ここ最近コースのお客様も多く、お刺身を作る機会が多くなっております。
私は関東で育ったので、もともと生魚にはあまり縁がなく、はじめてマグロを食べたとき、子供ごころに「これ生で食べて大丈夫なのかな」などと思ったことを覚えているくらいです。きっと、当時は冷凍技術や物流も今ほど発展していなかったのでしょうね。私の実家で、おばあちゃんの葬儀のときに、集まった親戚のみなさんのためにとった寿司桶がはじめて見たにぎり寿司で、「あっ、『ど根性ガエル』で見たことある」なんて思ったものです。
そんな私が、30年ほど前に富山に来て、食品スーパーで勤めることになったのですが、お魚が豊富だと聞いていたわりには、こちらの地方のローカルスーパーは安さばかりを求めていて、ほとんど、地域資源を活用していないことに違和感を覚えていました。例えば、当時、店にならんでいたお刺身の盛り合わせは、ブリは愛媛産の養殖もの、マグロは太平洋産、サーモンはチリ産の養殖もの、アマエビはフィンランド産冷凍もの、しめさばのサバはノルウェー産といった具合です。
あまりにも日常すぎて、この地域ならではの良さに気が付いていないということは、よくあること。でも、観光に力を入れるようになった昨今では、ここ富山でも地域らしさが見直されているように思えます。
というわけで、せっかく身近に富山湾の新鮮な魚もありますので、当店のお刺身の盛り合わせは、出来るだけ地魚で作るようにしております。
2024.02.28
| Comments(0) | Trackback(0) | 日記
おかげさまで、このごろはお弁当の注文を多くいただいており、様々なご要望を加味しながら作るのはやりがいがありますが、なかなか忙しい日が続いております。
ふと、思い出しました。まだ私が浪人中だったころにコンビニでバイトをしていたのですが、そこは「ほか弁」スタイルのお弁当屋も兼ねていたので、昼どきは滅茶苦茶忙しかったものです。今考えてみたら無謀なオペレーションですね。まだバーコードさえない手打ちの時代のレジをこなしながら、お弁当作りをするのですから。昭和の終わりのころ、コンビニも様々なチェーン店が乱立していて、それぞれ業態を模索してしたころです。そこのお弁当は、基本、冷凍ものを揚げるだけなのですが、成型肉のステーキ弁当などはフライパンで焼かなければならず、さらに、かつ丼、親子丼などの注文が入ると、もうレジも止まってしまって、コンビニなのに長い行列を作り、よくお客さんに怒られたものです。
そういえば、オーナーが煙草をくわえながら米を研いでいた姿も思い出します、時代ですね。
「Aくん。大学あきらめてうちで弁当作ったら? 」
などと言われ、
「いや、いいっすよ。遠慮しておきます」
と苦笑いしていた私。きっと、
(そんなちんけな仕事、やってられっかよ!)
みたいな気持ちだったと思います。
今ではこうやってお弁当を作る仕事を、自ら喜んでやっているのですから不思議なものです。
2024.02.26
| Comments(0) | Trackback(0) | 日記
二月の半ばころ、荒天の続く北陸の冬には珍しく、エルニーニョ現象の影響か、おだやかな天気が続きましたね。風の匂いに春を感じさせるほどでした。おかげさまでこのごろは忙しく、なかなか休みを取れなかったのですが、せっかくなので、店休日の夕暮れどきに暇を作って散歩をしました。
とは言え、田舎暮らしなもので、都会と違って町並みを楽しんだり、ちょっと気になる店に寄ったりなどはできず、ひたすら続く畦道を歩いて、県道沿いのはま寿司で一皿200円のあさりの酒蒸しをつまみに一杯ひっかけるだけなのですが。
でも、空は美しい。ほろ酔い気分でこんな夕暮れどきを歩いていると少し切なくなります。そう、きれいな景色に出会うと、なんだか、ひとりで見ているのはもったいないような気持ちになるものですね。誰かとなりにいたらいいのにと思うのです。
そういえば、娘が幼いころは、よく夕暮れどきに散歩したものです。コンビニに行って、買ったピザまんをかじりながら帰ってくるだけなのですが、そういう思い出ってけっこう大事ですよね。何気ない時間を過ごし、ありふれた経験を共にするという積み重ねが、人とのつながりを深めるもの。家族でも、職場でも、友達でも、恋人でも、同じ空を見上げながら歩くということは大事な時間だと私は思うのです。
2024.02.23
| Comments(0) | Trackback(0) | 日記
カミさんが我が家の押入れを整理していると、まだフィルムだったころの古い写真がごっそりと出てきました。
そうそう。想い返せば、昔は現像してもらうのに写真屋さんに行ったものですよね。そして、わくわくと数日待って、出来上がったネガとプリントされた写真をとりに行ったものです。当時は、その中でもいい写真だけを選んでアルバムの中に入れておりました。今回出てきたのはそのアルバムに選ばれなかった写真たちです。
そうやって捨てるにも捨てられなかったような写真たちですが、こうやって、今見てみると「懐かしさ」のフィルターがかかっているので、どの写真もエモい。
きっと、このような古い写真を見たためでしょう、先日ひさしぶりに我が娘の夢を見たのですが、夢の中で握った娘の手が、幼いころのあの小ささでした。そして、目が覚めると、そうか、娘はひとり立ちして、もうここにはいないんだっけ、と思い出すと、なんだか寂しい気持ちになってしまいました。
でも、こんなふうに幼かった我が娘が、今ではまわりの皆様にたすけられて、都会でたくましく暮らしていることは本当にありがたいものです。そして、そろそろ身を固めてくれたらもっとおとうさんはありがたいものなのですが・・・。
2024.02.21
| Comments(0) | Trackback(0) | 古い写真
まだまだおでんのおいしい季節ですね。
私は東京の大井町で育ったのですが、当時は町工場が立ち並ぶような下町で、冬場になるとおばちゃん手づくりのおでんを並べている駄菓子屋などもあったもので、おでんは懐かしの味です。でも、駄菓子に比べると高価だったので、町工場の社長の息子など、お小遣いをたくさん持っている子が食べておりました。
「やっぱ、おでんは大根だよな」
などと通ぶったことを言う子もいて、それが、ちょっと大人っぽく見えたものです。
そういえば、最近、コンビニでもあまりおでんを見かけなくなりましたね。調べもせず、推測で書くのですが、やっぱりあれはメンテナンスがたいへんなのでしょうね。それに、販売もめんどくさそう。行列になっているのにも関わらず、
「どれにしよっかなあ・・・。ねえ、どれにする? たまごは欠かせないよね~。えっと、がんもと、ちくわ、・・・やっぱりやめて、今日は豪華に牛すじしようかしら。あっ、つゆだくで。それと、からし10袋ほどつけておいてください。あと、領収書も」
みたいなお客さんとかも居たりして。きっと、人不足もあるのでしょうね。それと、コロナ以降はどこでも裸売りの商品が少なくなったのでその影響かもしれません。
それでもどうしても食べたいという方は、もうカタコト屋に行くしかありませんね。なんでもテイクアウトもできるそうです。まあ、奥様便利だわ。便利すぎておかしくなりそう! イチローおみやげよ~。やったねパパ! あしたはホームランだ!
2024.02.19
| Comments(0) | Trackback(0) | 日記
今年の私の誕生日は店の営業日だったので、その前の店休日にカミさんが私のお祝いを計画してくれました。休みの日でしたが、残務があったので夕方よりスタート。とりあえず「秋吉」で集合です。
「どうせいい店に連れていっても、いつも浮かない顔しとるから」
とカミさん。そうなのです。へんにこじゃれた店に行くより、こういう店が一番落ち着く私。焼き鳥を頬張って、熱燗で乾杯です。
そして、ほとり座にて、レイトショーでやっていた「キャロル・キング。ホーム・アゲイン。ライブ・イン・セントラルパーク」という映画を事前に見つけてくれて、連れていってくれました。キャロル・キングのセントラルパークでのライブの模様を収めた、シンプルなドキュメンタリーでした。70年代当時の演奏を生で聞いているような映画で、曲もどれも素晴らしく、彼女のひたむきで、楽しそうな姿がとてもチャーミングで、感動しました。
私自身はとくに「つづれおり」が好きでよく聞いております。ジャケットのアートワークの雰囲気そのまま。ピアノを弾きながら語り掛けてくれるようなアルバムで、おすすめの一枚です。
そしてプレゼントはおなじみクロネコグッズ。クロがモチーフならなんでもよろこぶだろうという読みなのでしょう。まあ、実際そのとおりなのですが。
さて、私もいよいよ54歳になりました。想い返してみると、私はどうも若いころは空回りばかりしていたように思えており、今の仕事を始めたのも、すっかり遅咲きです。
「おまえは大器晩成だから」
と、我が母上は取り柄のない私によく言ってくれておりましたが、それにしても、そろそろ結果を見せないといけないなと少し焦っているところもあります。そう、50代にはいってから気力、体力の衰えを感じるようになっております。そう考えると日々の時間というものが本当に大事ですね。無駄に頑張っている時間や、惰性で使っている時間、それらを整理しなければいけないなと思う今日この頃。小器晩成なのかもしれませんが、一日一日、悔いのないようしっかり、大切な時間を過ごしたいものだと考えている次第です。
誕生日当日に、思いがけずいただいた手作りのマフィンをかじりながら、ふと、こうやって、まわりに少しでも、私を気に留めていただいている人がいることはありがたいなあと思いました。そうなのですよね。若いころはひとりでなんでもできるような気がしたものですが、歳をとってまいりますと、人のありがたさもしみじみと感じてくるものですね。なんだかんだ言っても、人はひとりでは生きていけないものです。
2024.02.16
| Comments(0) | Trackback(0) | 日記
会議用だったり、パーティーだったり、配るものだったりと、おかげさまでこのごろは様々なテイクアウトのご注文をいただいております。こういうときに柔軟に対応できるのはフリーランスの強みですね。会社組織であると、イレギュラーな仕事が入ると、その調整は難しいものです。
予算の中で、大人用なのか、子供用なのか、どこで食べるのかなど、いろいろと先方様のシチュエーションを考えながら作るのは神経を使いますが、やりがいのある仕事です。
メニューも、地域のもの、季節のもの、今ここで一番相応しい食材は何なのかということを考えることも楽しいです。メニューを固定して、いつも同じものを作れば効率的なのだろうとは思うのですが、私はその都度において「選択」をする、「判断」をするといったことに手ごたえを感じ、それが心地よいのです。それらには当然、失敗はつきものですが、挑戦していることには、それなりにご褒美というものがついてくるもの。それはかけがえのないものだと私は思うのです。
また、食材もできるだけ無駄にしないということにも私は熱をもっております。そう、単純に「もったいない」と思うものですよね。本来あるべき価値が活かせないことを惜しむ、そのような日本人らしい気持ちも大切にしたいと思っているのです。
それらのような仕事をいただけることを本当にありがたく思いながら、日々私は働いております。
2024.02.14
| Comments(0) | Trackback(0) | 日記
今年の節分も恵方巻をたくさん作らさせていただきました。ありがとうございます。
当店の恵方巻は出来るだけ「手作り」「地魚や地野菜を入れる」ということを目指して作っているのですが、2月はちょうど、地野菜が少なく、地魚も冬型の天候により安定しない時期でもあります。それでも、今年も何とか材料を揃えることができました。
今回は作っている途中で、巻きすの糸がほぐれてしまい、変わりを用意する時間もなかったのでずいぶん難儀しました。しかし、この竹製の巻きす、開店のころに、カミさんの母方の実家からいただいたものですが、おそらく古民具レベルのもので、この味わいが気に入っております。また、なんとか修繕して使っていきたいものです。
恵方巻を作りながら、亡き親父を思い出しました。親父が実家の台所に座って、巻き寿司を作る風景をよく見かけたものです。子どもに、孫にと、家族に食べさせるのがきっと楽しみだったのでしょう。私は「またかよ」みたいな気持ちで、そそくさと外食に出かけようとすると、無理やりにでもその巻き寿司を持たされたもの。
「ちっ、めんどくせ」
とか言って、それをカバンに入れたまま腐らせてしまうことさえありました。
私はそうやっていつまでもへんに反抗期が抜けなかったのは、きっと、精神的な自立が遅かった証拠でしょうね。それらを想い返すと、わあと叫んで転げまわりたくなるほど恥ずかしい気持ちになります。
今年の節分は、土曜日だったこともあり、当日に求められるお客様ま思いのほか多く、我が家用に作った一本までもお客様にお買い上げいただきました。
というわけで、我が家の節分メニューは、恵方巻の端材で作ったちらし寿司です。でも、縁起物ですので気持ちが大事。ありがたく、願いを込めて、それを黙々といただきました。
2024.02.12
| Comments(0) | Trackback(0) | 日記
このごろは、中国のお友達が母国に帰ってしまって暇なのか、カミさんに昼ごはんをよく誘われます。そして、食べに行くとしたら、たいていラーメンかカレーなような気がします。時々ハンバーガーとか。
以前のカミさんは滅多に外食をせず、食の啓蒙書を読みあさり、玄米食にしたり、添加物や調理器具にまで細心の注意をはらったり、かなり食について尖っていたものですが、子育てを終えた今では、もうすっかり堕落気味です。
カミさんは富山市にある南京千両というお店が好きなようで、先日連れられて行ってきました。たしかに、博多っぽい白濁したスープがおいしかった。
「この店構えとか、置物とか、のれんとか、おじさんたちがカウンターでさっと食べて出ていく感じがいいんやよね」
と、カミさんは言います。
「ははん。なるほどね」
と納得する私。そう、どうやらカミさんは、アジアの街角っぽい雰囲気をこの店に見つけ、気に入っているようです。
私自身は魚津市の「ラーメンの店」が最近のお気に入りです。こちらは、めちゃくちゃ昭和な店構えが素晴らしい。そして、レトロ系の店に行くと、へんに散らかっている店が多いものですが、ここはこぎれいなところもポイントが高いです。さらにラーメンも古風で素朴な味わい。そう、歳のせいか、以前あれだけ好きだった、激辛系ラーメンや、こってり系のラーメンが、私はあまり食べられなくなってまいりました。
そして、呉西地区に行ったなら、インドパキスタン系の料理を必ずといっていいほど目指します。射水市にある「カシミール」。メニューもさることながら、プレハブの建物も含めて、この店の異国感はものすごい。
そうなのですよね。私もカミさんも、味よりも、どちらかというと場の雰囲気のほうが、店選びのウェイトが大きいのです。
2024.02.09
| Comments(0) | Trackback(0) | 日記
先日、オープンしたばかりの「クロベライブベース」にて、カタコト屋軽音部としてライブ出演してきました。
このライブスペースは、スネイルランプというメジャーバンドのオリジナルメンバーだったTARO氏と音響のプロフェッショナルで全国的に活躍されているO氏が、黒部市内の空き工場のスペースを利用して立ち上げた施設です。
さすがに両氏が尽力しただけあって、なかなかの本格的なライブ空間。客席に盛り上げていただいたこともあって、演奏していてとても気持ちがよかったです。なにより、私は飲食店を営んでおりますので、土日の遠征は難しく、こうやって、近場で、休憩時間に抜け出し、ささっとライブ演奏ができるスペースがあるのは本当にありがたいです。
ライブが終わって、対バンの皆様が当店に立ち寄ってくれました。写真のような、若い皆様です。聞こえてくる話題が「何某のバントのギターがよかった」「こんなテクニックができるようになりたい」「こういうバンドを目指したい」と、皆様前向きで頼もしい。私は店の営業があって見られなかったのですが、それぞれのバンドの演奏はたいへん盛り上がったと聞きます。やっぱり、バンドって熱量って大事だよなあと思いました。そう、見ていて面白いバンドって、伝えたい言葉や、聞かせたい音楽、見せたいスタイル、なにか、そのような熱を感じるものですよね。うまいへたより、そこが人の心を動かすポイントのような気がします。
そして、大騒ぎの若い皆様にまぎれ、いきなりの大人数に、いっぱいいっぱい気味の店主のおじさんも、ちょっぴりだけ写っております。
2024.02.07
| Comments(0) | Trackback(0) | 日記