FC2トラックバックテーマ:「ついつい気になってしまう他人の行動は?」こちらのお宅では、最近、ある、お取り寄せにハマッているのだそうです。
土が付いたままのニンジンに、旬を迎えたばかりのサトイモ。
農家から直接届いた、野菜の詰め合わせです。女性が利用したのは、
インターネットの生産者直売サイト。 利用し始めたキッカケは、コロナ禍で、
家で食事をする事が増え、食に対する関心が強まった事だそうです。
“安心感は、すごい、ありますね。生産者の方と、すごく、つながっている感が
強いので、変なモノは絶対、送って来ないと思っているし…”
野菜や肉・魚等を生産者に直接注文できる、こうしたインターネットのサイト。
今、利用者が急増しています。 人気を支えているのが、家族で経営する、
小さな農業の担い手たちです。
規模は小さくても、自然に優しい農産物を育て、消費者に工夫して届ける事で
収益を確保。 自身のライフスタイルを大切にしながら地域に貢献する人も
生まれています。
小さな農業の担い手は、言う。 “農業は楽しいですね! 僕は、多分、死ぬ
までずっと農業していますね…”
実は、今、世界でも、家族を主体とした小さな農業が、注目されています。
国連では、飢餓や貧困、環境問題などを解決する要だとして、各国に支援を
呼びかけているのです。
FAO(国連食糧農業機関)の駐日連絡事務所長は、言う。
“食糧システムを、もっと持続的にするためにも家族農業というのは不可欠な
要素だと思っています”
価値観が大きく揺れる時代、改めて注目される小さな農業。 あなたも、明日
から農業を始めたくなるかも知れませんね!
石川県で、小さな農業を営む男性です。 “肥料を極力抑えて、えぐみのない
環境にも不可のない… つながってますからね… 全てね…”
畑の広さは、日本の農家の平均の、およそ10分の1。
(平均耕作面積…約3ヘクタール / 小さな農業面積…約30アール)
サッカー場の半分ほどのこの畑で、トマトやきゅうり、オクラや白菜など50種類
以上の野菜を農薬を使わずに育てています。多くの種類の作物を育てる事で
そのどれかが不作になっても、他の作物で収入を確保しようという工夫です。
“農業を大きくやっていたら多分、できないでしょうね” 時々、パートの助けを
借りますが主な労働力は家族の中だけで賄っています。 それでも、年間の
売り上げ1200万円。 およそ600万円の所得を得ているといいます。
男性は、もともと静岡や東京でバーテンダーやホテルチェーンの支配人として
働いていました。 そのとき養った、客の事を第1に考える姿勢を大事にし、
これまでの常識にとらわれない農業に挑戦して来ました。
男性は、SNSやネットサイトを通じて、消費者に野菜や加工品を、直接販売。
流通コストを、大きく削減しています。 通常、農作物の多くは、 JA→仲卸→
スーパー などを通して、消費者に販売します。
仮に、消費者が100円で野菜を買ってくれたとしても、
(スーパーが20.4円 / 仲卸が15.3円 / JAが16.9円 とすると)
流通業者の取り分を除くと、生産者には、47.5円ほどしか収入がありません。
しかし直接消費者に売れば流通にかかる経費を大幅に減らす事ができます。
収入を増やす事ができるうえ、消費者に、安く品質の高い野菜を届けられる
のです。 販路の開拓にも、男性は、インターネットを最大限活用しています。
この日、行っていたのは、有料のオンラインぬか漬け教室。(ぬか漬け・野菜・
ぬか床などセット/参加費3240円) どうやったら、美味しく食べられるのか?
農家の知恵を、販売しようという試みです。 参加者からは大好評!
口コミが広がり、野菜の販売拡大につながったといいます。
親子で、ぬか漬け教室に参加した女性は言う。 “私にも出来そうかなって…
子供に、日本の文化に触れてもらいたい。 これだったら絶対、楽しみながら
やってくれるだろうなという思いもあった”
ネットで、ぬか漬け教室を行った農家の男性は、言う。 “農業とネットという
のは相性が、むちゃくちゃいいなと思います。本当に今、パソコンは農機具の
1つだと思います”
コロナ禍の逆境においても、男性の農業の規模の小ささが強みを発揮しました。
この加工品のピクルス。 今年、販売に力を入れようと考えていましたが、
石川県のアンテナショップが休業したと聞き、すぐに生産停止。
代わりにハーブの家庭菜園セットを増産したところ、自粛生活を送る人の間で
大ヒットしました。
“例年の30倍ぐらい… 売れなかったら売れないで、すぐヒット・アンド・アウェイ
じゃないけれども、出して引っ込めるというのが出来るのは、小回りきくのが
1番いいなと思っています”
仕事が終わった後、テラスに座り、小さな畑を眺めながらの一杯が、何よりの
楽しみだといいます。
“売り上げ目標の5%以下では、もちろん反省するのですが、5%以上だった
場合は、そちらも、また反省すると… 今年は働き過ぎたなと… おかげで
昼寝する時間が少なかったなと… 本当に小さい農業。 家族経営農業が、
輝ける時代になったと思いますね”
東京・青梅市で農業を営む、30代の夫婦です。 5年前、都内のデパートを
辞めて地元で農業を始めました。 140種類以上の野菜を農薬や化学肥料を
使わず栽培しています。
環境に配慮した野菜をネットで販売したり自ら店頭で売る事で、年収400万円
ほどを得ています。
“去年よりも、売り上げが2倍ぐらい上がっています。 たぶん、コロナの影響も
あって、食に対する考え方というのが、お客さんがだいぶ変わって来ているの
かなと思います。 本当に農業は楽しいですよ!”
夫婦は今年7月、農業の新しいビジネスモデルへの挑戦を始めました。
野菜を持って集まって来たのは、東京で新たに農業を始めた仲間たち。
Q: 今日は、何の準備をしているのですか?
“CSAですね。 地域支援型農業という…” 仲間たちで始めたのは、CSA
(Community Supported Agriculture)地域支援型農業と呼ばれる取り組み。
こちらのCSAでは、まず利用者が、事前に農家に半年分の費用3万円を払い
ます。 そして利用者は、2週間に1度、用意された野菜を取りに来ます。
農家は事前にお金をもらう事で、資金繰りが楽になり、経営が安定します。
一方、利用者は、新鮮な地域の野菜を、定期的に定額で手に入れる事が
できるのです。 消費者が、農家と一緒に地域の農業を育てる取り組みです。
CSAの利用者は、言う。 “定休日のすごい楽しみに、今はなってて… ここで
野菜をもらって、その野菜から今日の夕飯を考えて… 半日かけて作って、
飲みながら食べる。 いま特に安心・安全を言われているから、よけい、そう
だと思うんです。 ありがたいですよね…”
東京・青梅市で農業を営む30代の夫婦は、言う。 “若手の新規就農者が
CSAで活動して、その資金を頂いて、それで挑戦する。 そういう仕組みが、
少なからず出来て行ければいいかなと… 農業の未来像というものに、先行
投資して頂いている”
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コロナ禍で注目される小さな農業、新たな時代のライフスタイルとなるのか?
消費者に直販する事業を経営している社長に、話しを聞きます。
これまで日本の農家は、大規模化を目指して来たと思い込んでいたのですが
今、小規模農家が見直されているとは、どういう事なのでしょうか?
私自身も、実は実家が小規模農家だったのですが、私が小さい時に廃業して
しまい、昔は、なかなか小規模の農家は、自分で販路を見つけることがすごく
難しかったのです。
でも今は、インターネットの普及によって、消費者と直接、小さい生産者が
つながる事ができるようになったというのが大きなキッカケになりました。
そこに今回、コロナによって食の意識がすごく変わったというのが大きいかな
と思っています。 これまで、モノだけが消費されていたところから、作るところ
から一緒に楽しむというところで、色んな商品のニーズが広がりました。
手作りの加工食品なども、どんどん出るようになって、色々ニーズが多様化
したのかなと思っています。
教授は、この小さな農業が生み出す新しい価値を、どう考えていますか?
食は、効率だけを追求すると、安いだけで美味しくなくなってしまいますよね?
やはり食の価値は、多様な豊かさにあると言って良いと思います。
例えば、農作物の調理の仕方まで踏み込んで魅力を届ける。 先ほど、すごく
すごく良い例があったと思います。
トマト1つとっても、甘くない、でも酸っぱかったら肉料理に合うかも知れない。
冷夏でスイカが甘くなくても、フレンチでジュレにすると美味しいなど。
こういった、今、モノを得るという時代から、体験価値を提供して付加価値を
作るという時代になっています。 この小規模だからこそ生み出す事ができる。
こういう価値というのは、経済の面でも可能性になるかなと思います。
あとは、野菜をもらって、農家の方々とコミュニケーションするという体験もあり
ましたが、これも美味しいとか、健康だけではなく、食べるという事を通して
誰が豊かになり、どんな未来を作るのか? こういうつながりを生んでいます。
これは、SDGs(国連の持続可能な開発目標)という観点からも重要ですし、
関わる人たちが互いに共鳴する事で家族農業、消費者に直販する事業を
経営している社長たちが引っ張る、家族農業が豊かさを開いて行くという
意味でも重要だと感じました。
可能性の部分を見て来たのですが、日本の農業は、決して楽観視できる
状況ではないのです。
こちら、農林水産省の調べによると、農業就業人口は、30年前に比べて
168万人と、3分の1になりました。 耕作放棄地は、倍増しています。
そして食料自給率は、38%に低下、まさに厳しい状況に置かれています。
農業就業人口 … 482万人(1990年) / 168万人(最新の調査)
耕作放棄地 … 21.7万ha(1990年) / 42.3ha(最新の調査)
食料自給率 … 48%(1990年) / 38%(最新の調査)
こうした状況を変えるための鍵と見られているのが、今回、紹介した小さな
農業の担い手たちなのです。
まだ、全体としては割合は小さいのですが、新規就農者の割合は、年間で
毎年5万人程度と、新しく農業をやりたいという人も出て来ているのです。
更にコロナ禍で、一部の地域では、就農についての相談も増えています。
(自然災害・天候不順や盗難といった大きなリスクが発生する場合もある)
この小さな農業が元気になる事が、厳しいと言われて来た日本の農業を
再生する鍵に、本当のなるのでしょうか?
消費者側の意識も、凄く変わって来ているというのが大きいと思っています。
直接、生産者とつながってフィードバックが出来たりとか、一方で、生産者も
フィードバックを直接、消費者の方から頂けるようになった。
すると、これまで言われて作っていたものが、こういう意見があるから自分の
野菜は、もう少し作付面積を増やしてみようという気力が生まれる。
マーケットインの発想を持って生産が出来るようになったというのは、すごい
大きな変化かなと思っています。
それで元気になって行きますか?
今までのやり方では、ありがとうの声も聞けなかったので、やはり声が聞ける
事でやり甲斐にもつながりますし、農家も、すごい元気になっていく。
単純に得るのではなく、コミュニケーションを楽しむというのが生まれているの
かなと思います。
農家も、新しい価値が、まさに生まれているなと感じたのですが、取材した
東京の農家の30代の夫婦たちは、お金だけではない新しい豊かさを、本当に
大切にしているなと感じました。 例えば、満員電車に乗らない。
勤務や通勤など、時間に追われ過ぎず、会社という組織に縛られない。
自分で採った野菜を、夜、家族と一緒に、ゆっくり食べる。
家事や育児などを夫婦で共に取り組み、地域と共に皆で助け合って行く。
あとは、自然と調和した仕事をしたり、仕事と休暇をバランス良く両立させる。
つまり、仕事と個人の生活の両方を充実させ、豊かな人生を目指す!
そういった事を、本当に心から楽しんでいました。 まさに、小さな農業で、
新しい価値観が生まれているなと感じました。
こうして新たに小さな農業を始めようとする30代・40代の現役世代が増えて
いるわけですが、そうした人達を地域を挙げてバックアップしようという動きも
出ています。
石川県・羽咋(はくい)市。 ここに、新たに農業を始めたいという人が、学びに
来る学校があります。 市とJAが共同で作った、のと里山農業塾。
ここでは、農薬や肥料を使わない、自然栽培を教えています。
(羽咋(はくい)市独自の基準に基づく自然栽培を学ぶ)
集まったのは、30代から40代を中心に50人ほど。 東京や千葉から通う人も
いれば、ここに移住して学んでいる人もいます。
東京から移住した新規就農者は、言う。 “私は、東京でイベント業界に長く
いました。 移住は、ちゃんとバックアップを用意していたというのが1番、
大きいですね” 農業を始めたあとの支援も、充実しています。
自然栽培で作ったお米を、ほぼ全てをJAが買い取り、販売。 一部を、市の
ふるさと納税の返礼品にしています。 更に新たに道の駅をつくり自然栽培の
野菜の売り場を確保しました。
東京の大手機械メーカーを辞め、家族で農業を始めた、この男性。
10年かけて会社員時代の年収の8割ほどを、得られるようになったそうです。
“色んな意味で、サポートをされているなと、本当に感謝しています。 決断は
間違っていなかったなという… 良かったなという感じですね…”
市とJAが手厚い支援をする背景には、人口減少と、広がり続ける耕作放棄地
への危機感があったといいます。 JAはくい(羽咋市)経済課課長は、言う。
“自然栽培をキッカケとして、羽咋全体の地域農業が活性化して行けばいい
のかなと… そこに後継者が生まれて来たり、移住者というのが、自然栽培
だけでなく、羽咋の色んな農産物に対しての後継者というのが増えて来て
くれれば結果的に耕作放棄地が解消して行くという方向に向かうと思います”
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多様な人材が、この地で農業を始める事で、地域に新たな活力が生まれて
います。 “この辺の冬瓜(とうがん)などは、今、ちょうど採り頃だと思います”
5年前、東京から夫婦で移住して来た男性です。 実は、海外の星付きレスト
ランで修業した事のあるフランス料理のシェフです。 “これは、自然栽培の
冬瓜を使って、旬の能登でとれたサワラをあわせた冷たい前菜です”
レストランを開いたところ、新鮮な野菜が話題を呼び、他県から人が訪れる
ようになりました。 “羽咋市で自然栽培を推進していたという事が、お店を
オープンするに至った1番の理由かな…まぁ、微力ですけど地域を応援する…
一体になれればいいなという気持ちも、すごくあります”
こちらは、2年前に移住して来た男性です。 “農業とサーフィン、最高です!”
男性の本職は、サーフィンの大会や海の風景を撮影するカメラマン。
耕作放棄地だった畑を借りて農業をする、半農・半 X の暮らしを楽しんで
います。 (農業と他の仕事を組み合わせ生計を立てるライフスタイルのこと)
“お米が、肥料なしで、ここまで出来るのは、嬉しいですね!” 男性が、今、
力を入れているのが、集落の活性化です。
この日は、移住した仲間たちと、野菜などを売るマーケットを開きました。
住民が、気軽に買い物を楽しめる場所を、用意したいと考えたのです。
男性は、手塩にかけて育てた米に、グリーンカレーを添えて(弁当を)販売。
更に、地域の人たちに、ちょっとしたサプライズも! コロナで中止になった
秋祭りの人気の出し物、獅子舞を地元の壮年団と協力して披露したのです。
住民は、言う。 “祭りが、今年は無かったから見に来ました。 やっぱり外に
出で、お喋りして、みんなの顔を見るのが楽しみですね!”
半農・半 X をしている男性は、言う。 “コミュニティというか… つながりが
出来るので… もっと、今後も続けて行きたいなと思っています”
小さな農業は、社会を、どう変えるのでしょうか? 実は、今、小さな農業が
世界でも注目されているのです。
こちら国連では、2019年からの10年間を、家族農業の年として、主に家族で
経営する農業者の保護を推進するように、各国の政府に求めています。
これはSDGs、持続可能な開発目標実現の要だからなのです。 世界の農業
経営について詳しい愛知学院大学の准教授に話を聞きます。
家族農業が世界の持続可能性の鍵を握るというのは、本当なのですか?
まず、家族農業が、実は、世界の食料生産額の8割以上を生産しています。
ですから、飢餓をゼロにするという意味で、欠く事のできない存在です。
そして約10年ほど前から、国際的には大規模な農業から小規模な家族農業
による持続的農業、アグロエコロジー(農業生態学)へ転換するべきだと
言われて来ています。 その1つ目の理由は、気候変動への対応です。
温室効果ガスの3分の1を排出しているグローバルな農業食糧システムを、
今、見直さなければいけないという事で、資源エネルギー効率性がとても高い
小さな農業が見直さているという事です。
2つ目は、小さな農家が増える事で農村の人口増加やコミュニティの活性化に
つながるという事です。
3つ目は、小規模なアグロエコロジーが収益性が高く、経済的に見ても災害や
経済危機に対する回復力も高く、それらの点が評価をされています。
まさにこの10年で農業経営が目指すべき目標、指標が変わったという意味で
まさにパラダイム転換が起きていると思います。
では、国連が家族農業を進める、もう1つの背景としては、貧困の多くが、この
家族農業で起こっているという事があると思うのですが、日本では少し状況は
違うけれども、やはり注意しなければいけない点があると思いますが、どう
いった点になりますか?
先ほどありました様に、日本でも実は高齢化、それから農家の減少が急速に
進んでいます。
そういう意味で、しっかり農業所得を確保できるような所得保障制度、そして
半農・半 X という事がありましたが、兼業所得を地域で確保できる、そういう
機会を作って行く事が大事かと思います。
また農家に対する社会的評価もSDGsを実現し、社会の持続可能性を高める
守り人である守護者であるというような、海外で高まって行けるような評価、
これを日本でも広げて行く必要があると思います。
まさに、この農家と連携しながら持続可能な世界を作っていくという事ですね。
日本の社会だけでなく世界もそうですけど、本当に大きく変える可能性がある
わけですね。
この小さな農業が、より輝いて行くためには、具体的には、どんな事が必要だ
という風に考えますか?
先ほどもあったように、日本も、かなり高齢化しているので、若い生産者だけ
でなく、高齢の生産者を、いかに巻き込めるかどうかが鍵になると思います。
例えば私たちの産直サイトでも、ご近所出品という、ご近所同士で協力する
システムがあります。
徳島の事例で、若手の生産者が、隣の90歳の農家のタマネギの出品の
フォローをしながら売るというケースも出て来ています。
やはり、90歳の生産者が、初めてネット通販をしてみて、目を輝かせながら
こういう新しい事にチャレンジ出来て嬉しいとか、次は、こういう事をやって
みたいというような形で、90歳の方が、どんどん未来の話しをするというのは
すごい素敵だなと、私自身、思っています。
こういう、地域を丸ごと巻き込んだような、高齢者もしっかりサポートできる
ような仕組みが大事になって来るかなと思っています。
直販のノウハウなど、そういった事を広めて行くという事も大事ですよね?
そうですね。 やはり皆さん、いいものを作ってはいるのですが、届け方や
伝え方のところで、まだまだ皆さん、慣れなかったりします。
そこで、例えば手紙を書いて入れるとか、地方新聞に包んで送るといった、
そういうノウハウのシェアも、積極的に私たちもしています。
インターネットが普及している現在では、オンラインで、すぐ教育ができるので
そういうプログラムというのも作っています。
ワーク・ライフ・バランス(仕事と個人の生活の両方を充実させ人生を豊かに
する)という観点から、コロナを経て一部の業種で定着し始めているテレワーク
というのは、兼業スタイルの新しい可能性を開きつつあります。
この時、農業という面からだけでなく、関わる人たちのライフスタイルを教育や
医療といった面からも支える必要があります。
そのうえで、関わる人たちの経済面だけでなく、自然とつながるという事とか
コミュニティに貢献するという事で、地域だから選択する事が出来る。
多様なライフスタイルとの共存を考えていくという事が必要ですし、家族農業も
含めた地域での多様な生き方を見つけて行くということ。
ネット産直サイトたちが、まさにリードしている、小さな農家と消費者を直接
つなぐ事は、私たちの未来につながって行くと感じました。
やはり消費者も、地域の人たちも、みんな、つながりながら生産者を応援して
行く。 その事によって日本の社会が、どんどん変わって行く。
世界が変わって行く可能性があるという事ですよね。
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一生懸命お絵描きする動物園のヤギとオットセイ。 これ、なんとネット上で
資金を募るクラウドファンディングのお礼の品を動物たちが作る様子なのです。
この企画で集まったのは、およそ4000万円。 新型コロナのピンチを共助の
力が救いました。 “飼育費に100%、回させて頂いたのですけど、あれが
あったから今があると思います。動物たちも、すごく喜んでいた”
資金集めの新たな仕組み、クラウドファンディング。 コロナ禍の去年、支援
総額は前年の3倍近くに急増しています。 苦境に立つ伝統産業や医療現場。
農協やNPOには、なんと、1億円以上の支援が集まりました。
“飲食店とか、ものづくりメーカーとか、特に、昨年の緊急事態宣言の時は、
社内がパンク寸前になるほど、たくさんのご相談を頂きました”
なぜ、共助の輪が、これほど広がったのか? 支援者の思いに迫りました。
支援者1 “クラウドファンディングの良い所は、本当に支援を求めている人に
直接、お金が届けられる事だと思う”
支援者2 “つながりを感じられたり、感謝を伝えられたり、そういったところが
非常に満足感につながっている” 一方では、トラブルも。 支援金を、だまし
取られたと被害を訴えるケースが起き始めています。
弁護士 “詐欺のやりやすさでいうと、やりやすい環境にはある。リスクを十分
理解した上で、お金を出した方がよい” コロナ禍で花開く共助の輪、クラウド
ファンディング。 その可能性から課題まで、徹底的に掘り下げます。
都内にある国内最大手のクラウドファンディング運営会社です。 10年前に
設立されました。 運営会社とは、資金を募りたい企画者と支援者の間に立ち
企画を審査し、アドバイスを行う存在。
集まった支援金の一部を手数料として受け取り、残りを企画者に振り込み
ます。 コロナ禍の去年、手がけた件数は1万6000件以上。 設立以来、1件
だけだった1億円超えの企画が、8件に急増しました。
運営会社と組んで去年クラウドファンディングを行った岐阜県の町工場です。
作っているのは、日本酒を注ぐ枡(ます)。 大垣市で国内全体の8割が作られ
ている伝統産業です。
しかし緊急事態宣言でイベントや結婚式が軒並みキャンセルとなり、売り上げ
が半減しました。 社長は、職人技を守るため、雇用調整助成金など補助金を
申請しました。しかし、いつ結果が来るかが分からず、不安だったといいます。
“お金が必要な時期に、その支援が合致しないと会社は回らない。それを待
っていて職人に給料が払えないと悲惨な事になる。やはり待っていられない”
その時、若手社員が提案したのが、購入型クラウドファンディングでした。
クラウドファンディングは、資金を集める方法に種類があります。
その1つが購入型。 支援者から資金を集める代わりに、お礼の品やサービス
を返すのがルールです。
3000円支援してくれた人には、妖怪アマビエの絵が入った枡。 10万円の
支援者には、なんと、社長の出張講演会など、知恵を絞ったお礼の品を用意
しました。 緊急事態宣言が続いていた4月末、募集をスタートすると…。
伝統技術を絶やしてはいけないという声がSNSで盛り上がり、全国から支援
が殺到。 1カ月半で、300万円が集まりました。 公的支援よりも早く雇用を
つなぐ、大きな助けになったといいます。
“スピード感は、すごく感じました。かたや、補助金は、いつ下りるんだろう?
通ってないのかなと思っているのに対して、明確に金額が見えて来る。これに
対しては、1つの安心感があった”
クラウドファンディングで得られるメリットは、支援金だけではありません。
去年、クラウドファンディングを行った、レストランのオーナーです。
自家製のカレー粉を、お礼の品に資金を集めたところ、一緒に送られて来た
メッセージに、強く勇気づけられました
“頑張ってねとか、絶対、お店閉めないで下さいとか、そういうメッセージが
毎日、届くのです。本当に嬉しくて…。どうなっちゃうか分からない時期だった
ので、本当に力になった。パワーをもらいました”
オーナーはコロナ禍で苦しい仲間も巻き込み、この喜びを分かち合いました。
“私は、販売するキーマカレーのパッケージの絵を提供しました”
企画に誘われたイラストレーターの女性です。 ポスターなどの仕事が減って
いる中、オーナーから、お礼の品のデザインを依頼されました。 彼女が参加
する事で、レストランには関係のなかったイラストのファンにも拡散。 目標の
500万円を上回る支援が集まりました。
“協力するから、無償で商品作るよと言ったら、それが違っていて全部グッズ
の売り上げは、私の方に回すからと。本当に助かりました。涙が出ました”
更に新たな販路も生まれました。 SNSで評判を呼んだカレー粉を土産物店
で販売開始。更には大企業の社員食堂にも採用される事が決まったのです。
オーナー “夢のようなというか、こんな小さい店で、そんな話が来るなんて、
全く想像もついていなかった話を頂いて、ビックリしています”
お礼の品を返さない、寄付型のクラウドファンディングも、増加しています。
30年以上前から北九州でホームレスの人々を支援するNPO団体。コロナ禍
で苦しむ人たちを支えるため、初めてクラウドファンディングを実施しました。
購入型と違い、資金を出してくれた人には、商品やサービスのお礼はありま
せん。 それにもかかわらず、全国の1万人以上から、総額1億円が寄付。
コロナ禍で住まいを失った人に、サポート付きの住宅を150室確保できる見込
みです。
“これだけの人の気持ちが動いて、これだけの人の気持ちが集まっている。
何か新しい事が始まる。コロナ大変だけども、逆にコロナから生み出された。
新しい地平みたいなものが垣間見えた。あそこに人の思いが集まる様子を
見ていた人たちも、励まされたのではないかなと思います”
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なぜ今、多くの人が見ず知らずの相手に資金を出すのか? 支援者に聞いて
みました。“私も非正規雇用で暮らしに余裕があるわけではないのですが…”
支援をした女性。 コロナ禍をキッカケに、他人の苦しみに思いをはせる事が
増えたといいます。 “私自身も人に支えられた事があった。そういったホーム
レスの方、困っている方との距離感が、以前より縮まったから支援しました”
そして支援した人たちの活躍が励みになるという、会社員にも出会いました。
この男性は、NPOやアーティストなど、200件以上に支援。 企画の成功が
自分の事のように嬉しいといいます。
“自分では決して達成できないような夢とか、未来とかを、その人を介して
自分も実現する一員にしてもらっているイメージです。むしろ感謝されるよりも
一緒に乗せてくれて、ありがとうという感覚が強いかと思います”
こうしたさまざまな分野で、大きな支援となっているクラウドファンディングなの
ですが、一方でトラブルも起き始めています。 こちらは、埼玉県に住む女性。
去年4月、クラウドファンディングで、あるトラブルを経験しました。
当時、深刻だったマスク不足を解消するため、絹を使った高品質のマスクを
生産するという企画。 女性は、クラウドファンディングは初心者でしたが、
信用して支援したといいます。
“クラウドファンディングというのは、第三者の目が入って立ち上げているので
そういった意味で安心感というか…” ところが、2カ月後に届いたのは、絹を
一切使っていない化学繊維のマスクでした。
驚いて運営会社のサイトを見ると、4月にはあった絹の表記が消されていたの
です。 この企画者が集めた金額は、5400万円以上。 いいマスクを作ろうと
いう趣旨に賛同したのに裏切られたと、支援者は怒りの声を上げています。
女性も消費生活センターに相談し、返金されましたが、不信感は拭えません。
“募集ページの内容を書き替えた事が、本当に不信感しかない!きちんと、
よい企画を立ち上げているものもあると思うけど、そうではないものも、かなり
混ざっているのだろうなと思ってしまう…”
なぜ、サイトの表記が変わったのか? 企画者が取材に応じなかったため、
運営会社に尋ねました。 理由は企画者が素材の表記を間違えたというもの。
変更点は、企画者から支援者に伝える決まりでしたが、それが当初は、なさ
れていなかったといいます。
“今回、そういった事が事実起こった事に関しては、真摯に受け止めておりま
して、訂正のご案内を支援者にして下さいねと、お約束させて頂いているので
すが…”
変更を伝えるというルールが徹底されなかった事を、謝罪したいと語る運営
会社。 その一方で、新商品の開発プロジェクトなど、クラウドファンディングは
変更や中止のリスクが避けられないといいます。
“どうしても新しいモノを生み出す土壌作りという役割を負っている以上、リスク
を100%免れる事が難しい。こういうリスクもあって、でも、こういうチャレンジを
応援しているんだよね。啓もうというか…支援者さんにも一部ご理解頂きたい
部分ではあると思っています” 急速に増えるクラウドファンディング。
ネットの商取引に詳しい弁護士は、支援金の使い込みなど、悪質なケースの
相談も出始めているといいます。
“1万円のクラウドファンディングに対して、リターンがなかった時に、それだけ
の金額のために訴訟をするのか?そういう事を考えると、必ずしも割に合わな
いので、やったもん勝ちになる面はありますね”
トラブルを減らし安心して支援をしてもらうため、運営会社は企画のアドバイス
と審査を行っています。 この日、打ち合わせに来たのは、オンラインの音楽
ライブを企画する学生団体。
実現性や支援金の使い道について、話し合って来ました。
学生 “有名歌手が、気候変動を訴えるライブエイドのようなものがあったら、
僕も、ぜひ出演したいと、おっしゃっていて、じゃあ、私たちで、そういった事を
やってみない?みたいな感じで…”
学生たちは、集まった金額によってライブの内容を変えるのはどうか?と考え
ていました。“前半で、どこまで集まったかでオンラインのコンテンツが増える。
支援する側も、4月24日のライブをよくするという気持ちで分かりやすいと思う”
しかし運営会社は、目標をきちんと定めた方が信頼性が高まり、支援も多く
集まるとアドバイスをしました。
運営会社 “集まったお金によって出来る事が変わって来るというところは、
かなり不確実性の高い事。言っていた事がコロコロ変わってしまうとか、集ま
らなかったら、やりませんだと、信頼を欠いてしまう事になる”
こうした打ち合わせを、平均4回実施し、専門チームによる審査も行います。
支援者が安心して応援できる仕組み作りが急がれています。
運営会社の役員 “お金を託す支援者の思いもあるわけですし、そこの審査は
厳格にやるべきではないかと思っています”
これから、こうして広がっている支援の輪が、1つの文化として、しっかり根づ
いて行くためには、何が必要なのでしょうか?
困った人を支えたい。 あるいは共同して問題を解決したい。 これは我々が
社会を創って来た時から、ずっと共通して来た課題なのです。
その時、クラウドファンディングというものが、我々、選択肢として使える事に
よって、多様性のある人々の困難に応えたり、あるいはプロセスを透明化する
事によって信頼を作って行く。 こういった新しい手段を、手に入れたと考えて
います。 まさに民主主義が、より一歩進むための新しいアプローチに、この
クラウドファンディングというのが、成り得る可能性があります。
こういったアプローチを、我々みんなで育てて行くという事が、豊かな社会に
つながるのではないかという風に思いました。
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コロナ禍が続く今、私たちの職場には、電気やガスが止められてしまった上に
食べる物がないという人たちや、家賃が支払えず家を失いそうになっている
人たちなどが、次々に相談に訪れています。
町には、収入が途絶え、明日の見通しすら立たない人たちが、増え続けてい
ます。 そこで今回は、社会福祉協議会の現場から、今、地域で何が起きて
いるのか?お話ししたいと思います。
私たちの暮らす豊中市は、大阪市の北部に面した人口40万人のベッドタウン
です。 27年前の阪神・淡路大震災のあと、孤独死が相次いだ事をキッカケに
豊中では高齢者の見守り等のボランティア活動が活発に展開されて来ました。
この活動を地域住民と進めてきたのが、私たちコミュニティソーシャルワーカー
です。 コミュニティソーシャルワーカーは、地域の課題を住民と共に発見し、
行政と連携して解決して行く社会福祉の専門職です。
私たちは、孤独死をはじめ、ゴミ屋敷・引きこもり・8050問題・ヤングケアラー
など、さまざまな課題に取り組んで来ました。 2年前の1月、新型コロナウイ
ルスの感染拡大が始まり、4月には緊急事態宣言が出されました。
私たち社会福祉協議会は、コロナの影響で収入が減少した人に対する、国の
緊急小口資金や総合福祉資金などの貸し付けを行う窓口となりました。
窓口には飲食関係をはじめ、タクシー・ホテル・旅行・建設業など、さまざまな
職業の方が、たくさん来られました。 更に、パートで働く女性や外国人の姿も
目立ちました。 全国で、合わせて315万件もの貸し付けが行われました。
貸し付けだけでは生活再建が厳しい人には、生活保護の制度を紹介しますが
多くの人が拒否されます。 その原因の1つは、家族や親戚に扶養できるか
どうかの問い合わせが行く、扶養照会への不安です。
そして、もう1つの理由は持ち家や自家用車・生命保険などの財産を整理して
身ぐるみを剥がされないと生活保護受けられないのではないかという苦悩。
更に最も大きいのが、生活保護に対するパッシングの影響です。
これらについては、国も一定の緩和策を出していますが、制度を利用する
住民の不安は取り除かれていません。 生活保護は、本来、最後のセーフ
ティーネットとして機能する制度です。
それに対して多くの人たちが、生活保護だけは絶対に受けたくない!と、
拒否する現実があります。
今、求められているのは、誰もが生活に困窮したら、すぐに入れて生活再建を
したら、すぐに出やすい、生活保護の新しい在り方ではないかと思います。
そしていよいよ、今年度中には、コロナ特例の貸し付けが返済の時期を迎え
ます。 返済額は、多い人で200万円にも上ります。
今後10年にわたり、返済が続く事になりますが、そうすると、ますます家計が
苦しくなり立ち直る事ができない人を、たくさん生み出してしまう事になりかね
ません。 更に最近の物価の高騰に加え、この6月から年金が減額されます。
このままでは日本は、大貧困社会へと突入してしまう可能性があります。
この貸付金の返済についてだけでなく、お金を借りている人たちのコロナ後の
生活再建についても、支援体制の強化が求められていると思います。
さて、次に私たち豊中市の地域活動について、お話しします。 コロナの感染
拡大が始まった2年前の春、それまで、さまざまな形で展開されて来た、
高齢者の見守りなどの地域活動は、全て中止となりました。
今まで私たちは、みんなで集まって、つながって、地域をよくして行こうと活動
して来ましたが、ソーシャルディスタンスという要求は私たちの大事にして来た
活動の方法論を否定するものでした。
そして活動が出来ない日が2カ月ほど続いた時、地域のボランティアの方から
私たちって、阪神・淡路大震災から、一生懸命、孤独死を作らないと頑張って
来たのに、こんなに簡単に止めていい様な活動だったのと言われたのです。
私はハッとしました。 地域活動を、このまま止めてしまうと家の中で体が弱っ
て行く人、認知症が進む人、更に孤独死が、また増えてしまうかも知れない。
何とか、地域活動を再開できないかと考え始めました。
そして、感染症の専門家に監修していただき、地域活動再開のためのガイド
ラインを作成し、1つ1つの活動について再開の方法を模索しました。
例えば、みんなで集まる高齢者の会食会や、子供は食堂は行えないが、
お弁当を参加者に手渡すだけのテイクアウトだったら出来る。
更に、さまざまな活動を屋外で行ったり、独り暮らしの高齢者などに往復はが
きで安否確認をするなど、地域のみなさんからも創意工夫に満ちたさまざまな
アイデアが出されました。 また、こうした中で、新たな出会いもありました。
今回、貸し付けの窓口には外国人の方が、たくさん来られました。 私たちの
町に、想像以上に多くの外国人の技能実習生などが暮らしていたのです。
そこで聞き取りをすると、言葉や文化の壁、必要な情報が届かない情報の壁
にも苦しみ、更には、地域に1人も知り合いがいないといった、孤立の実態も
分かりました。
そこで、技能実習生と地域の人たちで、フットサルの交流会を行いました。
そして、それがキッカケになって、今度は実習生たちが地域の住民を招いて、
ベトナム料理の作り方を教えてくれるといった、新しい交流も始まりました。
また、新たな出来事として、家を失っている人が、町の中に、たくさんいる事が
分かって来ました。 ある日、早朝、ラジオ体操に参加していた民生委員さん
たちから、公園にホームレスの人が増えているよと、連絡をもらいました。
そこで、朝4時に職員と共に公園に行ってみると、1人男性がいました。 声を
かけましたが、人目を気にして、そそくさと、その場を離れようとしたので、
名刺に必ず連絡して下さいと書いて、差し出しました。
そして、握手をしました。 その時、彼の目には、光るものがありました。
2日後、本人から連絡があり、すぐに支援が始まりました。
彼は、市役所に行けば、命が助かるのではないかとは思っていたが、そこは
敷居が高かったといいます。 自己責任論に縛られて、SOSを出せない人が
たくさんいます。
コロナをキッカケに、私たちの町だけで、家を失った人、30人を支援しました。
今、振り返りますと私たちは、この2年間、3つの命のリスクと闘って来たように
思います。 1つは、感染症に対する命のリスク。
もう1つは、経済が止まり、収入が途絶えた人の自殺などの命のリスク。
そして、もう1つが、長引く外出自粛により体力が弱り、孤独死などに陥る命の
リスクです。
そしてコロナは、これまで見えなかった外国人などのセーフティネットの届か
ないところにいた人や、生活に困窮する人々の孤立・孤独の実態も浮き彫り
にしました。
私たちは、今回のコロナの経験を経て、今後、これまでよりも優しい社会を
目指すのか? それとも、コロナ禍で顕在化した新たな課題を、見て見ぬふり
をして、課題を埋め戻してしまうのか? 今こそ、真価が問われます。
厳しい人を見捨てる社会は結局、みんなが見捨てられる事になる社会です。
1人も取りこぼさない社会を目指すというなら、これからが正念場だと思って
います。