秋冷の候
北陸地方では、暗い空、寒く厳しく荒れた冬がやってくるその少し前に、毎年おだやかな日々が続くもので、それが、私にとってはとても貴重で名残惜しい季節だったものです。しかし、近年、温暖化のためでしょうか、その、おだやかな日がわりと長く続くような気がします。しかも、ちょっと暑いくらい。そして、それがあたりまえになると、そのありがたみもちょっぴり薄くなってしまうものですね。
安穏無事のありがたさというものは、そうやってついつい忘れがちになるものですね。例えば、病気になって健康のありがたさに気がついたり、別れてから恋人の大切さに気がついたりと、よく聞く話ですね。あたりまえですが、人は日常に慣れてしまうものです。
世界のニュースを開くと、まるで第三次世界大戦を想起させるような不穏な状況ですが、それもまた、海の向こう、どこか遠くの話に聞こえてしまいます。
先日、ある店で、使おうとしたポイントなのか、クーポンなのかの期限が切れたらしく、アルバイト店員さんをつかまえ、
「おら、そのために来たんに。どうしてくれるんや! 」
などと、いつまでもごねているご年配がいました。
「あんた、こりゃ金の問題や。つまり命に関わる大事なことやぞ。わかっとるのか! 」
私は、我が国は平和なものだなあと思ったものです。いや、なにも高尚ぶるわけでもなく、良い、悪いという話でもありません。我が国の日常、そのリアルをそのようななんでもない一場面にふと感じたものです。
2024.10.30 | Comments(0) | Trackback(0) | 日記