おかげさまでこのごろはなかなか忙しく、店休日もあれこれと雑用などをしておりますが、あまりにも天気がいいので、この日は店のすぐ近く、電鉄黒部駅からおでかけすることにしました。
ホームに立ち、ふと思い出したのですが、このブログの一番最初の画像はここの駅から始まっていますね。なにか旅立つといったイメージで撮りました。たしか、その日は若手経営者さんのある勉強会に出かけるためにこの駅に来たように記憶しております。
「10年先の経営を考える」
みたいなことがよく勉強会のテーマになっておりましたが、それどころかもうそれから17年も経ってしまい、いろいろなことがあったものだなあなどと考えました。当時、必死になって存続を守っていた会社は、倒産は真逃れたものの廃業し、結局、私はしがない小料理屋の店主になりましたが、今の私は幸福です。
さて、富山市に来てみたものの、とくにやることもない私はいつものように秋吉へ。焼き鳥と焼酎のお湯割りで束の間の休日。このような焼き鳥屋が好きなのは、きっと、幼いころ親父によくつれていってもらったノスタルジーからでしょう。
当時、私の実家近く、大森の線路沿いの公園近くに「ゆず」という、親父行きつけの焼き鳥屋がありました。煙で煤けた店内、いたるところにヌードポスターが貼ってあって、競馬場帰りの客が立ち寄るような店です。道端にも机が並べてあって、私は瓶のサイダーをよく飲んだもの。
いつか、隣の席、汚れた制服姿の工員風の二人組が、
「あ~あ、子供連れで来ちゃってよ~、気楽でいいよなあ~」
などと、親父に聞こえよがしに嫌味を言っておりました、しかし、親父は苦笑いをして、ただ黙ってビールを飲んでおります。
「サラリーマンは土曜も日曜も休めてよ~、いい気なもんだ」
とも言ったりして、まだ週休二日制でさえ珍しかった時代です。
あのときはめちゃくちゃ悔しかった。
買い物帰りのカミさんが車で迎えにきたので、千鳥足気味になって店を出る私。
子供のころの感情というものは案外に根深いもので、
(ちくしょう! 馬鹿にしやがって! )
と、そう心の中で叫ぶほど、今思い出しても、反射的に腹が立つくらいなのですが、考えてみればその工員たちも、生きていれば、きっと今では80歳くらいのお年寄りです。もう50年近く経ちました。ふと、酔いが覚め。我に返り。いいかげん、彼らを許すことにした私です。
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