【1/2】
【2/2】

289: 1 2009/08/25(火) 14:55:55.97 ID:9k1Z+XoP0
家に戻ってしばらくして、俺は香子に怒鳴ってしまったことを後悔したが、電話して謝ることも出来なかった。
そういう気分になれなかった。

そのまま、香子に会うこともなく、もちろん、Tに会うこともなく、手元に残された二つのチョコレートと供に、俺は春休みを向かえた。




299: 1 2009/08/25(火) 15:00:52.63 ID:9k1Z+XoP0
春休みのある日。
俺が部活から戻ると、香子の家の電気は夜にも関わらず点いていなかった。

出かけているのかな、と思って家に帰ると、
母親が俺に便箋を渡してきた。

「これ、香子ちゃんからの手紙。お別れの挨拶だって。」
「お別れ?なにいってんだよ。」

俺の返事に、母親は怪訝そうな顔をした。

「何って…佐々木さんち、今日お引越しだったじゃない。」
「は!?」
「あんた聞いてなかったの?とっくに香子ちゃんから聞いてるものと…」

どういうことだ、なんだそれ、
俺はそんな話聞いてない、何も聞いちゃいない。
俺は部屋に駆け戻って、便箋を開けた。

301: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/25(火) 15:02:22.31 ID:yGlPw01j0
くそ、くそおおおおおおおおおおおおおおおおお

302: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/25(火) 15:03:45.45 ID:MycOq9+k0
えええええええええええええ

304: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/25(火) 15:04:46.90 ID:rwZaOC7rO
うわあああああああああああああ

309: 1 2009/08/25(火) 15:07:24.81 ID:9k1Z+XoP0
こーちゃんへ


何度も話そうと思ったけど、結局言えないままでごめんなさい。
お父さんの転勤で、前に住んでた町に戻ることになりました。

高校も、向こうの私立を受けました。
何度もこっちの○○高に入りたいって言ったけど、お父さんは許してくれませんでした。
当たり前だよね、高校生の一人暮らしなんて。

本当は同じ高校に入って、同じブラスバンド部に入りたかった。
こーちゃんと一緒に、高校に通いたかった。

最後に、私のせいでTさんと別れることになって、本当にすみませんでした。
どうやっても許してくれないだろうけど、
遠くからこーちゃんの幸せを願うことだけは許してください。

 香子

312: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/25(火) 15:08:45.89 ID:Vc8TKy+x0
今すぐ追いかけろって!!!!

313: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/25(火) 15:09:50.47 ID:QIlH57XN0
ええ子や・・・

316: 1 2009/08/25(火) 15:10:46.27 ID:9k1Z+XoP0
本当は、もっともっと長い手紙だったが、要約するとこんな感じだ。
今でも手元にある。


俺は手紙を読みながら、涙を堪えることが出来なかった。
なんてことだ。
香子はずっと、このことを俺に言いたかったに違いない。

あの冬の日、家に来ていたときも。
バレンタインの日も。
そして、公園で俺が怒鳴り散らした日も。

俺は香子の話を聞いてやるどころか、深く傷つけたまま、お別れとなってしまった。

327: 1 2009/08/25(火) 15:16:47.31 ID:9k1Z+XoP0
親は、連絡先を聞いていなかった。
俺には、香子に謝ることすらできなかった。

中学に問い合わせれば、もしかしたら分かったかもしれない。

だが。

俺は、それは何か違う気がした。
自分の力で、なんとかしなくてはならない。
そんな、強迫観念に似たような思いに囚われていた。

香子が、前居た町なら知っている。
結構な都会で、レベルの高い国立大がある。
その大学には、香子のやりたがっていた英語の仕事のための、英文学科もある。
なら、香子がその大学に行く確率は高い。

俺はそんな藁にもすがるような思いで、香子にただ一言謝りたくて……いや、一目会いたくて。
それだけのために。

また、猛烈な受験勉強の日々に入った。

342: 1 2009/08/25(火) 15:21:54.98 ID:9k1Z+XoP0
その時のことは俺自身、あまり覚えていない。
とにかく勉強した。朝から晩まで、休み時間まで。
部活は引退まできっちりやったが、早く引退したくてたまらなかった。

秋ごろには、なんと初めてSの成績を超えた。
後にSは、

「あの頃のお前は鬼が憑いてたw」

と言っていた。

体重も激痩せしたが、倒れてる場合じゃないので、メシは一杯食った。睡眠も4時間は確保した。
冬の手前にはB判定も取ったが、それでも不安だったので、年越しの頃は時間の感覚が分からないくらいの勢いで勉強していた。

346: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/25(火) 15:24:05.30 ID:nMfgYZqV0
ストーカーじゃねぇかw

347: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/25(火) 15:24:05.89 ID:1PPta8Fj0
今度は逆に香子に彼氏できてるんだな・・・

349: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/25(火) 15:24:45.50 ID:AF7twqhD0
>>347
ごぶぇっ!

351: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/25(火) 15:25:14.86 ID:ZvkpTnxRO
>>347
待ち続けてたらかわいいじゃないか

348: 1 2009/08/25(火) 15:24:36.61 ID:9k1Z+XoP0
結果。
受かった。
高校のときと同じように、親も先生も喜ぶより驚いていた。

だが、俺自身は、高校の時ほど喜んではいなかった。
こんなことは、通過点にすぎないんだ。
大学に入ったからといって、俺は確実に香子に会えるとは限らない。

それは、まだ先のことだ。

355: 1 2009/08/25(火) 15:27:29.76 ID:9k1Z+XoP0
大学に入ると、生活は一変した。
まず、初めての一人暮らしに馴れない事だらけだ。
炊事は、今でも不得意だ。

生活費の足しと、賄い飯目当てで、レストランにバイトに入った。
バイトも初めてだったが、店長が良い人で根気良く教えてくれたため、なんとかまともなウェイターになれた。

363: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/25(火) 15:29:04.09 ID:MycOq9+k0
香子が入りそうだから選んだ高校で、本人を傷つける。で、大学で再開する為に猛勉強
やっぱり人間矛盾ばっかりだよなぁ。

379: 1 2009/08/25(火) 15:37:29.49 ID:9k1Z+XoP0
すみません、新聞の勧誘が来てた。
一人暮らしはいろいろ面倒です。

381: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/25(火) 15:38:44.08 ID:04PM1ZyvO
>>379
かこと同棲してないって事はわかった

384: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/25(火) 15:40:04.34 ID:ST4z8JP6O
うわぁー 楽しみなくしやがった
現在結婚、同棲は無くなったわ

391: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/25(火) 15:45:08.40 ID:/7RhdbUu0
>>384
同棲→結婚→もろもろあってタヒ別→現在独居老人、の可能性は残されている

393: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/25(火) 15:46:56.15 ID:04PM1ZyvO
>>391
そんな時代の中学生は携帯持ってねえよw

394: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/25(火) 15:47:14.03 ID:kgfbKzUT0
>>391
残されてねーよwwwwwww

385: 1 2009/08/25(火) 15:40:12.12 ID:9k1Z+XoP0
再開


大学の講義も思っていたより全然面白くて、それだけでも入った価値はあったと思えた。

だが、それもやはり、当初の目的とは違う。
日々の生活に埋もれそうなときも、香子の事は忘れなかった。
写真すら持っていなかったのには、かなり後悔したけど。
一枚くらいとって置くべきだったんだよ。

388: 1 2009/08/25(火) 15:42:58.25 ID:9k1Z+XoP0
とかなんとか言いつつ、大学での二年間もすぎた。
車の免許もとった。飲み友達も増えた。
でも、合コンの類には行かなかったし、相変らずDTのままだった。

当たり前だ、俺は香子が好きなんだから。
大学に来て、ようやくそのことに気付いた。
高三のときは、それすら考える余裕がなかったんだ。アホだ。

392: 1 2009/08/25(火) 15:45:09.09 ID:9k1Z+XoP0
そして、大学3年目の、春。

この年、もし、俺の予想が正しければ…
いや、願いが叶うなら。

香子が入学してきたはずだ。

もしかしたら、もう彼氏がいるかもしれない。
それならそれで、構わない。

俺は、一度だけでいいから、香子に会いたかった。

399: 1 2009/08/25(火) 15:49:20.97 ID:9k1Z+XoP0
入学式には、探せなかった。人が多すぎる。
どいつが新入生で、どいつがサークルの勧誘かわかりゃしない。

講義が始まってからだ。

どの学部のどの学科に入ってるかはわからなかった。
だが、やはり英文科からいってみることにした。
ちなみに、俺は同じ文学部だが、日本文の方だ。

授業日程で、英文科の一年がどの時間にどこで講義を受けているかは、すぐ分かる。
三限で終わる日を狙って、講義棟の下で待っていた。
うむ、我ながらあきれるほどのストーカー具合だ。

408: 1 2009/08/25(火) 15:51:46.98 ID:9k1Z+XoP0
講義が終わって、学生たちがワラワラと出てくる。

その数十人の学生を、俺は香子を探し出すため一心に見つめていた。
それはそれはキモイ画だったことであろう。

その中に、香子は。

いた。すぐ分かった。

426: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/25(火) 15:54:52.65 ID:xilJBbCu0
>>408
香子きたwwwwwwwwwww

412: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/25(火) 15:52:33.65 ID:Y1oAWOkD0
ちっ

420: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/25(火) 15:53:33.64 ID:ldgHXfKPO
キターーーーー!!

435: 1 2009/08/25(火) 15:55:55.88 ID:9k1Z+XoP0
背は、また少し伸びていた。
栗色の長い髪は、かわらないが、もうポニーテールにはしていない。
すらっと伸びた手足に、胸は……相変らずあんまりない。
表情は大分大人びていたが、それでも、面影は変わらない。
間違えるはずはなかった。

だが、俺は、声をかけることが出来なかった。
どんな顔して会えばいい?
どんなことを喋ればいい?
たくさん考えていたはずなのに、やっぱり頭が真っ白になった。

そんなとき、彼女がこっちを見た。

「こーちゃん!!」

447: 1 2009/08/25(火) 16:00:31.79 ID:9k1Z+XoP0
なんと、香子が気付いてこっちに駆けてくる。
思えば、香子は走ってばっかりだ。

「こーちゃん!」

息せき切りながら、香子はもう一度俺の名前を呼んだ。

「お、おう、久しぶり。」

なんと、そんなことしか言えない俺のバカ。
違う、そうじゃないんだ、もっと言うべきことがあるだろうに。
俺はやっとの思いで再び喋ろうとしたが、その前に香子の言葉で仰天する。

「こーちゃん、やっと会えた!」
「え?やっとって…」
「ブラスの時の先輩に、こーちゃんがこの大学に入ったって聞いたからw」

なんと!!?

457: 1 2009/08/25(火) 16:04:54.49 ID:9k1Z+XoP0
そういえば中学・高校が俺と同じで、ずっとブラスバンドだったやつがいるのは当然だ。
その子たちから聞けば、俺の進路を知ることだって簡単なはずだ。

なんてこった、俺には「香子の連絡先を知ってるヤツが同じ高校にいる」っていう可能性を全然考えていなかった。
女子同士なら、当たり前だろうに。

「だから、私もここを目指したんだよw」
「そ、そうか。」
「高校の時は、約束果たせなかったから…」

それは、同じ学校に通うという約束。

「待たせたねw」
「はは…」

俺はもう、笑うしかなかった。
笑っていないと、泣きそうだった。

461: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/25(火) 16:06:07.08 ID:04PM1ZyvO
>>457
泣いても…いいんじゃないか?その場合

468: 1 2009/08/25(火) 16:08:28.48 ID:9k1Z+XoP0
だが、笑っているわけにもいかない。

「俺も、香子に会うためにココ、受けたんだ。」
「え?」

そう、俺は香子に会いたくて…

「ずっと、謝りたくて。」
「何を?」
「最後に会ったあの日。お前は全然悪くないのに、怒鳴ったりしてごめんな。」
「そんな、あれは私が悪いんだよ。私こそ、ごめん。」

また謝りあってる。

478: 1 2009/08/25(火) 16:12:02.86 ID:9k1Z+XoP0
そんなわけで、俺と香子は仲直りできた。

香子はやはり実家暮らしだったが、俺の狭いアパートに遊びに来たがった。

断る理由もないし、思ったより実家と近かったので、招待した。

「へえ、結構綺麗にしてるんだね。」

香子は感心したように言った。

「物が少ないだけだけどな。」
「子供の頃はおもちゃや漫画で溢れてたもんねw」
「ハハ、懐かしいな。」

493: 1 2009/08/25(火) 16:16:31.81 ID:9k1Z+XoP0
「ごはんはどうしてるの?作ってる?」
「いや、バイトに週4、レストランに行ってるから、夕飯は賄い。」
「バイトの無い日は?」
「コンビニか、インスタント。」

香子は呆れたように溜め息をついた。

「それじゃ体壊しちゃうよ。」
「俺、料理へたなんだよw」
「じゃ、バイトの無い日は私が作ってあげよっか?ww」

香子が、悪戯っぽく微笑んだ。

「マジ?いやーそれは助かるけど…いーの?」
「いーよ、家から持ってくるだけだし。」
「いや手間じゃなくて、彼氏とかいねーのかよ。」
「彼氏なんか、出来たことないっすよ、先輩と違って。」

睨まれたが、気分は最高だった。

494: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/25(火) 16:17:45.21 ID:X3TWQx1o0
これはいい展開

498: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/25(火) 16:18:39.73 ID:fsYX1STF0
なんで彼氏とかって言っちゃうんだろな?
とかって、他にないのにな。

506: 1 2009/08/25(火) 16:20:42.58 ID:9k1Z+XoP0
それから、週4はバイト、そしてバイトの無い日は
香子がご飯を持ってきてくれるor作ってくれるという生活が始まった。

驚くべきことに、この時点では付き合ってなかった。
お互い、何故か決定的な一言が言えないでいた。
この幸せを崩したくない、とか、昔から知ってて今更…とか、いろんな思いがあったのは間違いないが、それにしても、である。

もちろん、香子が泊まったりするようなこともなく、ご飯を食べたあとには、ちゃんと駅まで送っていた。
そんな生活が、冬ごろまで続いた。

514: 1 2009/08/25(火) 16:23:32.58 ID:9k1Z+XoP0
しかし、このままではいけないと思っていた。
彼女でもない子に飯作ってもらってる場合じゃないだろ、俺は。
そんなわけで、ここは男らしく告白するしかない、と、冬の頭にやっと思い立ったのである。


……だが。
そんなときに限って、悪いことが起こるんだ。
それも、今までで最悪の。

515: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/25(火) 16:23:51.00 ID:ewVlDIR+0
おいやめろ

522: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/25(火) 16:25:38.22 ID:minvvh9jO
え・・・?

532: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/25(火) 16:27:16.19 ID:/2X/ABBR0
お盆がキーワードか・・

533: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/25(火) 16:27:26.77 ID:omDacN4q0
おい、やめろ

540: 1 2009/08/25(火) 16:28:26.66 ID:9k1Z+XoP0
その日、俺はバイトがない予定だったが、
風邪で欠員が出たため、急に行くことになった。

電話で、香子にその旨を伝える。

『えー、そうなんだ。せっかくシチュー作ったのに。』
「ごめん、今度必ず食うから。」
『でも、明日もバイトなんでしょ?……そうだ、今日バイト終わってから持って行ってもいい?』
「え、それは嬉しいけど…でも、遅くなるぜ?10時過ぎるし。」
『大丈夫、明日大学も休みだし、10時半頃に、持って行くよw」

俺は、浮かれていたんだ。
夜に一人歩きさせるべきじゃなかった。
今でも、このとき止めておくべきだったと、悔やんでいる。

543: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/25(火) 16:29:05.26 ID:BMa+U+iw0
やっと追いついたとおもったら
なんか雲行きあやしいぞ

544: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/25(火) 16:29:09.24 ID:Dxa6NswU0
ちょっと待てえええええええええええええええええええええええええ

563: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/25(火) 16:31:05.16 ID:deVYXXpd0
えっ、ちょっと待って、胃が痛いんだけど

566: 1 2009/08/25(火) 16:31:16.79 ID:9k1Z+XoP0
俺はバイト後、帰宅した。
10時すぎ頃、一度電話する。

「電車が駅に着く前に、言えよ?迎えにいくから。」
『わかったーw』

しかし、その後、電話は無かった。

10時半、俺はもう一度掛けてみる。
だが、出ない。
なにかあったのか?
俺は心配になって、家を飛び出した。

595: 1 2009/08/25(火) 16:37:44.53 ID:9k1Z+XoP0
駅までの道のり、香子に会うことはなかった。

だが。
公園の前に停まる、パトカーが目に入った。
それも、二台も。
人も少々集まってきている。

もしや、と思い、野次馬の人に話しかけた。

「なにかあったんですか?」
「ああ、女の子が通り魔に襲われて、病院に運ばれたらしいよ?」

俺は、言葉を失った。
慌てて、警察の駆け寄る。

「すみません、すみません!!」
「どうした?」

その警官は俺の剣幕に驚いたような顔をした。

「襲われた子、どんな子でした!?どこの病院にいったんですか!?」
「君は…?」
「俺の大切な人かもしれないんです、さっきから連絡が繋がらないんです!!」

そして、警察に2、3、香子の特徴を聞かれ、
それが一致したため、俺は警察に病院に運んでもらえた。

601: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/25(火) 16:38:25.84 ID:4ciUqAKH0
レ*プじゃなかっただけマシ

604: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/25(火) 16:38:37.64 ID:Dxa6NswU0
やめろよぉ・・・orz

608: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/25(火) 16:39:02.74 ID:sU6eMYZR0
生きてるよね?ね?

618: 1 2009/08/25(火) 16:41:53.20 ID:9k1Z+XoP0
病室の前には、香子の母親が来ていた。

「お久しぶりです」
「あ、ああ幸介くん…」

お母さんは、一瞬立ち上がったが、声にならない声を出して座り込んだ。
これ以上お母さんに聞くのは酷だと思った。
病室に入ろうとしたら、医師に止められた。

「今は、薬で眠っている。怪我は軽傷だから心配いらないよ。」

とりあえずは、ホッとした。

「君、ちょっと。」

背後で、警察に呼ばれ、そっちへ向う。

627: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/25(火) 16:43:28.34 ID:dzyStlfiO
軽傷かよぉぉぉぉぉ
よかったぁぁぁぁぁ!

630: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/25(火) 16:44:05.66 ID:sU6eMYZR0
なんかあるんだね・・・

670: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/25(火) 16:47:22.92 ID:69/T4K4OO
ん?

ケガは…ってことは…

676: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/25(火) 16:48:44.04 ID:kCxiYDynO
>>670
やめろおおおおおおおお

671: 1 2009/08/25(火) 16:47:35.45 ID:9k1Z+XoP0
「怪我は、二箇所。顔面を殴られて、あと、二の腕を刃物で切られていた。」
「……!」

俺は、腸の煮えくり返る思いだった。

「骨には異常ないそうなので、顔は綺麗に治るだろう。ただ、腕の刃物の跡は残るこもしれないそうだ。」

何も言えず、俺は自らの太股を叩いた。

「あと……シャツが、びりびりに裂かれていた。襲われかけていたんだ。」
「!」
「だが、幸い、近所をジョギングしてた夫婦が通りかかったため、それは未遂に終わった。それに、警察もすぐ呼んでくれたおかげで、犯人も逮捕できた。」

俺は怒りと安堵が織り交じったような不思議な感情だった。

678: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/25(火) 16:49:23.21 ID:M3oaWvDCO
どこが軽症だぁ!

683: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/25(火) 16:50:48.10 ID:l8wWFnb7O
少しホッとした

689: 1 2009/08/25(火) 16:52:25.24 ID:9k1Z+XoP0
警察の話の後、今度は医者が寄ってきた。

「これはまあ、襲われた女性によくあることなんだが、彼女は非常に錯乱している。」

それはそうだろう、落ち着いていられるはずもない。

「薬で眠らせる前は、ずっと悲鳴を上げていて、大変だったんだよ。」

何か他人事のような物言いが気に入らないが、
医者なんてこんなものだろう。

「今日、目を覚ますことはない。一度、家に帰りなさい。」
「でも……」
「君が体を壊しても仕方ない。もうすぐお父様もくるようだしね。」

俺は医者に促され、しぶしぶ病院を後にした。

703: 1 2009/08/25(火) 16:58:32.37 ID:9k1Z+XoP0
翌日、俺は正午になるのを待って、病院に向った。
あまり朝早く行っても、香子の眠りの妨げになると思ったからだ。

病院に行って受付で話すと、「少々お待ちください」と、待たされた。

俺はソファに座るのも惜しんで、イライラと待っていた。

すると。

「幸介君、だね?」

現れたのは、体格のいい男性。
子供の頃、見覚えがある。香子のお父さんだった。
お父さんは仕事の忙しい人で、俺もニ、三度しか会ったことがない。
多分、向こうは俺の顔なんて憶えてもいないだろう。

「はい、そうです。」

俺は返事をして、次の言葉を待った。

「少し、歩こうか。」
「はい。」

俺はお父さんと供に、病院を出る。

707: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/25(火) 16:59:15.21 ID:0HNlZdOM0
ご交際を認めてくださいフラグ?

710: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/25(火) 17:00:13.72 ID:MGdaIqq40
もう近寄らないでもらえるかな

715: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/25(火) 17:01:11.02 ID:0HNlZdOM0
>>710
やめろ

721: 1 2009/08/25(火) 17:03:05.41 ID:9k1Z+XoP0
「いつも、娘が世話になっていたそうだね。」
「いえ、そんな…」

むしろ、世話をしてもらっていたのは俺の方だ。

「正直、私は君が憎いよ。」
「え?」
「君のところに行かなければ、娘がこんな目に会うこともなかった。」
「……。」

その通りだった。俺は、何もいえない。
しかし、それでも俺は。

「娘さん…香子さんに、会わせてくれませんか?」
「それは、駄目だ。」

お父さんは歩みを止めて、こっちを見据えた。

730: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/25(火) 17:04:37.86 ID:kCxiYDynO
どうしてこうなった

732: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/25(火) 17:04:44.09 ID:AF7twqhD0
お父ちゃん…

741: 1 2009/08/25(火) 17:06:40.06 ID:9k1Z+XoP0
「いや、誤解のないように言うが、君に意地悪して言ってるわけじゃない。」
「……。」
「娘は今、男性というものを拒絶しているんだ。警察や医者、見舞いに来てくれた先生でさえも、見るだけで錯乱した。」

お父さんは、悔しそうに、そして悲しそうに唇を噛んだ。
もしかしたらお父さんでさえも…そう思った。

「だから、君が今会っても、同じことだろう。娘には、時間が必要だ。」
「……」
「それに君は、娘の恋人というわけでもないんだろう?」
「!」

それは、痛い一言だった。

754: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/25(火) 17:08:12.28 ID:0HNlZdOM0
これは…

755: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/25(火) 17:08:22.50 ID:FVbn1omv0
たしかにそれは痛いな。

772: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/08/25(火) 17:10:28.18 ID:rmRYM5gc0
妹が似たような事にあったけど、オレとか父親を拒絶はなかったなぁ
あの時、襲われて未遂までいってたらそうなっちゃってたのかな。とふと思った。

218: 前スレ1 2009/08/25(火) 17:49:16.85 ID:9k1Z+XoP0
続きいきます


「君のために、娘が傷ついた。それは事実だ。」

恋人ではない、と言われるより、
傷つけた、と言われたその言葉の方が、俺はショックだった。

まただ、また俺は香子を傷つけた。
今回に至っては、肉体的にも精神的にも、だ。
俺は、疫病神なのか?そんなことすら本気で思った。

234: 前スレ1 2009/08/25(火) 17:52:58.89 ID:9k1Z+XoP0
「今日は、帰ります。」
「そうしてくれ。」

お父さんは俺を見ないまま振り返って、病院に戻っていった。

どん底な気分のままで、フラフラと俺は家に帰った。
そのまま布団に包まり、ただ、泣いた。
情けないが、泣くことしか出来なかった。

267: 前スレ1 2009/08/25(火) 17:58:27.70 ID:9k1Z+XoP0
結局、香子が病院に入院している間、
俺は一度も会うことが出来なかった。
いや、俺だけでなく、見舞いに来たほとんどの男が会えなかったようだ。

それでも、俺は病院に通った。
毎日、ナースセンターでお見舞いの品を渡すだけの日々だった。

そんな二週間目のある日。

「すみません、田中ですが…」
「ああ、田中君。」

ナースの方も、俺のことを既に憶えていた。

「入院している佐々木さんに、これを…」
「あ、聞いてないの?佐々木さん、退院したわよ。」

俺は、手にしていた花を取り落とした。

56: 9k1Z+XoP0 2009/08/25(火) 18:16:02.29 ID:XzDvhOU0
既に退院している?

俺はわけのわからない心持ちで、病院を出ると、
まっすぐに香子の家に行く。

大体の場所は聞いていたし、家の住所も分かっていたから、
割りとすぐに香子の家は見つかった。

インターホンを鳴らす。香子は会ってくれるだろうか?

中から、香子のお母さんが出てきた。

64: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 18:20:05.72 ID:FTj3mQMo
お父さんとしては複雑なんだろうなー・・・

66: 9k1Z+XoP0 2009/08/25(火) 18:21:42.18 ID:XzDvhOU0
「幸介くん…」

お母さんは、ちょっと申し訳なさそうな顔をした。

「どうぞ、上がって。」
「はい、お邪魔します」

俺はお母さんに促されるまま、居間に通された。

居間で待っていると、お母さんがパタパタとお茶を持ってきてくれた。

「あ、お構いなく。」
「ごめんね、バタバタしてて。私もさっき戻ってきたところだから。」

さっき、戻ってきた?

「あの、香子、いや香子さんは…」
「療養のために、山口の田舎に行ってるの。昨日から。」

山口には、香子のお祖父さんとお祖母さんがいるはずだ。

76: 9k1Z+XoP0 2009/08/25(火) 18:27:39.80 ID:XzDvhOU0
「体の方は元気になったんだけど、心の方がね…」
「……。」
「私も、夫の身の回りのために一度戻ってきただけで、明後日にはまた行きます。」
「あの、大学の方は…」
「当分、休学ね。」

俺は、頭をぶっ叩かれたような気分だった。

「……男の人に、過剰に怯えてしまうの。お父さんやお祖父ちゃんは、平気になったけど…」

お母さんは、淡々と続けた。

「お祖父ちゃんの家は田舎で、周りに若い人もいないから、療養するにはちょうどいいだろうって、ウチの人が。」
「病院には、いかなくていいんですか?」
「入院は、あの子が嫌がってね……でも、通える病院は近くにあるみたいだから。」

96: 9k1Z+XoP0 2009/08/25(火) 18:33:06.00 ID:XzDvhOU0
俺は、言葉もなく、俯くしかなかった。

「……ウチの人が酷いことを言ったみたいだけど。」

お母さんの声に、顔を上げる。

「子供を想うあまりのことだから、気にしないでね。幸介君は、何も悪くないわ。あの人も、分かってる。」
「それは……いえ、やっぱり俺のせいです。すみません。」
「謝らないで。あの子も、あなたを責めてないわ。むしろ、自分を責めてる。」
「え?」

俺は、その時初めて聞いた。
香子は、俺の言いつけをやぶって電話をせずに駅から一人で来ようとしたのは、
バイトで疲れている俺のことを思ってだった。
しかし今は、自分が俺の言うことを聞いて電話していれば、
こんな大事にならずに済んだのに、と自分を責めているのだ。

110: 9k1Z+XoP0 2009/08/25(火) 18:38:53.40 ID:XzDvhOU0
「それで、幸介君が責任を感じていないかと心配してたわ…」

俺は、馬鹿だった。
また自分が落ち込むばかりで、香子の気持ちを見失っていた。
こんなにまでなっても、香子は俺の事を心配してくれている。
なら、俺は、他にもっとやるべきことがあるはずだ。
香子が病気と戦っているのに、俺が逃げてる場合じゃない。

「分かりました。」

俺は、スクっと立ちあがった。

「俺の事は心配いらないから、自分の体を第一に考えてくれ、と、お伝えください。」
「え、ええ。分かったわ。」

突然蘇ってかのような俺にお母さんは驚いていたが、
それでも最後は微笑んで送り出してくれた。

123: 9k1Z+XoP0 2009/08/25(火) 18:44:24.11 ID:XzDvhOU0
俺がするべきことは何か。

香子が戻ってきた時、支えられる男になる。それしかないじゃないか。

例え、香子が大学に戻れなかったとしても、
一生支え続けるだけの男になってやる。

三度、俺の中のスイッチが入った。

思えば、その時期は就職活動真っ只中。
俺は、暫く中断していた就職活動に身を投じ、
これまたガムシャラに頑張った。

今までは、そこまで働く場所や土地を考えていなかったが、
なるべく今住んでいる所の近くを探すようにした。

会社説明会にも先輩の訪問にも足繁く通ったし、
周りに負けないくらいのことはやった自負がある。

127: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 18:45:04.40 ID:9QWe9EIo
俺ずっと香子=夏帆で変換してる

137: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 18:49:26.72 ID:bGIfgYSO
>>127
おれもwwwwww

133: 9k1Z+XoP0 2009/08/25(火) 18:47:08.41 ID:XzDvhOU0
そして、4年生。
第一志望の、内定が、貰えた。
それは結構大手のメーカーで、大学と同じ県にあるのが良かった。

俺は一安心の後、今度は卒論に気合いを入れた。

しかし、香子はまだ帰ってきていなかった。

139: 9k1Z+XoP0 2009/08/25(火) 18:50:53.59 ID:XzDvhOU0
夏休みも、もう終わりそうな9月。

まだ、香子が帰ってきたという連絡は無い。
このまま、退学してしまうんじゃないだろうか。
俺の中を、不安が過ぎった。

一度、そう思いだすといてもたってもいられなくなるのが俺の悪い癖だ。
俺は、暫くぶりに、香子の家に行ってみた。


やはり、香子はいなかった。
だが、お母さんは戻ってきていた。

141: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 18:51:31.98 ID:FTj3mQMo
てか、通り魔ってマジでいるんだ・・・・こえーな・・・

145: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 18:53:49.12 ID:u3DyTUEo
やっぱ夜道に女一人歩かせるのは危険だな…
おまえらも送ってやるくらいしろよ

149: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 18:54:58.18 ID:8Kn2ayoo
>>145
我々に送ってやるような女がいると思うか?

148: 9k1Z+XoP0 2009/08/25(火) 18:54:53.17 ID:XzDvhOU0
「あら、久しぶりね、幸介君。」

お母さんは、昔の明るさを取り戻していた。
そして、また居間に上げてくれた。

「大学の方はどう、順調?」
「ええ、おかげさまで。なんとか、就職も決まりまして。」
「あらあら、良かったわねw」

機嫌も良さそうだし、もしかしたら、香子は帰ってくるんじゃないだろうか?
そんな期待を胸に、思い切って聞いてみた。

「あの、香子さんは、お元気ですか?」

160: 9k1Z+XoP0 2009/08/25(火) 18:59:11.40 ID:XzDvhOU0
「元気よ、もうすっかり。なんだけどね…」

少し、お母さんの顔が曇った。

「家を訪れる男の人と会うのはもう平気なんだけど、街に出るのが、まだ少し不安みたい。」
「そう、なんですか。」
「あと一歩が、踏み出せないみたいで。それさえ出来れば、精神も安定してるし、もう大丈夫ってお医者様も言ってるんだけど…」

俺は、考えた。
考えて、考えて、考えた。
そして。

「……俺、香子さんに会いに行ってはだめですか?」

162: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 18:59:56.61 ID:MnU/.E2o
大した奴だ・・・

166: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 19:00:42.00 ID:DmBzAkDO
頑張れこーちゃん。 

頑張れ!

176: 9k1Z+XoP0 2009/08/25(火) 19:04:36.12 ID:XzDvhOU0
この半年以上もの間、俺は、香子の連絡を待っていた。
ひょっとしたら、携帯が鳴るんじゃないか。
迎えにきてって言ってくれるんじゃないか。

そんなことを考えながら、しかし、連絡は無かった。
ひょっとしたら香子にとって、もう俺は忘れたい存在なのかもしれない。
責任を感じるなって言ったのも、もう忘れてってことなのかもしれない。

だけど、それでも。
俺は面と向って言われるまで、諦めることが出来なかった。


「いいわよw」

お母さんはすごくあっさりと、了承してくれた。

「この週末に私も山口に戻るから、一緒に行きましょう。」
「は、はい、お願いします!」

俺は、やっと香子に会えると思うと、
天にも昇るような気持ちだった。

194: 9k1Z+XoP0 2009/08/25(火) 19:09:59.95 ID:XzDvhOU0
週末、土曜日。
俺は、お母さんと一緒に新幹線に乗り込んで、山口に向っていた。

新幹線を降りて電車に乗り換え、長旅だ。
そんな長時間、お母さんと一緒にいるのは結構気まずかったが、
お母さんは雑誌を読んだり音楽を聴いたり、長旅も慣れた様子で、
あまり気を使わなくていいので、助かった。

そして、最後のバスを降りると、お祖父さんが車で迎えに来てくれていた。もう夕方だ。

「よう来たねぇ」

香子のお祖父さんは、とても人の良さそうな印象で、
実際、ものすごく良い人だった。
俺はやたら歓迎されたんだが、何か勘違いしていたのかもしれない。

206: 9k1Z+XoP0 2009/08/25(火) 19:14:02.93 ID:XzDvhOU0
家の前には、お祖母ちゃんもいた。
まず、お母さんが近づいていく。

「お義母さん、お世話になります。香子はどこでしょう?」
「裏庭におるよ。」

お祖母さんはニコニコとしながら言い、俺に向っても軽く頭を下げた。
俺も、慌てて挨拶する。

「あ、あの、私、田中と申します。この度は~」
「いいから、香子と会ってきなさいw」

お母さんに苦笑されながら背中を押され、
俺は大きな古い家をぐるりと回って、裏庭に出た。

225: 9k1Z+XoP0 2009/08/25(火) 19:18:59.34 ID:XzDvhOU0
裏庭の後ろは、広大な森が見え、その向こうには海まで見えた。
その海に沈む夕日を見つめながら、香子は居た。

「……香子。」

俺の呼びかけに、振り向く香子。

若干痩せて、色も白くなったようだが、ほとんど変わりない。
だけど俺は、
その姿があまりにも懐かしすぎて、
そして、またどこかに消えてしまいそうで怖くて、
今にも涙が零れそうだった。

香子は、男に怯えているはずだ。
不用意に近づいていっていいものかどうか。
わからないので、もう一度、名前を呼んだ。

「香子。…俺、来たよ。」

229: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 19:19:43.92 ID:Ahp3GO60
きたきたきた!!

234: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 19:20:36.02 ID:sKaNC.AO
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
ドキドキ

236: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 19:20:52.41 ID:UkBWkrI0
ハッピーエンドを期待していいんだよな!?

245: 9k1Z+XoP0 2009/08/25(火) 19:24:24.53 ID:XzDvhOU0
途端、香子は頬を思いっきり膨らませて、こっちに向ってズンズンと近づいてきた。
さっきまでの儚げな印象とはまるで違う。

「おーそーいーーーーー!!」

俺の眼前まで来ると、香子は思いっきり叫んだ。

「う、うい?」
「今までどうして放っておいたのよう!あんなにご飯だって作ってあげたのに!可愛い幼馴染が心配じゃなかったの!!?」

一気に捲くし立てる香子の勢いに押され、俺はニ三歩たじろいた。

「い、いや、メールとか電話とかもなかったし…」
「だって私、あの時携帯壊れちゃったんだもん!すぐ買いなおしたけど、連絡全然くれないし…」

あいたたた。またやってしまったのか俺ってヤツは。

253: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 19:25:42.94 ID:zwyCMlwo
おおおおおおおおおおおおおおおおおおいいいいぃぃぃl

263: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 19:27:16.95 ID:SS46CwDO
よかった…よかった!!本当に!

270: 9k1Z+XoP0 2009/08/25(火) 19:29:28.58 ID:XzDvhOU0
いや、それにしても。

「お、とこ、を避けてるって聞いたから、あんまり、その…」

上手く言えない。
が、香子には伝わったようだ。

「何言ってんの、こーちゃんを怖がるわけないじゃないw」
「え、だって男全員って…」
「例え他の男の人が皆、私を虐めても、こーちゃんは助けてくれるでしょ。…初めてあった時みたいに」

香子は、手を差し出した。
俺は、あの時のように、その手を掴む。

「……帰ろう。」
「うんw」

俺は、香子の手を引いて、歩き出す。

273: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 19:29:56.65 ID:BBAyNIAO
幼馴染み ってとこを強調されるとなんか切ないな

280: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 19:31:08.13 ID:G2exQz20
この幸せもんがあああああああああああああああああああああああ

291: 9k1Z+XoP0 2009/08/25(火) 19:32:42.55 ID:XzDvhOU0
「ホントはね、夏休み中が勝負だったんだよね。」
「へ?」
「夏休み中に迎えに来てくれなかったら、こっちから行って殴ってやるところだったw」

なんだってー!?

「じゃ、じゃあ街に出れないとかは…」
「全然平気。夏休み前には、一人で買い物行ってたよ。キリがいいから、後期から復学しようと思って。」

なんというか、お母さんの策士ッ!!

300: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 19:34:55.89 ID:SS46CwDO
母wwwwwwwwww

306: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 19:35:57.79 ID:vy7EA2o0
カーチャン策士というかひでぇwwwwwwww
ってかすげぇなwwwwwwwwwwよかったんぁwwwwwwwwww

307: 9k1Z+XoP0 2009/08/25(火) 19:36:02.46 ID:XzDvhOU0
そして、その日から二日間も俺はお祖父さんの家にお世話になり(寝所は一人だよ!)、
香子と、お母さんとともに、大学のある、俺たちの街に戻ってきた。

しかし、これでハッピーエンド、というわけではなかった。

俺には、重大な仕事がもう一つ残っていた。
それは、お父さんの攻略だ。

308: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 19:36:22.74 ID:LlxVk4.0
ピロウズのパトリシアが俺の脳内エンディングで流れてなんか今ヤバい…

324: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 19:39:19.27 ID:SS46CwDO
>>308
俺もピロウズ好きだがそういうことは言わないでいいと思う

330: 9k1Z+XoP0 2009/08/25(火) 19:40:38.45 ID:XzDvhOU0
俺もピロウズ好きだしここは世界の果てまでだと思う。

332: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 19:42:02.28 ID:Pp4zccAO
>>330
いいから続き!!

336: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 19:43:09.47 ID:SS46CwDO
いいから続き!こーちゃん!

あとこの世の果てまでな

350: 9k1Z+XoP0 2009/08/25(火) 19:46:39.37 ID:XzDvhOU0
>>336
しまった、俺としたことが(^-^;

310: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 19:36:48.95 ID:W6hFvuko
先に「好きだ、付き合ってくれ」じゃないのか?

311: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 19:36:49.55 ID:aL.hf.Yo
お父さんも一緒じゃなかったのか

323: 9k1Z+XoP0 2009/08/25(火) 19:38:54.82 ID:XzDvhOU0
後期が始まって、すぐの日曜日。

俺は、香子の実家の前に来ていた。
香子に頼んで、お父さんと話すための機会を作ってもらったのだ。

「そんなの気にしなくていいのに。」

香子はそう言うが、

「いや、これはケジメなんだよ、俺なりの。」

俺は、スーツまで着て、気合い十分だった。

344: 9k1Z+XoP0 2009/08/25(火) 19:45:06.32 ID:XzDvhOU0
そして、家の中に入ると、またまたお母さんに案内されたが、
今度は居間ではなく、和室だった。
そこで体格のいいお父さんが正座で待っている姿は大迫力だったが、
ここで怯んでいるわけにはいかない。

「失礼します。」

俺は就活で培った扉の開け閉めスキルで、見事に音も立てずに入室した。

「うむ。」

頷いたお父さんの前に、正座する俺。

「ご無沙汰しております、田中幸介です。」
「うむ。」
「実は、本日は折り入ってお願いにまいりました。」

御託はいらない、単刀直入!

357: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 19:48:07.37 ID:bGIfgYSO
本当に「うむ」って言ったの?wwwwww

360: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 19:49:00.52 ID:fNVrAwDO
お父さんのキャラがだんだん固くなっていってね?wwwwwwwwwwwwwwwwwwww

362: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 19:49:18.14 ID:DmBzAkDO
威圧感でそう聞こえるんだろうなww

368: 9k1Z+XoP0 2009/08/25(火) 19:51:44.04 ID:XzDvhOU0
「俺は、香子さんのことが好きです。愛してます!一生、二度と傷つけないように守ります!」
「……」
「ですから、香子さんに、結婚を前提としたお付き合いをするために告白する許可をください!」

順序はデタラメだが、仕方ない。
俺は、一度はお父さんに近づくなと言われた人間だ。
なので、お父さんの許可なく香子に近づくことは出来ない。
そんなことを、大真面目に考えていた。

「プッ」

襖の向こうで、お母さんの吹き出す声が聞こえた。

「な、なんでお父さんから??///」

香子の照れたような声も聞こえる。

お父さんは、ゆっくり、頷いた。

「うむ。」

373: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 19:52:30.36 ID:5cFvlN.o
だからwwwwwwww「うむ」wwwwwwwwwwww

377: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 19:53:08.19 ID:FTj3mQMo
お母さんwwwwwwww吹くとかww

383: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 19:53:53.64 ID:bGIfgYSO
うむは譲れないようだww

388: 9k1Z+XoP0 2009/08/25(火) 19:56:27.51 ID:XzDvhOU0
「なんというか、君はいろいろズレているな。」

お父さんは苦笑混じりに言う。

「は、はい…自覚はあります。」
「だが、まあ娘を想う気持ちは伝わった。告白する許可はやろうw」

やった!俺は心の中でガッツポーズした。

「しかし、結婚は別だぞ!娘はまだ学生だし、君もそうだ。いつ気が変わるかわからん。大体、結婚なんてものは…」
「お父さんは、香子を嫁にやりたくないだけでしょww」

堪えきれなくなったのか、笑いながらお母さんが襖を開けて入ってきた。

「もう、こーちゃんってば……///」

香子は真っ赤になりながら、部屋に入ってくることもできない。

「はは…」

俺は、照れ笑いするのがやっとだった。

389: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 19:56:59.41 ID:A/Y8mUAO
よかったよかった

391: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 19:57:38.61 ID:aL.hf.Yo
全力で羨ましいんだけど・・・・

413: 9k1Z+XoP0 2009/08/25(火) 20:02:27.16 ID:XzDvhOU0
勢いでご飯をご馳走になったあと、
俺は香子に送られながら、香子の家を出た。

「もう、なんでこんな…」

香子はまだブツブツ言ってる。

「いや、でも良かっただろ、けじめもついてw じゃ、また明日な!」
「ちょ、ちょっと待って!何か忘れてない!!?」

歩き出したが、慌てる香子の元へすぐ戻る。

「冗談だよw……えーと、なんだ……」

急に気恥ずかしくなってきた。
香子は、黙ってこっちを見つめている。

「…その……香子、好きだ!もう、すごい、あり得んぐらい好きだ!」
「な、なにそれ」
「俺は、香子が居なかったらここまで来てなかった!全部香子のおかげだ、ありがとう!」
「……。」
「だから、俺は香子じゃないと駄目なんだ。俺と、付き合ってくれ!!」

閑静な住宅街に、俺の叫びが木霊した。

417: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 20:04:29.58 ID:au4WVTE0
どっか走り出したくなったやつは俺だけじゃないはず

418: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 20:04:51.49 ID:aL.hf.Yo
俺は先走った

423: 9k1Z+XoP0 2009/08/25(火) 20:06:32.47 ID:XzDvhOU0
「もう、恥ずかしいから//」

香子は、思わず俺の口を塞ぐ。
その手を取りつつ。

「で、どうなんだ?」
「……仕方ないなぁ、ご近所にも知れ渡っちゃたし、付き合って、あげるわよ//」

真っ赤に染まった頬の香子。

「やった!やったーーー!!」
「ちょ、ちょっと…」

俺は香子を抱き締め、再び雄たけびを上げた。




後々、お父さんに「近所迷惑は感心せんな。」と怒られたのも良い思い出である。

439: 9k1Z+XoP0 2009/08/25(火) 20:10:58.55 ID:XzDvhOU0
それから。

俺は、就職し、社会人三年目。
香子は半年の休学をものともせぬ頑張りで、無事、四年間で大学を卒業。
今年から、新社会人として働いています。

そんなわけで、俺の長い長い思い出話も終わりです。
みなさん、お付き合いと暖かいレスをどうもありがとう。
レス返せなくてごめんなさい。



これで、テンションも上がりました。決意表明もバッチリ。

さあ、プロポーズにいくぞー!!!
時間間に合ってよかったww

446: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 20:12:05.83 ID:GtpMsrYo
>>439
最高だったよ

マジでがんばって来い!!!!!!!!!!


朝から張り付いててよかった

451: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 20:12:31.98 ID:Hc8cV6SO
>>439
その報告も忘れんなよ

456: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 20:12:46.70 ID:u3DyTUEo
>>439
今からプロポーズに行くのか!?
お幸せに!

481: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 20:15:42.29 ID:vy7EA2o0
>>439
おおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!
プロポーズ!!!!!!!!頑張れよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!

448: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 20:12:10.60 ID:BnevauM0
他人の幸福でメシがウマイ!

455: 9k1Z+XoP0 2009/08/25(火) 20:12:43.02 ID:XzDvhOU0
そんなわけで、ちょっと行ってくる!
質問等ありましたら、戻ってきてまだスレがあったら答えます。

466: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 20:13:52.86 ID:G2exQz20
おめでとう!
かこちゃんのこと頼んだぞ

474: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 20:14:49.70 ID:dlHKxeI0
プロポーズ頑張って!!!

475: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 20:14:51.04 ID:8Kn2ayoo
がんばれよ
こういう恋愛本当にいいね
見てるこっちも良い気分になってくる

483: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 20:15:42.60 ID:PbB0N6SO
ちょっとまて、まずはお父さんに許可をもらったほうが良くないか?

495: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 20:17:37.13 ID:MeKCoAko
>>483
ちょwwwwwwwwww

486: 9k1Z+XoP0 ◆dLtM7Jdk7U 2009/08/25(火) 20:16:29.69 ID:XzDvhOU0
では、いってきまーす!
最後まで俺らしく突っ走ってきます!!

今日はいい日だ!!

494: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 20:17:30.26 ID:vy7EA2o0
>>486
いってらっしゃーい!!!!!!!!!!夜道は気を付けなよー!!!!!!!

489: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 20:16:41.37 ID:bGIfgYSO
じゃあ>>1が戻るまで子供の名前を安価で決めようか

498: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 20:18:32.08 ID:jYY6t/Uo
俺は夏休み一歩も家から出ていないというのに・・

503: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 20:19:58.98 ID:icKn8sAO
こうちゃんと同じくらいの歳なのに10分の1くらいしか人生の密度がないなwwww

505: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 20:20:34.67 ID:aL.hf.Yo
これが人生の成功例って奴か

605: 9k1Z+XoP0 ◆dLtM7Jdk7U 2009/08/25(火) 23:09:22.68 ID:XzDvhOU0
23時前に家に送りとどける俺は紳士。

606: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 23:10:10.16 ID:.5jCQoDO
きたーーー!

611: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 23:11:12.75 ID:jUmS.W6o
おぉ!おかえり!!!!

616: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 23:12:55.77 ID:BBAyNIAO
キタキタキタキターwwwwwwwwwwwwwwww14時間張り付いてたぜwwwwwwww

619: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 23:14:52.87 ID:gG1TWgQo
もどるのはえーよww

621: 9k1Z+XoP0 ◆dLtM7Jdk7U 2009/08/25(火) 23:15:59.84 ID:XzDvhOU0
婚前の身分で、お泊りなんてとんでもない!

622: 9k1Z+XoP0 ◆dLtM7Jdk7U 2009/08/25(火) 23:16:51.95 ID:XzDvhOU0
では、ちょっとだけ報告、いきます。

623: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 23:16:56.71 ID:BBAyNIAO
レスいいから結果を早くぅぅぅ

624: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 23:17:30.71 ID:k2ukO.g0
wktk(゚∀゚*)

630: 9k1Z+XoP0 ◆dLtM7Jdk7U 2009/08/25(火) 23:19:40.10 ID:XzDvhOU0
前々から、俺の連休最終日に、食事に行く約束をしていた。
当然のことながら香子は仕事で、しかも遅番だったので、終わるのは8時。
迎えにいくのは、8時半だ。

朝に立てたスレも見事に8時に投下終了でき、この上ない幸先のよさ。

こいつはきっとうまくいくぜ!
そんな高いテンションで、俺は出発した。

634: 9k1Z+XoP0 ◆dLtM7Jdk7U 2009/08/25(火) 23:24:25.19 ID:XzDvhOU0
香子の職場の前に車を停めると、
既に香子は私服に着替えて、待っていた。

「ごめん、待たせた?」
「ううん、今終わったとこ。」

言いながら、香子は助手席のドアを開けて乗り込む。
今日はドアくらい開けてやろうと思ったのに、素早い動きで先を越された。

香子が車に乗り込むと、車中にいい匂いが拡がった。

「香水変えた?」
「そろそろ秋っぽくw」

なにが夏っぽくてなにが秋っぽい匂いなのかよくわからないが、
いい匂いなので無問題。

643: 9k1Z+XoP0 ◆dLtM7Jdk7U 2009/08/25(火) 23:28:03.51 ID:XzDvhOU0
高めのレストラン、とかいう話もあったが、残念。
実は、大学の時に俺が働いていたレストランだった。

「いらっしゃいませ。お久しぶりww」

前もって予約はしておいた。店長が自ら、出迎えてくれた。

「ご無沙汰してます。」
「こんばんはww」

香子も、学生の頃から何度か来たことがあるので、店長と顔見知りだ。

今日のこの日は、必ずここに来ようと決めていた。

644: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 23:29:09.65 ID:aL.hf.Yo
男らしくていいな

648: 9k1Z+XoP0 ◆dLtM7Jdk7U 2009/08/25(火) 23:30:14.34 ID:XzDvhOU0
窓際のいい席を取っておいてくれた。

車のため、お茶で乾杯。
そして、食事に舌鼓をうつ。

「美味しいねw」
「だな。やっぱりここは最高だなw」

リーズナブルで、でも美味しいです。

652: 9k1Z+XoP0 ◆dLtM7Jdk7U 2009/08/25(火) 23:34:28.83 ID:XzDvhOU0
「実家、どうだった?」
「いや、特に変わりないよw っていうか親父も普通に仕事だったし、土日にやっとゆっくりできた感じかな。」
「お盆休みずれてると大変だね。」
「まーな。」

しかし渋滞に巻き込まれなかったのは良かった。

「なんだか。」
「ん?」

香子が、ジっと俺の顔を見る。

「いつもより、ニコニコしてるね。」
「そうか?」
「いいことあった?」
「そうだなw」

とびきりテンションが上がる仲間達には会えたぜ。

658: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 23:40:08.40 ID:jy/GDvYo
な、なかまって…俺たち?(;;)

655: 9k1Z+XoP0 ◆dLtM7Jdk7U 2009/08/25(火) 23:38:15.17 ID:XzDvhOU0
食事も終わり、俺達は店を出た。
そのまま、車で香子を送る。

「あー、明日から仕事だなぁ」
「文句言わない。私は今日も仕事だったんだからw」
「そりゃそーだ。」

そして、あっという間に車は香子の家に着いた。

664: 9k1Z+XoP0 ◆dLtM7Jdk7U 2009/08/25(火) 23:42:28.30 ID:XzDvhOU0
「今日は、ご馳走様w 次こそは、私が奢るよ。」
「期待してるw」

停まった車中で、別れを惜しむように会話する。
香子にとってはただそれだけだったが、俺にとっては、
もっとも重大なシーンでもあった。

「じゃ、そろそろ帰るかw」
「待って。」

俺は、香子の手を引いた。
こっちは右手だ。

「こっちじゃなく、って!」
「??」

俺は、香子の左手を引っ張ると、その薬指に、指輪をはめた。

「えっ…」

香子は、息を呑む。

671: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 23:44:16.14 ID:BBAyNIAO
貴様いつから指輪握ってやがった!!!

672: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 23:44:20.76 ID:M2IsNQY0
ついに!!!

677: 9k1Z+XoP0 ◆dLtM7Jdk7U 2009/08/25(火) 23:45:43.69 ID:XzDvhOU0
「香子、告白したときにも言ったけど、俺は香子じゃなきゃだめなんだ。」

俺は一言一言、噛締めるように言った。
そうしないと、噛んでしまいそうだったから。

「だから、ずっと俺の側にいて欲しい。……結婚してくれ。」

香子の瞳から、大粒の涙が零れ落ちる。

「………嬉しい。ありがとう……」

678: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 23:46:11.68 ID:FTj3mQMo
きたああああああああああああああああああああああああああああ

679: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 23:46:22.73 ID:W6hFvuko
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお

685: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 23:47:33.96 ID:DmBzAkDO
よっしゃああああ!!

690: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 23:48:25.43 ID:PzlL.U6o
えんだああああああああああああああああああああああ

696: 9k1Z+XoP0 ◆dLtM7Jdk7U 2009/08/25(火) 23:49:52.59 ID:XzDvhOU0
「それはOKということでいいんですね?」

香子は、黙って頷く。

「や!…った~~。」

前に大声で怒られたので、夜でもあるし、小さめに喜んでおいた。

「こーちゃんっ」

香子が半身を伸ばし、運転席の俺に抱きついて来る。

「ありがとう…私、こーちゃんを好きになって良かった。」
「それは俺もだよw 香子、ありがとう……」

そして、言葉は意味を失い、
俺達は唇を重ねた。

698: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 23:49:55.31 ID:mhhuRZg0
感動した!!!

701: 9k1Z+XoP0 ◆dLtM7Jdk7U 2009/08/25(火) 23:51:05.72 ID:XzDvhOU0
そんなわけで、報告は以上です。

なんというか、その…
いやっほーーーーーーーーーーーぅう!!

718: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 23:53:17.15 ID:Db4GVAY0
>>701
幸せになりなさいなああああああああああ
おめでとおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
もう二度と傷つけるなよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお

702: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 23:51:12.33 ID:yS5HcQwo
おめでとう

703: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 23:51:24.73 ID:BBAyNIAO
>俺たちは唇を重ねた


親父さんに許可は取ったのか?

752: 9k1Z+XoP0 ◆dLtM7Jdk7U 2009/08/25(火) 23:59:17.10 ID:XzDvhOU0
>>703
それも許可がいるのですか(^-^;

706: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 23:51:42.93 ID:.5jCQoDO
唇を離して助手席の窓をみるとオヤジが怖い顔してたってるわけだな。

722: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 23:53:45.13 ID:SS46CwDO
>>706
俺もそれ想像したwwwwwwwwww


こーちゃんおめでとう!

752: 9k1Z+XoP0 ◆dLtM7Jdk7U 2009/08/25(火) 23:59:17.10 ID:XzDvhOU0
>>706
でも最近お父さん優しいw
不況に負けない企業に就職してよかった(^-^;

710: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 23:52:14.71 ID:A/Y8mUAO
おめでとう!!!!
心からおめでとう!

717: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 23:53:16.58 ID:OHKihkg0
今日1日ずっと見てたけどいい1日になったよ ありがとうお疲れ そしておめでとう 
幸せになれよ!

721: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 23:53:43.04 ID:W6hFvuko
親父に「娘さんをください」ミッションはいつ決行するんだね?(・∀・)

752: 9k1Z+XoP0 ◆dLtM7Jdk7U 2009/08/25(火) 23:59:17.10 ID:XzDvhOU0
>>721
それも近日中には。

723: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 23:54:14.75 ID:AYP.kMDO
もう なんだこの他人なのに溢れ出る充足感


マジでおめでとう!!

724: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 23:54:17.29 ID:DmBzAkDO
感謝しろよこーちゃん! 

ガキの頃の教訓はこれから生かしたらいい! 

泣かせたら俺がゆるさねーぞ! 
でもさっきみたいなのはおおいに許す!

730: 9k1Z+XoP0 ◆dLtM7Jdk7U 2009/08/25(火) 23:55:22.07 ID:XzDvhOU0
これでいいかな?
かこ

しまった、指輪した後で撮ればよかったんだ。
店で撮ったから(^^;

768: 9k1Z+XoP0 ◆dLtM7Jdk7U 2009/08/26(水) 00:04:00.70 ID:zk9nYoE0
写真、字も見えにくいなあ。
一応「こーすけ&かこ」と書いてあります。
IDメモするの忘れたんだよん。

ちなみに、写真撮るときスレのことは話しちゃいましたw

740: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 23:56:54.07 ID:FTj3mQMo
>>703
手だけでも幸せだってわかるな!おめでとう!

742: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/25(火) 23:57:14.11 ID:DmBzAkDO
>>703
ありがとうおめでとう!!

752: 9k1Z+XoP0 ◆dLtM7Jdk7U 2009/08/25(火) 23:59:17.10 ID:XzDvhOU0
お祝いコメント、ありがとうございます!

780: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/26(水) 00:06:45.79 ID:qc3T7cDO
なんと…話したのかスレを!

普通2ちゃんで晒されたとか言われたら引くよなぁ…
引かないあたりがこーちゃんが信頼されてる証拠なんだろうけど!
お幸せに!

796: 9k1Z+XoP0 ◆dLtM7Jdk7U 2009/08/26(水) 00:10:14.08 ID:zk9nYoE0
>>780
掲示板に書いたと言っても、あんまりピンときてないようでした(^-^;

824: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/26(水) 00:17:57.12 ID:moLut2U0
スレバレして別れるハメになった俺だから言わせてもらう
絶対にスレ見せるなと忠告しておく

こーちゃんは俺の分まで幸になってくれよ

835: 9k1Z+XoP0 ◆dLtM7Jdk7U 2009/08/26(水) 00:21:09.44 ID:zk9nYoE0
>>824
あ、そういうものですか?
気をつけます。

755: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/26(水) 00:01:03.35 ID:PoDHFXAo
>>1みたいに必タヒになって
努力できる恋愛がしたいなあ

758: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/26(水) 00:01:43.52 ID:Is0YghUo
お父さんに「娘さんをください」ミッションも報告がいるな

762: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/26(水) 00:01:57.72 ID:EW5gZQDO
こーちゃんオメ!!今日1日だらだら携帯から見てたけど本当に見て良かった!!

他人の幸せがこんなにも嬉しいのは初めてだ!!

767: 香子 2009/08/26(水) 00:03:54.90 ID:NC51PJco
みんなありがと(*´∀`)

776: 9k1Z+XoP0 ◆dLtM7Jdk7U 2009/08/26(水) 00:05:44.73 ID:zk9nYoE0
>>767
あれ、香子か!?
と思って電話したら全然違った(^-^;

風呂上がったとこだそうで。

771: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/26(水) 00:04:53.70 ID:DMAauAco
ホントにお疲れ様。
今日一日で何だか色々な経験をした気がするよ。

これからも二人健やかであるよう祈ってるよ!
おめでとう、ありがとう。

あと夜道絶対一人で歩かせるなよ。
俺が許さない。

796: 9k1Z+XoP0 ◆dLtM7Jdk7U 2009/08/26(水) 00:10:14.08 ID:zk9nYoE0
>>771
もちろんです。
一人で歩かせるようなマネは絶対しません!

782: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/26(水) 00:07:09.90 ID:8VLOTY20
結局香子は>>1のこと何時から好きだったらしいの?

790: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/26(水) 00:08:29.06 ID:KgdyoDQ0
>>782
俺も気になる!

806: 9k1Z+XoP0 ◆dLtM7Jdk7U 2009/08/26(水) 00:13:47.95 ID:zk9nYoE0
>>782
それ、聞いたことなかったなぁ。
今度聞いてみます。

786: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/26(水) 00:07:54.34 ID:kD3pvBU0
じゃあ俺Sの彼女

806: 9k1Z+XoP0 ◆dLtM7Jdk7U 2009/08/26(水) 00:13:47.95 ID:zk9nYoE0
>>786
Sはあの後、彼女と別れたりまたくっついたり、別れたり、
別の子と付き合ったりまた別れたりといろいろありましたが、
昨年、最初の彼女と結婚しましたw
しかもあいつ、今、公務員です。ちゃらんぽらんなクセにww

792: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/26(水) 00:09:16.52 ID:kzM5bzko
これが

うそのようなホントの作り話

でなくてよかった。幸せを少しでもお裾分けいただけてうれしかった。

800: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/26(水) 00:11:06.66 ID:WVsGvsE0
おめでとおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
DTはもうとっくに卒業してるんだよな?

811: 9k1Z+XoP0 ◆dLtM7Jdk7U 2009/08/26(水) 00:15:22.27 ID:zk9nYoE0
>>800
それはそのなんというかその……ポッ//

でも香子が大学卒業まで待った俺は紳士。

805: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/26(水) 00:12:41.85 ID:L/T0hPco
このスレ無くなんの寂しいなぁ・・・

あと200も残ってるしなんか言い残したこととかある?

とゆうか聞きたいこと山ほどだわ

812: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/26(水) 00:15:36.01 ID:MBFCp1U0
嫉妬で頭おかしくなりそうだ、閉じるわww

おめでとう

825: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/26(水) 00:18:11.35 ID:kzM5bzko
どうも2ちゃんで紳士というとヘンタイにしか見えないんだけど

835: 9k1Z+XoP0 ◆dLtM7Jdk7U 2009/08/26(水) 00:21:09.44 ID:zk9nYoE0
>>825
あ、そういうものですか?
ならヘンタイですw

838: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/26(水) 00:23:02.45 ID:SVOHWoAO
ってか一途だよな~
小学生のときからずっと彼氏作らず待ってたんだもんな

いいな、愛されてんな

851: 9k1Z+XoP0 ◆dLtM7Jdk7U 2009/08/26(水) 00:26:43.80 ID:zk9nYoE0
>>838
俺は世界一の果報者だと思っておりますwww

847: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/26(水) 00:25:55.27 ID:Hdq7JYAO
自分16歳で生意気言うけど>>1を男として尊敬してる
かっこいいです

858: 9k1Z+XoP0 ◆dLtM7Jdk7U 2009/08/26(水) 00:30:00.74 ID:zk9nYoE0
>>847
尊敬されるほど立派な人間ではありませんが、
若人へ一言。
「努力しても実るかどうか分からない。しかし、努力しなければ絶対に実らない。」
頑張ってください!

870: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/26(水) 00:34:59.62 ID:qc3T7cDO
埋まりそうな勢いだけど、次スレはどうする?
もし今後も報告(お父さんミッション)してくれるなら立てたほうがいいと思うけど

882: 9k1Z+XoP0 ◆dLtM7Jdk7U 2009/08/26(水) 00:40:37.79 ID:zk9nYoE0
>>870
次スレは、もういいかな、と。
お父さんミッションは、多分大丈夫ですよww
もし失敗したら泣きながらスレ立てて相談します(^-^;

871: 以下、VIPにかわりましてパー速民がお送りします 2009/08/26(水) 00:35:11.42 ID:EW5gZQDO
>>1000でも皆幸せ

991: 9k1Z+XoP0 ◆dLtM7Jdk7U 2009/08/26(水) 01:21:15.88 ID:zk9nYoE0
埋まる前に一言。

皆さん、朝からこんな深夜まで、本当にありがとうございました。
なかなか全部はレスできなかったけど、ちゃんと全部読んでます。

皆さんの励ましが力になりました。
一文一文に一喜一憂してくれる皆さんのおかげで、最後まで書き切れました。

そして、念願のプロポーズも果たせました。

俺は、幸せ者です。
そして、俺と香子は、幸せな夫婦になります!
どうもありがとうございました!!
引用元:http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1251159273/
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1251188047/

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