<大相撲大麻疑惑>露出身3力士の解雇「適正な処置」…協会 日本相撲協会は会見を開き、大麻所持容疑で逮捕、起訴猶予となった若ノ鵬、 協会の尿検査で大麻への陽性反応が検出された露鵬、白露山のロシア出身3力士を 解雇した処分について、改めて「適正な処置だった」との見解を示した。 若ノ鵬が地位確認を求めて提訴し、露鵬、白露山側が検査に対する質問状を協会に 提出したことを受けたもの。武蔵川理事長(元横綱・三重ノ海)は会見の中で 「2月にドーピングの説明会を開き、薬物乱用も厳しく戒めていた。大変遺憾で あり残念。深くおわびしたい」と謝罪した。3人の元力士の主張、質問等について は協会顧問の今野勝彦弁護士が「薬物使用は反社会的な行為で、害悪を広げる恐れ がある。協会の信用、名誉を棄損しており、決して重い処分ではない」と説明した。 若ノ鵬側は「過去の不祥事に対する処分に比べて重過ぎる」と主張。露鵬、白露山 については、協会としてアンチ・ドーピング規定が作成されていない中で、 解雇処分の判断を下していた。 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080921-00000067-mai-spo
この一件、時系列を追って経過を見ていきましょう。そうすることで問題点も 浮き彫りになるはず。私は「ボタンの掛け違い」という言葉で表すのがピッタリ ではないかと思う。
ドーピング 相撲界も世界標準に倣え 2008.2.18 02:35 昨年2月、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「ドーピングの防止に関する国際 規約」が発効した。日本相撲協会は監督官庁である文科省に背中を押され、来年 から幕内上位者を対象にドーピング検査を行うことになった。今回の説明会では 力士が熱心にメモをとったり、質問したり、健康管理を担う部屋のおかみさんが 出席するなど、相撲界に携わる人々が真剣に取り組もうとしている。 その一方で、「この世界は糖尿病が多いし、どこまで受け入れられるか」(貴乃花 親方)という意見もある。しかし、ドーピング検査に例外は許されず、罰則がなけ れば意味を成さない。相撲協会のアンチ・ドーピング委員会の大西祥平委員は 個人的見解と断りながら「優勝者から禁止薬物が出た場合、優勝は剥奪」と述べた。 今後、議論を深めるようだが、出場停止や永久追放などの重い処分を含む厳罰主義 が世界標準であることを忘れてはならない http://sankei.jp.msn.com/life/trend/080218/trd0802180235001-n1.htm
この時点では「幕内上位者を対象」に「ドーピング検査」を行うことになった 大西委員の個人的意見として「優勝者から禁止薬物が出た場合、優勝は剥奪」 という話も
日本相撲協会のアンチ・ドーピング委員会は17日、会合を開き 来年からの本格 導入を目指す大相撲のドーピング検査について、検査方法や禁止薬物は 世界反ドーピング機関(WADA)の基準を崩さないことを確認した。 委員会 内部では、WADAの基準を採用せず、本場所中は検査しないなど相撲協会独自の ルールを設定する意見も出ていた。大西祥平委員は「あくまでもWADAのルール に従う。罰則規定は協会独自のものになる。理事会で運用面を決めてもらう」と 話した。同委員会は9月の秋場所で試験的に検査を実施する方向。委員会での案は 7月の名古屋場所中の理事会で検討される。 http://www.sponichi.co.jp/sports/flash/KFullFlash20080617078.html
この時点では「9月の秋場所で試験的にドーピング検査を実施する」方向だった
9月の秋場所では実施せず 大相撲のドーピング検査 2008/07/20 日本相撲協会は20日に開いた理事会で、9月の秋場所で試験的に実施する予定 だったドーピング検査について、同場所中には行わないことを決めた。実施時期は 場所と場所との間となり、年内を予定している。 伊勢ノ海委員長は検査方法について、世界反ドーピング機関(WADA)基準の 適用は「難しい。禁止薬物もWADA基準にするかどうか(あらためて)考えたい」 と話した。相撲協会は来年からドーピング検査の本格導入を目指している。 http://sankei.jp.msn.com/sports/martialarts/080720/mrt0807201636001-n1.htm
ということで ドーピング検査は「秋場所中」には行わなわいが、 年内には実施する運びとなった。
ところが、
幕内力士、若ノ鵬を逮捕 大麻所持容疑、吸引具も押収 2008.8.18 大麻成分を含んだたばこを持っていたとして、警視庁組織犯罪対策5課と本所署は 18日、大麻取締法違反(所持)の疑いで、ロシア国籍で大相撲間垣部屋の幕内力士 若ノ鵬寿則容疑者を逮捕した。警視庁は名古屋場所とそれに続く巡業を終えて自宅に 帰ってきた力士の身柄を押さえ、自宅と間垣部屋を捜索。たばこの入手先などを追及 する。 http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080818/crm0808181700018-n1.htm
この事件が起こったことで方針が急転換
第2の若ノ鵬出現阻止へドーピング検査 2008年8月23日 ドーピング検査が「第2の若ノ鵬」出現を抑止する。日本相撲協会アンチ・ドーピ ング委員会の大西祥平専門委員(慶大教授)が22日、検査で大麻や覚せい剤などの 使用も判明することを明かした。「抜き打ちでやれば、薬物使用の抑止力になる」と 話した。2月に全力士と部屋の関係者を集めてドーピングの説明会を開くなど、 薬物使用撲滅に取り組む中での事件だけに「早急に対応するのが大切」と強調。 9月末の同委員会を経て、11月の九州場所前の実施を目標に掲げた。「全力士が 対象。部屋に行って検査することになると思う」との考えを示した。また、この日 行われた力士の健康診断には露鵬、白露山以外のロシア人力士3人が出席。 http://www.nikkansports.com/sports/sumo/news/p-sp-tp3-20080823-400207.html
検査で「大麻や覚せい剤などの使用も」判明するということで (ドーピングというより話が 大麻や覚せい剤という薬物問題になった) 9月末の日本相撲協会アンチ・ドーピング委員会を経て「11月の九州場所前」に 「抜き打ち検査」を実施する方向だった。・・・
はずが
8月に元幕内・若ノ鵬寿則容疑者が大麻取締法違反で逮捕された件を重く見た 再発防止検討委員会(伊勢ノ海委員長)は同29日の会合で、力士会での抜き 打ち検査を決定。北の湖理事長(元横綱)以外の協会関係者には知らせず、 極秘裏のうちに準備を進め、 http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2008/09/03/01.html
9月2日 力士会(幕内と十両力士が参加する親睦組織)の定例会 冒頭、抜き 打ちに尿検査を実施された。協会の再発防止検討委員会(委員長・伊勢ノ海理事) が日本アンチドーピング機構(JADA)の大西祥平専門委員(慶大教授)の指導 のもとで実施。
その結果
露出身2力士から大麻陽性反応 警視庁が事情聴取 2008.9.2 日本相撲協会は2日、関取に抜き打ちで行った尿検査の結果、ロシア出身の西前頭 3枚目、露鵬と、弟で東十両6枚目の白露山からマリフアナ(大麻)に対する陽性 反応が出たと発表した。相撲協会から連絡を受けた警視庁は大麻取締法違反の疑い もあるとみて、2人から任意で事情聴取を始めた。この日の検査は簡易的なもので、 力士会に出席した69人の関取を対象に行われた。 http://sankei.jp.msn.com/sports/martialarts/080902/mrt0809022041003-n1.htm
と言うわけ。
検査に立ち会った再発防止検討委員会の大西祥平氏によると「簡易検査で 反応したということは2、3日以内に吸引していた可能性は否めない」という。 それでも納得しない露鵬と白露山は「身の潔白を明らかにしたい」と再検査を要求 したため、午後5時からより精密な検査を実施した。だが、露鵬が「用事があるから 帰りたい」と語るなど、非協力的な姿勢を見せたため、委員会は師匠の大嶽親方 (元関脇・貴闘力)を呼び出して説得。開始から6時間たった午後7時半に全検査 を終了した。再検査では「尿に含まれるマリファナの濃度が分かるため、主流煙か 副流煙の区別もつく」と大西氏は説明。結果は3日から48時間以内に出るため 、4日にも判明する。 http://www.sponichi.co.jp/sports/news/2008/09/03/01.html
これの時 大麻取締法との絡みで記事を書いた http://kazuuun.blog79.fc2.com/blog-entry-1716.html
そして二力士の処分については 当初は
露鵬、白露山は数場所出場停止処分に 2008年9月8日 露鵬、白露山の処分は、最低でも数場所の出場停止処分になると見られる。日本 相撲協会の処罰では解雇が最も重いが、露鵬、白露山の2人は、警察の家宅捜索で 大麻の現物や吸引器具などが発見されず、現時点では逮捕されない見通しで、 元若ノ鵬容疑者の大麻事件とは違っている。ただ、大麻の陽性反応が出たことも 事実。相撲協会の反ドーピング委員長でもある伊勢ノ海理事は「処分するためでは なく、薬物使用をやめて健康な体を守ることが目的」と話しており、独自の規定を 使う方向で話し合われている。違反に対する処罰規定は決まっていないが、大相撲 では本場所を出場停止になれば自動的に番付が降下するため、二重の制裁となる。 ある有力親方は「プロとアマは違う。力士が更生することが大事」と再び相撲を 取る機会を与える考えを示している。だが一方で、両者と大嶽親方が、協会が実施 した検査を真っ向から否定する会見を何度も開いたことで協会の名誉を失墜させた として、一部理事からは解雇処分が妥当との意見も出て始めた。 http://www.nikkansports.com/sports/sumo/news/p-sp-tp3-20080908-406070.html
という話だったが、二人は結局、「解雇」処分に その理由はやはり
前の理事会で2人の解雇が決まったが、理由説明の中で再発防止検討委員の親方が 「2人が大麻を吸引したことがあると告白していた」事実を明かした。評議員会に 出席していた親方によると、2人は2日の抜き打ち尿検査後、相撲教習所内に 約6時間待たされている間、再防委の親方に「実は6月のロサンゼルス巡業で、 飲み屋で黒人の歌手からもらって吸った」と白状。この時、2人は「師匠には 黙っていて下さい」と訴えたという。白露山の師匠、北の湖前理事長も、露鵬の 大嶽親方(元関脇・貴闘力)も2人が主張する「シロ」の言葉を信じ、師匠として 弟子を守り「別の機関での再検査」という希望を繰り返し、批判を浴びた。 こうした無謀な主張が北の湖前理事長の引責辞任にもつながっており、大ウソが 協会トップの進退も揺るがした。 九重広報部長は2人の処分について「1年間の出場停止の案もあった」と話した が、本人たちが前日までに弁護士と会見を開き法廷闘争をほのめかすなど、協会 に反旗を翻す姿勢を見せたため、再防委の親方が吸引事実を理事会で報告する ことを決断。他の理事も吸引の事実を重く見て解雇に急きょ変更された。再防委の 大西祥平氏(慶大教授)は、精密検査で吸引と判断される基準値に対し、露鵬は 5倍、白露山は10倍の大麻成分が出ていたという。「自身で大麻を吸ったこと は間違いない。副流煙、それ以外の要因(痛み止め薬など)は100%考えられ ない」と説明。分析機関から尿のすり替えはなかったという証明書も得ている。 http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/sumo/news/20080909-OHT1T00026.htm
そして、解雇された若ノ鵬は提訴、露鵬、白露山も提訴の構えを見せている そんな中での今回の会見だった。
「想定外」の事態が重なったとでも言おうか さて、今回の一件 何がこじれた原因なんだろうか? 今回の「簡易検査」の問題点と両力士及び相撲協会の対応 その辺りを次に考察してみたい。 (続く)
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