デンパサールは観光客も少ないんで、声掛けみたいなのもほとんどなくて歩きやすかった。
宿の近くはムスリムの地区だったらしく、モスクからアザーンがよく聞こえた。とくに早朝のアザーンは旅情をそそるんだよね。タクシーの運ちゃんの話だと、インドネシアのほとんどはムスリムだけれど、バリ島では80~90パーセントくらいがヒンドゥだって言ってた。
それにしても信号がほとんどないからさ、通りを横切るのが命がけなんだよね。これがさ、おっかなびっくり渡るとかえってあぶないんだ。なれると、手をちょっとかざして、どこでも横切れるようになる。
とりあえずなんでもない食堂で昼飯。揚げた魚に、辛くて甘いやつをかけて食べる。汁もたぶん同じ魚。レモングラスなのか、何気ない南国テイストでなかなかうまい。ごはんはパラパラだけれど、こういう暑い国ではこのほうが食べやすいと思う。
俺の視線が遠くなってるのは料理がまずいからでは決してない。少し疲れが出てきたからだと思う。
2015.03.31
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そうそう。俺は夢の中で彼女(夢の中では俺はまだ結婚してなかったんだ)と歩いてたんだよね。夕飯の材料を探して、バリの通りを歩いてるんだけれど、なぜか、異様に高いスーパーと短期大学の購買しかないんだ。仕方がないんでさ、手ぶらのまま宿に戻ると、大部屋に日本人のオタク、挙動のおかしいバックパッカーがうじゃうじゃいてさ、彼女は猪になって走り去ってしまうんだ。
もしかしたら、あれさ、猪の化身、ヴァラーハだったのかもしれないな。
そうやって、俺がプールサイドでうとうとしてるあいだ、我が家の女どもはアイスを食ってたみたい。
そのときの娘の画像にこんな絵もあった。なんか初期のデヴィッド・ボウイみたいだね。そう、バリ島は絵画みたいなアートも盛んなんだよね。まるで建築材料かなんかみたいに、乱暴に、ごっそりとさ、絵画を抱えて走るバイクなんかもよく見かけたな。
タクシーをつかまえてデンパサールまで移動。
「うっそ。ほんとかよ。あんたが俺の年上に見えないな。あんたたち、みんな兄弟かと思ったよ」
みたいなことを運ちゃんは言ってた。でも、それはお世辞とかじゃなくてさ、日本人が幼く見えるってことだと思うな。俺なんか入れ墨してドカドカ歩くマッチョなアングロ・サクソンにくらべたら、やわな坊ちゃんみたく見えるんだと思う。
たどりついた次の宿から見える瓦屋根の景色はよかった。よく見るとさ、小蟻がベットにうじゃうじゃいたけれど、前の宿みたく、ムカデやゴキブリ、這い回る爬虫類はいなかったんで、ちょっとグレードアップした気分になったよ。
2015.03.30
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俺はひとり、クタの通りを散歩。きっとみんなバイクに乗ってるからだと思うけれど、案外歩いている人は少なかったような気がする。歩道もデコボコでさ、いろんなところでめくれているし、ゴミだらけなんでさ、歩きにくかったよ。ときどき野良犬とすれちがった。
そう、ここの犬は暑いからか、みんな痩せていてね、こうやって木陰でぐたーって寝そべってるのもよく見かけた。たくさん犬がいるねって地元の人に話かけたら、それでも、5年ほど前に狂犬病が流行って、たくさん殺されたって言ってたね。
宿に帰ってひと休み。安宿だけれど、リゾート地なんでいちおうプールなんかもあった。ふだん飲まないけれど、コーラをたのんだら、暑いんでやけにうまかったな。スマホいじってさぼってたウエイターさんがあわててBGMをかけてくれた。たぶん最近のアメリカのヒット曲。でもさ、今のミュージックシーンって、よく知らないけれど、ありがちなのばっかりでつまらないよなあって思ったんだよね。
2015.03.29
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気温は朝から30度近くまで上がる。
なんか道端のいろんなところにさ、お弁当みたいなもんが散らかっていると思ったら、ヒンドゥーのお供えだったよ。聞くところによるとさ、こうやって仕事前に毎日丁寧に供えるんだって。
我が家の女どもは目が覚めたと思ったら、さっそく市場の人いきれの中にまぎれていった。
2015.03.28
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ひとり夜明け前に目が覚めたんで、海辺を走った。でも、ポン引きなのか、物売りなのか、暗がりの中、怪しいバイクの女につきまとわれたり、野良犬に吠えらたりして落ちつかなかったな。浜辺で眠っている人もいた。
それでも、裸足で波打ち際を走ってるとさ、鳥にでもなった感じがしてきたよ。
夜明け。
なんか寝不足でうとうとしてきたんだけれど、そこに座って、しばらく太陽がのぼってくるのを俺は待ってたんだよね。
2015.03.27
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海の近く、クタって街はガラの悪いヤンキーが多くてね。あいつらタトゥーなんかしてさ、夜更けまで大音量でヒップホップやら、レゲエなんかをかけて騒いでる。いかにも葉っぱやってるようなサーファーっぽい奴も多かった。
またしても我が家の女どもはタフでね、夜の街に消えてった。こんなに夜遊び好きな女どもも珍しいんじゃないかな。なんでも、酔っぱらったアメリカ人にその帽子売ってくれってしつこく絡まれたみたい。しかし、あいつらなんでも金で買えると思ってるのかね。
俺は宿で大の字。トイレにでかいゴキブリが2匹ほどひっくり返ってるような安宿。壁には時々ムカデやヤモリがはってるのが見える。今回の旅行もカミさんにまかせてあるんだけれどさ、こういうところにはハングリーなんだよね。ホテルでゆったりしようなんて気がまるでないんだ。
ルピアのレートはちょうど円の100倍なんで、ゼロをふたつ見えなくすればわかりやすかった。
ちなみに観光客向けじゃない食堂なら150円ほどでうまくて辛いナシチャンプルがたっぷり食える。でも酒は日本よりちょっと安い程度かな。ビンタンビールは200円、でかいやつは350円で飲める。そしてタクシーの運ちゃんには4000円ほど握らせたら喜んで1日中どこにでも案内してくれるよ。
2015.03.26
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長いフライト、段取りの悪い入国手続きですっかりくたくたになったけれど、俺は下駄を鳴らして急いだよ。
タクシーの運転手は、
「マリワナ買うんならムスリムから買うな。お縄になって泣いた日本人をたくさん知ってる」
みたいなアドバイスを言いながらのんびり運転をする。そんなことはどうでもいいんだ。急いでくれ。日が暮れちまう。
娘よ、YOーとか言ってる場合じゃない。急がないと老いぼれてくたばっちまうぞ。
間に合った。海へとたどり着いた。
この島はどこでもガラムみたいな匂いがしてる。
俺たちはバリ島へやって来たんだ。
2015.03.25
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空港からタクシーに乗ったらさ、運転手が香港映画のヤクザみたいなヤツでね、
「ちっきしょう! おまえらなに言ってんのかわっかんねえよ!」
みたいなこと言いながらさ、ずっとため息ばかりしてるんだよね。しかも、スマホいじくりながら猛スピードで片手運転。実際、道間違えてさ、あげくにわからないまま、だいたい近くに降ろされたんだよ。
まあ、でも悪いヤツじゃなかったな。ただアルファベットも読めないほど学がなかっただけなんだ。
やっと見つけてたどり着いたのは深夜。わからないはずだよ。英語表記のホテルをネット予約してたんだけど実際はなんとか飯店とかしか看板に書いてないんだよね。
とかにかく俺はビールを飲んでぶっ倒れた。我が家の女どもはタフでね、そのまま夜の街に繰り出してたよ。
ぢみさんも言ってたけれど、なんかシナモンみたいな匂いがどこでもしてるんだよね。台湾ってさ。
翌朝の朝食のバイキングは中国人の団体さんにもまれてね、すさまじかったよ。俺はあきらめてタマゴちょっととコーヒーだけ飲んだ。
また空港まで、タクシー。今度の運転手さんは始終ニコニコしててね、やっぱり笑顔ってさ、それだけで得だよなって思ったよ。
そしてまたエコノミークラスの窮窟なシート。持ってきてもらった機内食を食いながらさ、007みたいなくだらない映画を眺めてると、ブタ小屋のブタになったような情け無い気持ちになってきたよ。飛行機の中の安いシートのやつらって、みんな平等に不自由だよね。
2015.03.24
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まずは家族3人、南方で散ったカミさんのおじいちゃんが祀られいる護国神社へ参拝。ちょうど結婚の儀が厳かに行われてたんでいいもの見たよ。
しかしさ、またしても我が家のポンコツがへそを曲げてね、おそらくパッドだと思うけれど、ブレーキの効きが悪くなって、止まるたびにものすごい異音がするんだ。仕方ないんで、オートマなのにエンブレ。そしてサイドブレーキをきかせて、だましだまし下道で走った。
なんとか小松空港に間に合ったよ。
しかし、いくらカッコつけても「珍味」ってすぐ横に書いてあるんで間抜けだね。
しかしさ、飛行機の着陸時に、やけにリラックス感たっぷりの音楽がかかるけれど、あれがかえって緊張させると思わない?
やがて台北の夜景が見えてきた。
2015.03.23
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朝起きたら、我が家の庭の沈丁花の匂いがしてた。
久しぶりに座禅を組んでみたよ。少しばかり心が波打ってたんで苦しかったんだ。これから旅に出るんで興奮してたんだと思う。
2015.03.22
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