猫の毛玉 映画館 ワルキューレ 【内部から 食い破ろうと もがく勇気】

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ワルキューレ 【内部から 食い破ろうと もがく勇気】

tag 歴史 サスペンス 政治 戦争

『ワルキューレ』 VALKYRIE
2008年・アメリカ=ドイツ
1944年7月20日、最後のヒトラー暗殺計画を実行したのはクラウス・フォン・シュタウフェンベルクだった。

 ヒトラーという困ったチャンな独裁者をもてあますドイツ。英雄ヒトラーはもう狂ってしまった。戦争には負けるだろう。せめて、ドイツにはヒトラーに抵抗する国民もいることを世界に知らしめねば!

 もうね。誰もがわかってるわけですよ。ヒトラーはまだ死にゃしないってことをね。だから最初から最後まで悲壮感が漂ってるの。そんな男たちの熱いドラマだ!メルツ大佐(クリスチャン・ベルケル)が最高に素敵でした。

 ワルキューレ(ヴァルキュリー)は北欧神話の女神達。父である神オーディン(ヴォータン)の命で、冥界であり神の館であるヴァルハラへの案内人。強く勇敢な戦士の魂をヴァルハラへ送り、やがて来る神々の黄昏(ラグナロク)で戦士達を生き返らせ闘ってもらおうという作戦。そのワルキューレの1人、ブリュンヒルデと父神様の確執を描いたのがワーグナーの楽劇『ワルキューレ』。上演に14時間かかる『ニーベルング(ニーベルンゲン)の指環』の一部。ヒトラーは芸術家肌でワーグナー大好きだったそうですよ。
「ワルキューレ」ワルキューレ [DVD]
トム・クルーズ

コトノハ


"You can serve Germany, or the Fuhrer. Not both! "
(祖国ドイツに仕えるか、総統に仕えるか、二つに一つだ!)

 シュタウフェンベルクの言葉。ヒトラーは今やドイツの敵であるという認識ですな。この暗殺未遂のあと、ヒトラーのやぶれかぶれ具合はエスカレートしていくわけで、ああ成功していたらなぁと歴史にため息の一つもつきたくなります。

どんな映画?
 ヒトラー暗殺計画に勤しむドイツ軍内部の一派。序盤ではトレスコウ少将(ケネス・ブラナー)がスリルたっぷりにコアントロー爆弾を仕掛ける。この、ケネス唯一の見せ場はなかなか良かった。バレるのか、実はバレてるのか、セーフなのか、そんなヤキモキ感が伝わってくる。

 そして国を憂うシュタウフェンベルク大佐(トム・クルーズ)も一派に仲間入りし、ドイツを立て直すために奮闘する。あんまりトム様って意識しないで見てられるのは、アイパッチのせいだろうか、笑顔がないせいだろうか。

 このアンチ・ヒトラー一派もいろんな人物がいて面白い。いざって時に弱腰なオルブリヒト将軍、理知的で内に激しさを秘めたメルツ大佐、慎重派だがやるときはやるトレスコウ少将、全てを賭けるベック、仲間じゃないけど日和見のフロム将軍。この人間模様が紡ぎ出すドラマが、作戦遂行の正否を左右するわけだもの。特にオルブリヒト将軍の人間臭さは、苛々させられながらも共感してしまう。

 しかし総統閣下、運が良すぎワロス。爆弾仕掛けられてかすり傷で済んじゃうとか。もう神も仏もない感じだ。ちょび髭は伊達じゃない。そんなラッキー・フューラーに対してシュタウフェンベルクがお間抜けに見えてしまうのが残念。どうせなら予備爆弾も起爆させろよ、とか、爆発の混乱に乗じてしれっと戻って撃っちゃえば良かったのに、とか思っちゃうわよね。でも、極限状態の緊張感の中、巧くやるってのは大変なこと。後からは何とでも言えるけど、渦中のときはいっぱいいっぱいなものよね。だから、涙を堪えながら作戦室を解散させるときのヤルセナサにグっとくる。

 きっとシュタウフェンベルク達はヴァルハラの門で再会して、館で仲良くお茶飲んで過ごすだろう。そして下界でヒトラーが悲劇的な最期を迎えたのを見て安堵しただろう。
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俳優は誰?
 カリスマ的リーダー、シュタウフェンベルクにトム様。意志の強い、国の未来を見据えた人物をシリアス一路に演じた!なんとなくコイツならやってくれそうだって信頼を寄せてしまう、そんな魅力的な人物を思わせた。決してオドオドせず、常に堂々とした振る舞いには忠誠を誓いたくなった。

 メルツ大佐役のクリスチャン・ベルケル『es[エス]』でも良い役で出てましたね。主人公に近付く被験者。あと『ヒトラー~最期の12日間~』にも出てたドイツ人俳優。タランティーノの最新作『イングロリアス・バスターズ』に出演してるっていうから楽しみ。

 トレスコウ少将役のケネス・ブラナー、太ったねー!驚いた。出番は多くないけど、序盤の要として活躍。またシェイクスピアものをやって欲しいなぁケネス。

 チキンなオルブリヒト将軍にビル・ナイ。ラストにキっと顔を上げたシーンの切なさと誇らしさよ!あの窄んだ口元が良いよね!どこか色気が漂うんだ。そんなビル・ナイ爺を存分に楽しめる映画が『アンダーワールド ビギンズ』『ラブ・アクチュアリー』だ!ぜひ!

関連作品のようなもの
オペレーション・ワルキューレ [DVD]2004年のTV版。これが元ネタなんだと思われる。
オペレーション・ワルキューレ [DVD]
セバスチャン・コッホ; ウルリッヒ・トゥクール
ワルキューレの騎行(ワーグナー管弦楽曲集)ヒトラーが愛したワーグナーの曲。作中でも言及されます。
ワルキューレの騎行(ワーグナー管弦楽曲集)
テンシュテット(クラウス)
ワルキューレ ヒトラー暗殺の二日間オラ、原書房が大好きだ!306㌻。
ワルキューレ ヒトラー暗殺の二日間
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コメント


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実話だけに・・・

盆踊り | URL | 2009年05月06日(Wed)22:39 [EDIT]

とてもシリアスな展開でしたね~
トムでなければもう少し良かったのか・・・
チラホラとトムはドイツ人に見えないと・・
私もトムのニコニコ顔はなんとも・・・
しかし映画としては良かったですね。

>盆踊りさま。

P | URL | 2009年05月07日(Thu)01:22 [EDIT]

結果がわかっているだけに、もう最初から哀しいという。
私はトム様好きなので、トム様で全然構いませんでした。ドイツ人に見える必要はないですし。というか、鼻のラインとか割とドイツっぽく馴染んでるなぁなんて思っちゃいました。
あれ?トム様、この映画では笑顔を見せてませんよね。と、思ったんですけども。私の記憶違いでしょうか-?

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ワルキューレ

原題 Valkyrie (2008年) 鑑賞 劇場 監督 ブライアン・シンガー 出演 トム・クルーズ、ケネス・ブラナー、ビル・ナイ 脚本 クリストファー・マッカリー他 公式サイト 詳細はgoo映画 第二次世界大戦下のドイツ。アフリカ戦線で左目を負傷したシュタウフェンベ?...

Bonkun blog2 2009年05月06日(Wed) 23:02