FC2トラックバックテーマ:「ついつい気になってしまう他人の行動は?」NPO法人自立生活サポートセンターの理事長は、言う。
“今回、初めてコロナの影響で生活が苦しくなって、こういう相談支援を利用
したという方が、この間、すごく増えていて、若い方もそうですし、女性の方も
そうですし、非正規で働いていて、何とか月収20万円前後ぐらいで、頑張って
いたという人が、仕事がなくなったために急に生活が苦しくなってしまったと
いう事で、相談に来る方が、すごく多いです”
日本の格差問題を、40年にわたって見つめて来た社会学者は、今の状況を
どう見るのか?
“現在、非正規労働者がパート主婦を除く、私がアンダークラスと呼んでいる
非正規労働者が、約900万人います”
“これに更に、失業者と、職業は持っていないけど、就職活動をやっていない
人々、これ失業者ではなく無業者という風に呼ばれますが、このアンダークラスと
失業者・無業者を全部合計すると大体1200万人位いると私は推定してます”
“この今回の新型コロナのまん延で、更に非正規の範囲が広がるという事に
なれば、これが1300万人、1400万人と拡大しても、おかしくありません”
“現在、実は、50歳代の、ごく僅かな年齢幅の人々だけが、就職難を経験した
事もなければ、ずっと安定した仕事を続ける事が出来た、そういう人々です”
“これらの人々が、いずれ引退をするとフリーター第1世代が60歳に突入して、
また更に、コロナで新たに非正規労働者になった若者たちから、第2氷河期、
氷河期、フリーター第1世代、そして退職した後で非正規をやっている高齢の
アンダークラス。 1つの太い流れが完成する事になります”
(フリーター第1世代→就職氷河期世代→第2氷河期世代→コロナ世代?)
“そして、これらの人々が年金もなく、生活保護を受ける事もできずに、非正規
労働者として働き続けて、細々とした高齢者としての生活を続けて、そして、
死ぬ直前まで働き続ける。そして亡くなっていく。これが1番、暗い未来です”
“現状では、私は、そうなる可能性は、かなり高いと思います”
NPO法人自立生活サポートセンターの理事長は、言う。
“ある種、生活が便利になったり豊かになる人がいる一方で、でも同じ街には
苦しい状況の人が存在しているという、すごい大きな分断が生まれかねない”
“同じ街に住んでいるのだけど違うコミュニティーで接点がないとか、ある種、
格差社会でもあるし、新しい階級みたいになってしまうのが、すごく怖いなと
いう風に思いますね”
イギリスで進行する、新たな階級社会の構造を描き出した、社会学者は…。
“イギリスの社会階級が、どう変化して来たか?”
“私は長年、関心を抱いて来ました”
“1980年代、工場で働く人々や製造業の労働者は、大幅に減りました”
“そしてサービス業やコールセンター、IT業界で働く新たなホワイトカラーが
現れました。 これが社会階級に、どのような影響を、もたらしたのか?”
2013年に社会学者が関わった、イギリス国民16万人が参加した最大規模の
調査。 経済だけではなく、文化や社会関係などの視点からも分析。
社会に隠された、7つの階級 を明らかにした。 変化する階級意識。
(1.プレカリアート…15%/2.新興サービス労働者…19%/3.伝統的労働者…14%/
4.新富裕労働者…15%/5.技術系中流…6%/6.確立した中流…25%/
7.エリート…人口の6%)
“多くのイギリス人は、階級をアイデンティティの一部だと思っており、どの
階級に属するか?認識している事は重要です”
“私たちは自分がどこから来て、どこへ向かっているのか理解したいのです”
“イギリス人は、階級の事を、こんな風に語ります”
“父は、炭鉱で働く労働者階級だが、自分は大卒で中流階級になったとね”
“イギリス人は階級を語る事によって、社会の中での来歴をイメージできます”
“ある種の帰属意識を与えてくれるのが、階級なのです”
“しかし、それが崩壊しつつあります。 工場労働者や製造業者が激減し、
新たに多くのホワイトカラーが増えたからです”
所属・居場所・自尊心。 拡大する格差は単なるお金の問題を超えて、人々の
心のありようまで傷付ける。 人間の尊厳が揺らぐ時、社会に亀裂が走る。
“1970年代からの公営住宅やアパートがある、典型的な地域です”
“私も関わったBBCの調査で明らかになったのは、プレカリアートと呼ばれる
最下層の人々の多くは、賃金は低く、臨時雇いの仕事をしています”
“今、この地域に住むのは、そのような人々や移民でしょう”
“私は、20年前に亡くなった社会学者ブルデューに、大きな影響を受けました”
“ライフスタイルや文化への態度は、階級の一部だと、彼は主張しました”
“偉そうな人もいれば、負い目を感じる人もいると…”
“今の社会にも、ピタリと当てはまります。 力があると自信満々な人もいれば
自分の居場所はないと感じている人もいます”
“不平等を理解するには、こうした文化的側面が非常に重要なのです”
“新しい技術によって社会は大きく変わったという人々に対してブルデューなら
多くの事が変わっていないと言うでしょう”
“力を持ったエリートが再生産される状況を、彼は特に心配していました”
“エリートの子が、エリートになる社会です”
“だからブルデューは、状況は変わってないねと、言うでしょう。 不平等が
はびこり、後の世代まで受け継がれる社会に、我々は生きているとね”
再生産される、富のピラミッド。 見えない壁が私たちを隔て、そのまま次の
世代へと引き継がれて行く。 思い出される、あの言葉…。
フランス一の知性といわれる経済学者であり、思想家は、言う。
“人は、現在の貧しさに対して以上に、自分の子供たちが将来味わう貧困に
抗おうとします”
“もし、どんなに働いても、子供たちの将来に希望がないと思えば、革命を
起こすでしょう。 受け入れられないのです”
日本の格差問題を、40年にわたって見つめて来た社会学者は、言う。
“確か1970年代の前半辺りまで格差が縮小を続けていたので日本は確かに
当時は世界でも格差の小さい方の国だった。 これは事実だと思います”
10年間で所得を倍にする。 そう掲げて走り出したのは、1960年だった。
生活家電を中心とした工業製品が、次々に世に出回る。
消費も倍増し、目標は達成。
物質的な豊かさをもたらした、高度成長と呼ばれる物語。
未来への希望が語られ、ある神話が生まれる。
“ところが、その前後から、1つは、政府の世論調査の結果があって、
あなたの生活程度は、次の中の、どれですか?と”
“で、上/中の上/中の中/中の下/下という、5つの選択肢から選ばせる”
“こういう設問の世論調査が、以前から続けて行われて来ました”
“5つ選択肢がある中で、真ん中の3つが、中である訳ですから、ここに答えが
集中するのは当たり前なのですよ”
“要するに、これは日本の社会の姿を明らかにするような性質の設問では、
もともと無かったのです”
“にもかかわらず、1億総中流という言説が、広く定着してしまった”
“この1億総中流という幻想が、手遅れを招いた最大の原因だと思います”
“この手遅れというのを象徴しているのが、フリーターや氷河期世代ですね”
“バブルの頃に初めてフリーターという言葉が生まれて、非正規の若者たちが
出て来ました。 彼ら、彼女らは、今は、もう50歳を過ぎています”
“また、これらの人々が、今から正規労働者になって、人並みの賃金を得る
という見込みは、まずない。 完全に、手遅れですね”
私たちは、何を得て、何を失ったのか?
そして今、どう社会を、捉え直して行けば良いのか?