秋の旅
秋になると、ふと旅に出たくなるものですね。そして、出かけてみては、懐かしい景色をたくさん見つけるものです。
私は子供のころ、実家からおでかけにちょうどいい距離だったのか、よく親父に横浜へと連れていったもらったものです。そして、山下公園通りの銀杏並木を、秋が来るたびに懐かしく思い出すのですが、実際にはちょうどの季節に行くタイミングがなかなかないものですね。私の記憶の中でふくらみ続けております。
若いころはこの季節に知らない街へと出かけることが好きだったもの。私は東京生まれだったので、例えば、関西へと旅に出かけると、言葉だったり、文化だったりがとても新鮮でした。
「おまえ、あほやな」
と、私は旅館の子供にすっかりなめられて、そう言われたのですが、なんだか映画のセリフのようで感動したものです。
今となっては、情報量も多く、均質化しているので、日本のどこに行っても、なんとなくその場所の想像がつくというのか、ちょっとつまらなくなってきているような気がします。
しかし、自然を見て感動するようなことも稀になってきておりますので、単なる私の老化かもしれません。
そうそう。以前訪れて、素晴らしかった場所をもう一度訪れると、そのキラキラとした輝きを失っているということもよくあるものですね。旅というものはそのときを味わわなければ、もう同じような感動を味わえないということでしょうね。
ですので、旅に出るなら、今、ここを、しっかりと過ごすということが大切なのでしょう。そして、生きて行くこともまた然りなのではないでしょうか。