駅舎の灯
FC2ブログ

駅舎の灯

旅の始まりにも、終わりにも、そこには何時も駅舎の灯があった。

駅舎の灯 驫木 19時59分

海辺に駅舎の明りがポツンと灯る
この駅の一日も終わろうとしていた

70034881.jpg
2024年10月 五能線 驫木

随分と有名になってしまった驫木駅とその駅舎だが、どうも解らないことがある。この待合だけの駅舎は初めからそうだったのか。待合だけにしては大き過ぎるのではないか。1951年に建てられ、2008年に改修されたことくらいしか調べが付かない。こあらまが知る限り1970年代初頭には無人駅だったが、改修前の駅舎の内部がどうなっていたかは記憶が覚束ない。開業の1934年からの17年間は、別の駅舎があったのか、それとも簡素な待合くらいしかなかったのか。ずっと無人駅のようにも思えるが確証がない。そのうち驫木集落のお年寄りにでも尋ねてみたいところだ。

秘境駅のようにも言われるが、相変わらず周囲に民家はないが、駅前に立派な国道バイパスが出来てしまったので、秘境駅の趣ではなくなった。国道101号線が砂利道だった頃は、確かに秘境感があったが、それはこの駅に限ったことではなかった。驫木集落は少々離れた深浦側の丘の上にあり、通学生徒の送り迎えの車が丘の上からやって来るのが毎日の光景だ。驫木の一番の名物は夕陽に浮かぶ木造駅舎だが、今回はそれに続く駅舎の灯をお送りする。静かに夜が更けていく驫木もまたい一興だ。


70034893.jpg


70034886.jpg


日本海に茜色の夕日が沈み、海原は漆黒の闇に沈み、微かな潮騒だけが響いてくる。駅舎の灯だけがポツンと闇夜に浮かぶ。そうなると、やはりここは人気のない秘境駅だ。列車が去ってしまえば、訪れる者など稀だ。暫し夜の驫木を楽しんでいると月が昇って来た。間もなく、弘前行きの終列車がやって来る。その後、深浦行きの終列車となり、驫木駅の一日が終わる。そんな時間帯になると、驫木での乗降は極少ない。列車の赤いテールライトが潮騒の中に消えていったが、ステンレス車体は木造駅舎の下見板張りの壁とは、どうにも不釣り合いだった。


70034907.jpg


70034910.jpg


70034915.jpg


70034889.jpg


テーマ:鉄道写真 - ジャンル:写真

  1. 2025/01/11(土) 00:00:00|
  2. 五能線
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

年神様

朝霧が山から暫し降りてくる
遅い始発列車が北上へと向かう

80031794.jpg
2024年10月 北上線 相野々

今年も松の内が明け正月も終わりだ。年神様は1月1日に降りてこられ、7日に帰られるという。年神は松を依白として降りてくると云われ、門松などを飾ることになる。滞在中の供え物として鏡餅などの餅を供える。つまりは、正月とは、先祖である年神様をお迎えして、一年の安寧と無病息災を祈願する、年頭の日本古来の行事ということになる。

そんなことはどうでもよく、大人にとっては何連休になるかが気掛りな時期で、子供にしてみればお年玉が貰えるのが楽しみ、というのが現代の正月だ。年神様はともかく、新しい年の初めを祝って、楽しくやろうというのも、それはそれで世につれてという当然の流れだろう。かくいうこあらまも、年神様のことなど念頭になかったことを反省している口だ。

この正月飾りは8日の朝に片付けられて、氏子になっている神社などに集められ、15日の小正月に「どんど焼き」や「お焚き上げ」で焼かれる地域も多い。こちらは、写真屋にとってはいい被写体になるので、狙っている向きも多いだろう。炎が燃え盛る絶好のタイミングで列車が通らないものかと算段するのも楽しいものだ。久し振りに今年は近場のを狙ってみるか。


テーマ:鉄道写真 - ジャンル:写真

  1. 2025/01/08(水) 00:00:00|
  2. 北上線
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

冬の気配の津軽の空

季節柄冬を思わせる空模様だ
冬の地吹雪が目に浮かぶようだ

70034951.jpg
2024年10月 五能線 鶴泊

何とも広漠とした佇まいの駅だ。津軽平野の田圃の中の駅は、こんなにも空が広い。辺りには視界を遮るものは少なく、冬ともなれば、岩木山から吹き降りる地吹雪に包まれることだろう。何があるわけではないが、電柱だけが並ぶ、冬空を連想させるような空模様に、不思議と旅情が湧いてくる。一度、地吹雪の頃に訪れてみたくなるような駅だ。

とは言え、ここは辺境の地でも秘境の地でもない。五能線でも乗車人員の多い川辺-五所川原間にある。この区間は、私鉄の陸奥鉄道によって1918年に開業している。東能代-能代間を除けば、五能線では最も早く開通した区間になる。この鶴泊の駅も陸奥鉄道の開通時に開業しているので、100年を優に超える歴史のある駅だ。2019年までは、1927年竣工の小型の木造駅舎が残っていたが、その後は現在の駅舎に生まれ変わっている。駅名は周辺の湖沼がツルの越冬地であったことに因んでいるという。見渡す限りの田園地帯は、それだけ水の得やすい地域であることが伺える。岩木山の雪解け水も無関係ではあるまい。


70034959.jpg


70034964.jpg


線路の東の岩木山側は田園地帯だが、反対の西側は少し離れるとリンゴを中心とした果樹園地帯となる。駅の西側に隣接して大きなリンゴの貯蔵倉庫がある。構内に今も残る側線には、かつて貨物ホームがあった。そのホームからは、米やリンゴが積み出されていたはずだ。1971年までは貨物の取扱があったが、その廃止を契機に駅が無人化されている。そもそも、陸奥鉄道が敷設された理由の一つには貨物輸送が見込めることがあった。トラック輸送が困窮する今、再び鉄道貨物輸送が見直されれば、この駅も賑わいを取り戻せるのだが、そんな日がくるだろうか。


70034947.jpg


テーマ:鉄道写真 - ジャンル:写真

  1. 2025/01/05(日) 00:00:00|
  2. 五能線
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

初撮り

あけましておめでとうございます

2025年が始まりました。今年は趣向を変えて、年賀状代わりに、神奈川ベースの元旦のスナップをお送りします。晴天の暖かい穏やかな年の始まりになりました。思えば、昨年の元旦は能登半島の大地震に始まりました。自然災害で運休中の路線が幾つもあり、ローカル線にとっては大きな災いになっています。今年が穏やかな一年になることを祈りたいところです。

一方で、鉄道絡みの写真も撮り難くなるばかりで、何とも辛いところです。おまけに、撮り鉄の評判も地に落ちてしまいましたから、持続可能な健全な趣味として、汚名挽回が望まれるところです。今年も「駅舎の灯」の旅は続けるつもりですが、こちらは進化がほとんど見られないのが本当に苦しいところです。何とか拙い試みをしていきたいと思いますのでご笑覧ください。

本年もよろしくお願いいたします


EMX107975.jpg
日の出前の6時過ぎの鶴岡八幡宮です この時間帯は人出は少ないので狙い目です


EMX107983.jpg
舞殿の向こうに三の鳥居と段葛が見えます その先は海です 間もなく初日の出です


EMX107994.jpg
午前7時に始まる神楽始式の「八乙女の舞」です 地元の子供が八乙女役を演じます


EMX108003.jpg
地元銘菓「鳩サブレ」の豊島屋さんの店先の正月飾りです 国旗も掲揚されます


EMX108007.jpg
昼近くなると江ノ電も大混雑です 隣ではJR線が着く度に多くの参拝客が降りてきます
 

EMX108013.jpg
こちらは日蓮宗本山の本覚寺 境内にえびすさんの夷堂があり商売繁盛がご利益です


EMX108023.jpg
厄除けの社として知られる八雲神社です 三が日は社殿に入ることが出来ます


EMX108030.jpg
最後は江ノ電です ここの踏切を渡るのは、何故か外国人観光客ばかりです


テーマ:鉄道写真 - ジャンル:写真

  1. 2025/01/01(水) 23:00:00|
  2. 江ノ島電鉄
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

明日に架ける橋

男鹿半島の山並みに夕日が沈む
帰宅列車が船越水道を渡っていく

70034823.jpg
2024年10月 男鹿線 天王

今日も夕陽の時間が訪れ列車が帰宅を誘う
空も水面も茜に染まって一日の終りを告げる
美しい日本の生活を紡いできた鉄道路線網
その役目も地方では次第に薄れようとしている

今頃は故郷への思いを乗せて列車がひた走る
人々の出会いと別れを照らして来た駅舎の灯
そんな情景を求めて長い間線路端に立って来た
夕陽の橋梁が明日に架ける橋になることを祈って


2024年の「駅舎の灯」も今回が最終話になりました

思えば当ブログの初回は2014年12月3日で、先日10周年を迎えています
今回で1841話を迎え、かなり正確に2日に1度の更新を続けてきました
これはなかなかハードなことで、つまらない中途半端な記事も多くなってきました
そこで、10年を機に少々休刊日を増やしてリードタイムを長めようと画策しております
何とか継続可能な更新の在り方を探りたいと思っていますのでご理解ください

本年もお付き合いいただきありがとうございました
良い年をお迎えください


テーマ:鉄道写真 - ジャンル:写真

  1. 2024/12/30(月) 00:00:00|
  2. 男鹿線
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
次のページ

プロフィール

こあらま

Author:こあらま
1950年代後半、東京生まれ。少年時代は国鉄現役蒸気を追いかけ、その後は山岳・高山植物・風景・街角等を題材に撮影旅を続けてきました。
2000年代、たまたま小海線のキハにカメラを向けてから俄に鉄道画に復活。ローカル線を中心に、鉄道絡みの画を撮っています。

著作権について

拙ブログに掲載する写真、記事に関する著作権は放棄しておりませんので、無断使用、転載等はお控えください。

なお、拙ブログへのリンクは自由です。

最新記事

最新コメント

カテゴリ

小海線 (253)
飯山線 (74)
宗谷本線 (71)
天北線 (6)
興浜北線 (4)
名寄本線 (3)
深名線 (2)
石北本線 (25)
渚滑線 (3)
湧網線 (4)
相生線 (5)
釧網本線 (24)
根室本線 (72)
太平洋石炭販売輸送臨港線 (1)
白糠線 (1)
池北線 (3)
士幌線 (1)
広尾線 (4)
富良野線 (19)
留萌本線 (23)
札沼線 (10)
函館本線 (95)
室蘭本線 (31)
千歳線 (1)
石勝線 (2)
夕張線 (5)
夕張鉄道 (1)
日高本線 (12)
江差線 (13)
函館市電 (9)
青函連絡船 (1)
大湊線 (12)
津軽線 (2)
津軽鉄道 (5)
五能線 (22)
八戸線 (11)
弘南鉄道 (2)
花輪線 (14)
三陸鉄道 (6)
山田線 (3)
田沢湖線 (2)
釜石線 (12)
北上線 (12)
男鹿線 (6)
秋田内陸縦貫鉄道 (17)
由利高原鉄道 (2)
岩手開発鉄道 (1)
気仙沼線 (2)
石巻線 (7)
仙石線 (1)
陸羽東線 (8)
陸羽西線 (3)
左沢線 (2)
長井線 (3)
米坂線 (11)
羽越本線 (7)
磐越東線 (3)
磐越西線 (7)
日中線 (3)
只見線・会津口 (65)
只見線・小出口 (76)
水郡線 (3)
真岡鐡道 (17)
東北本線 (2)
上越本線 (3)
信越本線 (4)
しなの鉄道 (1)
総武本線 (1)
中央東線 (18)
東海道本線 (5)
東海道新幹線 (2)
横須賀線 (10)
八高線 (22)
秩父鉄道 (13)
東京都電車 (8)
西武鉄道 (5)
小田急電鉄 (2)
江ノ島電鉄 (36)
箱根登山鉄道 (4)
御殿場線 (2)
身延線 (1)
岳南電車 (6)
大井川鐵道 (3)
天竜浜名湖鉄道 (2)
大糸線 (17)
アルピコ交通 (1)
中央西線 (6)
明知鉄道 (2)
高山本線 (11)
富山地方鉄道 (13)
氷見線 (7)
城端線 (9)
七尾線 (5)
えちぜん鉄道 (1)
福井鉄道 (4)
越美北線 (19)
長良川鉄道 (11)
名古屋鉄道 (5)
樽見鉄道 (3)
関西本線 (13)
近畿日本鉄道 (1)
紀勢本線 (1)
小浜線 (2)
宮津線 (9)
山陰本線 (77)
山陽本線 (6)
播但線 (11)
姫新線 (20)
若桜鉄道 (13)
因美線 (15)
津山線 (6)
伯備線 (1)
芸備線 (19)
木次線 (12)
福塩線 (2)
境線 (1)
一畑電車 (2)
三江線 (6)
錦川鉄道 (3)
岩徳線 (4)
山口線 (12)
宇部線 (1)
小野田線 (3)
土讃線 (6)
予讃線 (7)
高松琴平電気鉄道 (1)
高徳線 (1)
鳴門線 (1)
牟岐線 (2)
土佐くろしお鉄道 (1)
とさでん交通 (1)
伊予鉄道 (1)
予土線 (5)
鹿児島本線 (2)
日豊本線 (37)
筑豊本線 (13)
日田彦山線 (9)
伊田線 (2)
後藤寺線 (4)
田川線 (4)
唐津線 (5)
松浦線 (11)
佐世保線 (1)
大村線 (4)
長崎本線 (2)
島原鉄道 (1)
久大本線 (6)
宮原線 (1)
豊肥本線 (5)
高森線 (9)
高千穂線 (2)
肥薩線 (35)
くま川鉄道 (3)
吉都線 (4)
日南線 (4)
宮之城線 (2)
鹿児島交通枕崎線 (1)
指宿枕崎線 (6)
海外 (1)
写真集・書籍 (5)
鉄道展示館 (1)
鉄道模型 (1)
写真機材 (3)
ご挨拶 (0)
はじめまして (3)
未分類 (1)
名松線 (1)
万葉線 (1)

月別アーカイブ

最新トラックバック

リンク

写真に写った方々へ

鉄道は人を運び、人に見送られ、人に支えられています。時として人が主役になります。

撮影の際には、なるべくご了解を頂くようにはしておりますが、そうできない場合もあります。写った方々と見る方々が不快に思われないようなものに限っていますが、ご本人やそのご関係者の方で、掲載に不都合がある場合には、メールでご連絡ください。 また、登場する鉄道員の方をご存知でしたら、差し支えがなければご紹介ください。

こあらまへのメール

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム

ご来場者累計

RSSリンクの表示

QRコード

QR