天の邪鬼な私には 「今回の件はそんなに大騒ぎすることなのか?」という 疑問があるんですね。
最初は興行と暴力団(芸能、スポーツ界と暴力団)ということから書こうか と思ったんですが、話が大きくなりすぎるので、今回はおいておきます
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そもそも 公共的な施設等で見られる 「暴力団関係者の入場はお断りいたします」 とはどういう意味なんでしょうか?
暴力団員ならまだわかります。「関係者」ってどこまでですか? 家族は?知人は?暴力団が資金を出して運営されているフロント企業の社員は? そもそもフロント企業の社員なんて、自分が「暴力団関係者」だなんて 思ってもいませんよ
(これも厳密に言えば問題ですけどね。アウトローの存在な暴力団員や その関係者が「人権侵害だ」などと言い立てないでしょうが)
それで その人達の入場をどうやって断るんですか?
厳つい顔つきで、いかにも暴力団員風の人間には「暴力団員」でないことの 証明を求めるんですか?「ないことの証明」ってできるんですか? まして、「関係者じゃないことの証明」に至っては不可能でしょう。
となると結局 これは
「自分を暴力団関係者だと自覚している人間」に対し、「本人の自粛」を 促しているだけの実効性のない決まりごとですよね 施設側の「自分たちは反社会的集団に便宜を供しない」という意思表示 ポーズとしての対決姿勢で、まあ、「ちゃんとやってしてますよ」という 言い訳に過ぎないとも言えますが。
そして、 今回の維持員席の問題
そもそも どういうシステムかと言えば 土俵周りの席は「溜席」と言うんですが、そのうち、「維持員席」という席 があり、日本相撲協会に6年で維持費130万円以上寄付するなどし、理事会で 承認された個人や団体に無料で割り当てられているのものです。 (タニマチ用ですね。相撲部屋の後援団体や企業の接待用の特別席なんです)
というわけで この席は本来、売買対象ではないんですが、6年ごとの更新前に維持員を辞め る個人・団体があり、その場合は相撲案内所が、割り当てられた維持員席の 入場券を買い上げ、第三者に販売するということもあるのです。
もちろん、協会は維持員以外の席利用を認めていませんが、さりとて、協会や 相撲案内所(茶屋)は「維持員本人かどうか」の確認をしているわけでもありません。 基本的に入場券を持っていれば誰でもその席に座ることはできるのです。 そもそも 維持員になった企業や団体が接待目的で席を第三者に供することは 普通にありますからね。
因みに 溜席は最近、一部は一般にも販売されています。(もちろんチケットぴあでは 買えませんが) このブログで書いたように、実は私も二回 両国国技館で相撲観戦したことが あり、その際、溜席で見るかどうか迷ったんです。取ろうと思えば席を取る ことはできたんですが。(もちろん正規ルートではありません) ただ、あの席は 力士への声援、飲食、写真撮影禁止なんですね、おまけに 狭い。ホントに座るだけでの広さ。土俵には近いんですけどね。 となると、四人用枡席で二人で見るくらいがちょうどいい感じなので 枡席で見たのです。堂々と写真撮影もできますし。 (最近、溜席でも携帯電話のカメラなどで よく写真撮影していますよね。 本当はあれは禁止なんですが)
確かに、枡席でも正面や向正面の席は普通の人は取りにくいでしょうね。 その辺り、改善されたとはいえ、大相撲のチケット販売には問題があることは 確かです。特に相撲茶屋のシステムには問題があります。
ただ、今回の件で 「普通の人が買えない特別席のチケットを暴力団員に流した」となると おどろおどろしいですが、そんな大層な話ではありません。 「普通の人が普通には買えない」だけで、普通の人でも入手しようと思えば 入手はできるものです。
では、以上を踏まえて 今回の一件を確認すると
弘道会が名古屋場所の維持員席にこだわり続けていた理由はNHKの生放送を 通じて、2006年2月から府中刑務所(東京)で服役中の山口組組長、篠田 建市(通称・司忍)受刑者(68)にメッセージを送ることにあった。刑務所 では、NHKの大相撲中継とニュースに限り、受刑者が生放送を見られるからだ。 では、彼らは篠田受刑者に何を伝えたかったのか。愛知県警関係者がこう明かす。 「弘道会が陣取る維持員席には必ず、幹部らに囲まれるようにして和服姿の美人が 背筋を伸ばして座っていますが、彼女は篠田受刑者の妻です。彼らは、組長不在の 間も『姐さんの身体をしっかり守っています』というメッセージを篠田受刑者に 伝えるとともに、妻も夫の出所を待ち続けていることをテレビ画面を通じて アピールしているのです」 http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100526/crm1005262128031-n1.htm
別に犯罪行為に使われたわけではないようです。賭博絡みでもないですね。
大相撲の親方2人が指定暴力団山口組弘道会傘下の組長らに土俵下の 「維持員席」で観戦できるよう便宜を図ったとされる問題で、昨年 の名古屋場所で親方に席の取得を依頼した自称コンサルタント業の 男性が、2席分の対価として計約74万円を入場券を取り扱う 相撲案内所に支払っていたことが27日、愛知県警への取材で分かった。 県警によると、金額は適正で、親方側は仲介手数料などは得ていないという。
木瀬親方は昨年の名古屋場所でも2席を調達。男性は同親方を通じ、 1席当たり約37万円(15日分)、2席で計約74万円を案内所に支払った。 2席では場所中、弘道会系の組長らが観戦した。 同場所では、親方ルート以外にも、遊技会社社員が案内所で4席の 維持員席を入手し、暴力団側に流れていたことも県警への取材で判明。 社員側からは適正な額とされる1席当たり約40万円(同)が支払われた。 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100527-00000136-jij-soci
相撲案内所に支払れた額も適正、当該親方に仲介手数料が払われたわけではない。
昨年7月の名古屋場所後、相撲協会は愛知県警から2親方の関与を指摘され たが、腰が重かった。相手が暴力団関係者でも、本場所観戦の券を融通する ことは犯罪行為には当たらない。だからこそ警察当局は、相撲協会の自主的 解決を求めたが、処分を決めなかった。 http://www.jiji.com/jc/c?g=spo_30&k=2010052701048
相手が暴力団関係者でも、本場所観戦の券を 融通することは犯罪行為には当たらない じゃあ、警察は一体何を問題視しているの??
昨年の大相撲名古屋場所で、山口組弘道会の幹部ら多数が、現役親方が手配 した入場券で取り組みを観戦していた問題で、安藤隆春警察庁長官は27日の 会見で、「社会的に許容されることではなく、極めて遺憾だ」と厳しく批判した。 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100527-00000555-san-soci
結局、反社会的団体である暴力団員にチケットを融通することが 「社会的に許容されることではない」ってころだけですよね。 これは犯罪ではなく、社会道徳的な問題
となると この一件、そんなに大騒ぎすることですか?と言うことになります。
そして、処分並び今後について
戦後初の部屋取りつぶし 求められる綿密な暴力排除対策 大相撲
昨年7月の大相撲名古屋場所を暴力団関係者が観戦していた問題で、日本 相撲協会の理事会が下したのは、関係した親方の部屋の事実上の取りつぶし。 戦後では初めてという厳しい処分により、相次ぐ不祥事からの決別へ、断固 とした姿勢を示したといえる。 「世間をお騒がせして申し訳ない」。理事会の処分を発表した武蔵川理事長 (元横綱三重ノ海)は厳しい表情でわびた。
協会が手をこまねいてきたわけではない。
今回の暴力団関係者観戦の事実が昨年8月に明らかになって以来、警察とも 連絡を取り合って、反社会団体関係者の入場を禁止するなど再発防止の措置 を執ってきている。今回の問題では、結果的に暴力団関係者に“貸す”形と なった、本来の席の持ち主6人についても、すでに維持員の資格を取り消した。
ただし協会の力には限界もある。夏場所中には大関琴光喜が野球賭博に関与 して暴力団員から恐喝されていると週刊誌に報道された。理事会には琴光喜も 招集されて事情を聴かれたが、「本人が否定しており、それを信じるしかない」 と八角広報副部長(元横綱北勝海)と、当面は処分の予定はない。 チケット販売についても、「知人の知人」を通しての手配依頼などで暴力団 関係者を排除しきれるか、疑問が残る。協会には、より綿密な対策が求めら れている。 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100527-00000618-san-spo
※この記事の表題は求められる「綿密な暴力排除対策」になっていますが 「綿密な暴力団排除対策」の間違いですよね
この一件で所属力士27人、52ある相撲部屋の中で3番目に大きい部屋が取潰し ですからね。現段階で、表に出ている話だけだと処分としては厳しいですね。
もちろん、暴力団員との関わり自体を問題視し、相撲協会がどのような内部 規律で、処分しようと基本的には自由なんですが。 自分が斡旋したチケットが、人の手を経て、暴力団員が入手することも あるとなると、全く斡旋できなくなりますね。
ただ、再発防止ってどうするんですか?
記事には
協会にはより綿密な対策が求められている。
などと気軽に書いてありますが・・・・
そこで冒頭の話へ
両国国技館に掲げられた 「暴力団関係者への販売はお断りいたします」
本当は 「なぜ、暴力団関係者は観戦してはいけないのか?」という ところもあるんですが、それはおいておいて
そもそも 「暴力団関係者」って一口に言うのは簡単ですが、範囲はどこまでなんですか? フロント企業まで相撲協会が把握できるんですか? 従業員ですら、自分が暴力団に雇われてるなんてわかっていない場合も 多いでしょう。 それをどうやって識別するんですか?
もし、チケット入手を阻止するなら「維持員席」というシステム自体を変えない といけません。 企業団体枠を置くと、誰が来るか事前把握できないから廃止、個人のみで、 暴力団関係者ではないか厳密に審査、しかも毎回、公的証明書による本人確認
こんなことできるんでしょうか?
では、入場を阻止するのは?
暴対法による指定暴力団の幹部組員なら今回のように警察が見て識別 できるのかもしれませんが、(末端組員までわかるんでしょうか?) それにしても大相撲の場所中は警察が入り口で見張るんですか?
そうでもしないと もし、本気で相撲協会が排除しようとしてもできませんよ。 いかにも暴力団員風の人間には「暴力団員」「関係者」でないことの 証明を求めるんですか?
となると 相撲協会の「暴力団排除」というのは 完全に実行することは難しいし、 かといってその状態を簡単に「排除するポーズに過ぎない」などと 批判することはできないということになりますね
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