摩利支尊天堂 (禅居庵): 京都を歩くアルバム

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2015年6月28日 (日)

摩利支尊天堂 (禅居庵)

目次  2006年1月27日から毎日更新しています。

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※写真は全てクリックで拡大します。

摩利支尊天堂は建仁寺・塔頭の禅居庵の境内にあります。

禅居庵  臨済宗 建仁寺派
元弘3年(1333)に信濃守護小笠原貞宗によって建仁寺第23世の清拙正澄(せいせつしょうちょう)禅師を開祖として創建されました。摩利支天堂に開運と勝利の神、摩利支天を祀っています。八坂通りの唐門(上の写真)から入ります。

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清拙正澄禅師は、鎌倉後期に北条高時の招きに応じて元(中国)から来日した臨済宗の僧です。鎌倉の建長寺や円覚寺、京都の建仁寺、南禅寺などに歴住し、晩年は禅居庵に退隠しました。正面にある本堂は、室町時代に建立された珍しい唐様仏殿です。

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禅居庵は小笠原貞宗の京都における菩提寺でもあり、本堂裏には貞宗と清拙正澄の墓所があるそうです。摩利支尊天堂はイノシシ尽くしで、こんなところにも猪がいます。白い目が見えますね。

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摩利支尊天堂の本尊・摩利支天は、「三面六臂」つまり三つの顔と六本の腕を持っていて、七頭の猪に乗った姿をしています。秘仏となっていて、12年に一度(亥年)だけ開帳されるそうです。

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摩利支天とは、サンスクリット語「Marici(マリーチ)」が語源で、もともとは陽炎(かげろう)が神格化されたものです。古代インドの女神マーリーチを指し、女神は創造神ブラフマー(梵天)の子といいます。

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陽炎は実体がないので捉えられず、焼けず、濡らせず、傷付かない。隠形の身で、常に日天の前に疾行し、自在の通力を有すとされています。これらのことから、摩利支天は戦国武将の間に信仰が集まりました。

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楠木正成は兜の中に摩利支天の小像を篭めていたといいます。また、毛利元就は「摩利支天の旗」を旗印として用いました。山本勘助や前田利家といった武将も摩利支天を信仰していたと伝えられています。禅宗や日蓮宗でも護法善神として重視されています。

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摩利支天は猪を眷族(けんぞく、従者)として従え、猪車に乗っています。そのため境内には猪の像が数多く祀られているのです。

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境内には「阿・吽」の狛猪が5組奉納されています。亥年生まれの人々には守り本尊として信仰されているそうです。

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堂宇は天文の兵火で焼かれ、同16年(1547)織田信長の父、信秀が再建、のち元禄、享保、安政の年に整備改修が行われました。

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本殿横の風通しのよい場所に椅子が置いてあり、これからの暑い日には涼むことができそうです。

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近年では明治8年、平成7年に屋根部分の大改修が加えられ今日に至っています。京都府指定文化財。下はお堂にに飾られている像で、頂いたコメントから「韋駄天」かと思います。

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イノシシのおみくじ

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ところで、本尊の摩利支天の6本の腕は、宝剣、無憂樹(むゆうじゅ)、弓矢、針と糸を持っているそうです。

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宝剣と弓矢は、悪魔を降服し怨賊を滅すため。

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禅居庵の入口、ここを通って建仁寺の境内に入ることが出来ます。

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無憂樹は、摩耶夫人がこの木から花を一枝折ろうとしたときに、左脇腹からお釈迦様が生まれたことから、五穀豊穣の霊力があります。

通路脇には桔梗が咲いていました。

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針と糸は、悪口や悪行をするものの口と眼を縫い合わせて、害を加えないようにするためとか。摩利支天はやはり女の神だったようです。西の門

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コメント

いつも情報ありがとうございます。
絵馬堂内の2枚目の写真のテーブルにあての絵が立てかけてあるはずですねんけど
見てくれはったやろか?(笑)

投稿: 風と雲 | 2015年6月28日 (日) 06:35

猪の寺。珍しいよね。
鼠の寺とか猪の寺とか楽しい京都だよね。

投稿: munixyu | 2015年6月28日 (日) 12:44

六波羅蜜寺とか、恵比寿神社とかも近くにあるけど、このあたりに来るとちょっと人通りも少なくなって、入っていいのかな?って雰囲気が。。。
ということで、中に入ったことはなかったのですが、猪がこんないいっぱいあるとは!天や明王は異形のものが多くて、ちょっと特撮っぽくてインパクトありますよね。唐破風の建物や、いのししのおみくじや、狛猪と神仏習合な雰囲気ですね~昔は結構人気のお寺だったのかも。。。
猪というと、思い出すのは護王神社!ここ数年遅めの初詣に訪れてます。。。今年も足腰丈夫で山にいけますように!とw

投稿: ばるさろ | 2015年6月28日 (日) 20:27

★風と雲さん こんばんは♪
御無沙汰しております。
以前嬉しいコメントをいただいた時、もしかしたら私もおもてなしリーダーの仲間に入れていただけるかと公募のサイトに自薦で応募しましたが、観光関係の推薦が無いと門前払いにされました。
あまりのショックに以後私はブログから離れていましたが、また戻ってブログを週半分くらい作っています。
いつも嬉しいコメントに感謝せねばと私の方がありがたく思っております。
ところで、テーブルの上の絵には全然気づきませんでした。観光の栞が置いてあったのしか見ていませんでした。申し訳ございません。
今度行ったら見させていただきます。他の所にも置いてらっしゃったら教えて下さいませ。

投稿: りせ | 2015年6月29日 (月) 00:05

★munixyuさん こんばんは♪
御所の西側の護王神社もイノシシでいっぱいです。あちらは足腰のお守りです。

投稿: りせ | 2015年6月29日 (月) 00:08

★ばるさろさん こんばんは♪
この摩利支尊天さん、何度も行って写真撮ってるけれど、寺社として1つの記事にしたのは初めてでした。
自分でも「記事にした筈なのに・・・」って不思議でした。
門構えとか古いですね。ちょっと一服できますから、立ち寄るのに良さそうですよ。

投稿: りせ | 2015年6月29日 (月) 00:12

こんにちわ。
イノシシのおみくじの上の写真。
今(2019年)話題の韋駄天様(おそらく)ですよね?
どう見ても摩利支天には見えないのですが、間違って貼り付けてしまったのでしょうか?
それとも、[京都府指定文化財。こちらに飾られている「摩利支天」]という説明とは関係ない写真を貼り付けている、ということなのでしょうか…。
公式サイトを見ると、きちんと本堂の中に収められているようなのですが…。

投稿: ゆう | 2019年1月10日 (木) 19:18

★ゆうさん こんにちは♪
京都府指定文化財とは、文脈から摩利支尊天堂のことです。本尊の摩利支天は680年近く秘仏として祀られているとあり、外に出して調査をしない限り文化財には指定されていないと思います。その下の写真はおっしゃるように韋駄天かも知れません。少なくとも、摩利支天ではないようなので説明を修正します。ご指摘ありがとうございます。、

投稿: りせ | 2019年1月11日 (金) 09:39

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