富嶽四景 1/4
カミさんが正月早々フクロウを見たいということを言い出し、なんでもその富士花鳥園という場所が、カミさんが幼いころ両親に連れて行ってもらった思い出の地らしく、まあ、年始に富士を見に行くのも縁起がいいだろうと思い、老夫婦ふたり、富嶽を目指し旅行に行ってまいりました。
たどりついた温室はベゴニアなど、南方の花が咲き乱れる温室で、入ったとたん、バリ島のようなムッと熟した花のような香り。なんだか懐かしく、やがて春がやってきて、夏もやってくるという、いたってあたりまえのことを思い出し、へんにありがたい気分になりました。
園はフクロウやインコが放し飼いにされており、そこで「富士宮やきそば」という名物らしきものをいただきました。
なんとなく、いつ頃の施設なのかなと携帯で調べてみると、案外開園が新しいのでカミさんの話とつじつまが合わず、カミさんの父親が務めていた会社の保養施設があった場所から推測すると、カミさんの思い出の場所は、どうもここではなく、既に閉園されている天城の施設のようでした。でも、きっと、カミさんはそのことに関して、たいしてこだわらないだろうと、そのままだまっておきました。逆に僕は、カミさんの思い出話などを聞いており、そのイメージとの整合性や差異を楽しんでいたので、ちょっとがっかり。調べなきゃよかったなどと思ってしまいました。
次に訪れた河口湖畔にて、カミさんが山梨宝石博物館に入っているあいだ、僕はシカ肉バーガーというものをほおばっておりました。
そして富士。
向かう途中、長坂あたりで見たときは、
「うわっ、きた」
と、叫ぶほど、ときめきにちかいものを感じましたが、だんだんなれてきてしまい、このときにはとくに感慨がわかなくなってしまいました。そして、この山麓に住んでいる人って、毎日富士を眺めて、いったい何を思うのだろうかなんてことを想像してみたりしました。
そのまま湖畔を散歩してみると、懐かし系の私設博物館みたいなものがあり、チラッと覗いて帰ろうかと思いましたが、職員さんが三人も待ち受けて、こちらですと案内するので、どうも断れなくなってしまい、800円という高めの入館料をついつい払ってしまいました。
アカデミックというより、個人コレクションみたいな感じだったので、ちょっと偏り気味。南沙織のレコードを一枚写真にとって出てまいりました。
「えっ、なんでそんなとこ入ったん」
と僕はカミさんにあざ笑われ、そして、カミさんが宝石博物館で学んだ、水晶の産地だったここ一帯が、いかにして宝飾産業が栄えたかというこの地の歴史やうんちくなどをとくとくと語られるはめになりました。
続いて忍野八海。美しい湧水群でしたが、ものすごいいきおいの中国団体観光客さんたち。中には、民家の庭先にペットボトルのジュースを捨てたりしている方もおりましたが、なかなか僕のような気弱な人間が注意できるような雰囲気ではありませんね。まあ、いずれ文化が成熟してくるのでしょう。そうそう、日本人もにたようなころがきっとあったんだろうなあなどと考えました。それはほんの少し前ですので、決して上から目線で語れるような立場ではありませんね。
2016.01.13 | Comments(0) | Trackback(0) | 休日