですから、我々がやるしかないでしょう。志高く、ともに社会に変革をもたらそう。必ずできる。あなたの情熱を具現化しようじゃないか。