第245回 鞍馬街道の起点~鞍馬口通東から西~その5

下鴨神社から、鞍馬口通を西に約400m進みました。
ここは、賀茂川に架かる出雲路橋です。
今回はこの橋の西詰めにある京の七口の一つ鞍馬口を見て回り、
さらに西側のかつて御土居があった場所を通り抜けます。
撮影日は、8月17日日曜日午後4時半。
さらに西日が撮影の邪魔になってきました。

出雲路橋を西に向かって歩いています。
賀茂川の中間点で、「京都市左京区下鴨」から
「京都市北区出雲路」に替わってきます。

出雲路橋の上で、東側を振り返りました。
家並みの上に、大文字山が見えます。
第242回ブログで出てきた出町柳からこの辺りにかけてが、
「五山の送り火」の絶景ポイントになります。

出雲路橋の上から、賀茂川の北(上流)側を向いています。
この日(2014年8月17日)は快晴でしたが、
「五山の送り火」が行われた前日(2014年8月16日)は
記録的な豪雨が降りました。
そのため、川の水量がいつもの何倍にもなっています。

出雲路橋から、賀茂川西岸を見ています。
丸太町通より上流は、このようにずっと公園になっています。
時折グランドがあって、野球やサッカーの練習風景が見られます。

では、出雲路橋を渡ります。賀茂川西岸に、加茂街道が走っています。
この辺りが、中世(室町時代)の関所の一つ「鞍馬口」になります。

賀茂川を渡って出雲橋西詰めに来ました。
鞍馬口通の両側で、百日紅(さるすべり)が満開でした。
百日紅と言えば京都では豊国神社が有名ですが、
他にも何か所かきれいなところもあります。

鞍馬口通の南側に公衆トイレがあって、(百日紅並木の西側です)
そのさらに西側つまり加茂街道沿いに、こちらの碑が立っていました。
「下鴨神社」を「下賀茂社」と書いていますね。

その石碑で、東に向きました。つまり、加茂街道から見ています。
「賀茂御祖神社」(かもみおやじじんじゃ)は下鴨神社の正式名称です。
まぁこの道の突き当りに下鴨神社があるので、
ここにこの石碑があるのはそのためでしょうね。

加茂街道から、鞍馬口通を東に向いています。
(つまり、今まで歩いてきた道を見ています)
出雲路橋のずっと向こうに、ひときわ高い山が見えます。
あちらが比叡山で、頂上から滋賀県側に下りたところに
天台宗本山の延暦寺があります。
そして、ここが京の七口の一つ「鞍馬口」です。
(「鞍馬口」を起点とする鞍馬街道は、ここから東に伸びていました)

加茂街道と賀茂川との間に、このような石碑が立っていました。
(「下鴨神社」の碑の北側です)
鞍馬口について書いてあると思いきや、
「志波の桜碑」と書いてありました。
こちらは、1905年に日露戦争の戦勝記念のために植えられた
桜並木の記念碑です。
ですから、この辺りは春になると絶景になります。

その記念碑の裏側に、こちらがいらっしゃいました。
多分、アブラゼミですね。

さらに、その記念碑から賀茂川西岸の公園に入ったところに
こちらの碑がありました。
「出雲路」とは、「鞍馬街道」の別称です。
つまり、ここから東に鞍馬街道が伸びており、
ここから西が京都市街地になりました。

鞍馬口通から、加茂街道を北に向いています。
この道は賀茂川沿いをずっと北上して、
前回ブログに出てきた下鴨西通と合流後京都市北区雲ケ畑に至ります。
ちなみに、葵祭巡行のとき北大路~御薗橋間でこの道を通ります。

今度は鞍馬口通から、加茂街道を南に向きました。
この道は賀茂川沿いに南東に伸びていて、
葵橋西詰めにある出町升形商店街の前で河原町通と合流します。
加茂街道はこの辺りの幹線道路なので、
かなり交通量が多いですね。

加茂街道から、鞍馬口通を西に向いています。
そして、この辺りから「京都市北区出雲路」となります。
豊臣秀吉は鴨川西岸沿いに御土居を建設していましたが、
この「鞍馬口」はその御土居が切れていて、
京都市街地に入れるようになっていました。
次は「鞍馬口」を後にして、ここを西に向かいます。

加茂街道から、鞍馬口通を西に約10m進みました。
実は前回ブログの米屋さんの前から、
鞍馬口通はこの辺りまで西南西に伸びていました。
それが、この辺りから真西に進む道になります。
地図を見ると「京都市北区出雲路」は、
寺町通と賀茂川にはさまれた細長い地域とわかります。
つまり、この「京都市北区出雲路」こそが
豊臣秀吉が建設した御土居の跡地の一部なのです。

加茂街道から鞍馬口通を西に約70m進み、南を向きました。
では、この浄土宗西光寺に入っていきます。

西光寺に入る前に、先ほどの写真に写っていた地蔵堂にお参りします。
お堂の中には白塗りの大地蔵菩薩像がいらっしゃるのですが、
さすがに直接の撮影は遠慮しました。

では、この細い参道を南に進み西光寺の境内に入ってきました。
ここは参道は狭いですが、中は割と広くなっています。

西光寺の参道の途中で、西を向きました。
この寺院の境内は、半分くらいが駐車場になっています。
その先に塀がありますが、その向こうは墓地のようですね。

駐車場の南側に、弁財天堂と
末社の祠(たぶん稲荷社)がいらっしゃいます。
本来ならそちらにお参りするのですが、
今回はちょっと遠慮しておきます。

と言いますのも、弁財天堂の前でこちらがお休みされていたからです。
気持ちよく眠っているのを無理に起こすのも気の毒なので、
今回はそちらには近づかないことにしました。

弁財天堂の東側に、浄土宗西光寺の本堂があります。
調べたのですが、この寺院の詳しい沿革は分かりませんでした。
実は、この寺院は第183回ブログで紹介した天寧寺の東隣にあります。
(ただし、入り口が全然違う場所なので直接移動はできません)
もしかすると、関連した寺院かもしれません。
(ただ、宗派は全然違います)
先述のとおり、この辺りは豊臣秀吉が建造した御土居の中になります。
御土居が取り払われた江戸時代の古地図を見ると、
住居を持たない方々がこの辺りに集まって集落を作っていました。
その方々との関連は多分あるでしょう。
また、街道の起点や川沿いには
無縁仏を祀る寺院が作られることが多いです。
(ここは、賀茂川沿いの「鞍馬口」の横ですし)
その関連も考えられますが、実のところはよく分かりません。

西光寺の本堂を背にして、北を向いています。
では、ここから鞍馬口通に戻ります。

西光寺の前で、鞍馬口通を西に向いています。
この辺りは、まだまだ安土桃山時代には御土居だった所です。
(当時は、この両脇に10mほどの高さの土手がありました)
また、当時はこの鞍馬口通が京都市街地の最北端でした。

西光寺の前から、鞍馬口通を西に約50m進みました。
南に向くと、鞍馬口通沿いの駐車場の向こうに天寧寺が見えます。
ただし天寧寺の入り口は寺町通沿いなので、ここからは入れません。
この天寧寺は御土居に隣接した寺院でしたので、
「御土居跡」を完全に通り抜けたことになります。

その駐車場から、鞍馬口通をさらに西に約50m進みました。
加茂街道から烏丸通にかけて「鞍馬口商店街」となっていて、
この辺にもいくつか商店が並んでいます。
ただ、この日は休日なので大半が閉まっていました。

さらにさらに、鞍馬口通を西に約50m進みました。
コインランドリーの西隣に、また寺院が見えてきました。

ここが第184回ブログでも紹介した浄土宗千松山遍照院上善寺です。
他の京都の多くの寺院同様寺町通沿いにあるのですが、
このように「鞍馬口」から歩いてくるとまた印象が違ってきています。

上善寺の門から境内に入ってきました。
すると正面に、大きな祭壇が現れました。
撮影日の1週間後の2014年8月24日日曜日に、
京都市内では各町内で「地蔵盆」が行われました。
この寺院では、毎年その「地蔵盆」を盛大に行います。
こちらは、そのための施設です。

門から入ったところに、こちらの天道大日如来がいらっしゃいます。
(大日如来も、お地蔵さんの一種と考えられます)
元々は、もっと大きな石仏だったと考えられています。

上善寺境内の東側に、こちらのお地蔵さん(石仏群)と
地蔵堂がいらっしゃいます。
地蔵堂の大地蔵菩薩は元々深泥池畔にいらして、
「深泥地蔵」と呼ばれています。(「京の六地蔵」の1体です)

地蔵堂に、こちらの呪符が付けられていました。
こういうのも、「地蔵盆」仕様なのでしょうね。

こちらが、上善寺の本堂です。この日も、中には入れません。
こちらの詳しい沿革は、第184回ブログを参照にしてください。
実はかなり由緒のある寺院なのですが、
地蔵盆以外にはあまり参拝者が来られません。
京都には、そういう寺院がまだまだたくさんあります。

では、上善寺を出ます。
そう言えば、だいぶ歩いて少し疲れました。

そして、上善寺の門から南を向いています。
目の前に、第183回ブログで立ち寄った「フェルメール」があります。
今回も、ここに寄ります。

こちらが、「フェルメール」の店内の様子です。
何枚かの絵画に囲まれて、上禅寺の土塀を見ながらの食事になります。
こちらは、カレーがおいしい店です。
この日も、夏野菜カレーとイチゴオーレのセットを頼みました。

こちらが、夏野菜カレーのアップです。
こちらのカレーはやや辛めで、第54回ブログに出てきた
arrowsのカレーと味が似ています。

「フェルメール」を出て、鞍馬口通を西に向いています。
目の前の銭湯の手前から南に、寺町通が伸びています。
烏丸通に進む前に寺町通を少しだけ南下するつもりだったのですが、
午後5時をだいぶ回って西日のせいで撮影が厳しくなってきました。
そのため、この日の撮影はここまでとします。
今回は、ここまでです。
~次回は天寧寺に寄った後、烏丸通を目指します~