Stranger Than Hong Kong 15
ワンチャイロードには、肉屋がやたらとあって、
(はいはい、ちょっくらごめんよ! )
と一輪車で豚が半頭単位ではこばれていた。刺激が強すぎて、さらにオレの具合を悪くさせる風景だった。
そして、降り続ける冷たい雨にうたれて、オレの体もすっかり冷えきってしまったよ。
さすがに昼ごはんはおとなしく肉類をはずした。おかゆみたいなものが体にしみるようだった。
そのあと、トラムでワンチャイから東へと向かった。ガイドブックには住人に気を使ってか、だいたいの場所しか書いてなかったんで、トラムからの景色や道のカーブをたよりに「益昌大廈」という集合住宅に行ってみた。ほら、映画や写真なんかでよく見る景色。でも、香港島全体がこんな感じだから、取り立てていくこともないかもしれない。規模はもっと小さいけれど、オレの実家付近、勝島運河あたりにもこんな雰囲気のマンションが昔はけっこうあって、いつも合成洗剤みたいな匂いのしていた、狭い友達の部屋なんかを思い出した。
近くの商業施設なんかもけっこう雰囲気あったんだけれど、雨で床が濡れていて、思いっきり青年が転んだのを目撃したので、その心配からか、なんだか不安な気分にもなってきた。
とくにすることもなく、トラムに乗り込んで、また西へと戻るオレたち。
交差点を行きかう人々。いろんな人がいろんな場所で暮らしている。またしても、オレはここをただ通り過ぎていくんだなあなんて思うと、なんだかしみじみしてきた。自分が今まで、いるべき場所をごまかし続けていただけのような気もしてくる。いや、誰もがオレをつぶそうとたくらんでいる気さえする。きっと疲れていたんだろうな。結局、体の疲労物質ってものは心にまで影響させて、なんだか人の気持ちをへんに憂鬱にさせるものなんだよね。そして、トラムの二階でうとうとしてたらいつの間にか眠ってしまった。
追記
シズカさん。
このたびの思いがけないことで、たいへんご心労されたことでしょうね。自身に置き換えてみても察するに余りあるものがあります。おっしゃるとおり、気持ちはどこかで区切りをつけなければならないものなのかもしれませんね。きっと、また、おだやかな生活に戻れるよう念じております。
このたびの思いがけないことで、たいへんご心労されたことでしょうね。自身に置き換えてみても察するに余りあるものがあります。おっしゃるとおり、気持ちはどこかで区切りをつけなければならないものなのかもしれませんね。きっと、また、おだやかな生活に戻れるよう念じております。
故人のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
2018.02.23 | Comments(0) | Trackback(0) | Stranger Than Hong Kong