「今日の一枚」~カレンダー写真解説3月

カレンダー写真解説3月 「横浜トワイライト」 横浜大黒埠頭
PENTAX 67Ⅱ SMC PENTAX67 55-100mm f4.5 フジクロームベルビア50
どうにか3月の写真に間に合いました(笑)。
さて、この写真ももう20年以上前に撮ったもの。
場所は横浜の大黒ふ頭。ちょうど富士山がみなとみらいのランドマークタワーの横に出てくるポイントだ。
夕刻、みなとみらいのオフィスビルの明かりが灯るころ、フィルムのグラデーションを活かして、
ベイブリッジを境に下には夕焼けに染まる赤と、上には夜を迎えようとする紺い空になるように撮ったものだ。
そして、あとになって気がついたのだが、ここは、北斎の富嶽三十六景で有名な大波の絵「神奈川沖浪裏」を描いたところからほど近い。
当時の神奈川湊は本牧にあって、そこから舟が南下して富士山が見える位置に出たという。北斎も本牧や房総で波の絵を
練習していたらしい。
大黒ふ頭は本牧の漁港から北に5、6キロほど。埋立地なので当時は海の中だ。おそらく富士山の見え方は変わらないだろう。
そういう意味では、あの絵のような激しい波はないが、その代わりに、眼前のベイブリッジと立ち並ぶビルの灯りの景観が
現代版の神奈川沖の浮世絵富士とも言えそうだ。もう少し気の利いたタイトルにすれば良かった(笑)。
ちなみに、数年前に久しぶりにここを訪れた時は工場をかこむ要塞のような壁があってポイントには入れなくなっていた。
今は大きな港ができたようだがどうなっているのか。一期一会を大切に今眼の前にある風景を写しとめておきたい。
「今日の一枚」~カレンダー写真解説2月

カレンダー写真解説2月 「厳冬の夜明け」 三ツ峠 PENTAX 67Ⅱ SMC PENTAX67 55-100mm f4.5
ご無沙汰をして申し訳ありませんでした。
急性喘息等体調を崩していたため、しばらく安静にしておりました。
2月のカレンダー写真の解説もしないまま、とうに3月になりましたことお詫び申し上げます。
さて、2月の写真は真冬の三ツ峠からの雪景色の富士だ。
もう20年くらい前になる写真だが、この日はもともと本栖湖で日の出と富士山を撮るつもりで出かけていた。
ところが、現地に着いてみると富士山が見えていなかったのだ。やれ困った、どうするか。
このころは下から富士山が見えていない時は、まず御坂峠まで車で上ってみて、それでも駄目なら三ツ峠まで登山するのが常だった。
という訳で御坂峠に行ってみたが、やはり富士山は見えず。すぐに三ツ峠の登山口へと向かった。
もともと山登りするつもりがなかったので出発が遅れた。それゆえ、日の出に間に合うように息を切らせながら大急ぎで登りあげた。
どうにか日の出に間に合ってポイントに着くと、手前の毛無山には霧氷がついていた。これはまったく予期していなかったのでこれはラッキーだと思った。この写真は紅富士となり、手前の毛無山に朝日が当たった瞬間を撮ったものだ。
忘れられないのは、睡眠も食事もとらずに急いで登ったため、撮影が終わって気が抜けたからか気を失いかけて倒れこんだことだ(笑)。誰もいない、山小屋にもその日はだれもおらず、ひとり冬の三ツ峠で横になったまま、これはまずいぞと意識が遠のくなか、いつも携行しているウイーダーゼリーをザックから手探りで取り出して飲んで休んだら回復でき、無事に下山することができた。準備は大事、いや無理な山登りは禁物です(笑)。
「きょうの一枚!」(撮れたて)

「雪煙立ち上がる」 山梨県鳴沢村 Nikon Z7Ⅱ NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR
今日から2月だ。この木曜日は師と仰ぐ大山行男氏の奥さまの一周忌だった。
あれから一年もたったのかという感覚だ。大山さんからは午後に来てほしいと言われていたので、
明け方近くに自宅を出て、のんびりと下道を山中湖経由で富士河口湖町のご自宅へと向かった。
それでも少し早く着いたので、途中、鳴沢村の道の駅の裏手にある駐車場でひと眠りした。
これはその時撮ったもの。観光には絶好のお天気で写真にはならないと車にベッドを作って横になったが、
富士山が気になって眺めていると、富士山は風が強いようで、やがて山肌には雪煙が走って舞い上がっていた。
ここから眺める富士山は、この時期、山肌が凍結して、そこに太陽の光が真上から射し込んで、メタリックに輝く。
山肌のゴツゴツが強調されて、富士山はやはり火山だと思わされた。彩度を落としてモノトーンで表現してみた。
「今日の一枚」~カレンダー写真解説1月

カレンダー写真解説1月 「空撮」 山梨県富士河口湖町上空
ご無沙汰しておりました。
さて、今年もカレンダー写真の説明をしていきたいと思います。
スタートはもちろん1月。とは言っても早いものでもう1月も終わりそうですが(笑)。
この写真はご覧のように空から撮ったもの。
早いもので、もう5年も前になる。念願だった空からの富士山撮影。
仲良くしてもらっている今や大変有名な富士山写真家のおいちゃんから声をかけてもらって実現したものだった。
しかも、この時が私の人生初の飛行機だった。
セスナに毛が生えたような小さな飛行機が人生初フライトで、それが富士山の空撮だった。
初めての飛行機、それがとても小さな飛行機だったので、フライト前は怖くてビビりあげていた(笑)。
そんなわけで、埼玉の川島からの離陸だったが、離陸後しばらくは下の景色を楽しむことは出来ずにいた。
が、やがて富士山が近づいてきて、山中湖の上空までやってくるとスイッチが入った。初めて上から見る富士。しかも火口を見下ろしている。
運よく、前日はその冬一番の大雪で、富士山は新雪をかぶって真っ白に雪化粧していた。大感動の光景に怖さも飛ぶ(笑)。
地上から見る富士山とは比べものにならないくらいのド迫力で山肌が迫ってくる。忍野、富士吉田、河口湖、鳴沢と走り慣れた風景が下を通りすぎてゆく。
この写真は、鳴沢村を通りすぎたあたり富士山の北西から撮ったものだ。
富士山の右奥には大沢崩れが長く大きな谷を見せている。
撮影に夢中になって富士をファインダー越しにばかり見ていたが、たまに直に肉眼で見るとその迫力に見入ってしまっていた。
我に返って「おっと撮らないと!」と言い聞かせながら、カメラが熱くなるまで撮り続けた。
離陸の時にビビりあげていた自分はどこに(笑)。
またきっと空から富士山を撮りたい。おいちゃん、素晴らしい機会をありがとう。
明けましておめでとうございます!(2024年大晦日撮影)

「撮り納めの彩雲富士」 富士ヶ嶺高原 Nikon Z7Ⅱ NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR
一日遅くなりました。
新年あけましておめでとうございます。
昨年も大変お世話になりました。本年も「写真館 美しき富士」をどうぞよろしくお願いいたします。
12月29日の夜から撮影に出ました。
師と仰ぐ大山行男氏と精進湖で夜明けを迎え、午前中は湖畔でのんびり過ごしました。
午後は仲良くさせていただいてる写友さんと合流して夕日のダイヤモンド富士と、山中湖で夕焼けを撮りました。
昨年はほとんど撮影に出られなかったので、ひとり粘って、もうひと晩車で寝てからふたたび精進湖へ。
二度目の夜明けを撮って、その後、日の出のダイヤポイントへ即移動して撮ったのがこれです。
雲が厚くてダイヤはぼやけましたが、太陽が昇ったあと彩雲になってくれました。
派手ではありませんが、味わい深いダイヤ富士で昨年は撮り納めとなりました。