川流桃桜の日々の呟き クリンキでのウクライナの大失敗に関するニューヨーク・タイムズの報道からは反乱の臭いがする(抄訳)
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クリンキでのウクライナの大失敗に関するニューヨーク・タイムズの報道からは反乱の臭いがする(抄訳)

アンドリュー・コリブコ氏の分析の抄訳。2023/12/16、ニューヨーク・タイムズはドニプロ川での戦闘に従事するウクライナ海兵隊員達の証言を掲載したが、行間からは反乱の気運が高まっていることが読み取れる。
There’s A Whiff Of Mutiny In The New York Times’ Report About Ukraine’s Krynki Debacle



クリンキの戦場の悲惨な現実

 2023/12/16、ニューヨーク・タイムズは「ドニプロ川を渡って『自殺任務』を行うウクライナ海兵隊」についての記事を掲載した。
Ukrainian Marines on ‘Suicide Mission’ in Crossing the Dnipro River

 この記事はヘルソン州のクリンキでの戦いに関する匿名の軍人達の証言を載せているが、彼等の言葉からは反乱の臭いを感じずにはいられない。

 証言の内容を要約すると、キエフ当局はドニプロ川の戦闘に於て幾つかの拠点を築いたと発表しているが、実際にはそんなものは存在せず、準備も兵站も不十分で条件は厳しく、戦闘は残忍且つ無益だ。そして戦闘が始まっても隠れる場所も無いので兵士達は無駄死にを続けている。

 こうした絶望的な状況の中で益々多くのウクライナ軍人達が、楽観的な見通しを語る政治指導部の嘘に憤りを感じていると同時に、そもそもこの自殺任務に自分達を送り込んだ軍指導部の一部についても同様の感情を抱いている。

 クリンキの戦いはキエフの敗北で終わる運命に在る。だが政権は依然として、士気を維持する為に、また西洋からより多くの援助を絞り出す為に、この無謀な作戦を実行するよう命令した。

 こうした証言を行った兵士達は、この機密性の高い作戦についての詳細を暴露すれば不服従の罪で非難される可能性が有ることを十分承知の上で発言した。軍指導部はNYタイムズのその地域への訪問要請を略全て拒否したそうなので尚更だ。彼等は最悪の場合は軍と対立するリスクを冒してまで前線の実態について証言しているのだ。

 彼等は何十人達もの死んだ同胞達の上を這い摺り回らされ、ロシアの爆撃が何時間も続く中で泥の中に潜ることを強いられた。これはトラウマ的な経験だ。しかも死地に赴かされているのは路上で掻っ攫われて戦場に放り込まれた新兵ではない、ウクライナ海兵隊だ。これはキエフ政権が自分達の最も貴重な資産の一部をドブに捨てていることを意味している。

 証言者達は良心の呵責からこの不必要な流血を放置することが出来ずに、密かにNYタイムズに連絡を取った。そうすることで、これを終わらせる為に西洋から圧力が掛けられることを期待してのことだ。



プーチンの戦況説明

 彼等はこの記事が掲載される2日前の12/14にプーチン大統領がこう言っていることなど全く知らなかっただろう。

 「次はクリンキについてです。 敵は大規模な反撃を宣言しましたが、何処でも成果は上がりませんでした。

 ………何故彼等がこんなことをしているのかさえ、私には理解出来ません。彼等は単に国民を死に追いやっているだけなのです。ウクライナ軍自身が、これは片道旅行だと言っています。

 ………敵には数十人の死者が出ています。彼等は単に『防火袋』の中に放り込まれただけです。彼等は単に政治的な理由から、部下達をそこへ投入しています———私は政治的理由だけだと思いますが。

 ………どうやらそれは、国の運営を維持する為、軍事要素、装備、軍需品の支払いの為に、より多くのお金を懇願する為にウクライナ指導部が国外旅行することと関係が有る様です。

 ………彼等は単なるウクライナ軍の軍人ではない。 彼らはエリート、突撃部隊です。実際のところ、数はそれ程多くはありません。過去45日間にウクライナ軍が被った損失を集計すれば、それがどれ程具体的であるかが判るでしょう。これはこの国の政治指導部の愚かで無責任な行動を表していると私は思います。ですが、それは彼等の問題です。

 ………これが実際に起こっていることです。 もう直ぐ全てが終わると思います。」



反乱のリスクは日々高まっている

 プーチンの説明は匿名のウクライナ軍人達の証言と一致している。ウクライナ軍は無益な戦いを続けて窮地に陥っているのだ。

 プーチンはこの無謀な命令の動機は、西洋からより多くの援助を絞り出そうと云う政治的なものであると説明した訳だが、彼は早急にこれを終わらせようとするのではなく、賢明にも可能な限り相手側の損害を引き出す為に相手の戦略に合わせて動くよう、自軍に命令を出した。恐らく彼は西洋の希望を復活させるには、この象徴的な足掛かりでは不十分だと判断したのだろう。敵の渡河を完全に遮断することが緊急の課題だとは考えなかったのはそれが理由だと思われる。

 ゼレンスキーはこれまで非常に多くの貴重な自国民の命をドブに捨てて来た訳だが、それは10月のタイム誌の暴露記事で名も無き上級補佐官が証言した様に、彼が「救世主的な誇大妄想」に陥って合理的な判断が出来なくなっているからだ。

 タイムの記事は、今の文脈で参考になる証言も幾つか載せている。
 
 「前線指揮官の一部は、仮令大統領府から直接来た場合でも、進軍命令を拒否し始めている。」塹壕に座って戦線を守っているだけでは勝つことは出来ない、前進しろと云うキエフ指導部の命令に対して、或る指揮官は疑問で返した:「どうやって? 彼等には人員も武器も無い。武器は何処ですか? 大砲は何処ですか? 新兵達は何処ですか?」

 こうした証言はNYタイムズの証言と合わせて、東部戦線と南部戦線の両方で反乱が起きている可能性を示唆している。何処の国の軍人であっても、無意味な戦いにうんざりして外国メディアに文句を言うのは、常に悪い兆候だ。

 SBU(ウクライナ保安庁。キエフ版のゲシュタポ)は依然としてウクライナの言論を支配しているが、軍内部の反対意見を封じ込めるのには苦労している様だ。ザルジニー総司令官は紛争凍結の為にゼレンスキーを蹴落とす為、軍内のこうした不満を誘導するかも知れない。その場合、彼は軍と市民社会のかなりの部分から支援を受けることが予想されるし、言うまでも無く西洋内部の政策立案者達の特定の派閥もまた、この紛争を終わらせたがっている
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