本日2月7日で、このブログも開設3周年になりました。ひとまず御礼申し上げます。 もうそんなになるのか、と自分でも驚きです。ようやく一区切りという感じですね。この先、5年、10年続けよう、なんて大げさなことは言いませんが、力の続く限り続けていきたいと思っています。みなさま、これからもよろしくお願いいたします。
さて、今年の課題として「本の整理」を挙げていました。正月からこっち、本棚や押し入れの奥をごそごそやっております。積読本が多いのは相変わらずなのですが、困ったのが長編作品です。これは読んでいる暇がないなあ、という本が意外とたくさんあったことにびっくりしました。 好みの問題で、基本的に短編集・アンソロジー優先の読書になってしまうんですよね。短編集は、話に入り込んですぐ終わってしまうので、長編よりも読むのに時間がかかる、とよく言われますが、個人的には長編よりも短編集の方がずっと速く読めます。これって変わってるんでしょうか? というわけで、今回は、読みたいと思って買ったものの、なかなか手をつけられずにいる長編作品リスト、ということでお届けしたいと思います。
J・R・R・トールキン《指輪物語》3部作(評論社) いわずと知れた大作ファンタジー。以前から読もうと思って購入してはあったのですが、なかなか手をつける暇がありませんでした。そのうち、映画化でベストセラーになってしまい、ますます読むタイミングを失ってしまった、という感じです。 ファンタジーの里程標的な作品ですし、必ず読むとは思います。ちなみに蔵書は、豪華愛蔵版。装釘も挿絵もとても美しい本です。ただこの本、かなり重いので、寝転がって読めるような本ではありません。それがまだ読めない原因のひとつかも(笑)。
マーヴィン・ピーク《ゴーメンガースト》3部作(創元推理文庫) これも英国ファンタジーの一大金字塔作品といっていいでしょう。ファンタジーの概説書やガイドなどで、あらすじだけは知っているのですが、まだ原作にはとりかかっていません。ピークの短編集『死の舞踏』(創元推理文庫)を読む限りでは、肌に合いそうな作品ではあります。
M・G・ルイス『マンク』上下(国書刊行会) ゴシック・ロマンスの代表作というべき作品です。あのサドにも影響を与えたといわれています。これもあらすじだけは頭に入ってるんですよね。かなりダークで重い作品のようなので、なかなか手を付けられません。
梶尾真治《エマノン》シリーズ4巻(徳間デュアル文庫) 地球に生命が発生してから現在までのことを総て記憶しているという少女「エマノン」を主人公にしたSFシリーズ。もともと連作短編だったシリーズですが、近年書き下ろしの長編作品として続編が出ていて、大河小説の趣に。 2冊目の途中までは読んでいます。これ最初の頃は素晴らしいんですが、2冊目からかなりダレてくるような気はします。もっともその後の作品を読んでいないので、なんとも言えないのですが。
ミカ・ワルタリ『エジプト人』3巻(角川文庫) フィンランドの作家ワルタリによる、古代エジプトを舞台にした歴史ロマン作品です。小学館から『ミイラ医師シヌへ 』(地球人ライブラリー)というタイトルで抄訳版も出ています。
マーク・トウェイン『地中海遊覧記』上下(彩流社) トウェインによる地中海旅行記です。この人の作品は、小説・エッセイ問わずみな面白いです。退屈になりがちな紀行文でさえ、トウェインにかかると、ユーモア小説みたいになってしまいますから。ちなみに、同じような系統の『ヨーロッパ放浪記』は面白かったです。
チャールズ・ディケンズ『リトル・ドリット』(集英社) エンタテインメント系の作品を優先的に読んでるので、ディケンズの作品は後回しになりがちです。
フォルチュネ・デュ・ボアゴベ『鉄仮面』3巻(講談社→講談社文芸文庫) 19世紀フランスの連載もの長編、いわゆる「フィユトン」の代表作として挙げられる歴史ロマン小説です。有名な「鉄仮面」の伝説を扱った作品ですね。数年前まで入手困難で、ようやく手に入れたものの、それで安心して積読になっていました(笑)。まさか文庫化されるとは。 とっかかりの数章だけ読んでるんですが、序盤に関する限り、これかなり面白いです。
ジョゼフ・シェリダン・レ・ファニュ『墓地に建つ館』(河出書房) 怪奇小説の巨匠レ・ファニュによる三大傑作のひとつです。ちなみに他の二つは『アンクル・サイラス』(創土社)と『ワイルダーの手』(国書刊行会)で、既読。短編では近代的な構成やテーマを持つレ・ファニュですが、長編では趣が違って、大時代的。ゴシック・ロマンスに近い作風になっています。超自然がかったスリラー作品、という印象でしょうか。 文学史ではあまりふれられませんが、『アンクル・サイラス』が、エミリー・ブロンテ『嵐が丘』に、短編『タイローン州のある名家の物語』(小池滋訳『レ・ファニュ傑作集』国書刊行会 収録)が、シャーロット・ブロンテ『ジェイン・エア』に影響を与えている、というのも有名な話ですね。実際読んでみると、確かに影響関係があるように思えます。
ジュール・ヴェルヌ『ミステリアス・アイランド』(集英社文庫) ヴェルヌの冒険小説です。いちおう『海底二万里』の続編ということになっています。ヴェルヌの作品には、当時の科学知識や蘊蓄がやたらと出てきて、そのあたり今だと冗長な部分があります。現代でいうところの「情報小説」的な側面が強いんですね。 その点「蘊蓄」の少ない純粋な冒険小説的な作品の方が、個人的には面白いと思っています。そうした面で言うと『皇帝の密使』とか『チャンセラー号の筏』『アドリア海の復讐』あたりがオススメです。
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