職を離れ、野原に出て戦う決意をした私。もう、許しを乞う必要もありません。どうせ、誰にも許されやしないのですから。
その初日。ご縁があり「笑農和」さんというベンチャー系企業にお仕事をたのまれ、朝はやくに出かけることになりました。
暁。
なんだか旅立っていくというような感じがします。
滑川駅前でスタッフさんと落ち合い、静岡県磐田市へと向かいます。4月に入ったのですが、白川郷あたりでは、残雪がありました。
それにしても笑農和さん、さすがIT系農業コンサルだけあって、情報共有が綿密できめ細やか。さらに礼儀正しい。つい先週まで、無言で机に置かれた殴り書きのメモをたよりに、仕事の流れを察し、恐る恐る段取りし、改善をはかってみるも「去年やったことと、ちゃうやろ」と言われるような現場にいたので、もう、それだけで感動しました。
磐田市にたどりつくと、ちょうど新元号「令和」の発表。
きっと、この瞬間が、これからの話題となるのでしょうね。
「ああ、そんとき俺、仕事やめたばかりでさ、磐田市のガストの駐車場にいたんだよね」
みたいなことを将来私は語らなければいけなくなるのでしょう。
その日の午後、私はレンタカーの軽自動車で、GPSのポイントをたよりに、用水を管理する機械の基盤と部品交換、動作確認をするという作業をしました。軽トラで田んぼを見まわって、水門を開け閉めする人を黒部市でもよく見かけますが、そんな業務を軽減する仕組みのようですね。
作業が終わって解散。僕は夕飯に「塚田農場」という店に入ってみました。地鶏の炭火焼きだったか、おすすめと書いてあったので所望しましたが、千円オーバーでビビる私。そう、一品単価が高いので、大井町出身、せんべろ派の私にはちょっと向いておりませんでした。
そういえば「牧場」とか「製麺」とか「精肉」とかとうたう店が最近やけに多いのですが、それらってほんとなのでしょうか。「農場」って言うからには、
「とりあえず生と、このおすすめのやつね」 「えっ、『炭火焼き鶏』ですか? 少々お時間いただきますが・・・」
「ああ、いいよ」
「ほ、ほんとにいいんですか・・・」
「どっ、どうしたんだい、急に涙うかべて」
「・・・鬼」 「えっ? 鬼って・・・」 肩を落として店の奥へ戻る店員。そして、壁ごしに聞こえる声。 (コッコちゃん。恨むならあの客を恨むんだよ。許せ! )
(コケー!)
「うわ~! ちょっとまってくれ! 」
そんなふうな店であってほしいですね。
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2019.04.26
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宿泊は磐田駅前の「くれたけイン」というホテル。ここはウェルカムドリンクというものがあってびっくり。きょろきょろあたりを見渡し、外国人労働者らしき人に中にまぎれ、こっそりとセルフの生ビールをいただきます。そう。「ただ酒」ってなんだかうしろめたいような気分になりますよね。そこがまたおいしいのですが。
よくビジネスホテルなどの部屋に、ギデオン協会の聖書がありますが、どうしてでしょうね。ビートルズのロッキー・ラクーン状態です。せっかくなので、パラパラとめくってみました。
「人はパンのみに生きるにあらず」
この言葉って聖書の言葉なのですね。恥ずかしながら、私はフランスあたりの芸術家の言葉だとばっかり思っておりました。
翌日は朝から、私は現地のアルバイト高校生と作業です。最近の高校生は考え方がしっかりしているなあと感心しました。きっと、我々の頃に比べて、情報に恵まれているからなのかもしれないなあとも思いました。そう、知識が豊富なので、あれこれ引き出しがあり、かえってこちらが勉強になるくらいです。昼食に名物だと教えてもらい、餃子を所望。
でも、責任感の強さと、根気は私のほうが勝ったかな。途中、集中力がとぎれてバテ気味になったようで、ちょっと子供っぽい顔も見せておりました。それはやはり経験の差なのでしょうね。せめて、そのくらいは、おじさん負けたくないもの。
作業が終わり、
「ちょっと記念に写真とってくんない」
とおじさん。
「はい(マジかよめんどくせ)」
「きみもいっしょにとるかい」
「いや、ボクは結構です(うわ、うぜえな)」
その翌日に私は予定があったので、新幹線で帰宅させていただきました。せっかくなので、浜松名物のうなぎを食べたかったのですが、「うなぎボーン」で我慢。
And Rocky said, "Doc, it's only a scratch
そして、ロッキーは言う「ドクター、こんなのかすり傷だぜ」
And I'll be better, I'll be better Doc, as soon as I am able"
「良くなる、良くなるよドクター、すぐになおっちまうさ」
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2019.04.29
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失業状態に突入すると、そこから一週間ほど、働いてはいけないと決められた日々があります。せっかくなので、我が家の、掃除などをして過ごすことにしました。とりあえず、長い間さぼっていた、朝のランニングも再開。海辺まで走ると、水仙の花が凛と咲いておりました。
そのあいだ、外食もせず、粗食をこころがけます。
散髪も自分でやります。じつは私は、ここ何年ものあいだ、床屋に行ったことがありません。近所に床屋がなく、美容院というのもどうも恥ずかしかったので、最初はカミさんに切ってもらっていたのですが、カミさんもだんだんめんどくさがるようになってきたので、コメリで買ったバリカンで自ら切るようになりました。しかも、近頃ではボリュームもなくなってきたので、もう、合わせ鏡などしなくても、髭剃り感覚でできます。
物置に眠っていた自転車も出しました。お出かけも、なるべく車を使いません。
夜はひとりで飲むお酒をやめてお茶を淹れ、眠る時間になれば、スマホも遠ざけます。そう。そうやって、時間があるならあるなりなように過ごしてみたのです。
実は退屈さに耐えられるのか、焦燥感などに悩ませられないかが心配でしたが、そんなふうに過ごしてみると、あっという間に七日間が過ぎました。ちょっとした気付きもあり、自分の心についても、整理整頓するいい機会でありました。
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2019.05.01
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かなり前の話になってしまいましたが、お花見は松川べりへ行ってまいりました。富山県民らしく黒とろろ昆布のおにぎりをにぎって出発。
うららかな休日で、松川べりはたいへんにぎわっておりました。
猫をつれてきている人もけっこうみかけました。おっとりとした猫ですね。気持ちよさそう。内弁慶な我が家のクロをこんな人ごみに連れてきたら、爪を立ててあばれるにちがいありません。
フライドポテトを屋台で購入するも、生あげ、あぶらぎっとり、すさまじいロークオリティ加減。そう、こういう風情を、富山弁でまさに、
「香具師(やし)やな」
と表現します。
いっしょに来ていたカミさんが買い物タイムになったので、私は富山県護國神社を参拝。やはり神社に桜花はよく似合いますね。
そのまま水門から松川沿いを歩き、古志の国文学館にはじめて入ってきました。カミさんとの待ち合わせ時間まで、富山県を舞台とした「少年時代」の漫画版を鑑賞。僕は、藤子不二雄Ⓐのなんだかぎこちないコマ割りや、ベタを多用した画風のへんな暗さは好きです。映画版に比べ、少年たちの抗争劇がもっとリアルで、戦時下版ビー・バップ・ハイスクールといった感じ。この漫画で表現されている少年たちの雰囲気と言うのか気質、いや、風土といったものを、私は今でもこの土地に感じることがあります。
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2019.05.03
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この日、富山市では「全日本チンドンコンクール」が開催されておりました。シュールな衣裳と不思議なメロディーが春の日にとても似合っておりました。このコンクールって案外歴史があるのですよね、1955年からだそうです。もう、そんなに前ですと、もしかして、チンドン屋って「懐かしい」じゃなくて、まだわりと「リアル」だったころなのかもしれませんね。
帰りは「秋吉」にて一杯。福井発の焼き鳥屋さんですが、富山でもけっこう人気があり、この日も花見帰りのお客さんでたいへんにぎわっておりました。
〆は「立山そば」。「大喜」の中華そばといきたいところですが、塩辛いラーメンを食べられるほど若くはありませんでした。
そのかわり、帰りの電車でカップの日本酒。
きっと、私が旅先などでカップのお酒を飲みたくなるのは、ショーケンのCMの刷り込みでしょうね。そして、なんと言っても「傷だらけの天使」の修。めちゃくちゃカッコよかった。ある時期、私のアイドルでもありました。近頃はショーケンを偲んでか、ワンカップをときどき飲んでます。
ほろ酔いの帰り道。我が家の近所の神社でも夜桜がきれいでした。
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2019.05.06
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実は最近、「イエノミ」というものをひかえて、お茶を嗜んでおります。
「あんた晩酌するがけ」
「いや、よく飲みにいきますが、家ではたまにです」
と、富山に来たばかりのころそんなことを言った覚えがあるので、私が日常的に晩酌するようになったのは、おそらく20代後半くらいかと思います。それから、20年以上ほとんど休まず、量的にも多く飲んでおり、ここ最近、その空き瓶の多さにちょっとびっくりするくらいでした。
深酒が心や体に悪影響であるということもありますが、「あ、もうトリスがなくなってる。買いに行かなくちゃ」というような、アルコールに束縛されている煩わしさ、または自分の考えております、あるプロジェクトの「願掛け」もあり、酒量をコントロールしているところです。
そして、晩酌をやめてみると、夕方は「ああ、いつものお楽しみがないのか」と、ちょっと憂鬱な気分なのですが、その分、やってくる朝の爽快さがすごい。きっと内臓関係の負担が軽くなるせいなのでしょうね。腹に力が入るといのか、前向きな気分になります。それと、3~4日くらいで、顔などのむくみがとれるのを自覚しました。これは気のせいではなくて、
「なに、ぴかぴかな顔しとるんけ」
とカミさんがげらげら笑っていたくらいです。
そんないい効果はさておき、それでもときどきは飲みたくなるおとうさん。
「♪がんばらなくていいのよ~ たまにはずるしてね~」
そんな歌を自分で作って、口ずさみます。
そう、
「♪外で飲むならイエノミじゃないよね~」
と、ガストの「ハッピーアワー」で200円の生ビールを飲みに行く私。たまに飲むとめちゃくちゃうまい。そして、ありがたくさえ感じます。
「♪スーパーのイートインスペースもオーケーだよね~」
と、こっそりチープなひとり飲み。もう、原信は私にとってパブみたいな存在です。
そうして先日、ひさしぶりに友人たちと飲みに行ってまいりました。
以前のように飲んでいたのですが、ひさしぶりのアルコールに体がびっくりしたのか、めちゃくちゃ目がまわりました。そこでやめておけばよかったのですが、さらに帰りしなコンビニのイートインでT氏と2次会。ここからがまったく記憶がない。この、よくわからないスマホの画像だけがのこされております。
クロに起こされて気が付くと、服は散らかり、電気つけっぱなし、ドアは開けっぱなし、それでもなにもできず、「う~う~」とうなりながら布団の中に丸まっておりました。
翌日は昼まで起きられず、夕方まで宿酔が続きました。このような激しいダメージはじめてのような気がします。夜になってやっとお茶漬けが食べられるようになりました。
「♪やっぱり、お酒は毒だよね~」
この年になって、そんなあたりまえのことが身に染みた私です。
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2019.05.08
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所用があり、黒部市内の官公庁をいろいろ訪れる機会が多くなっております。今や、ネットでなんでも情報も得られ、様々な手続きも出来るのでわざわざ行かなくてもいいような気もしますが、やはり対面することで、大きなヒントを得たり、
「この程度でオーケーっぽいな」
とか、
「やっぱ、だめっぽい」
とかと、白黒ではなく、雰囲気を察することもありなかなか有意義です。そう、行政に限らず、企業でもそうですが、窓口の人次第で見解や対応が違うということもけっこうありますよね。そして、目的のあるコミュニケーションは、ネットより、電話より、直接のほうがたいてい近道です。
先日「Live Music Cafe Strawberry Fields」にて、地元のみなさんと、ちょっとした集まりがありました。文化活動などに熱心な方が多く、即席でライブ演奏などもあり、なかなか楽しかった。話を聞いておりますと地域に対する関心が高く愛情も強い。みなさんの郷土に対する思いは、家族への思いの延長のように深く思えました。
そんななか、できもしないのにDJ的な機械の前で、インチキなかっこうをする私。万事がこう。いつまでもたっても「たびのもん」。どうも、何者にもなりきれない私であります。
そうそう。以前の仕事では「地域密着」などと、言葉で言って、地域に溶け込もうとがんばっておりましたが、結局のところどうだったのか。
そういえば、そのころ、よく仕事をご一緒にしていた地元の方とある店で偶然出会い、元気に働いている姿を見かけて頼もしく思いました。ああでもない、こうでもない、いや、やっぱり無理、やめとこう、などとよく無駄に長い会議ばかりしておりましたが、そのときよりも、その方はよっぽど凛々しく活き活きと見えました。やはり「生きる」ということは、なんでもいいから「実践」することなのですよね。
桜のおわりのころ。夕暮れ。カミさんと宮野山へと遊山に出かけ、黒部市内を見降ろします。まだ寒かったのですが、お酒を飲みながら、これからのことなどをいろいろ話をしました。
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2019.05.10
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