おかげさまで、このごろは予算に応じて、メニューおまかせでご予約のお客様もよくあります。そして、コース料理は期待にお応えできるかどうか神経を使います。ご要望があればもちろんのこと、性別や年齢、どのような場の席なのかを聞き、予測し、鑑みて、メニューや量の計画を作り込まなけれいけないので、なかなか「考える」時間を使います。
話は飛びますが、「考える」と言えば、芸人さんって、日々、題材を集めて、コントを作り、演じ切るのって本当にすごいなあとよく思います。そう、実は私はお笑いがけっこう好きで、その「考える」ということについての才能と努力に感動することさえあります。
そういえば、私は中学生のころへんにノッていて、次から次へと面白い話が浮び、なにを言ってもウケて、人気者のようになったころがありました。「おまえ漫才師になれよ」と友人にオーディションの用紙を渡されたくらいです。でも、考えれば考えるほど、今度はまったく面白いことが言えなくなってしまい、卒業するころにはすっかり存在感を失ってしまいました。そう。笑わせ続けていくということは最も難しい芸だと私は思うところがあります。
きっと、人からどう思われるかを気にし過ぎたのがいけなかったのでしょうね。意識が邪魔をして、うまくいかなくなるということはよくあるものです。
でも、「考える」ということは大事ですよね。「知識」は誰でも検索すれば簡単に引き出せるようになりました。さらに、「考える」という分野でもAIにとって代わっていく時代になりましたが、たとえば、人を笑わせるということまではおそらく機械には真似のできないことでしょう。そう。「発想する」ということが、これからの人間の大切な役割になっていくのではないかと思う今日この頃。そして、これからは、創造性のない仕事は、どんどんと機械に取られていくような気がしてなりません。
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2023.05.31
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麦の穂の実る季節になりましたね。この時期、寒くも暑くもなく、雨も少なく、気候的には過ごしやすいのですが、なんとなく気分的には不安定になるのはやはり季節の変わり目だからでしょうか。そして、歳をとるにしたがって季節の変化になかなかついていけなくなっていくような気もしています。
でも、そのぶん、しみじみと季節の移ろいを感じ取れるようになってきております。それまであまり関心がなかったのですが、田植えの終えた水田なども瑞々しく思えるようになってきました。
夏野菜も出回るようになってきましたね。店ではできうる限り地野菜を使うようにしているので、食品スーパーの店長をやっているときよりも、野菜から季節感を感じ取れるようになったと思います。そう、スーパーの野菜コーナーは欲しい野菜を世界中からかき集めて並べておりますので、いつの季節でも、たいていなんでもそろっているものです。一方、地野菜は時期のものしかないので、あるものをどう活かそうかとメニューには悩みます。でも、その地域、季節の野菜は理にかなっているので美味しく、また、そのような季節の変化は楽しいものです。
このごろ、巣作りの季節なのでしょう、ハトが店先で枝をくわえてうろうろしております。このあたりに住んでもらうと、糞の掃除などで迷惑ですが、愛らしいのでそのまま静かにしておいております。クロを飼ってから、なんとなく動物を身近に感じるようになりました。動物たちは、ただひたすらに真面目な感じがけなげでいいですね。まあ、逆に、ハトがいきなりこちらを向いて、
「おまえめっちゃアホすぎて草wwww」
などと笑ったりしたらホラーですが。
そして、もうすぐ梅雨の季節がやってきますね。人間にとっては鬱陶しい季節かもしれませんが、植物にとっては潤いの季節です。四季折々、その変化を楽しんで過ごしたいものです。
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2023.05.29
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若いころ、野趣のあふれる庭にあこがれたものですが、いやあ、そんな私は都会育ちの甘ちゃんぼうやでした。認めます。もう、ビーチボーイズ「スマイリー・スマイル」のジャケット状態。ジャングルのような我が庭。草木はそんな生やさしいものではありませんでした。そのころ思いつきで無計画に植えた木々や、雑草たちが、ものすごい勢いで私の生活圏を蝕んで、さらには家の壁や樋、または地中の水道管まで破壊するのです。恐るべし。
梅雨前になんとかしなければと、先日、思い切ってそれらを刈りまくり、無理やり我が軽自動車に積みこみ、処理場へと何往復もしました。
晩年のヘルマン・ヘッセのように、自然の叡智を感じ、または瞑想にふけりながら、優雅に庭仕事といきたいところですが、なんのスキルもない私はただやみくもに鋏や鎌、または鋸で草木を切りまくるだけです。
一日かけて、とにかく隣近所に迷惑のかからない程度の仕事ができたかできないかくらいの作業がなんとか終わりました。そうそう、町を見渡せば、没落していく家というものは、草木がぼうぼうと伸び放題になっていくものですね。きちんとしなければいけません。そんなあたりまえのことを、30年近く田舎暮らしをして、やっと気が付いた私です。
カミさんが大きなヘビを見つけました。私にとってヘビは吉兆なので、これから先、なにかいいことがあることを期待したいと思います。
日が暮れて、銭湯へと行ってまいりました。国道8号線からすばらしい夕日を見つけました。そして、不慣れな作業でしたが、案外に心地いい疲労感。しばらく庭仕事は課題にしていこうと思います。
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2023.05.26
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ゴールデンウイーク明けは、特注のお弁当でてんてこ舞い、さらに「kaya DO フリー」のイベントもあったので、その出店のため、お弁当作りでいっぱいいっぱいの週でした。トータルで100食ほど作りました。従業員さんのいない個人の店では、なかなかの手ごたえです。イベントもたいへんにぎわっていたようで、お弁当も昼前には完売しました。
そして、その日は母の日でもあり、オードブルのご注文もいくつかいただきました。
お弁当も含め、こうやって、ハレの食事をたくさん提供させていただくことができ、こころからありがたく思っております。
我が娘からも、カミさんに宅急便が届いておりました。母の日にケーキのプレゼントでした。よっぽど嬉しかったのでしょうね。しみじみとした顔をしておりました。
いや。おとうさんはまったく関係ないので、無駄にはしゃがなくて大丈夫。
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2023.05.24
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ゴールデンウイークが終わったその次の週、さらに、お弁当のご注文を大量にいただいておりました。それが、まだ経験をしたことのない数量だったことにプラスして、他にも大口のご注文などが重なっておりましたので、平日のお店をしばらくお休みにしてその準備に取り掛かりました。
峠を越えたあとに、さらに大きな峠を見上げるというような状況でしたので、なかなか緊張しました。私はリスクを見つめて、悲観的に仕事をすすめていくタイプですので、かなり神経を使います。そう、取り越し苦労みたいなことまであれこれ無駄に考えてしまうタイプでもあるのです。
そうやって、五月の爽やか季節でしたが、厨房にこもってひとり格闘する一週間になりました。
こんなとき、若い頃はもっと大きなプレッシャーと戦ってきたのだから、気楽にやっちゃえばいいじゃん、などとも思うのですが、負荷というものは必ずしも「金額」だとか「規模」だとかでは測れないものなのですよね。そのひとの心に由来するものです。そうそう、
「そんな小さなことどうだっていいじゃん。俺なんかこんなデカいことで苦労してるんだぜ」
みたいなアドバイス、あれはナンセンスですよね。誰もが自分自身と戦っているもの。比べることはできないものです。
そうして、当日は追い込みでバタバタしましたが、なんとか無事完成。あとになって、ああすればよかった、こうすればよかったなどもありましたが、お客様より「とても美味しかったです」とのメッセージをいただき一安心しました。心残りだったことは改善点として活かそうと思います。
大きな山を越えると、以前しんどく思えていたことがやけに楽に感じるものですよね。きっと、これが成長というものなのでしょう。そんな過程は単純に喜びでもあります。
仕事は楽だけど、毎日、横並びに座って、世間話や噂話ばかり。なにをしても「やらなくてもいい」「無理しなくていい」というような世界を抜け出し、この店を立ち上げて、本当によかったと思う今日この頃です。
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2023.05.22
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ゴールデンウィーク中、計画していた仕込みが足りなくなり、後半は冷蔵庫もガラガラ。さらにその次の週もおおきなお仕事をいただいており、その準備で忙しくなりそうなので、おもいきって連休の最終日にお店を休みにして一息つくことにしました。
とりあえず富山県美術館へ。開催していた「生誕120年棟方志功展」に行ってまいりました。
棟方志功の作品はプリミティブで、力強く、好きではありますが、そのイメージが巷に溢れすぎて、例えば「相田みつを」の書のように、居酒屋のトイレに貼ってありそうな、「ありふれた」という感じが私には否めません。しかし、カミさんは長い時間見入っており、たいへん感動していた様子。
「ピカソみたいに、ストレートでマッチョなタイプの芸術家やったんやねえ」
そう評していました。
そうそう、太宰治が「善蔵を思う」という随筆の中で、同郷の会に出席することになり、太宰らしい自意識やら、一人相撲やら、いろいろ葛藤があり、いざ会場で、緊張のあまり自己紹介で喉をつまらせてしまうと、
「もう、いっぺん! 」
と、上座からだみ声で叫んだ人物。あれはたしか棟方志功だと私はどこかで見た記憶があります(違うかもしれません)。そして、
「うるせえ、だまっとれ! 」
とキレてしまう太宰。
たしかに、太宰とは対照的な芸術家だとは言えますね。
午後はほとり座にて「ラストエンペラー」を観賞。公開当時、10代のころに見たときは退屈で冗長な映画だと思ったものですが、今になって見ると、歴史の背景などもわかっているので、溥儀の数奇な生涯について考えさせられ、また、感情を移入することもできました。しかし、長い上映時間中、へんに官能的なシーンが散りばめられていて、「これ、必要かな?」と、その演出に私は苦笑するところもありました。あれはベルトルッチの作家性なのか?
帰りはひさしぶりに秋吉へ。カウンターで焼き鳥とお湯割り。それが、私の休日のアイコニックです。店内は、連休の最後を楽しむ人たちでにぎわっておりました。
冷たい雨降りでしたが、芸術にも浸れて、うるおいになった一日でした。
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2023.05.19
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おかげさまでゴールデンウイーク中はたいへん忙しく過ごさせていただきました。そして、どこも賑わっていたようですね。ほぼコロナ禍以前の水準にまで戻ったというようなニュースも拝見しました。三年前に当店が営業をはじめてすぐにコロナ禍がはじまったので、実はまともなゴールデンウイークの営業を経験するのははじめてです。
やはり家族そろってお越しのお客様が多かったです。そして、たいていのご家族様は、わいわいがやがやとはせず、案外に静かなものでした。きっと、日常的にいっしょにいるからでしょうね。でも、おだやかで温かなその雰囲気。私の好きな光景です。
当店は、路地裏で、ほんとうに場所がわかりにくいのですが、旅の途中にお立ちよりいただくお客様もけっこうおりました。県外のお客様は「わ~、おいしそう! 」と反応のいい方が多い。せっかくの旅行なので、なるべくいい思い出を残したいという気持ちが強いからでしょうね。そしてお話好きな方も多かった。
日ごろテイクアウトに取り組んでいた甲斐もあり、オードブルやお弁当もよく出ました。天気のいい日が続いていたので、
「今日は海で外飲み。みんな持ち寄りなんです」
という若いお客様もおりました。いいですね。友達があつまってわいわいとする風景がいよいよ当たり前に戻ってきているということですね。
犯罪者のように、モザイクのかかった画像で、
(ビーチで密になってさわぐ若者たち)
みたいなテロップのワイドショーが毎日流れていたあれって、いったい何だったのでしょうね。
「ああっ、見てください! あの若者、『あごマスク』で缶ビールを飲んでます! 」
と、大騒ぎのレポーター。
「若者たちは我が身のことと考えてないのでしょうか」
と、眉をしかめるコメンテーター。
そんな番組を真面目にやっていたのですから。
そして、ゴールデンウイーク、こちらの地方では田植えもはじまる季節です。水の張った田んぼの景色はこの時期ならでは。水鏡がほんとうに美しい。
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2023.05.17
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先日、娘が帰省してきたとき、せっかくだからと、カミさんのご両親にグランミラージュのランチバイキングをお誘いいただき、家族そろって行ってきました。
しかし、女子たちはバイキング好きですよね。いろいろなものをチョコチョコとよそって。かわいく盛り付けて。季節のくだものやスイーツもあしらったりして。
おとうさんはこんな感じです。
「せっかくのバイキングやのに・・・」
と、カミさんにイラっとした真顔で言われました。店内を見渡すとやはり女子ばかり。
(おまえ、牛丼でも喰って、寝てろ! )
そんな声が、どこからか聞こえたような気がしたのは気のせいでしょうか?
その日、娘は誕生日を迎えたばかりのおじいちゃんに、肖像画をキャンパスに描いたものを渡しておりました。きっと、ぽてぽてとアクリル絵の具だらけになりながら描いたのだろうなあと想像できる絵ですね。思い付きでコラージュしたというようなシールの感じも場当たり的で、無駄も多い絵ですが、我が娘らしさがよく現れているいい作品だと思いました。
そんなわけで、ゴールデンウイークで忙しくなる前に、家族そろって過ごすことができ、ひといきつくことができました。
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2023.05.15
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食品スーパーで店長をしていたころ、
「魚とか、肉とか触るのが苦手なので」
と、パートさんの面接でそう言う方がたまにおりました。その希望を聞いて、商品を並べるだけの仕事をしてもらうのですが、食事会などで見かけると、美味しそうにお寿司や唐揚げを頬張っているので、
「なんだ、食べるのは大丈夫なんだ」
と、ちょっと不思議に思ったものです。
きっと、魚のお腹を出したり、真っ赤な肉のかたまりを切きざんだり、そういった生々しいことに関わりたくないということなのでしょうね。でも、見ないようにしても、実際に我々は動物たちのいのちをいただいております。きちんと向き合うなら、ベジタリアンやヴィーガンになるという方法もありますね。きっと、いのちを尊重した生き方なのだろうなと私は理解しております。
でも、そうやって食べるものを選択はできますが、それでも、人間はなんらかのいのちをいただかないと生きてはいけないものですよね。食材すべてはいのちです。
可能なかぎり食材を無駄にせず、美味しくいただくこと、いただいてもらうこと。それが私にできる「いのちに向き合う」ということなのではないなかと考えています。
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2023.05.12
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ほんとうに猫ってずるいですよね。「美しい」ということと、「無口」であるということが、きっと人を虜にしてしまうポイントなのではないかとよく思います。考えてみれば、家の中で、飯を食って、ぐうたら寝そべっているだけなのですから、ニートみたいなものです。もし、よれよれのジャージ姿で、
「おい、オヤジ。コンビニでちゅーる買ってきてくれよ」
と言ってたら、きっと家から追い出されることでしょう。世界中、野良猫だらけになるに違いない。
犬とちがって、媚びすぎないところも私には合っているところです。となりで、「ご主人様」と見上げて待たれるのは、きっと落ち着かないことでしょう。
そうそう、よくおつきあいで、女の子が隣につくような店につれていかれた頃がありました。煙草をくわえるとすかさず火をつけてきたり、グラスが空になるとちょこちょこと水割りを作ってくれたり、さらに、芸能人の誰々に似ているだのとおべっかを言われたりされると、私はへとへとになってしまうタイプです。しまいには、「お兄さん、癒し系~」だとか言われたりして。
「もう、ほっといてください! 」
そう叫んで、店から飛び出したいような衝動にかられます。
そして、陽だまりのような匂いとぽかぽかとした体温。たまりませんね。これはきっとヒトを中毒にさせるために進化したのだと思います。現実がつらく、どこかへと逃げ出したい気分のとき、ついついクロにの体に顔をうずめてしまいます。
「うわ~、くるな~」
虚ろな目の私。まるで薬物患者のようです。
I don't know just where I'm going
自分がどこにむかっているのかわからない
But I'm gonna try for the kingdom, if I can
でも、できるなら王国をものにしてみたいんだ
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2023.05.10
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