先日、本の虫であるカミさんが、総曲輪のグランドプラザ「BOOK DAY とやま」というイベントでたまった本を売りに行くというので、手伝ってまいりました。プロやアマチュア方の古書販売者が多数出店していて、集まる人も本好きですので、会話などを盗み聞きしているとなかなか奥深いものがありました。古本好きな人たちって昔はすこしうらぶれた感じでしたが、最近はわりとナチュラル嗜好っぽい感じなんですね。なんとなく会場の雰囲気も、そのような、おっとりとした感じがしました。なんでもカミさんのとなりで販売していた方は、趣味で古本販売を主とした旅に出たりするという話で、なるほど、そんな旅も面白そうだなあなどと思いました。
僕はつげ義春研究本みたいなものを買って、しばらく店番と読書。あわせてカレーまつり的な催しもやっておりましたのでキーマカレーをいただきました。しかし本日の親方であるカミさんが座るとよく本は売れるのですが、僕が座るとまったく売れません。
そう、おしゃれな人に、たとえば、
「アメリカ文学好きなんですね、私もアーヴィングとかかじりましたが・・・」
なんていうふうに、よくわからない本のことで声かけられたらどうしようとビクビクしていたので、それがきっと伝わったのだと思います。
カミさんに、
「散歩でもしてきたら」
とやさしい言葉でうながされ、解雇勧告された僕。若干傷心気味のまま街をうろつくことにしました。
富山で夜の街といえば桜木町ですね。以前は仕事関係のお付き合いで何回か来たことがあります。しかしお姉さんみたいな人が横にいると私は落ち着かないたちで、どぎまぎしてグラスを倒したりして、
「あんた、若いねえ。もうこぼしとるぜえ」
「まあ、社長さんたら」
みたいな夜の会話。
春の明るい日差しの中、そんなくだらない雰囲気を回想したりして、歩いておりました。
蕎麦屋のこの読めない字っていいですよね。僕には「き発む やめる゛」としか読めません。
環水公園。対岸にスタバを望んで、草原に座る僕。まわりじゅうはカップルばかり。寝転ぶ僕にかまわず、子供たちがすぐ近くでシャボン玉を吹いて大騒ぎしております。きっと存在感がないのでしょうね。木が転がっているように見えるのかもしれません。はじけたシャボン玉が目に染みます。
The seeds are bursting
種は弾けて
The spring is seeping
春が広がってく
Lay down beside me
俺のそばに横になりなよ
Love ain't for keeping
愛はとっておけないぜ
VIDEO
2015.05.04
| Comments(0) | Trackback(0) | 休日
ゴールデンウィークに東京へ帰省するチャンスがあったので、仕事が終わって、カミさんとふたり、黒部宇奈月温泉駅から北陸新幹線に乗り込みました。
すべるように新幹線は走りだし、気が付くとすさまじい速度の世界へ到達しております。車内は新車みたく、なにかゴムか溶剤のような匂いがしておりました。
とりあえずビールとおつまみ。この金沢の地ビールなのですが、やけに華やかな香りがして、なんだかアメリカのソフトドリンク、ルートビアみたいな味。あまり味にこだわらない僕ですが、どうも口に合わず、口直しに日本酒をしこたま飲みました。
通り過ぎていく街の灯。
こういう風景を眺め、たとえば、窓のひとつに、調味料らしき瓶がならべてあったり、ベランダに干した靴があったり、なにか生活を感じさせるヒントみたいなものを見つけて、その暮らしを想像するのが僕は好きなのですが、なにしろものすごいスピードなので、なかなか落ち着いてそれを楽しむことができませんでした。
高崎、大宮と、親父によく連れてもらった町もあっというまに過ぎていきます。ふと、大宮駅前で迷子になった幼いころの記憶がよみがえりましたが、追憶すること自体が深く入り組んでおりますので、なんだか頭の中が二重写しになったような、へんな不安におそわれます。少し飲み過ぎたのかもしれません。
そして東京。なんだかタイムスリップしたようなへんな感覚です。
そう、東京で暮らしていたのはもう20年も前なのですが、なんだかそれがほんの少し前みたいに感じたのです。もしかして飲み過ぎどころか、僕は若干痴呆気味なのでしょうか?
京浜東北線に乗り換えて大井町へ。もう夜更けなのにやはり東京は人がたくさんおりますね。
大井町から「へびだんだん」と呼ばれている坂を下りてなつかしい実家へ向います。空にはお月様。どこかで洗濯ものを干していたのか、なんだか洗剤みたいな匂いが漂っておりました。
Let the midnight special
たのむぜミッドナイトスペシャル
Shine a ever-lovin light on me
俺をすばらしい光りで照らしてくれないか
VIDEO
2015.05.08
| Comments(0) | Trackback(0) | 休日
一日目は母上、カミさんと散歩に出ることにしました。とりあえず鮫洲の八幡様にお参り。なにか子供の日にちなんだおまつり前だったのか、お囃子などの練習のようなことをやっておりました。
この季節の東京はつつじがきれいですね。そして栗の花の生臭い匂い。五月の新緑の頃は、田舎の山の景色よりも、案外、都会のほうがコントラストが美しく見えますね。
そして、上野の森まで向かい、東京国立博物館にて開催しておりました、「鳥獣戯画─京都 高山寺の至宝─」という展示を見に行きました。入口で40分待ちとたしかに聞いたつもりですが、まあそのくらい仕方ないかと券を買って入ると、なんと120分待ちという案内と長蛇の列。実際に2時間たっぷり、建物の合間に見えるスカイツリーをながめながら待つことになりました。
以前の記憶ですと、ゴールデンウィーク期間、みなさん旅行に出かけるので、わりと都内は静かで空いているようなイメージがありましたが、最近はこのように近場で過ごすことが多いのかもしれませんね。なるほど、地方の温泉地などがさびれていくわけです。
やっと入場して、さらに展示を見るのに「120分待ち」という看板を見たときにはさすがに閉口しました。富山から新幹線で2時間ちょっとでやってきたのに、ここでまさかこんな時間のロスを経験するとは夢にも思いませんでした。僕は断念してベンチで座って、窓からおおきなくすのきが風に揺れるのをながめることにしました。
「ああ、こんなに待つんだったら入らなかった」
そこでは、そんな会話をたくさんききましたが、しかし、
「やれやれ、よしがんばるか」
と、みなさんひとやすみしてまた長蛇の列へと向かいます。本当に、日本人の我慢強さってすごいよなあと僕は思いました。僕はすっかりくたびれておりましたが、明日を信じて、耐え忍ぶ日本人のDNAというもの触れ合えたような気がして、少し背筋が伸びたような気がします。
母上とカミさんはもう40分ばかりうろついて断念。
「ちょっとだけ、それっぽい巻物が見えた気がする」
というようななことをカミさんは言っておりました。
精養軒で不忍池を見おろしながら昼食。この日は風が強く、伝票やらナプキンなどが飛ばされて、給仕さんたちはずいぶん難儀しておりました。
ちなみに太宰治の「晩年」出版記念会はここで行われたそうです。
アメ横まで足をのばして夕食の材料などを購入。やはりここもものすごいひといきれ。僕はひさしぶりに頭にぴったりなハンチング帽を買いました。高校の頃は服や靴、なんでもここで買ったものです。今では、なにかアジア系の屋台がずいぶん流行っているようでした。そうそう、僕が暮らしていたころの東京は、どちらかというとおしゃれ系なおちついた飲み屋さんが主流で、屋台系の軒先で飲んじゃう的な店はうらぶれたおじさんばかりでしたが、最近では若い女性が昼からこのような場所で、煙草をふかし、チューハイなどを飲んでいるのをよく見かけました。いいのか、わるいのかよくわかりませんが、風俗の変化というものを感じさせました。
夜は兄弟などが集まって食事会。姪たちががずいぶん美しく育っており、華やかでありました。我が兄や義姉上たちもなかなかいい具合に成熟しているようで安心いたしました。二番目の兄などは、若いころに夢中だったサーフィンに、また最近になって凝っているらしく、日焼けした顔を赤くして、以前より健康で若がえった、いや、むしろ子供っぽくなったように見えます。そして、その息子、我が甥もサーフィンでしくじって、唇を8針ほど縫う負傷をほんの数日前にしたばかりなのに、まったく屈託なくニコニコと肉などを頬張っており、勇ましいものでありました。
なんだか、頼もしく育っていく子供たちを眩しく感じるようになった僕。やはりそれなりに歳をとったのかもしれませんね。
VIDEO
2015.05.11
| Comments(0) | Trackback(0) | 休日
二日目は、
「ちょっとそこまで」
とかなんとか適当なことを言って、途中からカミさんと別行動。僕はこっそり大井町の東小路へ。
丸八のとんかつへは裏口から入ります。
「おっ、兄さん、裏口入学だね」
などとティーンエイジャーの頃は言われたものですが、もうすっかりおじさんの僕はふつうに「いらっしゃいませ」と言われました。変わらないなつかしい店内。高校生の頃はバイト代が入ったらとりあえずバイクでここに来たものです。
味も変わりませんが、僕のほうが変わったのでしょう、歳のせいかなんだかすぐ、異様にお腹がいっぱいになってしまいました。
武蔵小山で窮屈な銭湯に入って後、吉祥寺へ。
井の頭公園はおそらく20年ぶりでしょう。
昔よりも園内が小奇麗に広く思えました。懐かしすぎたのか、かえって実感がなく、なんだか聖地のように思えます。そして、黙々と池のまわりを歩いているとなんだか巡礼をしているような気分になりました。
弁財天の境内の木陰で昼寝をして、ロックンロールなじいさんのパフォーマンスを眺めます。なかなかカッコよかった。そうそう、このあいだ、富山の環水公園で、トラックで乗り付けて大掛かりな機材を使ってのレゲエ的な路上パフォーマンスをしている人を見かけましたが、なんだか音ばかり大きくて、やってる人たちが、照れ臭そうな感じが伝わってなかなか苦しい感じがしました。そういう面ではたしかに都会のストリートの方たちのほうが成熟しているように思われます。
歩き疲れた僕は、通り過ぎる人たちを眺めながら一杯。
I wish that I knew what I know now when I was younger.
できれば俺がもっと若かった頃に今知ってることを知りたかったよ。
VIDEO
2015.05.13
| Comments(0) | Trackback(0) | 休日
ゴールデンウィーク最後の夜、信濃人だからか、我が母上は年齢のわりには肉をよく食べるので、僕は牛肉のたたきを作ってみました。実家に帰ると、こうやってタッパーに入ったままの糠漬けもなつかしくしみじみおいしく感じます。カミさんと母上はへんに仲が良くで、三日間よくしゃべっておりました。女の人ってなんでこれほど情報を共有したがるものなのでしょうか。不思議なものです。なにかきっと本能的な意味合いがあるのでしょうね。くらべて僕などは人の話を聞いていると、すぐに容量がいっぱいいっぱいになるので、視界がだんだん狭くなって、所謂「右の耳から左の耳へと」という状態になります。そうです、ですので、
「おとうさんまた聞いてない」
などと父親をせめてはいけません。男というものはそんな悲しい生き物なのです。
さて、最終日は西荻窪にて、我らが懐かしい友達、チエちゃんと再会をしました。彼女はなんだか小学校の頃の友達みたいなしゃべり方をするので、いっしょにいるだけでいつも気分がなごみます。そして、わざわざHanakoという、西荻窪を特集した雑誌を付箋までしてもってきましたが、
「う~ん、どっちかなあ。ごめんね、よくわからないよ」
と、まるでチェブラーシカみたいにとぼけておりますので、こうやって花壇に座り込んだりしました。
結局、いきあたりばったり、「りげんどう」という、古民家を改装したような店で昼食。
「えっ、こんなやさしい味だったらウチで作れんじゃん」
みたいな素朴な味わいを、あえてこうやってランチで食べるのがやはり東京らしくておしゃれですね。そのような女性の方たちでずいぶんにぎわっているようでした。
近況などを聞いていると、お互い子供が大きくなったりして、やはり時間の経過なども感じますね。僕は井の頭公園で、20年前にチエちゃんから可憐な花をもらったことを、つい昨日のことのように覚えており、精神的にもそれからあまり歳をとってないような気もしております。
ぬるま湯につかっていると出られなくなるような気持ちで、なんだか懐かしい友達と話をしていると別れがつらくなるものですね。そうして、かえって僕はせかせかとしてしまいます。カミさんとチエちゃんで買い物タイムになったので、きっと邪魔だろうと思い、僕だけ先に帰ることにしました。ありがとうチエちゃん、もらった燻製のチーズは、しばらく僕の貧しい食卓をゆたかにすることでしょう。
駅前ではなにかグルメ番組のロケみたいなことをやっていたようです。こんなのもいかにも東京らしい景色ですね。
VIDEO
2015.05.15
| Comments(0) | Trackback(0) | 休日
先週末あたりが、こちらの地方、田植えの追い込みだったのではないでしょうか。
新生活が始まって、ペースをつかみ損なっているのか、ただ単に体がなまっているからか、爽やかな季節にもかかわらず、なんだか最近は異様な倦怠感がつきまとっております。
よし、と老体にムチを打って、ひさしぶりに我が家から荒俣までの10kmコースを走ってみました。
黒部川河口付近。静かな趣きが好きな場所ですが、このような天気の日にはすこし寂しすぎるかもしれませんね。北朝鮮工作員の水中スクーターが見つかったのもたしかこのあたりですので、若干キョロキョロ気味になります。
(あそでの釣りしてる人、なにかやけに目つきがするどいぞ。あっ、あの膨らんだポケット、もしかしてトカレフが・・・)
などと、へんな妄想までよぎる僕。
そして、荒俣の主、謎の武闘家M氏に遭遇しました。めずらしくしっかり働いているようすで、なんだか勝ち誇ったような顔で写真におさまっておりますね。また「足湯にでも行きませんか」とでも言われてもなんなので、早々に走り去る僕。
夜にはコラーレ「24時間ぶっとおしライヴ」オールスターズの打ち合わせと、無国籍酒家源にて飲み会がありました。選曲の中で、こんな曲もかかっており、めちゃくちゃ懐かしかったですね。そうそう、なんだかカフカを連想させるような、このビデオのイメージは、まだ中学生だった僕にとって強烈でした。僕はこの映像の影響で、へんに社会に対して懐疑的な人間になったのかもしれません。
VIDEO
2015.05.20
| Comments(0) | Trackback(0) | 休日
このあいだ、天気の良いある日、娘の通学用の自転車などを運ぶために富山市内へ行った後、ぶらりと上市によってみました。
つるぎ恋月という温泉宿泊施設によってみましたが、ここがまた、おしゃれでもなく、鄙びてもなく、どうやって写真をとっても、まったく絵にならない中途半端な感じが僕は好きでした。温泉に入ろうと更衣室に入ると、服なんかを突っ込む棚の文字が無駄に手彫りなのが、なんとなくおかしくて、僕はひとり笑ってしまいました。しかも「へ」。
そして、温泉に入ると、お湯がほとんど黒といった色をしていてやわらかく、なかなか良い感じ。これは新幹線開通にあやかって「富山ブラック湯」とか言って売り込めば、間違えてお客さんもくるんじゃないかなあなどと想像もしてみました。
そして大岩山日石寺へ。不動明王は、圧倒的な迫力で僕に語ります。
「コラ~! 家族に隠れてラーメンばっかり食べてると血圧があがっちゃうぞ~!」
「ひい~。すんません」
六本滝の竜たちも言います。
「辛いもん食って痔になるか! それとも脂っこいもの食って高脂血症になるか! さあ! どっちじゃ!」
「かっ、かんにんしてください~」
そんなわけでところてんをすする僕。
でもやっぱり食い足らず。夜にはカミさんとポレポレ・ジャンボリーに行くことにしました。実は我が娘がときどき働かさせていただいているので、まあ、参観も兼ねてでもあります。我が娘はのっそりと、あまり気がまわらないようでしたが、一応、お皿二三枚くらいは運べているようでした。そして、ひさしぶりのジャンボリーのピザはごきげんでしたね。
カミさんがどうしてもピザメキシカンとオニオンスペシャルのハーフ&ハーフを食べたいとたのんだら、本当に偶然なのですが、その少し前に、ママさんがフェイスブックでおすすめとして記事にした組み合わせとまったく同じでした。不思議なシンパシーですね。ときどきカミさんはこのような霊的な能力を無駄に発揮するのですが、訓練してもっと、災害対策とか、世界平和とか、なにか役にたてないものかと考える今日このごろです。
VIDEO
2015.05.22
| Comments(0) | Trackback(0) | 休日