日光、決行、結構! おひさまのかたち
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日々つれづれ。読書録など

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日光、決行、結構!

 今月は、旅行直前に体調大不良になり、咳が止まらずそろそろと歩く感じで山道を登り、
帰って来てからぶり返して仕事中ずっと咳止めとのど飴のお世話になるという月でござった。
今週やっと薬なしで仕事行けた感じ。
日光への旅行は、国木田独歩が失恋離婚で落ち込んでいる時に田山花袋と一緒に小説家になるための合宿をした地なので、大変楽しうございました。
友人のけーじゅさんがこれまた緻密なスケジュールを立ててくれていて、2か月近くいた彼らの、
『KとT』と『日光』に出てくる所は2泊3日でほぼ全部廻れたというすごさ。
(男体山登山はしなかった。彼らの体力に合わせていたら身が持たん。)
帰って来てからも小説の再読して楽しかった。
田山花袋、いっぱい書き残してくれてありがとーう!
その内体力に余裕があったらこれはまとめたい。

10月の読書
読んだ本の数:16  読んだページ数:3742


私という猫 (バーズコミックス スペシャル)『私という猫』 私という猫 ~呼び声~ (バーズコミックス スペシャル)『私という猫 ~呼び声~』 私という猫 ~終の道~ (バーズコミックス スペシャル)『私という猫 ~終の道~』 (バーズコミックス スペシャル)
完全版刊行前の再読。
このたった一つの命から世界を見る。
類を見ない名作である。
読了日:10月05日 著者:イシデ 電

子規を語る (岩波文庫 緑 166-1)『子規を語る』 (岩波文庫 緑 166-1)
碧梧桐による子規伝。
子規13歳碧梧桐7歳の時からの付き合いである。
碧梧桐は常にずっと子規も虚子も好きで、仲良しで愛がある。
子規の手紙から受ける評は時として肝が冷えるほど厳しく(小生既に碧梧を捨て申候)、それでものぼさんを好きでい続ける碧梧桐に寂しささえ湧く。
こののほほんとしたおおらかさが碧梧桐の文字の良さでもあろう。後半の家族の談による子規の脊椎カリエスの看護の壮絶さは碧梧桐が「拷問」と称した理由が分かる。
死を見据えた覚悟か。
現在NHKで『坂の上の雲』再放送中なので、作中にまだ碧梧桐は出てこないのだが、ああこの辺か。と想像しながらドラマを見てる。
読了日:10月10日 著者:河東 碧梧桐

7SEEDS (26) (フラワーコミックスアルファ)7SEEDS (27) (フラワーコミックスアルファ)7SEEDS (28) (フラワーコミックスアルファ)『7SEEDS』(26)(27) (28) (フラワーコミックスアルファ)
極限状態の世界で、自分と相いれないものでも許せるかどうか、がテーマになってくる。
助け合わないと生きていけない、でも相容れない部分がある。
人間は一面的でなく、いい部分悪い部分があって、更にそれは変化していく。
田村由美の描き方は巧いなあ。
読了日:10月15日 著者:田村 由美

菊池寛 短篇アンソロジー ヒューマンインタレストとしての小説『菊池寛 短篇アンソロジー ヒューマンインタレストとしての小説』
ゲーム『文豪とアルケミスト』とのコラボで実現した短編集。
主に現代もの自叙伝を代弁させている「啓吉物」で、短編集未収録作が多い。
『道を訊く女』『病人と健康者』『葬式に行かぬ訳』『盗人非盗者』『出世』『マスク』『流行児』『R』チュートリアルブック、の構成。
田畑書店さんのこのシリーズはこれでないとなかなか読めない本のチョイスと、専門家による解説がつくのがいい。
菊池寛は、ヒューマンインタレスト(人間的興味)と呼ばれる、つまり人情的な心理描写の巧さがいい。
特に冒頭の二つ。菊池寛は特に時代物で短編なのに長い時間の流れを書くのが巧い作家だと思うのだけれど、現代に絞って描かれると心理描写の巧さが際立つ。
道を訊いて来た女が、実は物乞いだったんじゃないの?騙されているんじゃないの?でも本当に道に迷っているだけなら自分は大変失礼なんじゃないの?などという一瞬の機敏が膝を打つほど丁寧。
読了日:10月19日 著者:菊池 寛

連載再現版 サイボーグ009(上) (KCデラックス)『連載再現版 サイボーグ009』(上) (KCデラックス)
石ノ森章太郎の名作。石ノ森さんは絵が巧いなあ。
連載再現版なので、柱に当時の煽り文句やお便り募集があって、漫画黄金期の明るい時代観があって良い。
低学年にも向けた週刊連載の為か、話がずっとクライマックス調で、おはなしのまとまりとしてはこの人の短編の方が巧さを感じる。下巻に期待。
読了日:10月20日 著者:石ノ森 章太郎

東京の三十年 (岩波文庫 緑 21-3)『東京の三十年』 (岩波文庫 緑 21-3)
日光旅行に併せて『KとT』を。名作だなあああ。青春だなああ。
これを読んでから二荒山神社や、詩集を投げ込んで万歳したK滝(華厳の滝)や、雨の中の憾満ヶ淵を見て回ったのは最高だった。併せて『日光』も読むと補完されてよい。
とてもとても良い。
『日光』は文語体なのでつい放置していたのだけれど、帰って来てから読んだ。
(そんなに難しい文語体じゃなかった。)
行く前に読んでおくんだったー!というか、日光の駅でこれを再版するといいと思う。マジで。
読了日:10月22日 著者:田山 花袋


青のミブロ(1) (講談社コミックス)『青のミブロ』(1) (講談社コミックス)
上司のおススメ。新選組モノ。
実在しない、剣も持たない少年が新選組に入るまで、が1巻。
殿内の暗殺が1巻の終わりなので、先が長そうではある。
仲良くなるのに相撲で勝負するんだが、ちょっとだけそこは謎である。
剣豪集団では…。(描いている人は竹刀握ったことなさそう、というのがばれてまう。剣道家はすぐに竹刀握らす。)
今月からアニメ化作品だそうで、薄桜鬼が面白かった私としてはちょっと興味がない訳でもないが、
アニメを毎週見る体力がないので今後はどうかな。
読了日:10月23日 著者:安田 剛士


7SEEDS (29) (フラワーコミックスアルファ)7SEEDS (30) (フラワーコミックスアルファ)7SEEDS (31) (フラワーコミックスアルファ)『7SEEDS』 (29)(30)(31) (フラワーコミックスアルファ)
読了日:10月25日田村 由美



連載再現版 サイボーグ009(下) (KCデラックス)『連載再現版 サイボーグ009』(下) (KCデラックス)
絵はどんどんこなれていくし迫力があるが、敵方・黒い幽霊団について掘り下げがないのが気になった。
敵に深みがないので、009の戦いにも共感が得にくい。
オチも尻切れ蜻蛉で勿体なかった。
連載再現版は柱のあちこちに当時の人気の勢いを感じて、雑誌人気の高かった黄金期を彷彿とさせるところは大変良い。
読了日:10月26日 著者:石ノ森 章太郎


文庫 絵で見る明治の東京 (草思社文庫 ほ 2-2)文庫 『絵で見る明治の東京』 (草思社文庫 ほ 2-2)
何より建築物の絵が良い。風情がある。
明治は行事が目白押しで忙しいのだから仕方ないかもしれないが、建物の解説が割とあっさりで、大好きなコンドル先生などは出てきて数行で終わってしまって物足りなかった。
建築については特にもっと掘り下げて欲しかった。
政治や戦争などについては極力省かれている。
後半の明治の一般的な庶民の文化や事件や年中行事については興味深く、時折挟まる文学的要素も面白かった。
最終章近くに飛行機の話で締めるなど『東京の三十年』のようで良かった。
読了日:10月30日 著者:穂積 和夫

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