こんにちは。
11月始めに、昨年も訪れたダイヤモンド筑波の撮影地、母子島遊水地に行ってきました。
この記事では、撮影時期より少し遅い時期に撮影したダイヤモンド筑波の様子。そして、車を使わないで行く過酷なアクセス・撮影計画についても詳しくお伝えしたいと思います。
目次
ダイヤモンド筑波について
ダイヤモンド筑波とは文字通り、茨城県のつくば市に聳える単独峰 筑波山 の頂上から太陽が現れる瞬間の事。その光景は美しく、個人的にはダイヤモンド富士よりも好きです。
そんな日の出のダイヤモンド筑波が見られる季節は、年に二回あります。一般的には、筑波山に対して西側から撮影する為、10月の下旬と2月の中旬と言われており、特に朝霧が立ちやすく真冬ほど冷え込まない秋がオススメ。
しかし今回の撮影では、朝霧がわきすぎて逆に残念と思える場面もありました。そのへんも含めてご覧下さい。
母子島遊水地について
ダイヤモンド筑波が見られる場所は、筑波山に対して西側全域です。そんな中で、最も有名なダイヤモンド筑波の撮影地があります。それが、筑西市にある 母子島遊水地です。
農場に作られた溜池である母子島遊水地は、筑西市や茨木県が公式に ダイヤモンド筑波の撮影地 として整備・アナウンスしており、毎年多くの写真家が訪れます。
特徴としては、桜並木に囲まれた溜池であり波がほとんどない事。そして、朝霧がわきやすく、水面に筑波山が綺麗に映る為、霧に包まれた逆さダイヤモンド筑波となり、まさに絶景です。また、地元の撮影地と言うイメージで、まだ全国的にメジャーな撮影スポットではない事も、この場所が気に入っているポイントです。
先にも書いた通り、桜の名所でもある為、満月と夜桜も個人的に狙っています。
2018年の10月25日に撮影したダイヤモンド筑波の記事はこちら↓
撮影計画
秋のダイヤモンド筑波の時期は10月の28日と言われています。
2018年は10月25日に訪れたにも関わらず、まさに筑波山の頂上真ん中(女体山と男体山と二ヶ所の山頂がある)から太陽が昇りました。2019年の10月下旬は雨続きだった為断念。と言う事で、晴れた11月1日に撮影を決行。時期遅れの11月の季節に見られるダイヤモンド筑波がどんな景色なのかも気になり、今回撮影に踏み切りました。
と言うのも、去年は28日に対して三日前に撮影。と言う事は、28日の四日後の11月1日もそれなりにダイヤモンド筑波になるのではないかと考えたからです。
当日の撮影スケジュール
ここでは、当日の撮影における行動スケジュールを載せます。メインの撮影時間を太字、車を使わない異例のアクセス時間を赤字で書いてみました。
・21時:東京発
・23時半:茨城 下館着
・24時:カラオケ着(下館駅北口から徒歩20分)
・2時:カラオケ発(閉店時間が深夜2時)
・3時半:母子島遊水地(常盤バイパスを徒歩1時間20分以上かけて南下)
・4時:撮影開始(星空・朝霧・ブルーアワー)
・6時:ダイヤモンド筑波撮影
・6時半:撤収準備(カメラ機材や荷物の片付け・周辺環境調査)
・7時:母子島遊水地発(徒歩で常盤バイパスを再び1時間20分かけて北上)
・8時半:下館駅着(8時45分発で東京へ)
・11時15分:東京着
・11時半:帰宅
余談ですが、昨年の10月25日に訪れた時は友人の車でアクセスした為、ダイヤモンド筑波の撮影後にそのままひたち海浜公園で紅葉したコキア撮影→大洗などへ行きました。今回は車がないため、はしごの撮影はしません(水戸線を乗り継げば可能ではありますが)。
車を使用しないアクセス方法
これがまた異常行動な為、是非読んで欲しいポイントです。
日本の撮影地と言えば、カメラマンみんなが車でアクセスし、メインの時刻の数時間前から専用駐車場が満車になるなんて言うのはよくある話。兵庫県の竹田城後雲海撮影地や、自分が何十回も訪れた事のある長野県の戸隠鏡池なんかもそうです。
しかし、自分は車の免許を取得する事ができません。去年は友人の来るまで未明の3時とかに東京を出発したので、睡眠をとった上で撮影に挑めました。しかし、今回は都合が付かず単独行動。2018年から友人の車で撮影に行く事が多くなって麻痺していましたが、思い返せばその前までは、よく一人で関東沿岸へ徹夜の星空撮影に行っていたものです。
と言う事で、久しぶりに公共交通機関等を乗り継いで行く徹夜の写真撮影になります。とは言っても、撮影地に乗り込む時刻は深夜の4時頃。バスや電車が動いているはずがありません。これをどう乗り越えるか試行錯誤するのも、自分の楽しい撮影スタイルです。結論から言うと、徹夜・長距離の徒歩移動を余儀なくされます。重たいカメラ機材に防寒具を手持ちで運ぶ。恐らく、若いうちしかできない撮影スタイルです。
まずはこちらの地図をご覧下さい↓
母子島遊水地の最寄駅は常総線 黒子駅ですが、周囲は民家と農場ばかりで宿泊できる場所はなし。しかも、黒子駅から母子島遊水地までも、徒歩20分以上かかります。
次に目をつけたのは、母子島遊水地から徒歩1時間20分であり、常総線と水戸線が交差するJR下館駅。調べると、徒歩圏内に深夜まで営業しているファミレスやカラオケがあります(漫画喫茶はなし)。と言う事で、東京から終電で下館へ行き、下館駅から撮影地とは逆方向に徒歩20分でアクセスできるカラオケで、深夜2時まで時間を潰すことにしました。
その後、深夜タクシーを検討。11分で深夜料金3990円。徒歩では1時間20分で0円…。体力には自信がありますし、ここは徒歩で行く事を決意しました。
今回使用するカメラ機材
α7RⅡ+SEL55F18Z:去年の撮影経験から50mm前後が最適。単焦点レンズに拘りました。
α7SⅡ+SEL24105G:旅の様子や風景写真、遠景を切り撮る為に選びました。
SEL35F28Z:二台目でダイヤモンド筑波の撮影に使用予定でしたが、星空も撮りました。
その他:三脚二台に防寒具と行動食・水。
ダイヤモンド筑波の写真
ここからは、11月のダイヤモンド筑波撮影で撮影した写真を紹介していきます。
筑西市の星空
α7SⅡ+SEL24105G 24mm f4 ss15 iso1600
下館駅から常盤バイパスを徒歩で南下しながら撮影した一枚。田んぼの脇道に入り、オリオン座を意識して撮影しました。右下が青信号だと光が爆発するので、赤信号になるのを待って撮影した一枚です。やはり東京に比べて星空が綺麗ですね。バイパス沿いでもこれだけの数の星が見えます。SEL24105Gで撮影した貴重な星の作例です。
α7SⅡ+SEL35F28Z 35mm f2.8 ss10 iso100
こちらは、母子島遊水地に到着して単焦点レンズ SEL35F28Zで撮影した一枚。母子島遊水の特徴である周囲の桜並木と電線、そしてオリオン座を入れて撮りました。ソフトフィルターを使えば、もう少しドラマチックな写真に仕上がったのですが、今回は持って来ず…。
朝霧の母子島遊水地
α7RⅡ+SEL55F18Z 55mm f1.8 ss15 iso100
α7SⅡ+SEL24105G 50mm f8 ss1/8 iso100
予報では、この日の朝の冷え込みは酷く、10度を下回るとか。想像以上に霧が濃く、筑波山は全く見えない状態でした。しかし、朝霧に包まれた景色は本当に幻想的。この写真、恐らく今回の撮影では一番綺麗な場面だと思います。逆にこの景色を撮る為に来たと言ってもいい位。
筑波山が現れる
α7RⅡ+SEL55F18Z 55mm f8 ss1/50 iso100
日の出が6時5分前であり、山の標高があるので実際には15分とかに太陽が顔を出します。この日、6時過ぎまで筑波山が見えず完全に諦めていました。しかし、6時10分を過ぎた頃に奇跡が起こりました。みるみる霧が晴れ、筑波山の山頂が顔を出したのです。辺りでは「まだ昇ってないよな、よかった」などの声が上がりました。
α7RⅡ+SEL55F18Z 55mm f8 ss1/250 iso100
こちらはダイヤモンド筑波になる日の出直前の様子。母子島遊水地の溜池周囲だけでなく、筑西市を包む濃霧の影響で周囲が黄色く染まっています。しかし、逆さ筑波山が現れ、かなり期待が高まりました。よく目にする 大勝利 と言うんでしょうね。
11月のダイヤモンド筑波
α7RⅡ+SEL55F18Z 55mm f8 ss1/400 iso100
いよいよ待ちに待った、ダイヤモンド筑波である日の出の時間を迎えました。驚いたのは、10月28日からわずか四日後の11月1日でも、日の出の位置が大きくずれている事です。撮影地である母子島遊水地が、筑波山に対して北西に位置しているので、右の頂上が男体山になるのですが、山頂よりも外側から太陽が昇っていました。勿論、日の出・日の入りマップを確認してからの訪問ですが、あれもざっくりとした位置しか把握できないですからね。それでも、濃霧に包まれてオレンジ~黄色がかったダイヤモンド筑波が見られました。
α7SⅡ+SEL24105G 85mm f16 ss1/250 iso100
去年の撮影経験から、焦点距離が100mmあれば十分だという事を認識しました。その為、去年はSEL70200GMを持って来たのですが、今年はSEL24105Gで撮ってみました。
10月のダイヤモンド筑波
こちらは昨年の2018年10月25日に撮影した母子島遊水地のダイヤモンド筑波です。この日は池に朝霧がわずかに沸いた程度で、筑波山は裾野まではっきりと見えました。また、日の出の位置も筑波山の中央付近で、まさに最高の条件で撮影ができました。日毎の条件の違いだけでなく、10月と11月に撮るダイヤモンド筑波の違いも分かりましたしいい勉強になりました。
この写真の記事はこちら↓
まとめ
11月の母子島遊水地で撮影するダイヤモンド筑波、いかがだったでしょうか。限られた時期にしか見られない景色を求め、二年間連続で通ってみました。すると、想像とは違う景色や現象が見られ、勉強になるとともに、ますますこの場所が好きになりました。
今回は車がない為アクセスに非常に苦労しました。フルサイズ一眼カメラ二台にメイン三脚とサブ三脚、あとはRX100M3(未使用)。さらに大量の防寒具と行動食+水を担いで長距離を歩いたので、かなり過酷でした。しかし、旅の費用はそんなにかからない為、また季節を変えて通おうと思います。それまでに輪行に使える軽量な自転車を買うぞ(´・ω・`)。
アクセスについて
・所在地:川久保新農村集落センター 住所:筑西市辻381-1
※ 常総線黒子駅から徒歩20分。JR下館駅から徒歩1時間20分(タクシーの場合11分)。
徒歩やタクシーで行く場合、時間を潰すのにカラオケを利用しました。
撮影ポイントについて
・撮影の季節は、10月28日前後と2月14日前後の年二回です。
・焦点距離は35mm換算で50~100mmが好みで、35mmでは場所によって電線が入ります。
・風景写真の撮影では、場所取りを含めて三脚はあった方がいいです。
・レンズの結露防止対策は必須。下で対策方法を紹介します。
注意点について
撮影環境について、足場が草むらになるため長靴があった方がいいです。今年の秋は台風も多く、自分はスニーカーで行ったのですがけっこう濡れました。写真は撮影環境のイメージ。
今回もフルサイズ一眼カメラを二台持っていったのですが、結露防止ヒーターや対策は必須です。とは言っても、自分はバンドにホッカイロを使って対策しました。重たいモバイルバッテリーやケーブルが邪魔にならないですし、何より直前までホッカイロで身体を温められるのがありがたい。ネットで2000~4000円とかでレンズ用の結露防止ヒーターが売っていますが、普通にドン・キホーテとかで1000円分くらいホッカイロをまとめて買い、100均で長さの融通がきくマジックバンドを買えば、そんなに沢山撮影に行かなければ数年以上持つのではないでしょうか。ちなみに、自分は2017年に買ったホッカイロがまだまだ余っており使用中。
とは言っても、ズームレンズ用にしっかりレンズヒーターも持ってきました。レンズの大きさに応じて使い分けるのがいいでしょうね。
撮影地での出会い
最後に、撮影地で出会った本当に素敵なご夫婦のお話を書きます。写真撮影地に一人で行くと、だいたい隣に三脚を立てた方と仲良くなります。この日の未明の4時に年配の女性の方が来ました。どこから来たのか、普段は何を撮影しているのかなど、写真撮影の話題に華が咲きます。ちなみにその女性は、旦那さんが車を運転して来てくれたらしいのですが、何と旦那さんは写真撮影はしないそう。つまり、運転手の役割だけの為に、早朝未明の4時とかに車を出してくれているのです。これだけで微笑ましいです。
そんな中、自分が徒歩で下館駅から重たい荷物を背負って1時間20分かけて歩いてきた事を話すと、非常に驚いていました。一度待機で車に戻った女性…。その後、だいぶ時間が経った頃に優しそうな叔父さんが傍にやってきました。そうです。隣に三脚を立てる女性の旦那さんです。向こうから挨拶をして下さり、自分は、車の中で自分の事が話題に上がったのかな…。と想像しました。するとその旦那さん、世間話の中で「帰りに下館駅まで送ってあげますよ」と言って下さったのです。つまり、1時間20分かけて帰る道のり(もしくは常総線 黒子駅まで徒歩20分+黒子→下館の移動と運賃)がカットできる。こんなに嬉しい事はありません。高まる気持ちを抑えながら、いいんですか? 本当に助かります。宜しくお願いします。と返事をしました。
しかし、ダイヤモンド筑波になる日の出直前、たまたまバックを漁ると、普段使用しているサングラスがない事に気がつきました。この瞬間に頭が真っ白になりました。このブログにはあまり書いていないのですが、自分は視覚に障害(車の免許が取得できないのもこの為)があり、サングラスなしでは外を上手く歩けません。この時予備は持っていなく、6万円以上した特注のサングラスをどこかに落とした…。これは、足が不自由な方が車椅子を無くした・聴覚障害の方が補聴器を無くした・切断の方が義足を無くした、などに匹敵する危険な事態です。そうなると、徒歩1時間20分かけて歩いてきた常総バイパスの歩道に落とした可能性もあります。つまり、先ほどのご夫婦のご好意に甘えて車で送って貰うと、6万円以上した大事なサングラスを探せません。その結果、丁寧にお断りし、眩しい中自力で歩いて探す事を決めました。するとご夫婦、バイパスまで車に乗りながら探しましょうと言ってくれました。最終的にバイパスの手前まで送ってもらいましたが、サングラスは見つからず…。お礼を言い車を降りると、自分が荷物をまとめている間も、旦那様は一人で少し先まで歩いてサングラスを探してくれました。また、奥様は、地元でとれた柿をビニール袋に入れて自分に渡してくれました。
再度お礼を言い、再び1時間以上の道のりをサングラスを探しながら歩きます。屋外をサングラスなしで歩いたのは10年ぶりとかでしょうか。眩しいとは言っても視野が欠ける訳ではないので、信号なども何とか事故なく通り抜け、下館駅に到着する事ができました。しかし、サングラスは発見できず、結局そのまま東京への帰路につきました。その後の話です。東京の自宅についてから、もしやと思い11時開店の昨夜に利用したカラオケ店に電話を入れました。すると、部屋の前でサングラスの落し物を拾ったと言われました。そうです。自分はカラオケ店にサングラスを落としたのです。帰った当日の夕方、サングラスがいらなくなった頃に再び、茨城県 筑西市の下館までサングラスを取りに行きました。
今回の写真撮影では、徒歩1時間20分の道のりを往復、そして、同じ日に東京から下館の片道3時間の往復を二回も行なうと言う異常事態を起こしました。本当に疲れましたが、何はともあれ大事なサングラスが見つかってよかった。
最後に一緒に撮影を行ったあのご夫婦に言いたいです。サングラスは無事に見つかりました。親切に車で送って下さり本当にありがとうございました。あと、美味しい柿をありがとうございましたと。あの時電話番号を聞いておけば良かった…。人の優しさとは本当に素敵なものです。人に貰った大切なものは、自分も誰かに返していきたいと思います。