海辺に駅舎の明りがポツンと灯る
この駅の一日も終わろうとしていた
2024年10月 五能線 驫木
随分と有名になってしまった驫木駅とその駅舎だが、どうも解らないことがある。この待合だけの駅舎は初めからそうだったのか。待合だけにしては大き過ぎるのではないか。1951年に建てられ、2008年に改修されたことくらいしか調べが付かない。こあらまが知る限り1970年代初頭には無人駅だったが、改修前の駅舎の内部がどうなっていたかは記憶が覚束ない。開業の1934年からの17年間は、別の駅舎があったのか、それとも簡素な待合くらいしかなかったのか。ずっと無人駅のようにも思えるが確証がない。そのうち驫木集落のお年寄りにでも尋ねてみたいところだ。
秘境駅のようにも言われるが、相変わらず周囲に民家はないが、駅前に立派な国道バイパスが出来てしまったので、秘境駅の趣ではなくなった。国道101号線が砂利道だった頃は、確かに秘境感があったが、それはこの駅に限ったことではなかった。驫木集落は少々離れた深浦側の丘の上にあり、通学生徒の送り迎えの車が丘の上からやって来るのが毎日の光景だ。驫木の一番の名物は夕陽に浮かぶ木造駅舎だが、今回はそれに続く駅舎の灯をお送りする。静かに夜が更けていく驫木もまたい一興だ。
日本海に茜色の夕日が沈み、海原は漆黒の闇に沈み、微かな潮騒だけが響いてくる。駅舎の灯だけがポツンと闇夜に浮かぶ。そうなると、やはりここは人気のない秘境駅だ。列車が去ってしまえば、訪れる者など稀だ。暫し夜の驫木を楽しんでいると月が昇って来た。間もなく、弘前行きの終列車がやって来る。その後、深浦行きの終列車となり、驫木駅の一日が終わる。そんな時間帯になると、驫木での乗降は極少ない。列車の赤いテールライトが潮騒の中に消えていったが、ステンレス車体は木造駅舎の下見板張りの壁とは、どうにも不釣り合いだった。
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- 2025/01/11(土) 00:00:00|
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朝霧が山から暫し降りてくる
遅い始発列車が北上へと向かう
2024年10月 北上線 相野々
今年も松の内が明け正月も終わりだ。年神様は1月1日に降りてこられ、7日に帰られるという。年神は松を依白として降りてくると云われ、門松などを飾ることになる。滞在中の供え物として鏡餅などの餅を供える。つまりは、正月とは、先祖である年神様をお迎えして、一年の安寧と無病息災を祈願する、年頭の日本古来の行事ということになる。
そんなことはどうでもよく、大人にとっては何連休になるかが気掛りな時期で、子供にしてみればお年玉が貰えるのが楽しみ、というのが現代の正月だ。年神様はともかく、新しい年の初めを祝って、楽しくやろうというのも、それはそれで世につれてという当然の流れだろう。かくいうこあらまも、年神様のことなど念頭になかったことを反省している口だ。
この正月飾りは8日の朝に片付けられて、氏子になっている神社などに集められ、15日の小正月に「どんど焼き」や「お焚き上げ」で焼かれる地域も多い。こちらは、写真屋にとってはいい被写体になるので、狙っている向きも多いだろう。炎が燃え盛る絶好のタイミングで列車が通らないものかと算段するのも楽しいものだ。久し振りに今年は近場のを狙ってみるか。
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- 2025/01/08(水) 00:00:00|
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季節柄冬を思わせる空模様だ
冬の地吹雪が目に浮かぶようだ
2024年10月 五能線 鶴泊
何とも広漠とした佇まいの駅だ。津軽平野の田圃の中の駅は、こんなにも空が広い。辺りには視界を遮るものは少なく、冬ともなれば、岩木山から吹き降りる地吹雪に包まれることだろう。何があるわけではないが、電柱だけが並ぶ、冬空を連想させるような空模様に、不思議と旅情が湧いてくる。一度、地吹雪の頃に訪れてみたくなるような駅だ。
とは言え、ここは辺境の地でも秘境の地でもない。五能線でも乗車人員の多い川辺-五所川原間にある。この区間は、私鉄の陸奥鉄道によって1918年に開業している。東能代-能代間を除けば、五能線では最も早く開通した区間になる。この鶴泊の駅も陸奥鉄道の開通時に開業しているので、100年を優に超える歴史のある駅だ。2019年までは、1927年竣工の小型の木造駅舎が残っていたが、その後は現在の駅舎に生まれ変わっている。駅名は周辺の湖沼がツルの越冬地であったことに因んでいるという。見渡す限りの田園地帯は、それだけ水の得やすい地域であることが伺える。岩木山の雪解け水も無関係ではあるまい。
線路の東の岩木山側は田園地帯だが、反対の西側は少し離れるとリンゴを中心とした果樹園地帯となる。駅の西側に隣接して大きなリンゴの貯蔵倉庫がある。構内に今も残る側線には、かつて貨物ホームがあった。そのホームからは、米やリンゴが積み出されていたはずだ。1971年までは貨物の取扱があったが、その廃止を契機に駅が無人化されている。そもそも、陸奥鉄道が敷設された理由の一つには貨物輸送が見込めることがあった。トラック輸送が困窮する今、再び鉄道貨物輸送が見直されれば、この駅も賑わいを取り戻せるのだが、そんな日がくるだろうか。
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- 2025/01/05(日) 00:00:00|
- 五能線
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あけましておめでとうございます
2025年が始まりました。今年は趣向を変えて、年賀状代わりに、神奈川ベースの元旦のスナップをお送りします。晴天の暖かい穏やかな年の始まりになりました。思えば、昨年の元旦は能登半島の大地震に始まりました。自然災害で運休中の路線が幾つもあり、ローカル線にとっては大きな災いになっています。今年が穏やかな一年になることを祈りたいところです。
一方で、鉄道絡みの写真も撮り難くなるばかりで、何とも辛いところです。おまけに、撮り鉄の評判も地に落ちてしまいましたから、持続可能な健全な趣味として、汚名挽回が望まれるところです。今年も「駅舎の灯」の旅は続けるつもりですが、こちらは進化がほとんど見られないのが本当に苦しいところです。何とか拙い試みをしていきたいと思いますのでご笑覧ください。
本年もよろしくお願いいたします
日の出前の6時過ぎの鶴岡八幡宮です この時間帯は人出は少ないので狙い目です
舞殿の向こうに三の鳥居と段葛が見えます その先は海です 間もなく初日の出です
午前7時に始まる神楽始式の「八乙女の舞」です 地元の子供が八乙女役を演じます
地元銘菓「鳩サブレ」の豊島屋さんの店先の正月飾りです 国旗も掲揚されます
昼近くなると江ノ電も大混雑です 隣ではJR線が着く度に多くの参拝客が降りてきます
こちらは日蓮宗本山の本覚寺 境内にえびすさんの夷堂があり商売繁盛がご利益です
厄除けの社として知られる八雲神社です 三が日は社殿に入ることが出来ます
最後は江ノ電です ここの踏切を渡るのは、何故か外国人観光客ばかりです
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- 2025/01/01(水) 23:00:00|
- 江ノ島電鉄
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男鹿半島の山並みに夕日が沈む
帰宅列車が船越水道を渡っていく
2024年10月 男鹿線 天王
今日も夕陽の時間が訪れ列車が帰宅を誘う
空も水面も茜に染まって一日の終りを告げる
美しい日本の生活を紡いできた鉄道路線網
その役目も地方では次第に薄れようとしている
今頃は故郷への思いを乗せて列車がひた走る
人々の出会いと別れを照らして来た駅舎の灯
そんな情景を求めて長い間線路端に立って来た
夕陽の橋梁が明日に架ける橋になることを祈って
2024年の「駅舎の灯」も今回が最終話になりました
思えば当ブログの初回は2014年12月3日で、先日10周年を迎えています
今回で1841話を迎え、かなり正確に2日に1度の更新を続けてきました
これはなかなかハードなことで、つまらない中途半端な記事も多くなってきました
そこで、10年を機に少々休刊日を増やしてリードタイムを長めようと画策しております
何とか継続可能な更新の在り方を探りたいと思っていますのでご理解ください
本年もお付き合いいただきありがとうございました
良い年をお迎えください
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- 2024/12/30(月) 00:00:00|
- 男鹿線
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