県営なのか、市営なのか、このような住宅もよく見かけ、どこも斜めに煙突のようなものがついておりましたが、位置が低いのでちょっと謎。なにか寒冷地仕様の装備なのか。
奈良井川沿いを歩くと秋桜がキラキラとまぶしい。
そして目的地松本城に到着。
達成感が来るかとおもいきや、まるであしたのジョーの最終回のような喪失感がやってきました。真っ白に燃え尽きてベンチに座る僕。それは、夢から覚めて、現実に戻っていくような寂しさでありました。
ナワテ通りではなにか祭礼の準備をしておりました。
松本は蟻ケ崎に我が母の実家があり、夏休みによく行ったもので、親戚やいとこたちと遊んだ楽しい思い出の地であります。駅の近くには伯母の花屋がありました。今でも花屋に入ったときの匂いが好きなのはそれらの思い出のためでしょう。当時に比べて近代的になりましたが、古風でハイカラな風情が今でも街並みの随所に感じられました。
そして松本駅「くれきの」というそば屋にて手打ちそばをいただきひとり打ち上げ。
音をたてて食べることにまったく抵抗はない僕ですが、前に座る人物が通ぶって、ずりゅりゅりゅ~!! とものすごい轟音で蕎麦を啜り、しかも、やたら店員をつかまえては、
「きみ、きみ、この蕎麦の割合は・・・」
などと、質問しつつも、自らのうんちくなどを語るので、すっかり辟易してしまいました。
そう、現実世界にはこのようなささやかな憂鬱が待っているものです。
千国街道を歩く21
なんのためにこの野原を歩いているのだろう。ふと思う僕。高級車のスクラップとその背景にこども病院。なんだか不思議な風景なので撮りました。そう、でも、自らの行動に一々理由や言い訳などを考えなくたっていいのですよね。どうせ世界はこの景色のようにシュールなのですから。許しを乞う必要だってないのです。そういえば、以前の会社で社員旅行でこのあたりに来たとき、バスガイドさんにこども病院についてなにかエピソードをきいたのですが、いくらがんばっても思い出せませんでした。なにか泣かせる話だったような気もしますが。
突然、僕の目の前にクルミが落ちてきたのでびっくり。このカラスのいたずらでした。
「もう、こっいつう~」
まったくのひとりぼっちの旅だったので、カラスでもかまってくれるとちょっとうれしいものです。
旧街道沿いには、こんな大正チック、ハイカラな土蔵も普通にあります。
やっているのか、やっていないのか地元スーパー。この書体とファンシー系イラストは70年代っぽいですね。
梓川を渡る手前で巨大オブジェ。河川を掘削するカッターのようなものでしょうか。なにかガンダムのアッガイとかいう冴えないモビルスーツの手の部分っぽいですね。
千国街道を歩く20
翌朝は日の出とともに穂高を出発。前夜は居酒屋から出て、さらによっちゃんいかの大袋をつまみに地元ワインを1本あけるほどに深酒をしてしまいましたが、案外すっきりと目覚めました。
寂れた街角で見かける、このマルフクの看板もちょっとした風情になってまいりましたね。しかしなんだろうマルフクって。金融関係の企業なのか、昔のテレビ東京、深夜のCMっぽい匂いを感じます。記憶が正しければ、どういう経緯だったのか、我が実家の塀にもこれが一時期貼られ、親父が珍しく怒ってはがさせたことを微かに覚えております。
朝日と滝山連峰なのか、山の稜線が美しい。
オズの魔法使い、ブリキ男に遭遇。
僕「おはよう。ブリキ男くん、きみは心がないんだってね」
ブリキ男「なんやと、おんどれ。誰に向かって口きいとんのや」
僕「は、すんません」
ブリキ男「のう兄さん、心なんてもんは虹みたいなもんじゃけんの。こんな世知辛い世に仁義もクソもあるもんかい」
僕「そ、・・・そうっすよね」
ブリキ男「それとな、おんしも男に生まれてきた以上、風下に立ったらいけんぞ。西の悪い魔女がなんぼのもんじゃい。狙われるより狙ったもんのほうが強いんじゃ。わかったかボケ」
僕「は、はい。わかりました」
ブリキ男「♪さむうえい~おば~ざれいんぼ~、こら、いっしょにうたわんかい! 」
僕「はい、♪さむうえい~」
豊科あたりはちょっと古風な街並み。60~70代あたりの名残もありました。
豊科から松本市内に向かう街道沿いには、このような立派なお屋敷がけっこうありなかなか見応えがありました。今でも大家族で暮らしているのか、表札もたくさんかけている家も多く、どこもずいぶんきれいに手入れされているように見え、昔のにぎやかな暮らしぶりなども想像できてなかなか楽しかったです。
千国街道を歩く19
やはり水が豊富なのですね。穂高近くには養魚場や山葵田などがけっこうありました。幼い頃、よく伯父さんに釣り堀に連れていってもらったのですが、そのときの水の匂いを思いだしました。
くたびれてきたので、穂高駅前、あづみのパークホテルという宿を見つけチェックイン。まだ夕方早めだったので下駄に履き替えちょっと散歩。東光寺という寺院には馬鹿でかい下駄があって、ひとり笑ってしまいました。ジャンボマックスじゃないんだから。
少しばかり遠かったのですが、大王わさび農場にも行ってみました。ちょうど夕暮れで、清流がモネの絵のように美しかった。わさびコロッケを頬張り、わさびビールを飲みしばらくぼんやり。なにかバラエティー番組の撮影らしく、出川なんとかという人と数人がバイクにのっておおはしゃぎしておりました。もし、そんなテレビの中に、下駄を履き、うつむき加減のさみしそうなおじさんを見かけたら、きっとそれは僕でしょう。
そして宿までの帰り道。くたびれていたのでビールがやけに効きました。そう、安曇野はだだっ広いので、ドライブにはいいかもしれませんが、千鳥足で散歩するにはちょっときつい。
そのまま穂高駅前の大八という居酒屋になだれこみ、馬刺しと熱燗を所望。山賊焼きが名物だというのでさらに追加、そしてスズメバチ漬けの焼酎なるものをたのんでみると、心なしかほのかにハチミツのような風味がしました。すっかりアルコールがまわってまいりますと、知らない場所、世界の片隅、僕はここにいるんだなあなどといった実感なども沸いてまいります。
Rosie, why do you evade?
ロージーどうして避けるんだい?
Rosie, how can I persuade? Rosie...
ロージーどうしたら口説けるんだい?ロージー
千国街道を歩く18
山沿いの道すがら、栗がたくさん落ちていました。ふだん思わないのですが、ああもったいない、栗ご飯にしたらおいしいだろうになどと考える僕。これは単なる吝嗇からではなく、もしかして遺伝的記憶かもしれませんね。そう、古代に日本人は栗を主食にしていたと聞きます。そして、秋になると自然と栗の味って懐かしく感じるものですね。
池田町というちょっと古そうな町に出て、ちょうどお昼どき。せっかくなので藤廼家というそば屋さんに入ってみました。
「よかったら、今からうちますので見てやってください」
というので、そば打ちを見学。なるほど職人技ですね。陶芸もそうですが、グニャグニャしたものが規則正しい形状になっていく過程というものは、なにか不思議な見応えがありますね。
そして出てきたのは新そばの十割蕎麦です。味音痴な僕ですが、なるほど、シンプルに季節の香り、味を楽しむという事は優雅なものだなあと思いました。
そう言いつつも、昼下がりにまた小腹が空いたので、安曇追分駅近くのヤマモトという店で総菜パンを購入。小規模なローカルスーパーだったのですが、惣菜や地場の商材などこだわりがありそうでなかなか面白いお店でした。あまり洗練されてなくても、頑張っているお店はなにか伝わるものがありますね。
丁度このあたり、稲刈りのシーズンでありました。こういう稲藁を干す風景というのも貴重になってまいりましたね。僕の暮らす、富山県黒部市でもほとんどみかけなくなりました。
そして、秋祭りなどもにぎわっておりました。ですが、残念ながら、お囃子などではなく、
♪さまよっちゃう俺たち~ でも永遠につながっちゃうよね~ そっと感謝フォーエバーだね~
みたいな、どうでもいいビジュアル系ロックみたいな曲が大音量で流されておりました。
千国街道を歩く17
さて、誰にも頼まれないのに無駄に「塩の道」を踏破するというこの不人気な企画もいよいよ大詰めです。今回のセッションは信濃大町スタート。
これは、国道147号線を横切る地下道で見つけた小学生のペンキ絵。すばらしい。僕は子どもの描く絵を見て、鳥肌が立つほど感動することがあるのですが、それは作品に邪念がないからなのでしょうね。
「きみの絵すごく面白いね」
などとこの小さな芸術家に声をかけたら、意識が入ってしまい、きっと駄目になってしまうような気もします。
大町は我が母上が幼少のころに過ごした町なので、いろいろな話を聞いたからでしょう、なんとなく以前に来たことあるような、不思議と懐かしい町並みに見えました。
まだ戦前の頃だと思いますが、我が祖父がこの町のどこかの学校で校長をやっていたときいており、たまたま通りかかった大町東という小学校で念のためパチリ。でもきっと違う学校かもしれません。その当時は教員が暮らす立派な住居なども隣接していたと聞きます。
安曇野の東側、山のふもとを辿っていきます。土蔵の風景が続き、このような観光地化されていない自然な風景はやはりグッときますね。古さの中、生活感の温かさであったり、または逆に朽ちていく寂寥であったり、そのようなリアリティが僕の心をとらえます。
もう、この地域あたりになると道祖神がめちゃくちゃ点在しております。全部撮っていたらきりがないので途中であきらめましたが、これらをテーマに写しあるくのも面白いかもしれませんね。しかし最近ますます趣味が地味で年寄りくさくなってきた僕。もうすでにミッドライフクライシスの向こう側に来てしまった感じもします。
風呂とラーメンの日々
最近ぶらりと立ち寄った場所をいくつか。
魚津の海沿いには、不思議と古風な銭湯が数件残っており、その下町風情がなかなか楽しいですね。その中、川沿いの八ツ橋湯へ。ここは赤茶色の温泉っぽいお湯もありなかなかいい感じ。
富山市内、荏原鉱泉にて。荏原鉱泉は何年代の建築なのか、異様に頑丈そうなコンクリートの建物が特徴です。そう、富山県内、古い銭湯などによくこの「カルストーンサウナ」というものを見かけますが、これってなんでしょうね。そして、どこも若干ぬるい。ちょっと我慢すればポカポカするのかなと思いきや、だんだん体も冷えてくるという恐るべきサウナです。
同じく富山市内、化学調味料無添加という、ラーメンなのに健康的な本来の味を模索するというベクトルの「万里」というお店で、旭川ラーメンを所望。メンマではなくノブキやマコモがトッピングされており、なんと言ったか、アフリカの辛い調味料も添えてありました。おいしかったのですが、ちょっとエキセントリックな味わい。常連のみなさんは普通のラーメンを、麺追加でたのんでいたのでそちらのほうがスタンダードにおいしそう。こんどまた行ってみようかと思います。
黒部市内「エスエル」にてエスエルラーメン。なかなか優しい系の味わいで、店主さんが「ニンニクは好きか」と聞いてくるので、大好きだと答えると、どっさりと入れてくれました。
これはラーメンでも風呂でもありませんが、職場から近いので「松桜閣」へ昼休憩のときにぶらりと入ってみました。地元豪農、離れの庭だったらしいですね。ラーメンでも食べて、風呂上がりにここで昼寝したら気持ちよさそう。ラーメンと風呂とひるねが僕の休日のルーチンなのですが、そう、案外ひるねをする場所がなく、「ひるね屋」という商売をやったら儲かるんじゃないかななどとよく考えることがあります。誰か僕に出資しませんか。
2017.10.16 | Comments(0) | Trackback(0) | 休日
仁義なきカスタマイズ野郎
僕が子供の頃、男兄弟の多い家でしたので、料理の手間を省くためでしょうか、土曜の昼はカップ麺や即席めんなどがあてがわれていたのですが、みんなそれぞれ、焼いた肉野菜を入れたり、七味をかけたり、たまごを入れたりなどカスタマイズして食べておりました。本能的なものでしょうか、男って改造するのが好きですよね、バイクやら、車やら、ギターやら、こうやってネギをバカみたいに入れてその辛さに涙ぐんでカップ麺をすするのもたいてい男です。
マックのハンバーガーってもう少し野菜感ほしいところですよね。という訳で野菜を挟んでカスタマイズ。これは店内でやってはいけませんよ~。・・・絶対に。
そうそう、このあいだポレポレ・ジャンボリーにて、マスターが、お客さんが自らカスタマイズするシェイクを開発中とのことで、実演しておりました。
カスタマイズどころか、珍しかったので信州で買った鯉を鯉こくに調理して持ち込む僕。こちらも絶対に真似してはいけませんよ~。
あっ、モンゴル土産のビールまで持ちこむのは誰ですか!
2017.10.13 | Comments(0) | Trackback(0) | 日常
千国街道を歩く16
木崎湖畔の西側を歩きます。印象派の絵画チックな風景が続き、なかなかいい感じ。
そしてキャンプ地を過ぎると、懐かし観光系のスポットに到着。70年代あたりは流行っていただろう、ボート乗り場やお土産屋などが細々と営業しており、廃業した温泉宿などが当時の雰囲気を醸し出しておりました。
ゆーぷる木崎湖という温泉施設にて、なまずの蒲焼を所望。ちょっとイメージとは違い、三分の一のスペースを胡瓜が占領しておりましたが、それはそれでご愛嬌。なかなかおいしくいただきました。
お風呂につかると、もうすっかり楽になってしまい、歩くのも億劫になってまいりました。
しかし、雨も降りそうなのと、大糸線のタイミングもあり、老体に鞭をうって、早足で信濃大町駅へ。慌てていたのであまり見られませんでしたが、町並が懐かしい感じでよさそう。
それでもすこし時間が作れたので、ある店でカミさんのお土産に地酒を物色していると、観光客さんたちがお酒の試飲をしており、
「いやあ、 おいしいっすね、また明日きます」
とお愛想を言うも、逆鱗に触れたのか店主さんが、
「味のわからんやつは、もう来んでいい! 」
などとロックンロールなことを言い放ってその罪なき人たちを追い返すので、僕までも気まずくなって店を出てまいりました。
仕方なく駅で野沢菜のおやきを買って、僕は大糸線に乗り込みましたとさ。
千国街道を歩く15
杉木立の林道を歩き佐野坂を越えます。途中観音様があったので手を合わせてきました。
さて、ここからは仁科三湖。言わば湖のジェットストリームアタック状態。パッと視界が開け、きっとその神秘的な景色に感動するだろうなと思いきや、だらだらと青木湖が見えてきてなにかしっくりこない。そう、あまり期待値を上げたり、先入観をもってはいけませんね。きっと、これは人にも言えることでしょう。
湖畔に西側はキャンプ地が多く、カヌーというのか、カヤックというのか、ボート遊びの拠点のようになっておりました。ちなみに「犬神家の一族」の湖から足がにょきっと出ているあの恐ろしいシーンはここで撮影されたらしいですね。そうそう、僕が小学生の頃プールの時間になると誰もが足を水面から出して「いぬがみけっ! 」と叫び遊んだものです。
湖の南端、堂崎観音堂に辿りつくも、蜂たちが「ガンつけんじゃねえよ」とすごんでいるので近づくことができませんでした。
そして中綱湖畔のサイクリングロードを歩きます。簗場駅近く、中綱の集落はなんとなく風情があっていい感じでした。
しばらく国道を歩き南下すると、木崎湖畔の上諏訪神社にたどり着きました。ちょうど祭礼の準備をしているところで、御神鏡を拝見することができました。なにか厳かな気分で手を合わせ、僕はそこをあとにしました。