川流桃桜の日々の呟き ウクライナの産業農業の大部分を外国企業が所有していることをポーランド大統領が明らかに(抄訳)
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ウクライナの産業農業の大部分を外国企業が所有していることをポーランド大統領が明らかに(抄訳)

アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。若干補足した。2024/04/15、ポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領は、ウクライナの産業農業の大部分が、実際には外国の大企業によって支配されている事実を暴露した。
The Polish President Revealed That Foreign Companies Own Most Of Ukraine’s Industrial Agriculture



ウクライナの農地は西洋によって乗っ取られている

 2023/02/21、オークランド研究所は「戦争と窃盗:ウクライナの農地の乗っ取り」と題する詳細な報告書を発表し、外国企業が地元のオリガルヒ達と共謀して自由法を悪用し、ウクライナの農地のかなりの部分を秘密裏に掌握していることを暴露した。

 この報告は当時波紋を引き起こしたが、USAトゥデイの様な御用メディアが「ファクトチェック」と称して偽情報を広めた(出資を通じた間接所有と直接支配とを意図的に混同して読者を誤解させた)為、最終的にはこの問題に関する世間の注目は殆ど消えてしまった。

 だが予想外のことに、2024/04/15のインタビューで、他ならぬポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領が爆弾発言を行ってこの問題を蒸し返した。

 「(ウクライナの)産業農業に特に注目したいのですが、これは実際にはウクライナ人によって経営されている訳ではなく、西ヨーロッパや米国の大企業によって経営されています。 今日、殆どの土地所有者を見てみると、彼等はウクライナの企業ではありません。」

 今までは西洋の主流メディアに於ては「ゼレンスキーが自国を外国に売り渡しているなどと云う話はロシアが広めている偽情報である」とされて来た訳だが、ドゥダは史上最も親米・反ロシア的な政府の代表なので、この発言が「ロシアのプロパガンダ」であるなどと中傷することは馬鹿げている。彼はポーランドの専門家達から裏付けとなる事実を知らされていなかったら、この様な「政治的に不都合な」主張は決してしなかっただろう。

 この展開はこのテーマに関する以下の様な今までの報告書への関心を再燃させるだろう。

 ・USAID(米国際開発庁)による「土地改革の最前線で民間部門がウクライナの投資可能性を解き放つ」

 ・トーマス・ファジ氏の「資本家達はウクライナの頭上を旋回している:戦争は莫大な利益機会を生み出している」



ゼレンスキーは自国を西洋に売り渡している

 だが何よりもゼレンスキー自身が、2022/05/23の世界経済フォーラムでこう発言していることを思い出しておくべきだろう。

 「我々は特別な———歴史的に重要な復興モデルを提供します。パートナー国、パートナー都市、またはパートナー企業のそれぞれが、ウクライナの特定の地域、都市、コミュニティ、または産業を後援する機会———歴史的な機会を掴むのです。英国、デンマーク、欧州連合、その他の主要な国際的アクターは、復興を後援する為の具体的な方向性を既に選択しています。」

 更に2023/05/05には彼は世界最大の投資会社であるブラックロックの経営陣をキエフに迎え、投資と復興基金の創設について話し合った。

 「今日は歴史的な瞬間です。何故なら独立当初から数えて、ウクライナではこれ程巨額の投資案件は無かったからです。我々はその様なプロセスを始められることを誇りに思っています。………我々はエネルギー、セキュリティ、農業、物流、インフラ、医療、IT、その他多くの分野に投資する興味深いプロジェクトを提供出来ることでしょう。」

 要するに、西洋によるウクライナ農業の乗っ取りはウクライナ独立以降ずっと続いて来た訳だが、ゼレンスキーはダボスでグローバル・エリート達にこれを加速すると約束し、ブラックロックを招いてこの約束を実行したのだ。また2024/02/12にはウクライナがG7に特使を立てる予定であると云う疑惑が伝えられているが、これもまたダボスのアジェンダ、特にウクライナの農地に対する外国の支配を推進する為であることは明らかだ。



大企業の利益の為に利用されるウクライナの農産物

 ドゥダがこの問題を取り上げたのは、外国が間接的に経営するウクライナの産業農業の安い農業製品がポーランドに大量に流入した為にポーランドの農業が圧倒され、これにより国全体で農民が抗議行動を起こし、二国間関係が悪化したからだ。

 ウクライナが(非公式にだが)EUへの農産物輸出を拡大していることは、単に日和見的なものではなく、少なくとも部分的には、迅速且つ確実な利益を求める外国企業の志向によるものだ。

 ウクライナはこれまでグローバル・サウスに於ける農業大国だったが、ロシアが黒海を封鎖していると云う偽情報を広めたことで状況が変わった(実際には黒海に機雷を敷設して封鎖したのはウクライナの方であって、ロシアは寧ろこれらを撤去して航路の安全を確保した側だ)。
Russian soldiers detonate mines along the coast of Ukraine


 穀物協定に於てロシアを騙す一方で、「ロシアによる黒海封鎖」を大義名分として、EUはこれまでの貿易障壁を一時的に撤廃した。これは「自国の領土を経由したウクライナからグローバル・サウス諸国への輸出を促進する」と云うのが表向きの理由だったが、実際にはウクライナ産の農産物の殆どはグローバル・サウス諸国には届かず、EU領内に留まった。何時きちんとした支払いをしてくれるのか分からない貧しいアフリカ諸国を相手にするよりも、豊かなEU諸国を相手に商売する方が、迅速且つ確実な支払いが期待出来るからだ(これにはまた、秘密会議の呼び掛けを殆ど無視してゼレンスキーに大恥を掻かせたアフリカ諸国に対して罰を与えたいと云う動機も有った)。

 これはポーランドの利益には反する。だがウクライナ農業ロビーだけでなく、ウクライナの産業農業を間接的に支配している外国企業もまたウクライナの農産物をEU市場に無関税で輸出したがっているので、ポーランドがこれらの圧力から自国の市場を守り抜くのは非常に難しい。

 ウクライナはEUへの加盟を望んでいるが、ウクライナがEUの割り当て制度に従わなければならなくなった場合、ウクライナとEUの間の貿易収支に於ける「不平等」は是正されてしまうことになる。従って外国企業はこの動きに向けて妥協が成立することを全力で妨害している。

 他方ポーランド側には、こうした影の関係に世界の注目を集める十分な理由が有る。だからこそドゥダは、ウクライナの農業産業部門の「土地の殆ど」が「西ヨーロッパや米国の大企業によって経営されている」事実を暴露し、「ポーランド農家は世界の穀物市場で競い合うには小さ過ぎる」から、「花とかフルーツとか野菜とか、或いはマリファナでも」作っていればいい、と自分達の特権的な立場を棚に上げて攻撃して来るウクライナ側に反撃しようとしている。

 こんなことをすればウクライナは益々ポーランドに敵対する様になり、復讐の為にポーランドの内政に干渉しようとするかも知れないが、ドゥダは自国の国益を守る為に、その怒りを受けて立つ用意が有る様だ。
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川流桃桜

Author:川流桃桜
一介の反帝国主義者。
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